ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode5

 

 

彼が戦いに出て十分ぐらい経ったのかしら・・・・・あれから何の音沙汰もない。

 

「(体育館に向かっていたイッセーと小猫からの情報では、

一人の『戦車(ルーク)』と三人の『兵士(ポーン)』が戦闘不能の確認。

手足を踏み潰されていて留めも刺さずに運動場の方へ向かったらしいわね)」

 

でも、どうしてそんなことをしたのかしら・・・・・?倒さずにいると、

もしも回復能力の悪魔が現れて治癒して戦闘復帰する恐れがあるというのに・・・・・。

 

『ライザー・フェニックスさまの「兵士(ポーン)」二名、『僧侶(ビショップ)」一名、リタイア』

 

―――っ、ここに来て初めてアナウンスが流れた!もしかして・・・・・彼・・・・・?

 

『ライザー・フェニックスさまの「騎士(ナイト)」二名、リタイア』

 

もう!?さっき放送が流れたばかり―――!

 

『ライザー・フェニックスさまの「戦車(ルーク)」一名、「僧侶(ビショップ)」一名、リタイア』

 

「・・・・・」

 

ものの数秒でライザーの下僕が一気に半分以下になった・・・・・。

 

「ぶ、部長さん!」

 

悲鳴染みた声を発するアーシアが私の名を呼ぶ。

敵!?と思って臨戦態勢になって辺りを見渡すと扉から黒い物体が入ってきたところだった。

その物体はテーブルの上に乗り出してどくろを巻いた。

 

「・・・・・蛇?」

 

黒い物体の正体は大きな蛇だった。ギラギラとした金の双眸、

ジッと私を睨むように見詰めてくるがどうしてここに・・・・・。

と思っていると、大蛇の口に何かを咥えていた。まさか・・・・・。

 

「・・・・・」

 

咥えているものを受け取ろうと手を出す。大蛇は私の手に顔を突き出して口を開いた。

咥えていたものが私の手中に入る。・・・・・間違いなくこれは『フェニックスの涙』。

手の中にある小さな子瓶を見詰め確認した。

 

「ありがとう、とイッセーに伝えてくれるかしら?」

 

大蛇にそういうものの、私の言葉が通じるかどうか、分からない・・・・・。

 

『伝えておこう』

 

「・・・・・へ?」

 

アーシアが唖然と漏らした。私もそうだった。大蛇が人語するとはとても思えなかったからだ。

私とアーシアが信じられないと、大蛇を見ていると、スルスルとこの場から去ろうとしていた。

用は済んだとばかりに。

 

「(イッセー、あなたは・・・・・まだ何か隠し持っているというの?)」

 

いえ、私たちが知ろうとしていないだけなのかもしれない。

ならば、このゲームが終えたらもっと彼のことを知ろう。

そのためにはまず・・・・・ふふっ、そうね。こうしましょうかしら。

 

「(そのためには彼に認めてもらう必要があるわ。私の力を)」

 

アーシアに視線を送って頷く。彼女も理解してくれたようで頷いた。

では、行きましょうか!チェックメイトを掛けに!

 

―――一誠side

 

「この恨み晴らさん!」

 

「なんか、悪魔じゃなくなっているなっ!」

 

運動場にいた敵の悪魔を全て倒しきったその直後。

全身に怒気のオーラを纏って現れた『女王(クイーン)』が執拗に襲ってきて数分が経過した。

 

「よくも、よくも私の顔に泥を塗ってくれたわねぇぇえええええええええええええええっ!?」

 

「泥パックって美肌効果をもたらすやり方があるんですけどねー?」

 

「嘘おっしゃい!」

 

「いや、正直に本当のことなんだけど?」

 

ドンドンドンドンドンドンドンッ!

 

避けるばかりだから運動場にクレーターが生じるばかり。

このままこいつを引きとめてその間に眷属全員で『(キング)』を倒す作戦でも悪くはないだろう。

 

「(や、それでも厳しいのか?ライザーの実力は確かに強そうだったけど、

あんな性格だから能力に頼って生きていると感じにも思えるし・・・・・)」

 

「―――兵藤くん!」

 

運動場に俺の名を呼ぶ存在が現れた。木場祐斗だ。成神一成も塔城小猫も姫島朱乃もいるようだ。

 

「(って、殆どの主力がここに集まってどうするんだよ!?)」

 

「いま、助けに―――!」

 

「いや、お前らがいると邪魔だ。手助けはいらない」

 

遮ってキッパリと言った。で、食って掛かるのは成神一成。

 

「邪魔ってことはないだろう!どう見ても防戦一方じゃねぇか!」

 

「お前、忘れたのかよ?俺は『(キング)』と『女王(クイーン)』を倒しちゃいけないんだよ。

だからこうして防戦一方にも見える戦い方をしているんだ」

 

「だったら俺たちがそいつを倒せばいいじゃねえか!」

 

はぁ・・・・・どうも考え方が甘いな。呆れ顔を浮かべて、口を開いた。

 

「俺が二番目に強い眷属悪魔を引き止めている間にお前が『(キング)』に強襲して

チェックメイト、何て考えはないのか?」

 

「・・・・・」

 

「何のために俺が殆どのライザー・フェニックスの眷属を倒したというんだ。

お前らの体力を温存させて、万事の体勢でライザー・フェニックスとの戦いを

臨めるようにしたからだろうが」

 

「だ、だけど・・・・・!」

 

「―――伝説のドラゴンを宿したところでお前は、

この女王さまに触れることすら敵わない弱小なんだよ。俺が言いたいことは分かるか?

