ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode5

 

 

 

「シア!後でサイネリアたちと一緒に行くからなぁっ!」

 

「ネリネちゃんとリコリスちゃんも安心して学校にお行き。

パパとママもキミたちの授業を見学しに行くからね!」

 

朝、登校時間となり、外に赴けばシアたちが父親に抱きしめられている光景を目の当たりにする。

 

「お、お父さん!朝から抱きつかないで!」

 

「お父さま・・・・・お恥ずかしいです」

 

「イ、イッセーくんが見ているから恥ずかしいよ!」

 

・・・・・ここは無視しておくべきか?そう思案していると俺の体にごつい腕が回された。

 

「勿論、一誠殿の教室にも行くぜ!なんせ、シアの婚約者なのだからな!」

 

「違うよ神ちゃん、私たちの娘のお婿さんだよ?」

 

「おおっと、そうだった」

 

・・・・・暑苦しい。ユーストマの胸板に押し付けられながらそう思った俺。

 

「ユーストマさま、そろそろお時間ですので登校をせなばなりません」

 

「そうだよ!だからイッセーくんを放しなさい!」

 

「シ、シア・・・・・」

 

愛娘に叱られ、ションボリと落ち込むユーストマの腕の力が緩む。腕から脱出して一息吐く。

 

「それじゃ、行くか」

 

と、そんなこんなで授業参観の日。が、清楚から説明された。正確には「公開授業」だそうだ。

親御さんが来ていいのは当然だが、中等部の学生が授業風景を見学してもいいことに

なっているようだ。その中学生の保護者も同伴で見学可能と言う、結構フリーダムなスタイルだ。

自分の親御だけでなく、駒王学園中等部の後輩たちも見に来るとあって、

意外に高等部の俺たちはプレッシャーが掛かるようである。

 

「はう・・・・・先が思いやられるっす」

 

「はい・・・・・」

 

シアとネリネが嘆息する。あの二人の王が、冥界と天界のイメージをダウンさせなければ

いいんだけどな。まあ、あの二人の妻がストッパーになってくれれば安心だが・・・どうだろうか?

 

「あの二人のことだ、プリムラの教室に顔を出すぞ」

 

「・・・・・迷惑」

 

ボソリとプリムラが漏らした。ああ、元気よく声をかけられる

プリムラの光景が簡単に思い浮かべれるな。頑張れ、プリムラ。

 

「ううう・・・・・今日から期末試験なのに、

お父さんたちが見ている前でテストしないといけないなんてあんまりっす。

後ろにいるであろうお父さんが気になって仕方がないよぉ・・・」

 

「授業参観は今日だけだ。今日を乗り切れば明日は安心して勉強に集中できるぞ。それにだ」

 

「はい?」

 

「きっと、リアス・グレモリーとソーナ・シトリーも同じ気持ちを抱いていると思うぞ」

 

サーゼクス・グレモリーは理事長だから参加できないと思うが・・・・・。

ソーナ・シトリーの方は、あのドシスコンの姉がやってくるに違いない。

うん、慰めてあげよう。撫でてやるとしよう。うん、

 

「イッセーさま、今日のご昼食はどうなされますか?」

 

「うーん、何時も通り屋上でいいんじゃないか?

特に神王と魔王は一日中ずっと学校にいそうだしさ」

 

「うん、お父さんが張り切って弁当箱を作っていたよ。五段もある弁当箱を用意して・・・・・」

 

フォーベシイ・・・・・アンタは本当に魔王なのか?とてもじゃないが、魔王には見えないぞ。

 

「さて、学校が見えた。皆、期末試験頑張ろうな」

 

肉眼で学校を捉え意気込む俺たち。

学校の玄関口でシアとネリネ、リコリス、プリムラと別れた俺とリーラとイリナとゼノヴィアは

教室へ向かう。教室に着くなり、清楚と和樹と龍牙とカリンが近づいてきた。

 

「「「「おはよう」」」」

 

「「「「おはよう」」」」

 

