ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode3

 

土曜日。学校が休日のため、俺とリーラは木濡れ通りを歩いている。

 

「新しく作られているから、綺麗だな」

 

「休日は遠くからやってくる若者もいるそうです。雑誌の特集されるほど大変人気で

有名のようで」

 

「流石は四種族交流のモデルの地、象徴の町、と言ったところか」

 

こうして歩けば、多くの人がすれ違う。本来、異界に住む悪魔や堕天使、天使も堂々と

人間界に住み、出歩くことはできなかった。

だが、三大勢力戦争を終結した種族、人間の介入によってこうして外に歩けれるようになった。

 

「・・・・・おっ、あれは・・・・・」

 

賑やかな音がする。『SILKY』という看板がある店から聞こえる。

―――その店の前にメイド服を着た少女がいた。

 

「・・・・・ほう」

 

リーラの瞳が煌めいた。メイド服を着た少女に興味が沸いたのか、

「行ってみるか?」問うてみると。

 

「はい、行ってみましょう」

 

肯定した。『SILKY』に近づくと少女が口を開いた。

 

「いらっしゃいませ。当ゲームセンター『SILKY』へようこそ。『SILKY』はメダルゲームから

ブライズ、体感ゲームにビデオゲームの新作を取り揃えております。

お客さまはどんなゲームをお探しでしょうか?」

 

紫色の髪の少女だった。髪をサイドテールに結んでメイド服を身に包む店員―――。

 

「あっ、あなた・・・・・」

 

「ん?」

 

「二年F組の兵藤くんだよね?」

 

「そうだけど・・・・・誰?」

 

突然訊ねられる。だが、俺はこの子のことを知らない。首を傾げて尋ねると、彼女は言った。

 

「ほら、三年D組と二年F組の体育の授業をしていたでしょ?

その時、アナウンスをしていたのは私なの」

 

「あー、そうなんだ?もしかして放送部員とか?」

 

「うん、そうだよ。体育の授業のアナウンスは私がしているの」

 

へぇ、それは知らなかったな。また一つ情報を得た。

 

「あっ、そう言えば名前を言ってなかったね。私はデイジー。天界から奨学生として、

駒王学園に通ってるの。クラスは兵藤くんの隣の二年E組だよ。よろしくね」

 

「ああ、よろしくな。彼女はリーラ・シャルンホルスト。いま私服だけど俺のメイドなんだ」

 

「そうなの?かなり綺麗な人だね・・・・・年上かな?」

 

そう問われ、俺は肯定する。と、今度はリーラが尋ねた。

 

「失礼、このメイド服は当店の制服ですか?」

 

「えっ?は、はい、そうですが?」

 

「ふむ・・・・・このメイド服のデザインは素晴らしいですね。それにこの生地は―――」

 

あー、夢中になっちゃっているかも。リーラってメイド服の雑誌を読み漁っているところを何度か

見たことあるけど、実際にメイド服を目の前にあると、ああなっちゃうんだよな。

 

「あうあう・・・・・ちょっと、リーラさん。恥ずかしいです」

 

「・・・・・失礼。私が来ているメイド服とは違うメイド服を見てしまうと、

気になってしまいます」

 

「メイドってそういうものなんですか?」

 

「いえ、あくまで個人的なことです」

 

さらっと言ったリーラさんだった。

 

「デイジー、このゲームセンターで一番人気名ゲームは何だ?」

 

「えっと、個人的に言わせてもらえば格闘ゲームですね」

 

「格闘ゲームか・・・・・小さい頃、三度ぐらいやったぐらいで全然やってないな」

 

「では、格闘ゲームをしてみますか?」

 

そう問われ、俺は頷いた。それから俺たちは、ゲームセンターでデイジーのアドバイスのもと、

楽しく時間を潰した。途中、休憩時間で格闘ゲームをしているデイジーに挑戦すると、

 

「兵藤くん、もう一度勝負です!」

 

苦戦してようやく勝ったところでデイジーから挑まれたのだった。さて、ある程度やり終えれば、

リーラとプリクラを撮ることにした。

 

カシャッ!

