ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode6

 

 

―――アザゼルside

 

 

「やろう―――!」

 

RG(レーティングゲーム)を応用した異空間でのあいつらの様子を見て怒りを覚えた。

やつらの授業に『真魔王派』の連中が乱入するとは思いもしなかったが、

あっさりと終わらせたことに拍子抜けと思っていた矢先に兵藤一誠が背後から刺されて倒れた。

 

「やはり・・・彼は『禍の団(カオス・ブリゲード)』と繋がっていたようだな」

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

それだけじゃねぇ、今現在この学校はテロリストに襲撃されている。

奴らめ、四種交流の象徴の代表的なこの学校を破壊するために現れたってことか!?

 

「生徒の皆さんは慌てず、体育館に避難してください!繰り返します。

生徒の皆さんは慌てず体育館へ避難をしてください!」

 

俺たちがいる場所は放送室。だからデイジーとサーゼクスと一緒に

あいつらの様子を見ていることができるが、まさか・・・こんなことになろうとはよ!

 

「・・・・・リアスたちは今頃。体育館に言っていると思うかね?」

 

「はっ、あいつらが大人しくするわけねぇだろ。

良くも悪くも首を突っ込んでしまうお前の妹なんだからよ」

 

「ふ・・・そうだね。デイジー、私と変わってくれ」

 

「は、はい」

 

サーゼクスはマイクに顔を寄せて口を開いた。

 

「私は理事長のサーゼクス・グレモリーだ。今現在、この学校はテロリストに襲撃されている。

全校生徒及び教師たちがパニックに陥ていることを重々承知して言わせてもらう。

―――戦えるものは仲間と共にテロリストを倒してほしい。

非戦闘員は速やかに落ち着いて体育館へ避難を。あそこは魔力に対する抵抗が強い。

なにせ、式森家の者たちが体育館だけでなく、この学校全体に非常時の時、

防壁魔法を発動するように施してくれている。

なので、敵の攻撃が直撃しても激しい振動だけしか伝わらない。

キミたちに被害は一切ない。もう一度言う。戦える者はテロリストを倒してほしい。

非戦闘員は速やかに体育館へ。以上だ」

 

それだけ言ってサーゼクスは放送室を後にしようとする。そんなあいつを呼び止めて

「前線に行くのか?」と尋ねれば、

 

「理事長の私が何もしないわけにはいかないだろう?アザゼルは彼女を守ってやってくれ」

 

俺にそう言い残し、放送室からいなくなった。

 

「・・・・・あいつ、怒っていやがったな」

 

「え、理事長がですか・・・・・?」

 

「ああ、平常心でいようが、瞳の奥に怒りの炎が燃えていた。

兵藤一誠の事と学校の襲撃のことだろうな」

 

「・・・・・イッセーくん」

 

娘っ子がバトルフィールドを映した立体映像を見た。そこには―――。

 

「―――なんだと」

 

信じられないものを見る目で呟く。どうしてだ、どうしてあいつらがいる―――!?

 

「クソが!ふざけんじゃねぇぞおい!」

 

ここから動くことができない自分に苛立ち、拳を壁に殴って物に当たるしかできない。

あいつら、無事に戻って来てくれ・・・・・っ!

 

 

―――和樹side

 

 

―――目の前で、一誠は刺されて倒れた。

僕、式森和樹は信じられないものを見る目で地面に横たわる一誠を見据える。

 

「ふふふふふっ、これで、これでアーシアは僕の物だ」

 

不気味に笑みを浮かべる一誠が倒れた元凶のディオドラ・アスタロト。

彼を慕う彼女たちが一誠に近寄って安否を確かめる最中、

僕と龍牙はディオドラ・アスタロトを激しく睨む。

 

「あなた・・・・・自分が何をしたのか分かっているのですか?」

 

「分かっているとも。彼を傷つけた。そして僕はアーシアを手に入れたんだ」

 

「傷つけるだけで重傷を負わす程のことをしなくてもいいんじゃないのかな」

 

「その必要はあるよ。なにせ、そいつは僕にとっても邪魔な存在だからね」

 

邪魔な存在だって・・・?

 

「兵藤一誠が魔王になったら、悪魔の僕たちは魔王となった人間に納得できるわけ

ないじゃないか。人間が魔王だって?バカバカしい。

上級悪魔である僕がどうして人間の下で生きて行かないとダメなんだよ?

腹立たしくてしょうがない」

 

そうか・・・・・一誠は魔王の娘であるネリネとリコリスと婚約者だ。人間が魔王だなんて、

冥界や人間界に住んでいる悪魔たちはどう思っているのか。今まで思いもしなかった。

 

「僕だけがこんな気持ちを抱いていないよ。

学校にいる悪魔や冥界、人間界にいる悪魔たちもきっと心の中では

兵藤一誠のことを認めていない。

でも、次期人王となってしまったからには手も足も出せなくなった。

―――なら、どうすればいいと思う?」

 

ディオドラ・アスタロトが僕たちに尋ねる。あいつの問いに僕は目元を細めて

「何が言いたい」と視線で伝えると、

 

「テロリストに殺されればいいんだよ」

 

―――っ!