互いに軽く挨拶をすませ、自分の席に鞄を置いて清楚たちと雑談。

 

「いよいよだね」

 

「ああ、俺はFになるつもりだ。だからテストだけは全力を出す」

 

「僕たちも皆そんな感じだよ」

 

「皆さんと離れたくないですしね」

 

「私は赤点だけ取らないように頑張る。夏休みが潰れたらたまったもんじゃないわ!」

 

「イリナに同意だ。戦闘はともかく、テストだけはなんとかしないといけない」

 

「大丈夫だ。あれだけ勉強をしたのだ。いままで通りに答えを解けばいいだけだ」

 

「その通りです。集中し、今日まで勉強した時のことを思い出せば大丈夫です」

 

リーラの言う通り。後ろに何が控えていようと、俺たちは出された課題をクリアするだけだ。

 

「そう言うわけですので、集中をするためにも皆さんにはこれを」

 

と、リーラがポケットから出したのは小さな物だ。・・・・・耳栓?

 

「これを耳に嵌めて勉強を。音が耳に入らず集中ができるはずです」

 

「授業中に耳を塞ぐため、魔方陣を展開したら注意されちゃうからね」

 

「ありがとうございます。いただきますね」

 

「いままで考えもしなかった発想だ」

 

各々と耳栓を取る皆。俺も彼女の手から取った。

 

「ところ、一誠。オーフィスはどうしているの?」

 

「ん?ガイアと俺の中にいるぞ」

 

ポンポンと胸を叩いた。オーフィスをただ一人だけいさせるのは不安だったから、

昨日の内にオーフィスと特訓して俺の中にいるようにした。

 

「もう、キミはすっかりドラゴンの巣窟という有り得ない人間になっているね」

 

「まあ、有り得ない人間だってことは自覚している」

 

苦笑を浮かべ頬を掻きながら和樹の発言に肯定する。というか、事実だしな・・・・・。

 

「えっと、最初の授業は現代文だったね」

 

「イリナ、ゼノヴィア。頑張れよ」

 

「うっ・・・・・自信が無い」

 

「私もだ・・・・・」

 

項垂れる二人。帰国子女と外国の少女にとって、他国の現代文は苦手だった。

この二人以外、俺たちはクリアできるだろう。

 

―――○●○―――

 

授業が始まり、開け放たれた後の扉からクラスメートの親御たちが入ってくる。授業は現代文。

いつもよりも気合の入った男性教諭が何やら袋に包まれた長方形の物体を生徒たちに配っていく。

うん?何これ?現代文にこういうのはあったっけ?思わず清楚に顔を向けると―――。

 

「・・・・・」

 

視界の端に龍牙が親御たちがいる背後に顔を向けたまま固まっていた。

うん、信じられないものを見る目だ。

 

「・・・・・」

 

あいつの視線の先をたどれば、黒髪の青年の方に向けている。

ん?あの男が龍牙の?にしては、似てないが・・・・・。

 

「・・・・・」

 

ガタッ。

 

龍牙が立ち上がった。そして―――

 

「っ!」

 

切羽詰まった表情の面持ちで龍牙が教室からいなくなった。あ、あいつ・・・なんなんだ?

唖然とあいつが出て言った扉に向けていると、龍牙が見ていた青年が呆れたように

溜息を吐いてゆったりと教室からいなくなった。

 

「・・・・・あいつ、どうしたんだ?」

 

「さあ・・・・・」

 

首を傾げて怪訝としていると、

 

「おら、俺を見て逃げるなんていい度胸だが、俺から逃げようだなんて百億年早い」

 

「な、何であなたが来るんですかっ!兄はどうしたんですか!?」

 

「総大将は何時も通り、神出鬼没だ。代わりに俺が様子を見に来た。

それと『九龍(クーロン)』のメンバーもな」

 

「どうしてあのメンバーも来るんですか!あなた一人だけでも十分でしょう!」

 

何故か青年と言い合う龍牙が戻ってきた。制服の襟を掴まれて、引き摺りながら。

 