 

「ん、綺麗に撮れたな」

 

「そうですね」

 

ツーショットで撮った俺とリーラ。†主とメイド†と書かれたプリクラを見て微笑んだ。

 

「―――兵藤くん!」

 

「・・・デイジー?」

 

「今度は音楽ゲームで勝負です!」

 

―――意外と負けず嫌いのようであった。

 

―――○●○―――

 

「結局、夕方になるまでゲームセンターで時間を潰してしまった」

 

とある公園のベンチに座って俺たちは一休みをしていた。

 

「あの子もプライドというものがあったのでしょう。並々ならぬ熱意を感じました」

 

「俺も感じたよ。絶対に勝つ、絶対に負けないって気持ちが伝わった」

 

デイジーのことを少しだけ知った。面白い子だったな。

 

『明日も来てください!今度は私が勝ちますから!』

 

果たし状の如く、誘われたしな。

 

「それにしても・・・・・よく、あの店の制服を提供してくれたな」

 

「店長はメイド服のこだわりを分かってくれる人でしたので」

 

彼女の足元に置いてある紙袋の中には、あの店の制服が入っている。

途中でいなくなったからどうしたのかと思ったら、そう言う事だったらしい。

 

「帰ったら着るの?」

 

「はい、私のサイズに合う制服を頂きましたので」

 

「そっか、それは楽しみだな」

 

リーラが違うメイド服を着る姿は楽しみだと微笑む。対してリーラは口元を緩ませて小さく笑む。

 

「一誠さまご奉仕するのが私の仕事ですから・・・・・」

 

「・・・・・そっか」

 

そっと、俺は彼女の手を掴んで握った。

 

「一誠・・・・・さま?」

 

「俺はご奉仕とかしてくれなくても、リーラがいてくれればそれだけでも幸せだよ」

 

「―――――」

 

リーラは目を見開いた。でも、すぐに微笑みを浮かべて「私もです」と、言い返してくれた。

 

「私の心と身体はあなたのものです。髪の毛一本、足の爪もすべて・・・・・」

 

「リーラ・・・・・」

 

「・・・・・メイドでありながら、ご主人さまに抱くこの恋心を持った私めをお許しください・・・・・」

 

俺の膝に跨り、対面になるように彼女は腰を下ろして座りだした。

そんな彼女の腰に腕を回して引き寄せる。

 

「・・・・・許すよ。俺の愛しいメイド、リーラ・シャルンホルスト」

 

「・・・・・一誠さま」

 

「これからもずっと、永遠に俺の傍にいてくれ」

 

「はい、よろこんで・・・・・」

 

そして・・・・・どちらからでもなく俺とリーラは顔を近づけ・・・・・唇を重ねた。

 

『・・・・・おい』

 

「「っ!?」」

 

『我の存在を忘れて盛り上がるとはいい度胸だな』

 

俺の中にいるグレートレッドさんが不機嫌そうに話しかけてきた。

 俺たちは低い声音で発する彼女に思わず固まってしまった。

 

『まあいい。それよりも、堕天使が近づいている』

 

「・・・・・なに?」

 

『接触するかどうかは、お前ら次第だ』

 

ここに来ている?また俺を狙って・・・いや、思い上がりだな。

 

「行こう」

 

「はい」

 

ベンチから立ち上がり、俺たちは公園から去ろうとする。

―――そう、|少年の腹に光の槍を刺した黒い長髪の女堕天使を横殴りして吹っ飛ばしてからな。

 

「大丈夫か?」

 

「・・・・・・ぁ?」

 

瀕死の重体になっているな。そう思いながら、少年に手を翳す。

手の平が光り輝き、呼応して少年の体に光が包んだ。同時に光の槍が消失した時だった。

 

「こ・・・・・の・・・・・!」

 

「まだいたのか」

 

吹っ飛ばしたはずの女堕天使が、痣ある顔のまま近づいてきた。

 

「人間が・・・・・!私の邪魔をするなんて・・・・・!」

 

「俺は堕天使と悪魔が嫌いでな。つい、邪魔したくなるんだよ」

 

「っ!私を一体、誰だと―――!」

 

激昂した女堕天使の声を遮った。金色の翼を咽喉に突き付けて。

 

「死にたくないなら、尻尾巻いて失せろ」

 

「―――っ!」

 

「お前を殺してもいいんだぜ?」

 

六対十二枚の金色の翼を見せ付けて威嚇する。女堕天使は俺の翼を見て驚愕し、

歯を強く噛みしめた。屈辱だと悔しそうに顔を歪めて。

 

「・・・・・覚えていなさい。次会ったらあなたを必ず殺してやるから」

 

黒い翼を羽ばたかせて、女堕天使は公園からいなくなった。

 

「・・・・・よし、こっちも終わったな」

 

「では、帰りましょう」

 

「ああ」

 

そうしようと、歩を進めたその時だった。一つの赤い魔方陣が出現した。

その魔方陣から光と共にヒトが現れた。その人物は・・・・・。

 

「イッセー・・・・・」

 

「リアス・グレモリー・・・・・」

 

サーゼクス・グレモリーの妹の少女だった。彼女は俺と血だらけの少年を交互に見て問うてくる。

 

「・・・これはどういうことなの?」

 

「・・・・・さっき、女の堕天使がそこの少年を殺そうとしていた」

 