 

笑みを浮かべてハッキリと、とんでもない言葉を発した。

 

「―――そのテロリストとはあなたのことですね?」

 

「おや、面白い冗談を言うね。僕はゲームのルールに則って彼を倒しただけじゃないか?」

 

「屁理屈を、『真魔王派』が現れた時点で授業は中止ですよ。

あなたがした行為は立派な犯罪です」

 

怒気を声に含む龍牙。僕は尻目で一誠を見れば・・・カリンちゃんが魔法で一誠を癒していた。

 

「僕が犯罪者・・・・・?」

 

不思議そうにディオドラ・アスタロトは首を傾げる。

その言動に怒りがピークに達しそうだよ・・・っ!

 

カッ!

 

その時、この場に複数の魔方陣が展開した。誰だ、見たことのない魔方陣の紋様だ。

―――魔方陣の光と共に現れたのは数人の男女だ。一人は貴族服を身に包んでいる男、

もう一人は軽鎧(ライト・アーマー)を身に付け、マントも羽織っていた。

 

「ほう、兵藤一誠が重症のようだな」

 

「だが、殺しきれていなかったようだな」

 

その二人が一誠の様子を見て、淡々と言うが、嘲笑を浮かべた態度だった。

 

「「「・・・・・」」」

 

残りの四人、腰まで伸びた赤と黒が入り混じった髪の女性と眼鏡を掛け金髪を後に撫でた

クールそうな男性。もう一人は灰色の揉み上げが長く、背中にまで髪が伸びていて、

両手に装飾が凝った銃を持ってる男性。最後の一人は上半身が裸で至るところに傷跡がある

サイラオーグさんのような筋肉質の男性だった。

 

「やあ、来たんだね?」

 

「貴様がヘマをしないか様子を見に来ただけだ。

が、どうやら好ましい状況になっているようだな」

 

「エージェントの皆さんは一瞬で倒されたけどね」

 

・・・・・ディオドラ・アスタロトが余裕でいられるのはあの六人の存在がいるからか。

 

「さて、僕の役目はここで終わりだ。僕は一足早く帰らせてもらうよ?

キミたちは彼らに殺されるといいさ」

 

「お前・・・・・・!」

 

転移用魔方陣を展開するディオドラ・アスタロト。

そんなあいつの行動を許そうともせず、魔方陣を展開した。

 

―――ドッ!

 

「・・・・・はっ?」

 

ディオドラ・アスタロトの両腕が地面に落ちた。―――一体何が?

 

「―――てめぇ、人の獲物を横取りすんじゃねぇよ。そいつはその代償とさせてもらったぜ」

 

赤と黒が入り混じった長髪の女性が、両手にある光の剣を振り切った状態で言った。

その直後、両腕を両断されたディオドラ・アスタロトが絶叫した。

そして、信じられないと女性に振り返って、

 

「お前なにをするんだ!?僕たちは味方じゃないか!」

 

「はっ?味方だ?誰と誰がよ?」

 

「なっ―――!?」

 

ディオドラ・アスタロトが彼女の言葉に耳をした途端に絶句した。

 

「俺が、俺たちがいつ、お前と味方だと言ったよ?所詮は力がないくせに、

オーフィスにも愛想疲れて現魔王を打倒と目論んでいる烏合の衆ばかりの集団じゃねぇか」

 

不敵の笑みを浮かべる女性は光の剣をディオドラ・アスタロトに突き付けた。

 

「俺たちがここにいるのはお前を助けに来たわけじゃない。そいつ、兵藤一誠を見に来ただけだ」

 

なんだ・・・・・彼女たちはテロリストじゃないのか?目的は一誠・・・?何者なんだ?

 

「口を慎めよ堕天使の女。それ以上の暴言は如何にお前でも許しがたいぞ」

 

「はっ!俺たちは『英雄派』に近づいて神器(セイクリッド・ギア)を調べさせてもらったり

神器(セイクリッド・ギア)を頂戴できればそれで満足なんだよ。

禍の団(カオス・ブリゲード)』に参加したのもそれが理由だぜ。

最初から『真魔王派』に協力した覚えはないぜ?

シャルバ・ベルゼブブとクルゼレイ・アスモデウス」

 

ベルゼブブにアスモデウス・・・・・!?

じゃあ、あの二人は現魔王ベルゼブブとアスモデウスの―――!?

 

「ち、ちくしょう・・・・・っ!」

 

ディオドラ・アスタロトが魔方陣の光と共に姿を暗ました。あっ、しまった!

 

「さて、物は序でだ。兵藤一誠の神滅具(ロンギヌス)を貰おうか」

 

―――バサッ!

 

「「なっ!?」」

 

彼女の背中に生えた者を見て僕と龍牙は絶句した。黒い、黒い六対十二枚の翼。

その翼はまさしく堕天使の象徴とも言える翼だった。

 

「アザゼル先生と同じ翼と数・・・・・」

 

「ああ、何か知んないけどアザゼルが教師をやっていたんだな?

