ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode5

予選が始まり、一誠たちはRG(レーティングゲーム)を応用した異空間に転移された。

 

「―――京都か」

 

「みたいだな」

 

「しかも・・・・・ここって京都タワーですよ」

 

なるほど、確かにそうだな。京都を一望できるし、さっそく巨人が見えるぞ。格好の的だな。

デカイって考えものぞ。と一誠は辺りを見渡しながら心の中で呟いていると曹操が一誠に問う。

 

「さて、俺たちはどうする?」

 

「うーん、取り敢えず行動しようか」

 

と、巨人に指して。

 

「あの巨人を倒しにさ」

 

「ふっ、良いだろう。倒し甲斐があるぞ」

 

ヴァーリが一誠の言葉に耳にして笑みを浮かべる。一誠を想う彼女にとって、

今はとっても幸せ絶頂な気分でいる。一緒に戦えることに大変喜んでいるのだ。

なので、役に立ちたいと心からそう願っているヴァーリである。

 

「じゃあ、ちょっと待っててくれ」

 

「どこかに行くのですか?」

 

「いや下に降りるだけだ」

 

アーサーの質問に一誠は躊躇もなく京都タワーから飛び降りた。

この場にいる面々がどうしたのだろう?と

一誠が飛び下りた下へ覗きこんだその瞬間。

京都タワーの高さより大きい三つの首を持つ龍が出現した。

 

ギェエエエエエエエエエエエエエエエエヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

 

邪悪なオーラを迸らせる龍は咆哮を上げる。

その咆哮が空気を振動させ、レプリカで出来た建物の窓ガラスを全て割り、

建物の幾つかが崩壊した。バトルフィールド場に龍の雄叫びが轟く。

 

「なっ!?」

 

「何時の間にドラゴンが・・・・・?」

 

邪悪な魔力を発する三頭龍。一誠が飛び下りたところから現れた邪悪な龍を知らないメンバーは

臨戦態勢になった。知っているものは唖然としていたり、

「なるほど」と納得して頷いたりしていた。

 

『俺だ』

 

「・・・・・その声・・・・・兵藤一誠か?」

 

『ああ、今のこの状態は「龍化」だ。内にいる龍の力を借りて龍の姿になっている。乗れ』

 

一つの首が京都タワーに乗っている曹操たちに近づいた。一行は一度だけ顔を見合わせて

漆黒の頭の上に乗り出す。

 

『しっかり掴まっていろよ。奴さんがやってきたからな』

 

大きく翼を羽ばたかせて一誠はレプリカの空を飛翔した。

その直後、巨大なハンマーが京都タワーを粉砕した。

 

『ははははっ!巨人族と戦うことになるとは愉快だな!』

 

直ぐに地上に降り立って意気揚々と九人の巨人と対峙する一誠は、三つの口を開けて咆哮した。

その咆哮が呼び水となったかのように一誠の周囲に幾重の巨大な魔方陣が展開した。

その数は約―――千。

 

「千の魔法を駆使する『魔源の禁龍(ディアボリズム・サウザンド・ドラゴン)』アジ・ダハーカ。その伝説は真のようだな」

 

カッ!

 

千の魔方陣から魔法が放たれた。属性魔法、黒魔法、白魔法、精霊魔法、様々な魔法が

巨人たちだけじゃなく、周囲の京都の町まで吹き飛ばす。

それだけで九人の巨人たちがバトルフィールドから姿を消した。

 

「こ、これが邪龍の力だってのかよ・・・・・」

 

『ああ、そうだ。邪龍は厄介極まりないドラゴンだ。

そんなドラゴンを兵藤一誠が制したとなれば邪龍よりとんでもない存在だな』

 

「ふふふっ、一誠・・・・・いいじゃないか・・・・・!」

 

『ヴァーリ、お前は敵となる存在なのだぞ?』

 

「それがまたいいじゃないか。私の一誠はどこまでも凄くなる。うふふ・・・!」

 

カッ!カッ!カッ!