「しらねぇよ。総大将の指示だ」

 

「・・・・・あの昼行灯。どうしてこのヒトなんかを・・・。

どうせなら珱姫さんだったらいいのに・・・」

 

物凄く来てほしくない人物のようだった。

だからなのか、龍牙の話を聞いた青年の眉がピクリと動いた。

―――ムカついたご様子だった。

 

「・・・よしお前、学校が終わったら俺に付き合え。丈夫な相手がいないからな。

久し振りにお前で練習をしようか」

 

「―――はっ!?なに言っているんだこのヒトは!

あなたなんかと付き合ったら僕の身がもちませんよ!」

 

「だーいじょうぶだって、半殺しだから死にはしない」

 

・・・・・なんだ、あんな龍牙は見たこともないぞ。青年に宙へ放り投げられ、

龍牙は自分の椅子に放り投げられながらも座った。

そして、テーブルに頭を突っ伏してブツブツと呟き始めた。

 

「(・・・気になることが満載だけど、これもどうして配られたのか気になるな)」

 

置かれた物体を見ると―――袋に包まれた長方形の物体は紙粘土だった。

怪訝に置かれた紙粘土を見ていると、教師は嬉々に言う。

 

「いいですかー、いま渡した紙粘土で好きなものを作ってみてください。動物でもいい。

家でもいい。自分がいま脳に思い描いたありのままの表現を形作ってください。

この授業は、子供の頃に戻って遊び心をもって芸術の授業に変更します」

 

なっ・・・・・!それは職権乱用と言うのではないのか!?

あれだけ勉強したのに無意味じゃないかっ!

 

「因みに皆さんが作った物のによってその場で赤点を与えます。

下手な物を作らないようにしてくださいね」

 

「・・・・・マジで?ある意味、テストより難しいじゃないか」

 

「それではレッツトライ!」

 

現代文のはずなのに英語で始めたよこの教師!いいのかそれで!?

・・・・・突っ込んでもしょーもないか。

さて、何を作ろうか・・・・・下手なもんを作ったらその場で赤点と言われる始末だ。

 

「(・・・・・よし、ド迫力のあるドラゴンにしよう。と、すれば・・・・・)」

 

ハサミやらコンパスやら、先が尖ったものを用意して粘土をこね始めた―――。

 

―――十数分後。

 

「ひょ、兵藤くん・・・・・」

 

俺の肩に手を置く教師。表情を伺うと驚愕の色を浮かべ全身を震わせている。

その理由は俺の手元にある二匹のドラゴンを模した紙粘土の像が存在していた。

 

『おおっ!』

 

クラスから歓声が沸く。俺も満足げに頷いた。

 

「す、素晴らしい・・・・・。兵藤くん、キミにこんな才能があったなんて・・・・・。

やはり、この授業は正解だった。また一人、生徒の隠された能力を私は引き出したのです・・・」

 

涙で目元を濡らしながら教師が言う。まあ、モノを作ることに関しては得意だからな。

 

『・・・・・どうして俺のを作らないんだ』

 

俺の内に不満げに呟くクロウ・クルワッハ。俺は言ってやった。

 

「(お前のドラゴンの姿を知らないからだ)」

 

『―――――っ!?』

 

あっ、衝撃を受けたようだ。それから後悔の念を呟きだし始めたよこの最強の邪龍は。

 

―――○●○―――

 

―――昼休みIn屋上

 

「物凄い完成度ですね。グレートレッドとティアマットの像ですか・・・・・」

 

「これ一つでも作ったら赤点なんて簡単に免れますよ」

 

屋上で何時ものメンバーと昼食。俺たちのクラスの期末の強化である現代文が潰れたおかげで、

残りの世界史と数学だけ楽だった。

 

「いいな・・・・・こっちはテストだったっす」

 

「ははっ、どんまい。だけど、赤点は免れただろう?」

 

「グレーゾーンだけど、なんとか・・・・・」

 

