ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode3

 

 

「皆さん。明日は久しぶりの体育の授業があります。

相手は三年Fのディオドラ・アスタロト先輩のクラスと授業をする事になりました」

 

HRが始まって清楚が開口一番に体育の授業の説明をする。アスタロト・・・。

リアス・グレモリーたちが魔王候補だと思っている

アジュカ・アスタロトがいるアスタロト家の悪魔か?

 

「だけど、今回は相手が授業を受けるかどうか分かりませんけどね」

 

「ん?どうしてだ?」

 

「多分、僕たちが次期人王決定戦に出て優勝しちゃったから、僕たちの実力を知って

弱い人は僕たちと戦いたくないって気持ちでいるかもしれないからじゃないかな?」

 

・・・・・あー、そういうこと。

 

「ましてや一誠さんは真龍と龍神の力を鎧に具現化したのですからね。

それを体育の授業に纏われたら誰だって敵いっこありませんよ」

 

「(サイラオーグなら嬉々として挑戦するかもだけどな)」

 

戦闘狂ではなく、純粋に強者と戦って何かを目的として目指すように進むあの男なら、

俺と勝負をしたがる。と、俺はそう思っている。

 

「うん、神城くんの言う通り。でも、教師側から一誠くんに対して規制されたの」

 

「俺に規制だと?」

 

「真龍と龍神の力を使用禁止。以上です」

 

清楚の言葉に思わず苦笑いを浮かべてしまった。

授業であの力を使おうとは思っていないんだがな・・・・・まあ、当然か。

 

「了解。学校では使わないようにする」

 

「はい、分かりました。それではHRを終わりにします。皆、次の授業の準備をしてください」

 

HRの終わりを告げた瞬間にクラスが賑やかになって、準備をしながら友達を会話しだした。

 

「ディオドラ・アスタロト、ね」

 

「何か気になることでも?」

 

「いいや?俺たちの強さは軽く上級悪魔を越えているんだ。なんとなく呟いただけだよ」

 

そう言って鞄から医学の本を読み始める。と、横から俺に近づく者がいる。

 

「最近、いっくんはそんな本を読んでいるね。どうしたの?」

 

「ちょっと、可能性を探しているんだ」

 

「可能性?お医者さんにはなれないよ?いっくん、次期人王だし」

 

いや・・・・・医者になるつもりはないんだけど・・・・・頬をポリポリと掻き、

俺の傍にいる悠璃に説明した。

 

「一つの体に二つの魂がある。その二つの魂の内の一つをどうやったら

抜き出せれるかなって探しているんだ」

 

「・・・・・」

 

「まあ、こんなものを見ても魂を取り出す方法なんて―――」

 

「できるよ?」

 

・・・・・。

 

できるよ?悠璃に「何がだ?」と視線で問うと、彼女は俺の気持ちを気付いたようで、

 

「二つの魂を分ければいいんだよね?私か楼羅ならできるよ?」

 

「―――――」

 

衝撃の事実を告げてくれた。

 

「・・・・・本当か?」

 

「うん、私たちの神器(セイクリッド・ギア)ならできるよ」

 

・・・・・すぐ傍にあいつを独立させることができる可能性の存在がいたとはな。

 

「誰の魂を分けるの?あの清楚って子?」

 

「いや、別の奴だ。彼女じゃない」

 

「ふーん。じゃあ、リシアンサスって子かな?魂が二つあるしね」

 

―――――っ

 

この子、あんまりリシアンサスと話そうとしていなかったのに現状、俺しか知らないことを悠璃が

気付いていたのか。―――何て恐ろしい子!いや、怖ろしくないんだけどさ。寧ろ可愛い。

 

「何時から気付いていた?」

 

「初めて神王の娘と対面した時から。

私、その気になれば半径三kmまで離れた相手の魂を探知して、誰の魂なのかすぐに分かるよ?