 

三つの口から光の光線が京都の町に向かって走った。―――刹那。轟音と共に町が大爆発を生じた。

 

『取り敢えず、リアス・グレモリーたちを当たらないように攻撃する。

お前らは、こっちに来ている敵を倒してくれ』

 

「分かった。お前は俺たちの『(キング)』だ。死守しよう」

 

先にサイラオーグが飛び下りた。続いてヴァーリ、続々と頭から飛び降りるメンバーだが。

 

『お前も降りろ』

 

「ちょっ、待てえええええええええええ!?」

 

何時までも降りなかった成神一成を振り払うように頭を振って落とした。

悲鳴を上げながら落ち、

「死ぬぅっ!」と涙目の成神一成はサイラオーグ・バアルの腕に収まった。

 

「大丈夫か?」

 

「あ、ありがとうございます・・・・・」

 

「悪魔なのに飛べないなんて・・・・・お前はダチョウと一緒だな」

 

「うっ、うるさい!」

 

呆れ返るヴァーリに強く否定できない成神一成の図の光景だった。

上で何度も全方位に攻撃を繰り返している龍と化となった一誠。

その下で臨戦態勢になっている成神一成たち八人。警戒をして佇んでいると上から

一誠が声を掛けてきた。

 

『周囲から三組の敵がやってくる。一組はリアス・グレモリーたちだ』

 

「部長たちか!?」

 

「他は?」

 

『・・・・・変な五人組だな。魔王並みの魔力を有しているから気をつけろよ。

もう一組は人間だ』

 

一組みは友軍、残りの二組みは敵だと告げる。警戒の色を濃くして一誠の射程距離範囲外に

侵入してくる敵に、ヴァーリ、アーサー、成神一成、幾瀬鳶雄。

曹操、ゲオルグ、レオナルド、デュリオと4:4に分かれて編成したその瞬間だった。

 

「イッセー!」

 

「邪悪なる存在め!我々悪魔戦隊デビルレンジャーが倒してくれよう!」

 

「ドラゴン相手なら負けやしねぇぞ!」

 

三方向からやってくる三チームの内、二チームに向かって飛び出すヴァーリたちと曹操たち。

残りの一チーム、リアス・グレモリーたちはキョロキョロと辺りを見渡す。

二手に分かれた「ロンギヌス」チームと戦闘行っている敵二チーム。

―――リアス・グレモリーが探してる人がいない。

 

「え・・・・・?イッセーは・・・・・?」

 

『何だ』

 

「・・・・・あなた・・・・・なの?」

 

目の前の邪龍は見たことがある。しかし、

肝心の想い人である一誠の声が三頭龍の口から聞こえた。

そのため、信じられないと目を丸くしてリアス・グレモリーは―――、

 

『リアス・グレモリーの幼少の頃のアルバムの写真の中に―――』

 

「それ以上言わないで!分かったから!」

 

証明とばかりにリアス・グレモリーの恥ずかしい写真の内容を口にしようとした瞬間に、

羞恥で顔を真っ赤にして遮ったのだった。

 

「―――火竜の鉄拳!」

 

ドッゴオオオオオンッ!

 

『・・・・・』

 

三頭の内の一つの顎下から炎を纏った拳で殴った銀色のマフラーを巻いた桜色の髪の少年。

―――しかし、別の首がその少年に向かって火炎を吐いた。

 

『何かしたか?』

 

燃え盛る敵の一人に一誠は問うた。

 

「てめぇこそ、俺に何かしたかよ?」

 

『・・・・・なに?』

 

桜髪の少年に纏わりつく炎が、何かに吸収されていくように焼失していく。

 

『炎を・・・・・食っているのか?』

 

「うはっ!うめぇなお前の炎!」

 

口の中に吸い込まれていく炎に唖然と見詰める一誠。

 

『・・・・・ただの人間じゃないな?』

 

「おう!俺は火の『滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)』だ!