これが証拠とばかり、落ちていた黒い羽を摘まんでリアス・グレモリーに投げ放った。

彼女は人差し指と中指で挟んで受け止め、黒い羽を見詰める。

 

「俺たちも丁度この公園にいたから、助けた」

 

「そう・・・・・一応、お礼を言わないといけないかもしれないわ」

 

「お礼?」

 

「ええ、私はこの子に召喚されたからね」

 

こいつがあいつを召喚・・・・・?怪訝になる俺だが、どうでもよくなり、歩を進める。

 

「イッセー」

 

「・・・・・なんだ?」

 

「・・・あなたが悪魔を嫌うのには十分過ぎると思うわ」

 

その言葉に俺は足を停め、振り返る。

 

「でも、全ての悪魔があなたが思っているような悪魔じゃない。

それだけでもいいから知って欲しい」

 

「・・・・・」

 

踵を返して歩を進める。

 

「―――分かっている」

 

「・・・!」

 

「あくまで俺は、悪魔と堕天使という種族が嫌いなだけだ。

俺の目的はあの三人を殺すことだからよ」

 

「じゃあ・・・・・」

 

足を停めず、前に突き進む。

 

「また学校で会おうな。―――リアス」

 

それだけ言い残して、俺はリーラを引き連れて公園から去った。

 

 

 

 

「イッセー、やっぱりあなたは昔と変わっていないわ。あの時、私たちと一緒に遊んだあの頃と」

 

 

―――○●○―――

 

 

―――翌日。

 

「えー、皆さん。もう少しで自分のパートナを探す日が迫っています。

ですので、どんなパートナーが良いかこの時間内に決めてくださーい」

 

一限目になって開口一番に、葉桜が教卓から俺たちにそう言ってきた。

 

「はい、葉桜先生」

 

「なんでしょう兵藤くん」

 

「パートナとは一体何ですか?」

 

先生と教師のシーンをする俺と葉桜。

編入してきた俺とリーラが知るわけもなく、不思議と疑問が浮かぶ。

 

「パートナとは、悪魔や魔法使いが使役する使い魔のことを差すの」

 

「使い魔?だとしたら悪魔と魔法使いしか契約が結べないんじゃ?」

 

「昔だったらね。でも、ほら、今は四種族交流を果たしているでしょう?

だから私たち人間でも、使い魔を手に入れられることができるようになったの。

ただし、使い魔を手に入れる時は親の人と相談してからじゃないとダメなんだけどね。

あんまり大きくて凶暴な魔物を使い魔にしたら大変だし」

 

うーん、色々と大変なことが付き纏うんだな。

 

「勿論、使い魔が欲しくないならそれでもいいの。

これは強制的じゃないし、使い魔を手に入れられない家もあるだろうからね。

使い魔はペットとして認識するから」

 

「ん、なるほど、分かった。だから、この机にある分厚い本があるわけなんだ」

 

ドドーンと暑さ五十cmの本が置かれてある。表紙に『魔物図鑑』と書かれてあるし。

 

「うん、マダラタウンのザトゥージさんが調べ尽くして本にした魔物の図鑑を使って、

どんな魔物がいるのか知るの。それが今日の授業の内容」

 

葉桜の説明を聞きながら本を開いた。どれどれ・・・・・おおっ、色々な魔物がいるな。

可愛い系、不気味系、カッコいい系、綺麗系、能力まで詳細に・・・・・。

おいおい、生息地までもあるのか。

 

「・・・・・おっ、こいつは・・・・・」

 

とあるページで俺は釘付けになった。―――全身が青く綺麗なドラゴンだ。名前は・・・・・、

 

『ほぉ、「天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)」ティアマットか。久しく見るな』

 

俺の内から語るのはグレートレッドさん。知っているのか?

 

『知らない訳がない。そいつは五大龍王の中で最強のドラゴンだ。

時折好きに暴れては姿を暗ますからな。他のドラゴンとは違い、退治されていないのだ』

 

へぇ・・・・・そんなドラゴンがいるんだ。興味があるな。

 

『お前なら、そのじゃじゃ馬を従えることができよう。使い魔にするならそいつだな』

 

ん、そうするつもりだよ。

 

「決まった人は自分の名前と魔物の名前を書いて、箱の中に入れてください」

 

葉桜の言葉に、紙に筆を走らせる。書き終えて、葉桜に近づき箱の中に入れる。

 

「葉桜はどんな使い魔にするんだ?」

 

「うーん、可愛いくて大人しい子かな?」

 

「そっか。葉桜に合いそうな使い魔がいるといいな」

 

「ふふっ、兵藤くんもそうだよ?」

 

ああ、俺にピッタリな使い魔はいたよ。早く会ってみたいな。

天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)』ティアマット。

 


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