ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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月光校庭のエクスカリバー
Episode1


「・・・・・」

 

俺、兵藤一誠は目を覚ました。体が気だるく、このまま二度寝したいところだがそうもいかない。

だが、思うように体を動かすことができないでいる。別に金縛りとか、体の異変だからではない。

その理由は・・・・・。

 

「うぅん・・・・・」

 

艶めかしい声が耳元に届く。直ぐ近くから。視線を隣へ移すと、そこにいたのは

深紅の髪の女性、ガイア。本名は真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)グレートレッド。

不動の存在であり夢幻を司るドラゴンだ。

 

「すぅ・・・・・すぅ・・・・・」

 

逆の方から静かな寝息が聞こえた。また視線を逆の方に移すと、

金と黒が入り混じった髪の女性がいた。

邪龍最強で邪龍の筆頭格と数えられている『三日月の暗黒龍(クレッセント・サークル・ドラゴン)』クロウ・クルワッハ、

それが彼女の名だ。元々、男だったんだが何を考えたのか、女になったんだ。わけが分からん。

 

「一誠さま・・・・・」

 

また声が聞こえた。どうやら寝言のようだ。胸に重みがある。

胸を見下ろすように視線を向ければ、

長い銀髪の女性、リーラ・シャルンホルストが俺の胸の上で寝ていた。

右がガイア、左がクロウ・クルワッハ、真ん中がリーラと言う形で

俺の体に抱きつきながら寝ている。―――三人とも全裸でだ。

 

『よう、ようやくお目覚めのようだな?』

 

おはよう、朝から話しかけてくるなんて珍しいな。

 

『なにせ、あのクロウ・クルワッハを変化させたお前だからな。面白い意味で見ていたぞ』

 

変わったのは自分の意志でだろう。俺は何もしていない。

 

『くくくっ、そうか。まあ、邪龍最強が、真龍が人間に尻を向けている光景は愉快だったぞ』

 

思う存分に愛して可愛がってやっただけだ。

 

『はっ、愛なんて俺には分からん感情だ』

 

『お前は暴れることが好きな邪龍だもんなー』

 

『後、喰らう事もな』

 

内にいるドラゴンは笑みを浮かべたような気がした。

いま会話しているドラゴンはクロウ・クルワッハと同じ邪龍だ。もう一匹もいるが寝ているのか?

 

『しかし、今世の人間は面白いな。伝説のドラゴンを一ヶ所に集める人間なんざ、

今まで聞いた事も見たこともなかった。お前は面白いな』

 

いきなりなんだよ。

 

『なに、そう思っただけだ。

もしかすると、無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)オーフィスの奴とも近いうちに出会うかもしれねぇな』

 

その名のドラゴンはたまに聞くな。どんなドラゴンだ?邪龍か?

 

『グレートレッドが生まれた無の空間、次元の狭間から生まれたドラゴンだ。

グレートレッドとオーフィスは同じ時に生まれ、次元の狭間の支配を巡って戦ったが破れた。

最近はあいつの噂は聞かんが、どこかで生きているだろう。

無限の体現者と言われているドラゴンだ。退治されず未だに生き続けている最強のドラゴンだ』

 

二天龍よりも強い?

 

『俺たち邪龍よりも強い』

 

ほほう・・・・・最強のドラゴン・・・・・出会ってみたいもんだ。

 

『あわよくば、家族に加えようと腹か?』

 

本人の意志に尊重する。ティアのようにな。

 

『まっ、あのドラゴンがお前の言う事を聞くかどうか、怪しいもんだ』

 

そうなのか・・・・。

 

「・・・・・んんっ」

 

ん、どうやら起きたようだ。俺の上に乗っているリーラが。

 

「・・・・・一誠さま」

 

「おはよう、リーラ。―――昨日は激しかったぞ」

 

「・・・・・」

 

意味深に言えば、顔を羞恥で朱に染めた。するとまた、体を倒して頬を胸にくっつけてきた。

 

「ずっと、こうしていたいです」

 

「俺もだ。でも、そうは言ってられない。いま、朝の六時だし」

 

「っ!」

 

時刻を言ったらリーラが高速のインパルス如く、布団から抜け出して、

一瞬でメイド服に着替え終わっていた。

 

「申し訳ございません一誠さま。直ぐにご朝食の準備をしてまいります」

 

「お、おう。でも、リーラ」

 

「はい」

 

「・・・・・」

 

無言で「ん」と指をとある場所に差した。

その先にあるのは無造作に捨てられているように置かれているシルクの下着。その下着は―――。

 

