ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Life3

 

 

―――月光校庭エクスカリバー終了後―――

 

 

―――現在、俺はどこにいると思う?

リアス・グレモリーとソーナ・シトリーに拉致された形でいま、

俺はとんでもないところにいるんだよ。

 

「「失礼しますっ!」」

 

二人同時にとある扉を開いて、二人して俺の手を引っ張りながら怪しげな研究施設の中を進む。

突然の二人+俺の訪問に研究施設内にいた者たちが、「なんだ?」と言った風に俺たちに

顔を向けてくる。その中、妖艶な顔つき伸び青年が口元を怪しく笑ませながら立ち上がり、

 

「やあ、いらっしゃい。久し振りだね」

 

「はい、お久しぶりです。ですが、突然の訪問に申し訳ないです。失礼を承知して参った所存です」

 

「いいよいいよ。サーゼクスとセラフォルーの妹なら、

こっちから出迎えるぐらい気にしていないさ」

 

男は手を上げた。俺たちを見守っていた者たちが作業に戻った。

 

「さて、そこの彼を連れて俺に何か用かな?」

 

「あの、彼の駒の価値を計って欲しいのです」

 

ソーナ・シトリーの用件を聞いた男は不思議そうに「駒の価値をかい?」と問い返した。

 

「はい、その通りです」

 

「ふむ・・・・・人間界にある悪魔に転生する際、

必要な駒の価値を調べる装置を設けたはずだが?大抵あの機械なら済むはずだが?」

 

「それが・・・・・計った途端に故障してしまったのです」

 

「故障だと・・・・・・?」

 

意外、興味深い、不思議、とそんな籠った瞳を俺に見据えてくる男。

そう、俺は駒王学園の保健室で駒の価値を計ってもらったんだ。

でも、計った途端にエラーが生じたかと思えば、あっという間に故障してしまったんだ。

 

「それは滅多にないことだ。なるほど・・・・・彼の潜在能力が俺の予想を遥かに

上回っているということか・・・・・実に興味深い。キミ、名前は?」

 

「兵藤一誠」

 

「兵藤一誠・・・・・」

 

男はポツリと呟いた。次の瞬間、男が笑みを浮かべ出した。

 

「なるほど、キミがあの時の赤ん坊か。成長したね」

 

「・・・・・父さんと母さんを知っているんだ?」

 

「勿論だとも、冥界全土にいる悪魔たちが知らないものはいない。

元七十二柱の悪魔たちは特にね。

―――俺はアジュカ・アスタロトと言う。よろしくね兵藤一誠くん」

 

そう言って俺に手を差し伸べてくる。その手を掴み、アジュカ・アスタロトと握手を交わす。

 

「計測器が壊れたのは仕方がないね。近い内にこちらから新しい計測器を提供するよ」

 

「申し訳ございません」

 

「いいさ、そろそろ新しい物と取り換える時期だったかもしれない。

さて、彼の駒の価値を調べて欲しいのだね?」

 

「「はい、お願いします」」

 

肯定とお願いする二人。計測器が壊れたのにここでも計れるのか?

アジュカ・アスタロトは機械じゃなく、

小型の魔方陣で調べ始めた。―――しばらくして、

 

「うん・・・・・彼の駒の価値は分かった」

 

一度頷き、俺に顔を向ける。

 

「複数の神滅具(ロンギヌス)を宿した上に、内には複数のドラゴンを宿している。

サーゼクスから聞いた通りだね。邪龍たちを宿している人間は初めて見たよ。

良い意味で実に興味深い。そして、兵藤一誠くんのスペックも含めて言えば―――」

 

「「・・・・・」」

 

「ハッキリ言って、キミたちでは彼を眷属にすることはできないよ」

 

「「っ!?」」

 

マジで?良かったぁー。悪魔になれる可能性があると思うと冷や冷やするよ。

 

「あの・・・・・それはなぜなのですか?」

 

「簡単なことだよ。彼はキミたちが思っている想像をはるかに逸脱しているんだ。

つまり、『(キング)』としての力が足りないってことだ。

彼を下僕するにはまだまだ未熟と言うことと言える」

 

「・・・・・私たちでは彼を眷属悪魔にすることすら叶わないということですか」

 

「キミたちだけじゃない。多分、俺もだと思うよ?

試しに五つの『変異の駒(ミューテーション・ピース)』で試してみようか」

 

小型の魔方陣から見覚えのある駒が五つの現れた。

 

「悪魔になったらゴメンね?」

 

「そうなったらあんたを殺す」

 

苦笑を浮かべるアジュカ・アスタロト。最上級悪魔を殺せるぐらいの力はある。

はぐれ悪魔になろうが俺には関係ない。魔方陣ごと俺の前に近づけさせられる。

そして、俺は五つの駒を手に取った瞬間―――。

 

バチンッ!

 

俺に拒絶するかのように五つの駒が電気を生じて、俺の手から離れた。

その光景を見ていたアジュカ・アスタロトは、笑みを浮かべて頷いた。納得したとばかりに。

 

「やはりそうだね。俺も彼を眷属悪魔にするには、

まだまだ『(キング)』としての質が足りないということだ」

 

「アジュカさまさえできないとなれば・・・・・」

 

「殆どの悪魔たちが彼を眷属にすることはできないってことになるわね」

 

よし、良いこと聞いたぞ!

 

「うーん、現五大魔王さま方なら可能性はあるよ?

でも、魔王さま方は駒を持っていても一人の下僕悪魔がいないから王としての素質を計って

試してみないと分からないけどね」

 

「・・・・・どちらにしろ、私たちは彼を下僕にできないということだけは分かりました」

 

「残念ね。下僕になったら可愛がったあげるのに」

 

俺は一生人間のままでいたいです!悪魔になんてゴメンだ!堕天使も然り!

 

「まあ、キミたちの足りないのは『(キング)』としての質だ。所有する主の成長に応じて、

未使用の『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』が変質する。

もしかしたら、キミたちが魔王並みに成長をした時は彼を下僕にできるんじゃないかな?」

 

「その時の俺はもっと成長していると思うから絶対に無理だ」

 

「ふふっ。それは残念だね」

 

アジュカ・アスタロトは笑う。

というか・・・・・今さらだけどRG(レーティングゲーム)の基礎理論を構築した張本人と出会うなんてな。

 

「・・・・・・彼に相応しい女になるって意味でもあるのかしら?」

 

「・・・・・・だとすれば、もっと成長しないといけませんね。

女としても『(キング)』としても」

 

―――まだ諦めていなかったのかよこの二人は!?

と、まあ、俺の価値は殆どの悪魔が持っている駒では、俺を眷属にできないことが判明した。

それだけ良しと思い、アジュカ・アスタロトに礼を言い二人と一緒に帰った。

 

 

 

 

「・・・・・やはり、兵藤家の人間は悪魔に転生することはできないか」

 

そう言って、俺はアジュカ・アスタロトがレポートに何か記していたのは気付く訳もなかった。

 

 

 

 


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