苦笑を浮かべて自己採点を述べるリシアンサス。二日間の勉強がしたおかげか。

 

「それで、リアス・グレモリーとソーナ・シトリーはどうして疲れた表情を浮かべているんだ?」

 

この世の終わりだと絶望したと思える表情をしている二人に首を傾げて問うた。

二人から帰ってきたのは―――。

 

「・・・・・お兄さまが理事長の権限を乱用して、私の授業を見に来たのよ」

 

「・・・・・お姉さまに大声で応援されて恥ずかしく恥ずかしくて・・・・・」

 

一人は疲れた表情を浮かべ溜息を吐き、一人は羞恥で顔を真っ赤にして全身を震わせている。

 

「あー、頑張れとしか言えない。んで、龍牙。あの人は誰だったんだ?親しそうだったが」

 

「・・・・・あの人は兄の部下ですよ。そして、僕の剣術の師匠でもあります」

 

「剣術の師匠?」と、訊けば龍牙は頷いた。

 

「はい、名前は―――」

 

「烏間翔だ」

 

龍牙の話を遮って名を名乗った男の声が聞こえた。しかも、龍牙の後だ。そちらに目を向けると、

教室にいた黒髪の青年。歳は・・・・・大雑把で言えばサーゼクスと同じぐらいか?

その人がこっちに近づいてくる。

 

「総大将の弟、龍牙さまの友人たちと認識してもいいんだな?」

 

「ああ、そうだけど」

 

「これからもこの、不肖の弟子を友好的にいてくれると俺たちも安心する」

 

「悪かったですね、不肖の弟子で」

 

あの龍牙が不貞腐れている・・・・・。珍しいな。

 

「剣術を教えているって本当?」

 

「ああ、俺は総大将のボディガードをしていてね。それなりに強い」

 

「何がそれなりですか。反射速度『00.8』と有り得ない数値を叩きだすヒトが何を言いますか」

 

な、なんだそれ・・・・・。とんでもない奴じゃないか。

 

「それにあなたは『九十九屋』のなかでトップ2の実力者じゃないですか」

 

「ふん、そう言うお前は九十九屋の部署の『麒麟』、『九龍(クーロン)』と呼ばれる

龍系の『神器(セイクリッド・ギア)』使いチームのチームリーダーではないか」

 

・・・・・龍牙、お前はとんでもない奴だったのかよ・・・・・。

色々と出てくる業界語に俺は唖然と龍牙を見詰める。

 

「因みにこのヒトは人間と妖怪の烏天狗のハーフです」

 

「人間と妖怪のハーフ?」

 

「ああ」

 

バサッ!と烏間翔の背中に黒い翼が生え出した。堕天使の翼に酷似している翼だった。

あの翼が烏天狗の翼・・・・・。

 

「しかし、弟子の友達は将来有望な者たちばかりのようだ。総大将が一目見たら喜びそうだ」

 

徐に喋り出した。喜ぶ?俺たちを?

 

「そうなんですか?」

 

「総大将は有望な人材に目が無くてな。有能な人材や伝説の道具やら武器やら好きなんだ」

 

「じゃあ、聖剣も」

 

「ああ、貰えるなら総大将は喜ぶ」

 

マニア的な感じじゃなさそうだな・・・・・。

 

「―――ソーナちゃん、みぃーつけた☆」

 

「っ!」

 

ビクッ!とソーナ・シトリーが体を跳ね上がらした。壊れたブリキの玩具如く、

この屋上に繋がる扉の方に視線を向けた彼女に俺もそっちに顔を向けると、

何時ぞやのソーナ・シトリーの姉、セラフォルー・シトリーが魔法少女みたいな服と杖を

装着してる姿でこっちに駆けてきた。

 

「(うわぁ・・・・・、あれで観に来られたら誰だって恥ずかしがる)」

 

そう思っていると、

 

「やぁ、ここにいたのかいリアス」

 

「シアッ!ようやく見つけたぞ!」

 