「――――――」

 

目にも止まらない速さで下着を取ったリーラの物だった。

彼女にしては珍しく、顔を赤くして部屋から逃げだすようにいなくなった。

 

「・・・・・ふふっ、一誠・・・・・♪」

 

「ううん・・・・・・」

 

未だに呑気に寝ている真龍と邪龍。絶対に放さないとばかり腕や脚を強く絡めては、

豊満な胸を押し付けてくる。

 

『くくくっ、やはり、お前は色々な意味で面白いな』

 

まだ言うか。内にいる邪龍くんは。心の中で溜息を吐く俺であった。

 

 

―――十分後

 

 

ようやくガイアとクロウ・クルワッハも起きた。いまは一階に行くために廊下を歩いている。

 

「ふふっ、一誠と愛を育む行為は病み付きになるな♪」

 

「人間の性交とは・・・・・奥深いものなのだな」

 

方や幸せそうに終始笑みを浮かべる。方や初めて体験した経験と知識に感想を述べ始めた。

 

「一誠、今夜も愛を育もう。お前から感じるあの快感が、愛が欲しくてたまらない」

 

「むっ、またするのか?ならば俺も加わろう」

 

二人はそう言いながら俺に抱きついてきた。俺はこの二人に逆らう術もなく、

 

「ああ、今夜もな。昨日みたいに激しくしてやるよ」

 

肯定するしかなかった。一階に下りる階段を踏み込みリビングキッチンへと赴いた。

中に入れば、朝食を作っていたリーラとリーラを手伝うプリムラ―――、

 

「あら、おはよう」

 

「帰れ!」

 

「開口一番にそれってどういうことよ!?」

 

何故かここにいるはずもないリアス・グレモリーがいた。どういうことだ!?

どうして彼女がいる!俺の疑問はリーラによって解消された。

 

「一誠さまがまだお部屋にいる間にリアスさまが訪問してきたのです。

なにやら、お伝えしたいことがあるようなので、招き入れました」

 

「伝えたいこと?」

 

「ええ、私的な事と公的なことよ」

 

まずは私的から、とリアス・グレモリーは徐に頭を下げた。

 

「ライザーの一件に感謝を言いたい。ありがとう、あなたのおかげで私は結婚をせずにすんだわ」

 

「それを言われたらどう致しましてとしか言えないな。それで、公的なことは?」

 

「学校の行事のことよ。先にあなたに伝えようと思って。来週、駒王学園球技大会があるの知っているかしら?」

 

球技大会。リーラに知っているか?と聞けば、首を横に振った。

彼女が知らなければ俺も知らない。

俺も首を横に振った。知らないと、示せばリアス・グレモリーは口を開いた。

 

「クラス対抗戦と部活対抗戦。この二つの対抗戦や男女別競技も存在するの。で」

 

「で?」

 

「イッセー、あなたを助っ人としてオカルト研究部に入ってもらいたいの。部活対抗戦にね」

 

「助っ人って、そんなの有りなのか?」

 

「ええ、大丈夫よ」

 

ニッコリと笑むリアス・グレモリー。まあ、断わる理由もないから・・・・・いいか?

 

「ん、じゃあ、助っ人としてならいいぞ」

 

「ありがとう、それじゃ一緒に食べましょうか。

あなたと一緒に登校したいと思って訪れた理由の一つだからね」

 

「そっちが本命だろう」

 

「ふふ♪」

 

はぁ・・・・・まあ、面倒なことにならなければいいが・・・・・。

 

 

―――○●○―――

 

 

『待っていたぞ!兵藤一誠ッ!』

 

やっぱり、面倒事は起こるものか。リシアンサス、ネリネ、リコリスと合流をし、

俺とリーラ、プリムラとリアス・グレモリーは駒王学園に登校した。

そして、校門と学校の玄関に繋がるかなり広い敷地に嫉妬集団が集結していた。

 

「・・・・・で、どうしているんだ?」

 

「ふっ・・・・・愚問だね一誠」

 

嫉妬集団の前になぜかいる緑葉樹。

 

「一誠、キミはリアス先輩と婚約したそうじゃないか?それは事実なのかな?」

 

緑葉樹があのことを訊いてきた。お前、どうしてその情報を?