魂から情報を抽出してね」

 

「それも神器(セイクリッド・ギア)の能力で?」

 

「うん、そうだよ」

 

俺の後ろに回って悠璃は腕を回してきた。

 

「だから―――いっくんが三k以内でどこの誰かと接しているのかすらも分かっちゃうんだよ?」

 

「・・・・・」

 

うわぁ・・・・・悠璃、今のは真面目に何て恐ろしい子なんだと思ってしまったぞ。

 

「だから、いっくんに害を与える存在も分かる。

私はそいつを探しだしてそいつの魂を抜き取って―――喰らうよ」

        

うふふふふ・・・・・と、暗い笑みを浮かべる俺の幼馴染兼妻。

 

「・・・・・できれば、俺の見えないところでそれをしないでくれよ?」

 

「ダメ?」

 

可愛く首を傾げる悠璃。うん、そんなことしてもダメだからな?

 

「ダメだ。まあ、それよりも話した通り、彼女のもう一つの魂を取り出したいんだ。

手伝ってくれるか?」

 

「うん、いっくんのお願いなら何だってする。私が嫌なこと以外ならね」

 

「お前が嫌がるようなことは絶対にしないさ。約束する」

 

「ふふっ、いっくんはやっぱり優しい♪」

 

嬉しそうにスリスリと俺の頬を擦りつける。こういう仕草は可愛いんだけど、悠璃さん。

先生がいるから離れようか。

 

「・・・・・ちくしょう。リア充爆発しやがれ!」

 

血の涙を流す先生。あー、独身だったのか。すいません、今後は場を弁えてイチャつきます。

 

―――○●○―――

 

それから午前と午後の授業は平穏に終わった。

下校の時間となり、俺たちはプリムラと合流を果たす。

ゾロゾロと殆ど女に囲まれての下校なので、周りから視線を感じつつも家に赴いている。

そして、家に辿り着いた俺の目にとある人物が俺の家の前に立っているのが映った。

その人物は俺に顔を向けると嬉しそうな顔をして手を上げた。

 

「久し振りだね、一誠」

 

―――白龍皇、ヴァーリ・ルシファー。

 

「久し振り、と言いたいところだけど何の用なんだ?

一応、幼馴染とはいえ俺とお前は敵同士なんだけどな」

 

だからほら、リアス・グレモリーたちが警戒しているから。

 

「うん、キミに伝えたいことがあってね。まあ、何の障害もないと思うけど一応は」

 

「それは嘘じゃないんだな?」

 

「私が一誠に嘘ついた事は一度もないよ。勿論、イリナだってそうだ」

 

ヴァーリは俺とイリナに視線を送ってくる。・・・・・それもそうだな。と、思って

「どういうことだ?」と尋ねれば、彼女は告げた。

 

「ディオドラ・アスタロトには気を付けてくれ」

 

「ディオドラですって?」

 

彼女の口から出たとある悪魔の名前にリアス・グレモリーが眉根を上げる。

とても怪訝ですとばかりに。

 

「ああ、最近私たち―――いや、この場合『禍の団(カオス・ブリゲード)』と通じたと言おう」

 

『―――っ!?』

 

明日、共に体育の授業をする上級生がテロリストになっていたなんてな。

・・・・・灯台下暗しとはこういうことか・・・・・。

 

「とはいえ、ディオドラ・アスタロトが『禍の団(カオス・ブリゲード)』に加わったという証拠は今の私の手には無い。だから、警告をしに来た。私の幼馴染たちにね。サーゼクス・グレモリーとアザゼルに言うなら過激なことを言わない方がいい」

 

ヴァーリは背中に青い翼を展開した。

 

「一誠の敵は私の敵だ。でも、一誠に敵わない敵なら私がどうこうしようとは思わない。

私の愛しい男は不動の存在だからね」

 

「心配してくれてありがとうな」

 

「ふふっ、当然だよ。キミは命の次に大切な男だからね。イリナは三番目だ」

 

「うん、私もそんな感じよ。ヴァーリ、いつかまた三人であの時のように遊びましょ?」

 

イリナの誘いに彼女は薄く笑って頷き、一瞬で俺たちの前から姿を消した。

 

「・・・・・ディオドラ・アスタロト」

 

「リアス、この事は理事長に告げたほうが良いかと思います」

 

「ええ、私もそう思うわ。それに、彼はアーシアを狙っているもの。

―――絶対にアーシアを渡さないわ」

 

おおう、リアス・グレモリーが静かに怒っているぞ。

というか、アーシア・アルジェントが狙われているってどういうこと?