だから、お前の火を食って魔力や体力を回復させてもらうぜ!」

 

『(・・・・・そんな魔導士が世界に存在しているのか。その上、龍殺し・・・・・)』

 

「さぁーて、火を食ったから力が湧いたぜ」

 

桜髪の少年は笑みを浮かべ、拳に炎を纏わせた。

対する一誠は今の姿では周りに支障が出ると判断し、元の姿に戻った。

 

「なら、火を使わず戦うとしよう」

 

「はっ!?お前、人間なのかよ!?」

 

「あれは能力に過ぎない」

 

幻想殺しの籠手(イマジンブレイカー)』を装着してドラゴンから人間に戻った一誠に

目を丸くする桜髪の少年に「来い」と手で催促した。

 

「―――火竜の咆哮ぉっ!」

 

先手必勝、桜髪の少年が口から炎を吐く。

 

「(火を食う人間か・・・。ライザーとは相性が悪過ぎるだろう)」

 

籠手の能力で炎を消失させ、桜髪の少年に飛び掛かろうとした次の瞬間。

一誠の視界の端に赤黒い球体が接近してくる様子が入り、舌打ちして桜髪の少年から離れた。

 

「・・・・・そう言えば聞いていなかったな。どうしてあんたがここにいるんだ?」

 

「はっはっはっ、誰のことを言っているのかな?私はデビルレッドとという、

冥界に住む悪魔たちの未来を守るために生まれた正義のヒーローだよ?」

 

「悪魔がヒーローを語るんじゃねぇよ!」

 

仮面と特撮衣装みたいなものを装着した、どこぞの戦隊ヒーローのような格好のデビルレッドと

名乗った聞き覚えのある男に一誠が激怒した。

そんな光景と様子を見ていた桜髪の少年が訊いてきた。

 

「お前、あいつを知ってるのか?」

 

「知らない。赤の他人だ」

 

「うむ、今の私にピッタリな言葉だね」

 

朗らかに笑い声を発するデビルレッド。一誠は米神を引き攣らせて、

どうしてくれようかと悩んだ末、あることをした。

 

「そうだな。俺がリアス・グレモリーと結婚した後でもどこかの誰かさんには

『お義兄さん』なんて一生言わないからな」

 

「―――――っ!?」

 

「ああ、絶対に名前だけ呼ぼう。リアス・グレモリーと間に生まれた子供にも、

『叔父さん』じゃなくて、フルネームで呼んでもらおう」

 

ニヤリと一誠が笑みをデビルレッドに浮かべる。対してデビルレッドは全身と声を震わせて

言葉を発した。

 

「ふ、ふふっ・・・私に何を言っても無駄だよ?私はヒーローだからね。

どんな言葉の拷問でも耐えるさ!」

 

「―――あー、そういえば、リアス・グレモリーから聞いたんだけど、

ミリキャスって子供が言ってたな」

 

「・・・・・な、何をだい・・・・・?」

 

不安な色を全身で浮かばせるデビルレッドだった。

一誠はとっても楽しそうに邪のない笑みで言った。

 

「『最近のデビルレンジャーはつまらない。

特にデビルレッドがつまらないから嫌い』―――だって」

 

「―――――」

 

勿論、それは嘘だと心の中で呟く一誠。だが、効果抜群だった。デビルレッドが跪いたのだ。

 

「そ、そんな・・・ミリキャス」

 

仮面の隙間から液体が流れ始めた。するとどうだろうか、デビルレッドの全身が光に包まれ

この場から姿を消した。デビルレッドが消えたと同時に他の四人も姿を消す。一拍して、

 

「まあ、嘘だけどなぁ!」

 

『お前は悪魔だ!』

 

一誠が胸を張って叫べば、周りから非難の言葉が投げられたのだった。

 

―――アザゼルside

 

あんにゃろう・・・・・とんでもない隠し玉を持っていやがったな。俺たちが知らない力を。

 

「イッセーくんが邪龍に変化できるなんてね・・・・・驚いたわ」

 

「他の邪龍にもなれる可能性はあるわね」

 

ほら見ろ。こいつらもお前の力に懸念しているぜ。

 

「それにしても・・・・・あの五人は一体どこの勢力の者なのかしらね?」

 

「うーん、分からないわね・・・・・」

 

・・・・・俺は何となく思い当たる人物がいるんだが・・・・・言わない方が吉かな?