 

「えっ、そうなの!?」

 

「知りませんでした・・・・・」

 

「じゃあ、私たちと同じなんだね」

 

魔王と神王の娘たちは知らなかったようだ。驚いた表情でリアス・グレモリーに向かって呟いた。

 

「ええ、そう言う事よ。だから、あなたたちには負けないわ」

 

肯定とばかり、不敵の笑みを浮かべては、俺の腕に自分の腕を絡めつける。

そう、見せつけるように。

 

「・・・・・どうやら本当のだようだね。残念だよ、友人を一人失うことに心が痛むよ」

 

「嘘付け。思いっきり歓喜に笑顔を浮かべてなに言ってやがる」

 

「この笑顔はこれから一人の友人を失う最後の手向けさ。―――魔法部隊、前へ!」

 

ザッ!

 

悪魔、天使、堕天使、中には魔法使いと言う人間が前に現れた。

 

「我がアイドルたちに攻撃の余波すら与えることは万死に値する!心して掛かれ!」

 

「だったら攻撃してくんなよ。つーか、そっちがその気ならこっちだって考えあんぞ」

 

「へぇ、どんな考えだい?」

 

「こうだ」

 

パチンと指を弾いた。俺たちの背後に巨大な魔方陣が現れる。

その魔方陣からゆっくりと大きな影が姿を現す。

 

「・・・・・へ?」

 

全身が青い綺麗なドラゴン。『天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)』ティアマットだ。

彼女の登場に嫉妬集団が固まった。

 

「・・・・・ねえ、一誠?」

 

「なんだ?」

 

「俺さまたち友達だよね?」

 

ヒクリ、と顔を引き攣らせながら緑葉が言う。さて、なんのことだ?

 

「俺の友人にナンパ野郎なんて存在しない。―――ティア、半殺し程度に頼む」

 

「任せろ」

 

刹那―――。ティアマットの口内から青い灼熱の炎が吐き出された。

 

―――二年F組

 

 

ガラッ・・・・・。

 

「おはよう」

 

「おはよう、今日は過激だったね」

 

和樹が苦笑しながら出迎えてくれる。おう、と返事をして自分の席に座った。

 

「怪我はない?」

 

「ああ、かすり傷一つもない」

 

清楚に心配されるが、本当だ。

 

「それにしても、一誠さんの使い魔は凄いですね。

さっそく力を見せてもらいましたけど、凄かったですよ」

 

「ああ、ティアに半殺ししてくれるように頼んだから本気でもないぞ?」

 

ティア?と不思議そうに疑問を浮かべる龍牙。その疑問を解消するために口を開いた。

 

「ティアマットだからティア。女の子らしい名前だろ?まあ、名前を半分にしただけだけどな」

 

「でも、可愛いと思うよ?」

 

「ありがとう。そう言ってくれると安心する。

ところで、和樹と龍牙、カリンの使い魔はなんだ?」

 

そう問うと三人は教えてくれた。龍牙は黒い獣。カリンはマンティコア、和樹は―――。

 

「ウィンディーネだよ」

 

そう言って小型の魔方陣を展開した。光り輝く魔方陣から小さな女の子が出てきた。

 

「へぇ、可愛いですね。名前はなんて言うんですか?」

 

「一誠と同じで名前を半分にしたんだ。だからウィンだよ」

 

「小さいね。もっと大きいかと思った」

 

「この大きさで出しているからね。本来の大きさは僕と変わらないよ」

 

なるほど、和樹の魔法は小型にすることも可能か。便利だな、魔法って。

 

「そう言えば、もうすぐ球技大会ですね」

 

「あっ、もうそんな時期なんだ。楽しみだね」

 

「そうだな。クラス対抗戦と部活対抗戦、どんな種目でするんだろうな」

 

「あれ?一誠くん、知ってるの?」

 

「今朝、リアス・グレモリーが家にやって来て球技大会のこと説明された。

ついでにオカルト研究部の助っ人として部活対抗戦にも出なきゃならん」

 

「「「はい?」」」

 

清楚、和樹、龍牙が信じられないと言った感じで返事をした。

 

「それ、本当なの?」

 

「ああ―――」

 

そうだ。と言おうとした次の瞬間。ガラッ!と教室の扉が開いた。

 

「あのー・・・・・兵藤一誠くんはいますか?」

 

俺を尋ねる声の正体。隣のクラスのデイジーだった。俺に何か用か?