お前がいると邪魔なんだよ。弱過ぎて足手まといにしかない木端悪魔だ」

 

ユーベルーナの懐に一瞬で後ろに回って羽交い締めする。

 

「くっ、放しなさい無礼者!」

 

「あんまりはっちゃけたことを言われたら―――お前の首をへし折って殺したくなるぜ」

 

「―――っ!?」

 

尻目で俺を見る目が大きく開いた。どうしようか?と視線に乗せて送れば、

悔しそうに唇を噛みしめて、大人しくなった。

 

「直接倒さなくても、お前を倒すことなんていくらでもある」

 

地上に降り立って、どこからともかく取り出した縄をユーベルーナの全身に縛った。

 

「成神」

 

「なんだよ・・・・・」

 

「どんな縛り方を希望する?」

 

「へ・・・・・・?」

 

「例えば、こんな感じか?」

 

シュバッ!

 

一瞬でユーベルーナの体を縛った。亀甲縛りというやつだ。

 

「ひゃっ・・・・・!?」

 

「おおおっー!?」

 

案の定、あいつは興奮した。目が限りなく変態のそれだった。

ユーベルーナは顔を羞恥で赤くして、さっきまでの威勢のいい態度がガラリと変えて抗議してきた。

 

「こ、こんな屈辱的な縛り方はなによ!縛るならもっと普通にして!」

 

「そうか?あんた、マゾっぽそうだったからこれが好きかなーって思ったんだけど。

で、成神、これで決定か?」

 

「決定だっ!」

 

親指を立てて肯定した。・・・・・バカ変態決定だ。

 

「この・・・・・っ!」

 

怒りで顔を歪ませて魔方陣を展開しようとした。まあ、させないがな。

 

「ん」

 

とある縄の部分を引っ張れば―――「ひゃんっ!?」と可愛く悲鳴を上げた。

 

「なに勝手に暴れようとしているんだ?」

 

縄を軽く引っ張れば、どこかにシワ寄せが来るように彼女の体は縄で食い込む。

彼女は体に食い込む縄の痛みに、声を上げるんだ。

 

「や、止めて!引っ張らないでちょうだい!」

 

「嫌よ嫌よと言いながらも、顔が真っ赤じゃないか」

 

「これは恥ずかしさと痛みのせいよ!」

 

「そうかぁ?瞳が蕩けていて、吐く息が熱っぽくて、体も熱くなっているぞ?」

 

くくく・・・・と笑みを浮かべながら、露出している彼女の腹に触れた。

 

「ひっ・・・・・!」

 

「本当は感じているんだろう?」

 

「ち、違う!」

 

「違わない」

 

縄を引っ張ったら、艶めかしい声を発するユーベルーナ。

 

「こんな露出狂が着そうな服を着て、

お前は誰かに見て欲しくて欲しくてしょうがなかったんだろう?」

 

地面に下ろし、四人に背を向け跪いて、彼女の顔を覗きこみながら腹から胸元へ、スーと撫でた。

 

「ち・・・ちが・・・・・・」

 

「そうか、違うのか?」

 

彼女の胸を避けて、今度は首筋をやんわりと撫でた。

 

「・・・・・っ」

 

ビクッ、と彼女は震えた。俺はそれを見逃さず、耳も優しく触りながら縄を強く引っ張った。

すると、

 

「あうっ・・・・・!」

 

ビクンッ!と、また震えだした。

 

「そんな蕩けた顔で否定しても、説得力がないがな」

 

「し、してない・・・・・!」

 

「じゃあ、鏡でも見るか?」

 

どこからともかく携帯の鏡をユーベルーナの顔に突き付けた。

そして、自分の顔を見て彼女は目を丸くした。すでに彼女の顔は性欲を欲している女の顔だ。

上気した頬、息を絶え絶えにし、口の端から唾液が少しだけ垂らし、瞳が潤っている。

 

「うそ・・・・・」

 

「これでも認めないってか?」

 

「そんな・・・私・・・・・ライザーさま以外の男に・・・・・」

 

信じられない、とユーベルーナは呟いた。そして、俺は追い打ちを掛けた。

 

「それと、気付いているか?」

 

「・・・・・?」

 

「お前―――太腿が濡れているぞ?どうやら、下半身から流れているようだがな」

 

「―――っ!?」

 

ギョッと目を丸くなった。さらに今頃気付いたのか、顔がトマトのように羞恥で真っ赤になった。

 

「ライザー以外の男に感じさせられている卑しい女王(クイーン)さん。どうする?」

 

「ど、どうするって・・・・・な、なにを・・・・・・」

 

「このまま生殺しの状態でライザーのもとへ連れて行こうか?