「ネリネちゃん、リコリスちゃん。どうしてパパを置いて行ったんだい!?」

 

セラフォルー・シトリーに続いてゾロゾロと現れるこの場にいるメンバーの兄と姉、

父親と母親たち。

 

「・・・・・神王と魔王。なるほど弟子は本当に面白い友人をできていたのだな」

 

烏間翔が顎に手をやって龍牙に視線を向けてそう呟いた。

 

「・・・・・ほう、キミは・・・・・」

 

「ん?」

 

見知らぬ男性が話しかけてきた。誰だ?女の人も俺を見鷹と思えば―――抱きつかれた。

 

「あっ、一誠紹介するよ。僕の両親、式森和馬と式森七海だよ」

 

「(式森・・・)兵藤一誠です」

 

「・・・・・兵藤一誠。そうか・・・・・」

 

和樹の父親、式森和馬が懐かしいものを見る目でポツリと言った。

和樹の母親、式森七海は。

 

「一誠くん・・・・・良かった、生きていたのね」

 

何故か心配されているし・・・・・なんなの?

 

「誠と一香さんを知る人物だと言えば理解できるかな?

いや、俺と誠は従兄弟の関係だ。だから一誠くんのことはよく知っている」

 

「父さんの従兄弟・・・・・?」

 

「そうだ。だから一誠くんと和樹も従兄弟の関係に当たる。

こんな奇跡と偶然は必然的に起こったものだろうな。兵藤と式森は深い関係であるからね」

 

―――っ!

 

必然的な出会い。俺の行動は全て必然的だと、そうなってしまうのか・・・・・。

 

「一誠くん、もしかしたら知っていると思うが、

四種のトップ会談に私たち人間の代表が参加する。式森と兵藤がね」

 

「・・・・・」

 

「兵藤家の現当主、キミにとって叔父にあたる人物がきっと来るだろう。

その時、何か話をしてみるといい。キミが知りたいことが教えてくれるかもしれない」

 

俺が知りたいこと・・・・・か。

 

「さて、私たちも昼食にしようか」

 

パチンと指を弾いたその瞬間。俺たちの足元に巨大な魔方陣が現れて、

光と共にシートと料理が出現した。

 

「三種の種族が揃っていることだし、友好を深めるためにも共に食べようじゃないか」

 

「おう!その提案には賛成だぜ!なっ、まー坊」

 

「うん、私も同感だよ」

 

各々と座り出す親御たち。子供と親と別れてワイワイと賑やかに食べ始めた。

 

「やあ、兵藤一誠くんだね?私はリアスの父、アルマス・グレモリーだよ」

 

と、いきなり話しかけてくるリアス・グレモリーの父親。片手に何故かカメラを持っております。

 

「うんうん、赤ん坊の頃のキミがこんなに立派に育ったようで私は嬉しいよ。

そこで、ひとつお願いがあるんだ」

 

「なんだ・・・・・?」

 

「―――リアスとのツーショットの写真を撮りたいのだ。いいかな?」

 

朗らかに笑むアルマス・グレモリー。写真かよ・・・・・まあ・・・・・、

 

「いいけど・・・・・」

 

「よし、それじゃリアス。兵藤一誠くんと撮るからこっちに来なさい。

妻に成長した兵藤一誠くんの姿とリアスが揃った写真が欲しいと頼まれているのだからね」

 

リアス・グレモリーは嬉しそうに笑顔で促した。

 

「だ、そうだ」

 

「え、ええ・・・・・恥ずかしいけど、母の願いを聞くのも娘の務め・・・・・ね」

 

満更でもなさそうに何を言っているんだが・・・・・。

アルマス・グレモリーの要望に俺とリアス・グレモリーはカメラに撮られる。

その最中、ふざけて彼女をお姫様だっこしたらアルマス・グレモリーが嬉しそうに声を上げて、

写真を撮り始めたのだった。写真が撮り終わるまでの終始、

リアス・グレモリーは顔を赤くして可愛いと思ったのは秘密だ。

 