と、思いながら席から立ち上がり、自分の存在をアピールする。

 

「どうした?」

 

「あっ、兵藤くん」

 

トコトコと教室に入り、こっちに来た。

 

「あの、お願いあるの。皆さんも同じお願いなんですけど」

 

「お願い?」

 

首を傾げた。珍しく彼女からのお願いだ。今回が初めてだな。

 

「うん、ほら、私って放送部員でしょう?」

 

「そうだな。それに部員はデイジーしかいない・・・・・ああ、そういうことか?」

 

「分かっちゃった?」

 

苦笑を浮かべるデイジー。放送部も例外ではなく、部活対抗戦に参戦しないといけない。

だが、メンバーは彼女一人だけだ。なので、彼女は一人で部活対抗戦に臨まなければならない。

 

「お願いします!放送部の助っ人として部活対抗戦に出て欲しいんです!

頼める人は兵藤くんたちしかいないんです!」

 

合掌するように手を合わせて乞うデイジー。そんな彼女のお願いに、清楚たちを見渡す。

 

「私たちはクラス対抗戦をするだけだから、助っ人大歓迎だよ」

 

「そうですね。クラス対抗戦の後は、終わるまで暇ですし」

 

「それに、直接お願いされたら断るなんてできないね」

 

「力になるぞ、デイジー」

 

「私も、力の限りにお助けしましょう」

 

皆は助っ人する気満々だった。俺も頷いてデイジーに振り向く。

 

「そう言う事だ。友達同士、一緒に頑張ろう」

 

「皆さん・・・・・」

 

「なんなら、シアとネリネ、リコリスも誘うか。

仮に野球だったら人数が足りなくなるし、誘えるだけ誘って球技大会に臨もう」

 

「稟たちも呼ぶ?」

 

「緑葉を抜かせよ?」

 

分かっているよ。と、和樹は苦笑いを浮かべた。

 

「ありがとう・・・・・」

 

「「「「「「どういたしまして」」」」」

 

感激したと、満面の笑みを浮かべるデイジーに対して、当然とばかり返事をした。

 

 

―――○●○―――

 

 

―――昼休みIn屋上

 

 

「と、そう言うわけだ。オカルト研究部の助っ人はできない」

 

「そう。まあ、彼女一人だけ部活対抗戦なんて可哀想だから仕方ないわね」

 

「あの、ごめんなさい」

 

「いいのよ。こちらの部員は多いし、イッセーを誘ったのは一緒に対抗戦をしたかっただけ」

 

リアス・グレモリーは手を振りながら発言した。今日も快晴の下で昼飯を食べている。

 

「流石にクラス対抗戦は助っ人できないから勘弁してくれ」

 

「大丈夫です。もしも戦う事になったら正々堂々と勝負です」

 

「おう、楽しみだな」

 

健気に戦意の意志を示すデイジー。

当日にならないとどんな種目で勝負するのか分からないらしい。

まあ、このメンバーなら何とかなるだろう。

 

「それにしてもリアス。あなたはとんでもないことをゲーム中に言ってくれましたね。

そのおかげでシーグヴァイラの眷属悪魔が余計なことをして、また面倒事を起こしてくれました」

 

若干、厳しい目でリアス・グレモリーに向けて言った。

おおう、クールなだけに睨んだ目は怖さを感じさせてくれる。

 

「・・・・・それについては申し訳ないわ。でも、私は生半可な気持ちで言った訳じゃないの」

 

リアス・グレモリーは何時にも増して真剣な表情で言った。

 

「彼は私のために、私の可愛い下僕たちのために勝利を導いてくれた。

私はその対価と評したお礼として、彼に尽くすと決めたわ。

これで二度目だもの。私を救ってくれたのは」

 

二度目・・・・・?・・・・・ああ、あん時か。幼少の頃、はぐれ悪魔の件か。

 

「ソーナ。悪いけど、あなたにも負けはしないわ」

 

「・・・・・」

 

「あなたもいまの立場が嫌なら、彼に助けを求めなさい。彼は絶対に救ってくれる」

 

いまの立場・・・・・?彼女も婚約者がいるということなのか?

ソーナ・シトリーは無言で、目線だけ俺に向けてくる。

 

「・・・・・分かっています。私も、そのつもりなのですから」

 

「俺、頼られると緊張しちゃうタイプなんだけどねぇ?」

 

「実戦でしたら、思いっきり動いても構いません」

 

「よし、悪魔を蹂躙してやろう」

 

彼女の言葉を聞いてやる気を出した。誰でもかかってこい!って感じにだ。

 

「ははは・・・・・そう言えば、一誠の戦いぶりはどうでした?」

 

龍牙がソーナ・シトリーに訊ねた。あの試合のことについてだ。彼女は頷いて語った。

 

「ええ、『強い』の一言でした。ライザーの眷属悪魔を一人で殆ど倒しました」

 