 

「娘っ子。今どのぐらいチームがいるんだ?」

 

「一誠くんが暴れたので、すでに十組以下になりました」

 

そうか。んじゃ、そろそろ終わるところか。

まあ、あいつが本気になればあっという間に終わるんだろうよ。

 

―――○●○―――

 

「やー、中々やるな」

 

「お前こそ」

 

満身創痍の桜髪の少年に対し殆ど無傷の一誠。『ロンギヌス』と『デビル×デビル』が

協力し合ったおかげで、桜髪の少年を含め三人だけ残り、他の仲間の大半が戦闘不能の状態となり

脱落。そんな絶望的な状況にもかかわらず桜髪の少年は笑みを絶やさない。

 

「人王なんて興味ねぇーけどよ。俺はお前と戦えて楽しいぜ」

 

「はは、そうか。俺は兵藤一誠と言うけどお前は?」

 

「俺はフェアリーテイルのナツ・ドラグニルだ」

 

「ナツ・ドラグニル・・・・・覚えておく。お前のその名を」

 

「俺もな」

 

ナツ・ドラグニルと名乗った少年は炎を両腕に纏いだす。

 

「―――そんじゃ、次で終わりにしようか」

 

「ああ、いいぜ」

 

一誠も了承し、拳に気を纏う。

 

「滅竜奥義」

 

炎を纏った両腕をナツ・ドラグニルは螺旋状に振るい。

 

「紅蓮爆炎刃っ!」

 

爆炎を伴った強烈な一撃を放つ。螺旋状の爆炎は真っ直ぐ一誠に襲う。

 

「―――面白い、それがお前の奥義か。なら、それを乗り越えてお前を倒す!」

 

あろうことか、一誠は螺旋状の爆炎の中へと飛び込んだ。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

肌が焼けるように熱くても、服が焦げて萌えだしても一誠はただ真っ直ぐ突き進む。

そして一誠が炎から飛び出して、目の前にいたナツ・ドラグニルに拳を突き出した。

 

「―――お前、すげぇやつだな」

 

「お互い様だ」

 

一誠の拳は深くナツ・ドラグニルの腹部に突き刺さった。仙術のオーラを纏った一撃は

相手の気脈を乱し、戦闘不能に陥らせる。対処法も限られているが為に大概は敗北する。

 

「また、やろーぜ一誠」

 

「何時でも相手になってやるよナツ」

 

光に包まれながらナツ・ドラグニルはこの場から消失した。

 

「はー、強かったなー。お前ら、大丈夫か?」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

仲間に問いかける一誠にメンバーたちは頷いた。

全員、かすり傷や汚れがあっても戦闘は続行だと雰囲気で語った。

 

「二人ともありがとうな。思った以上疲れはしなかった」

 

「気にしないでください。寧ろ、謝罪しないといけない件が一つ・・・・・」

 

ソーナ・シトリーが申し訳なさそうに謝罪の言葉を述べた。一誠は「ああ」と溜息を吐いた。

 

「あいつもそうだったけど、どうしていたんだ?」

 

「分かりません・・・・・私も初めて知りましたので・・・・・」

 

はぁ・・・・・と「あの駄姉は・・・・・」と声を殺すソーナ・シトリー。

 

「さて、残りは何組だ?」

 

「そんなにいないかと思います。予想だと・・・・・六チームではないでしょうか?」

 

「んじゃ、敵をおびき寄せるためにも―――」

 

一誠が何かしようとしたその時だった。

 