「イッセーくん!私も一緒に!」

 

と、俺たちの写真撮影になにやら対抗心を燃やしたソーナ・シトリーが乱入してくるのは

必然的だった。まあ、その後もリシアンサスやネリネ、リコリスも一緒に写真を撮ったのだった。

 

―――○●○―――

 

『あっはっはっはっ!』

 

一日目の期末試験が終わり、俺は現在リビングキッチンで今日の授業参観賞が行われている場に

黙々と夕食を食べている。

参加者は神王ユーストマと魔王フォーベシイ、

リアス・グレモリーの兄と父、サーゼクス・グレモリーとアルマス・グレモリー、

ソーナ・シトリーの姉、セラフォルー・シトリー。酒をあおりながら、

ビデオで撮影したものを交互に見比べていた。

当の娘たちは、リビングキッチンの端っこで顔を赤くしながら、何か念じていた。

 

「・・・・・賑やか」

 

モクモクと料理を食べるオーフィスが言う。まあ、傍から見れば騒がしいよな。

神王たちの方を見れば、テレビを見ながら自分の娘を自慢げに言っている。

 

「・・・・・両親か」

 

「ん?」

 

「いや、何でもないさ」

 

オーフィスの頭を撫で、はぐらかす。別にいまが寂しくはない。皆が俺の傍にいてくれるから、

 

「・・・・・サーゼクスにあのことを伝えるか」

 

席を立ってサーゼクス・グレモリーに近づく。

 

「サーゼクス、ちょっと来てくれるか?」

 

「ん?何かな?」

 

「リアス・グレモリーのもう一人の『僧侶(ビショップ)』ことが訊きたいんだ」

 

「・・・・・分かった。キミのことだ、なにかあるのだろう」

 

サーゼクス・グレモリーは父親に一言告げて俺と一緒にリビングキッチンを後にした。

向かった先は客間だ。畳で敷かれた床に俺たちは腰を下ろす。

 

「さて、私から妹の眷属の何を知りたいんだね?」

 

「『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』と

時間を停止させる『神器(セイクリッド・ギア)』を所有する人間と吸血鬼のハーフヴァンパイア。

そいつが狙われている。それを言いたかった」

 

言い終われば、サーゼクス・グレモリーは真剣な面持ちになった。

 

「・・・・・兵藤くん、どこで知ったのかな?」

 

「一応、リアス・グレモリーにも告げてある。

そんで、あいつのその眷属のことを知ったのはオーフィスを家族に出迎えた日だ」

 

「オーフィスを?」

 

「ん、そうだ。だから、あの学校の理事長であるあんたなら知っているだろう?

ハーフヴァンパイアのことを」

 

俺の問いに肯定と頷いたサーゼクス・グレモリー。

 

「勿論だ。当然、妹の眷属も把握している。だが、どうして彼女の眷属が狙われるのだね?」

 

「ハーフヴァンパイアの能力を利用して悪用しようという輩がいるんだ。

でも、リアス・グレモリーの眷属にヴァンパイアの姿は見えないんだ。

だから、このまま野放しにしたら面倒なことが起こる。確実にな」

 

「・・・・・では、どうすればいいのかね?」

 

「どうもこうも、俺はただ警告を告げたかっただけだ。あいつの眷属が狙われていることを」

 

だから、と告げる。

 

「そのハーフヴァンパイアをリアス・グレモリーたち、グレモリー眷属の傍にいさせ、

護衛させるべきだ」

 

そう言い俺は立ち上がってサーゼクス・グレモリーを見下ろす。

 

「妹を想うのならば、何をすればいいのか分かるはずだ」

 

この場から去ろうと歩を進める。

 

「―――兵藤くん」

 

足を停め、振り向く。なんだ?と視線を送れば。

 

「キミはリアスのことが好きかね?」

 

「・・・・・さあな、教えない。秘密だ」

 

言う必要もないと今度こそ俺は客間からいなくなった。

俺があいつのことが好き?―――教えるかよ。

 

 


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