似合わねぇーと思ったぜ?はははっ!」

 

「あなたは一体・・・・・」

 

彼女を尋ねる。そして、何故か知らないけど嫌な予感がしてしょうがないんだ。

 

「お前、式森和樹だったっけ?んじゃ、兵藤家の兵藤一誠のことを知っているよな?」

 

「一誠のこと?一体何のことだ?」

 

「ははは、なんだ。言っていないのか?んー、例えばそうだな。

―――父さんと母さんを殺した堕天使と悪魔に復讐をするんだ、

俺は悪魔と堕天使が嫌いなんだ、とかさ」

 

―――っ!!!!!

 

堕天使の女性から信じられない衝撃の言葉を発した。

それは、一誠がよく悪魔と堕天使に対していう言葉と同じだったからだ。

どうして、なんで、彼女が知っているんだ?

 

「どうして知っているんだ?って顔だな?」

 

「・・・・・正直、一誠がそんな事を言うのは彼を接している者しか知らないことだよ」

 

「だろうな。俺たちも兵藤一誠と昔だが会ったことがある。―――一度だけだけどな」

 

一度だけ会った?一誠と彼女たちが?一体どこで・・・・・。

 

「―――いっくん!」

 

「っ!?」

 

悠璃の歓喜の声に振りかえった。そこにはカリンの魔法で傷が完全に治って目を開けた一誠。

 

「・・・・・」

 

一誠は自分を心配する彼女たちに目を呉れず、真っ直ぐ―――堕天使の女性に視線を向けていた。

 

「おっ、目が覚めたか?―――ガキ」

 

「・・・お前は・・・・・」

 

「はははははっ!久し振りだなぁ?実に十年振りか?」

 

久し振り?十年振り・・・・・?・・・・・・っ!?

 

「まさか・・・・・」

 

脳裏にとある答えが過った。一誠が復讐したい悪魔と堕天使。

それは十年前に両親を殺したという女の堕天使と男の二人の悪魔。その三人が―――。

 

「ヴァン・・・・・シャガ・・・・・シャーリ・・・・・・」

 

ポツポツと、小さく確かめるように一誠が唇を動かした。

彼から発せられた言葉を聞き、堕天使の女と二人の男が口の端を吊り上げた。

 

「俺の名前を十年間も覚えていたのか?嬉しいなぁ」

 

「当然だろう。俺たちは兵藤一誠の両親を、兵藤誠と兵藤一香を殺したのだからな」

 

「感動の再会とは、ほど遠いだろうな。

―――見ろ、兵藤一誠の瞳に憎しみと憎悪、殺意が籠りだしたぞ」

 

っ!?

 

彼女たちは隠すこともなく肯定と喋り出した。

まさか・・・本当に一誠の両親を殺した三人だというのか!

 

「―――――ようやく、見つけれた」

 

その言葉に僕は一誠へ振り向く。体を起こして完全に立ち上がり、真っ直ぐ三人に瞳を向けて

凝視する。目を大きく見開いて三人の姿を焼きつけるかのようにしている。

 

「ようやく、ようやく見つけれた」

 

「一誠・・・くん・・・・・?」

 

「俺の、俺の生き甲斐である復讐をしたい三人が目の前にいる・・・・・」

 

一歩、また一歩と三人に向かって歩み寄る。―――全身に禍々しいオーラを纏いだして。

 

「よくも・・・・・よくも父さんと母さんを・・・・・・」

 

次の瞬間。

 

「殺したなぁぁああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!」

 

ドッ!オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

一瞬で一誠が禍々しいオーラに包まれた!こ、このオーラは・・・・・ッ!?

 

「GYEEEEEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAEEEEEEEEEEEEAAAAAAAAAAAAAッ!!!」

 

ドス黒いオーラが膨張して一気に大きくなり、一誠は―――三つの首を生やす禍々しい龍へと

変貌した!僕たちは今の一誠の状態は危険だと察知し、遠くに離れて非難した。

 

『殺すッ!今この場でお前らを、貴様らを殺してやる!喰い殺してやるぞ!』

 

一誠―――ッ!

 

「はっはっー!『魔源の禁龍(ディアボリズム・サウザンド・ドラゴン)』アジ・ダハーカの姿かよ!

いいぜ、いいぜ!倒し甲斐が、殺し甲斐があるってもんだぜ!」

 

「相手は不死の邪龍だ。伝承通りならば、厄介この上にない」

 

「相手は()る気まんまんだけどな。まあ、やるしかないだろう」

 

堕天使と悪魔の三人の男女は攻撃態勢になった。

逆にシャルバ・ベルゼブブとクルゼレイ・アスモデウスは敵わないと理解したのか、

早々に転移魔方陣で逃げた。残りの一人は―――拳を構え出した。あのヒトも戦う気だ!

 

「一誠くん・・・・・」

 

「イッセー、お前は・・・・・」

 

「いっくん・・・・・」

 

僕たちはただ、復讐を果たさんと堕天使と悪魔たちに攻撃を始める一誠を

見守ることしかできないのか・・・・・。

 

 


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