「残り、五チームだぜ?」

 

第三者の声が二チームの耳に届いた。一誠たちは辺りを見渡すと―――、

 

「あの時以来じゃないか」

 

何時しか、サイラオーグと曹操と川神市で出会った川神百代がメンバーを引き連れて姿を現し、

 

「ったくよ、さっきのドラゴン。なんなんだ?お前らの誰かがやったことは

気付いているんだよこっちは」

 

忌々しそうに顔を顰める『兵藤家』チームの『(キング)

 

「・・・・・」

 

魔法使いのようなローブを身に纏う集団。

 

「全員集合ってことだな」

 

「みたいだね」

 

「ええ」

 

背中を合わせて警戒する『ロンギヌス』と『デビル×デビル』。

そんな二チームを囲むように敵三チームは、ジリジリと近寄る。

 

「残り一チームが脱落すれば全てが終わる。勿論、俺たち兵藤家以外のチームの話しだがな」

 

「逆だろ?天井に吊りあげられた『(キング)』」

 

「・・・・・ああ?」

 

額に青筋を浮かばせる『兵藤家』チームの『(キング)』。

 

「―――同じ、兵藤の者としてあれはないと思ったよ」

 

「・・・・・そいつはどういう意味だ」

 

「ん?なんのことだ?」

 

キョトンと首を傾げる一誠。その仕草に

 

「とぼけんじゃねぇよ!お前、『同じ、兵藤の者として』と言っただろうが!」

 

その言葉に一誠は「ん?ああ・・・」と本当にとぼけた風に手を叩いた。

 

「別に気にするなよ。相手のことなんて知る必要ないだろう?」

 

「・・・・・どうやら、お前を力づくでも聞き出す必要があるようだな」

 

『兵藤家』チームの『(キング)』の全身から闘気のオーラが迸った。

それに呼応して一誠も闘気のオーラを迸らせた。

 

「できるもんならやってみろ」

 

「いいぜ、その減らず口をできなくしてやらぁ!」

 

ドンッ!と一誠に飛び出す『兵藤家』チームの『(キング)』に、

こいつを倒さんとばかり一誠も飛びだした―――。

 

「―――和樹!」

 

次の瞬間―――。

 

『っ!?』

 

上空から巨大な魔力の塊が降ってきた。一誠は『ロンギヌス』と『デビル×デビル』のメンバーを

翼で包んで衝撃に備えた。

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

一誠たちがいる場所に大爆発が発生した。周りの建物を全て薙ぎ払い焦土と化になるほど・・・。

しばらくして、

 

ピンポンパポーン!

 

『本選に出場する四組のチームが残りました。結果を報告します』

 

デイジーのアナウンス放送が流れだした。

 

『「☆川神ズ」、「デビル×デビル」、「兵藤家」、最後に「ロンギヌス」。

以下の四組のチームは明日の本選出場権利を得ました。ですので、戦闘行為を中止してください』

 

そうアナウンスが流れる。一拍して、煙が晴れ、爆発が治まったのを確認して二チームを守っていた翼を解いて溜息を吐く一誠の姿が伺えたのだった。

 

 

―――○●○―――

 

 

―――京都サーゼクスホテル

 

 

「わっはっはっはっ!」

 

「あっはっはっはっ!」

 

ドンチャンドンチャンッ!

 

夜―――。俺たちが本選に出場が決まったことにユーストマとフォーベシイが喜んで騒ぎを起こす。

娘と母親はそんな夫と父親に「まあ、今回だけは・・・」みたいな感じで静観して

京都料理を食べている。他に別件で遅れてきたサーゼクスと京都ドームにいたルシファーたちも

合流をして一緒に夕食を食べている。

 

「いやー!俺は信じていたぜ!一誠殿が勝つってよぉ!」

 

「私も信じていたよ!よくやってくれたよ!」

 

「特に俺は何もしていないんだけどな・・・・・・」

 