 

「んー、調べる必要があるな」

 

「でも、どうやって?」

 

玄関に赴き、扉のドアノブを掴んだところでイリナに問われた。

 

「シーグヴァイラ・アガレスの眷属悪魔、杉並に調べてもらうさ」

 

ついでに、俺に迷惑をかけた報いを晴らす!

 

「ああ、そうだシア」

 

振りかえって栗毛の少女に声を掛けた。

「はい?」と何かな?と全身で伝えてくるリシアンサスに言った。

 

「家に戻ったらすぐ俺の部屋に来てくれ。お前がいないとできることができないからな」

 

「・・・・・そ、それって・・・・・」

 

途端に顔を赤くするリシアンサス。

 

「多分、お前が思っているようなことはしない」

 

「そ、そうっすか・・・・・」

 

ガクリと物凄く落ち込むなよ。寧ろ、お前の考えたのと同じぐらい嬉しいことをするんだからさ。

 

「それじゃあな」

 

「うん、分かったっす」

 

リシアンサスとネリネ、リコリスと別れ、俺たちは家の中に入った。

悠璃に視線を送って頷き合う。

 

「よろしくな」

 

「うん」

 

―――リシアンサスside

 

イッセーくんに呼ばれてしまった私は、自分の部屋で私服に着替えてすぐに玄関へ赴いた。

 

「ん?シア、どこか行くのか?」

 

「うん、お父さん。イッセーくんの家に遊びに行くの」

 

何時も浴衣を着込んでいる私のお父さん。

どうも頭の中では、日本は浴衣を着て過ごすってイメージらしく、

お父さんも浴衣を着て動きやすいと気に入っちゃっているから家でも外でも浴衣しか着ない。

少しぐらい、他の服に着替えて欲しいと思う娘の願いは届かないのでしょうか?

 

「おう、そうか。だったら―――俺も一誠殿の家に遊びに行くぜ!」

 

「え?お父さん!?」

 

勢いよく「一誠殿ぉっ!」と玄関の扉を開け放って行っちゃった!

慌てて私もイッセーくんの家に向かって「失礼します!」と家の中に入ったその直後。

 

「おや、シアちゃんじゃないか」

 

「お、おじさま?」

 

なんと、リンちゃんとリコリスちゃんのお父さんがいた。

私のお父さんもいて二人の前にはイッセーくんのメイド、リーラさんが出迎えていたようでした。

 

「いらっしゃいませ、シアさま。一誠さまがお待ちです。神王さまと魔王さまはしばらく

リビングキッチンでお待ちになられてください。すぐに一誠さまが顔をお出しになられますので」

 

「おう、分かったぜ」

 

「急に訪問してすまないね」

 

お父さんとおじさんは真っ直ぐリビングキッチンに向かった。

私はリーラさんに連れられてイッセーくんのところへ案内される。

 

「リーラさん、イッセーくんは?」

 

「お部屋におられます」

 

部屋に・・・・・もしかしてやっぱりイッセーくんは・・・・・あうう、こんなことなら

勝負下着を穿いて来るべきだったっす!

 

「シアさま、着きました」

 

―――っ!

 

何時の間にか私はイッセーくんの部屋の扉の前に案内されていた。

いざ、中に入ろうにも心臓がうるさいほど高鳴っていて、緊張しっぱなしっす。

これはもう期末試験以上のこと・・・・・!

 

ガチャ・・・・・。

 

でも、待たせる訳にはいかないので、ゆっくりとドアを開けた。

 

「おっ、来たか」

 

「・・・・・」

 

部屋の中に入ると、部屋に入った私をベッドに腰掛けて声を掛けるイッセーくんと

イッセーくんに抱きついている悠璃ちゃん、イッセーくんの膝に座っている

オーフィスちゃんがいた。

 

「さて、早速しようか」

 

「えっと・・・・・なにを?」

 

「決まっているだろう。―――お前の妹を一つの個体にするためだ」

 

―――っ!?

 

「悠璃、よろしく頼む」

 

「分かった」

 

イッセーくんの言葉に絶句した私を余所に悠璃ちゃんが立ち上がって私に近づく。

 

「嫌な感じがするだろうけど、我慢してね」

 

そう言いながら禍々しいオーラを両手に纏って―――。

 

―――ドスッ!

 

私の胸を躊躇もなく貫いた。

そこで、目の前が一気に真っ暗になって意識が遠のいたのだった―――。

 

 


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