「というか、半分弱くて半分まあまあな奴らばっかりだった。ライザーは別格だったけどな」

 

「やっぱり、ライザーは強かったですか?」

 

「俺にとっては強いと思うぞ?でも、リアス・グレモリーたちが体力と魔力が

万全ではない状態だったら負けていたかもしれないな。相手、不死だし」

 

ああ・・・・・とリアス・グレモリーとソーナ・シトリー以外の面々が納得した様子を伺わせる。

相手の精神が尽きるまで、傷一つも付けれる事もなく再生し続ける能力はとても厄介だ。

ライザーより魔力がなければ負けるのが必然的だった。

それも魔王級の一撃が放てないなら尚更だ。

 

「最後に私が倒したような形で勝ったけど、殆どイッセーが弱らして勝たせた貰ったものよ。

私は彼に助けられているばかりだったわ」

 

「弱い自分が嫌ならもっと強くなることだ。強くなりないなら最初に自分の魔力、

消滅でも極限に高めたらどうだ?面白いものを教えてやるからさ」

 

「面白いもの?」

 

「ああ、山での修行の合宿中で俺は面白いことを身に付けた」

 

手の平に魔力を溜め、炎に具現化した。さらに炎の形を手のように変えて、箸を掴んだ。

持った部分は焦がスどことか燃えずにいる。本来あり得ない現象だ。

そのため、皆は驚いた表情を浮かべた。ただ一人除いて。

 

「へぇ・・・・・炎の質を変えて物質のように持てるようにしたんだ?」

 

「その通りだ。魔力で水を氷にできるんなら、他にもできるんじゃないか?

って、思って試したのがこれだ」

 

魔法使いの和樹だ。瞬時で見破った。流石と言うべきか。

 

「消滅もただ、削るだけじゃなく質を変えてやれば、打撃や斬撃にもなるんじゃないか?

余計な出力を大幅に削減できて威力がより増す」

 

「・・・・・なるほど、ただ闇雲に放つだけじゃ、魔力の無駄使いとなるのね」

 

「イッセーくんのように質を変えれば、戦術が大幅にアップする。魔力の消費を抑えて尚、

威力が上がる。素晴らしい発想です」

 

「属性魔法も同じようにすれば・・・・・うん、面白い事になりそうだ」

 

等々、魔法を使う面々がブツブツと呟き始めた。

 

「狭い場所でも、質を変えて鞭のように攻撃すれば、攻撃範囲は変わらずですね」

 

「遠距離から攻撃する相手を捕まえようとする時もそうね」

 

「質を変えたまま魔法を放つこともできるんじゃないかな?」

 

「となると、攻撃のバリエーションが・・・・・」

 

「距離もオールラウンダーにもなって・・・・・」

 

「戦況によって臨機応変しやすくなる・・・・・」

 

・・・・・なんだろう、魔法講座になっていやしないか?

 

「ふふっ、私も無自覚にライザーのような気持ちで勝負をしていたかもしれないわね。

グレモリー家の消滅の能力は強いって、驕っていたかも」

 

「ですが、彼の発想で変わりましたのよね?」

 

「ええ、時間が空いた時にでも練習をしてみるわ。消滅が打撃にも斬撃にもなるなんて、

お兄さまが知ったらきっと驚くわ」

 

逆に、凄いじゃないか!と、褒めまくるんじゃないか?シスコンぽいし、あの男は。

 

「まあ、質を変えるのって最初は大変だけど、慣れれば呼吸をするような感じで直ぐにできる。

頑張れよ」

 

ポンポンと炎の手でリアス・グレモリーとソーナ・シトリーの頭を触れた。

 

「・・・・・本当に炎の質を変えているんですね」

 

「でも、できたらこれで触れてほしくないわ。

髪の毛が燃えると思うと冷や冷やしてしょうがないわ」

 

「おっと、悪いな」

 

ボッ!と炎を消失させた―――。

 

―――バンッ!

 

『兵藤一誠いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!』

 

「こいつ等には悪いとは思わないがな!」

 

巨大な炎の手を発現して嫉妬集団を全員纏めて掴んだ。

 

「な、なんじゃこりゃあああああああああああああああああああ!?」

 

「燃えろ!」

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

『あっちぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!?』

 

嫉妬集団を火達磨にし、そのまま運動場の方へ放り投げた。

 

「お、鬼だね・・・・・」

 

「ゴキブリ並みの生命力をあいつらに、同情なんて必要ない」

 

一刀両断の如く、バッサリと切り捨てる俺であった。

 

 

 


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