二人に絡まれながらそう言うが、二人は訊いていない。酒で酔っているからだ。

 

「おめでとうございます。兵藤一誠くん」

 

「ん、ヤハウェが協力してくれたから勝てたようなもんだからな。ありがとう」

 

ニッコリとヤハウェに感謝の言葉を述べた。そしたら・・・・・。

 

「・・・・・」

 

ん・・・?ヤハウェの顔に朱が染まっていく―――。

 

「どうした?風邪か?」

 

「っ、いえ・・・お酒のせいでしょう」

 

「いや、ヤハウェは神だから酒なんて飲んじゃだめだから飲んでいないだろ?」

 

「ゆ、夕日の―――!」

 

「今現在夜です」

 

何か知らないけど動揺しているし・・・・・なぜ?気になりジィーと見詰めると、

 

「あーん、イッセーくん♪」

 

ダキッ!

 

「ぬお!?」

 

横から酒臭いレヴィアタンに抱きつかれた。何事?

 

「うんもー、イッセーくんって可愛いよねー。お持ち帰りしたいなー」

 

「はっ?なに言っているんだ。つーか酒臭っ!」

 

「あっ、レヴィアタンって絡み酒だったのを忘れていたわ」

 

絡み酒!?そんな事忘れんなよ!

 

「うふふ、イッセーくん♪」

 

「な、なんだよ・・・・・」

 

「もしも、イッセーくんが優勝したら・・・ご褒美として良いことしてあげちゃうんだから♪」

 

『っ!?』

 

いいことしてあげる?何だろう。レヴィアタンの料理を食べさせてもらえるのか?

それとも―――。

 

「ふむ・・・なら、私は剣術を鍛えてやろう」

 

ベルゼブブ?そう言えば、彼女は腰に帯剣していたな・・・・・もしかしたら剣の達人かな?

もしそうなら・・・・・うん、お願いしよう。

 

「あっ、それは今すぐお願いしていいか?俺、剣術が我流だからどうしても

無駄な動きをしちゃうんだ」

 

「ふふふっ、そうか。では、風呂に入ったら屋上で稽古をつけてやろう」

 

うん、それはありがたいけどそれじゃ時間がないんだ。

だから、あれを使って稽古付けてもらおう。

 

「ベルゼブブ、抜け駆けはずるいわよ。私も彼を鍛えてあげたいわ」

 

「わ、私もです。彼は熾天使(セラフ)になれるのですから、天使本来の力、

能力を覚えさせたいです」

 

「なら、俺は天界式の体術を教え込んでやろう!」

 

そこにユーストマまでも買って出てきた。

 

「それはサイラオーグにもよろしく」

 

「俺もか?」

 

「勉強になると思うぞ?一緒に稽古付けてもらおう」

 

口の端を吊り上げながら誘えば、サイラオーグは重々しく頷いた。

 

「・・・・・そうだな。確かにその手の達人の指導のもとで強くなるのも大切な事だ。

ユーストマさま。俺もお願いします」

 

「おう、任せろ。お前を一目で見た時から気に入っていたんだ。

悪魔のくせに体術だけで戦うなんてそういないからよ」

 

おや、そうだったんだ。サイラオーグ。神王に気に入られて良かったな。

 

「でも、そんなことして明日に響かない?」

 

清楚が疑問をぶつけてくる。ふふふ・・・・・そんなことを承知の上で頼んでいるのさ。

 

「大丈夫、俺には秘密道具があるんだ。それを使って稽古をつけてもらう」

 

「秘密・・・・・道具?」

 

「後で見せて説明するよ」

 

とっても好都合主義者が考えそうな道具だ。それを使えば―――。

 

ドクン・・・ッ!

 

「っ・・・・・」

 

またか・・・っ!なんなんだ・・・・・俺はどうなっている・・・・・。

自問自答しても答えが見つからず、疑問が増える一方のまま本選当日、

翌日を迎えたのだった―――。

 

 


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