それとも―――俺が完全にスッキリさせてから連れて行こうか?」

 

「なっ―――――!?」

 

「当然、するならこれだけどな」

 

思いっきり縄を引っ張って痛覚を感じさせる。

 

「さて、どうする?決めるのはお前だ」

 

「・・・・・っ」

 

屈辱だと、顔を険しく歪ませる。―――そして、

 

「このまま、私を連れていけ・・・・・っ!」

 

彼女は洗濯した。まあ、これはこれで、ライザーの精神を揺らがすにはもってこいか。

ユーベルーナを縛ったまま持ち上げた。

 

「よーし、全員。ライザーの方へ行くぞー」

 

「って、そのまま彼女もかい?」

 

「これはこれで、役に立つ。俺が倒したらダメだからな。有効的に使わう。

精々、最大限に役立ってもらわないとな」

 

くくく・・・・・っ!と嫌な笑みを浮かべる俺だった。

 

「・・・・・絶対、あいつの方が悪魔だろう。考え方的にも行動的にも」

 

「うん・・・・・僕もそう思うよ」

 

「あらあらうふふ・・・・・私と同じ同士が見つかりましたわぁー」

 

「・・・・・逆らってはいけない類の人ですね」

 

なんだろう、とっても失礼なことを言われている気が・・・・・まあ、

気にしない方向で行くとしよう。

 

―――○●○―――

 

―――ソーナside

 

「・・・・・彼の強さは計りしれませんね」

 

私、ソーナ・シトリーは生徒会室でリアスと彼女の眷属、

彼、兵藤一誠の試合を中継して眺めている中、思わずそう漏らしました。

 

「奴の実力は軽く上級悪魔を越えている。

いや、それだけ留まらず最上級悪魔の力を匹敵しているだろう」

 

「そんな人間がこの学校の生徒としているなんて・・・・・」

 

私と同じく、この試合を見ているサイラオーグ・バアルとシーグヴァイラ・アガレスが

彼の戦いを見て感想を述べた。

 

「サイラオーグ、あなたは彼と戦うとしたら、勝てると思いますか?」

 

「ふむ・・・・・ノーコメントと言わせもらう」

 

「はっ?」

 

「戦う前に勝敗を予想して決めるなど、つまらないではないか」

 

そう言うサイラオーグは小さく笑んだ。

 

「それに、あの男は本気ですら出していないだろう。禁手(バランス・ブレイカー)になったとしても、

奴は一歩も動かず、七人のライザー・フェニックスの眷属を屠ったのだからな」

 

「動くのが面倒くさいじゃなくて、翼だけでも勝てるってことだったの・・・・・?」

 

「そうだな。あの翼を攻略しない限り、兵藤一誠は動かない。

あの絶対防御と攻撃を兼ね揃えた翼をな」

 

絶対防御と攻撃を兼ね揃えた攻防一体の翼・・・・・。

敵になったらかなり厄介な相手と言う事でしょうね。

 

「(それがいま、彼女の味方として戦っている。彼がいるだけで不安が一切抱かなくなる)」

 

「・・・・・私、彼に勝てる気がしないわ」

 

「ゼファードルの奴はある意味幸せ者かもしれんな。一番最初にあの男に倒された悪魔だからな」

 

「それ、絶対に褒められることじゃないわよ」

 

同感です。

 

―――一誠side

 

運動場から新校舎の方へと向かう俺たち。

 

「はぁ・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・」

 

俺に担がれ、歩く度に縄が体全体に強く引っ張り、締められる亀甲縛り状態のユーベルーナは、

熱い吐息を吐き続ける。

 

「・・・・・」

 

ジッと変態丸出しの表情を浮かべ、ユーベルーナを見詰め続ける成神一成。

そんな成神一成に軽蔑の眼差しを送るのは塔城小猫で、そんな二人に苦笑するのが木場祐斗。

ニコニコと笑みを浮かべ続ける姫島朱乃は、リアス・グレモリーと通信で

会話のやりとりをしている。

 

「皆さん、新校舎の前で部長が交流だそうですわ」

 

「と言っても、すぐそこだけどな」

 

肉眼でも捉える。同時に校舎の玄関に目を向けると、

赤と金の髪を持つ少女二人の姿も確認できた。あっちも俺たちに気付いたようだ。

 

「・・・・・イッセー、それはなにかしら?」

 

開口一番に言われたのはユーベルーナの事だった。これか?と地面に落として言った。

 

「亀女」

 

「・・・・・」

 

リアス・グレモリーは額に手を当てて、何故か溜息を吐いた。

 

「解きなさい」

 

「いや、ライザーの精神を揺るがすにはいいかと思って縛って―――」

 

「ほ・ど・き・な・さ・い」

 

「・・・・・分かったよ。もう・・・・・」

 

渋々と縄を一閃すれば、パラパラと縄が落ちてユーベルーナは自由になった。

 

「これでいいだろ?」

 

「ええ」

 

息絶え絶えなユーベルーナを見下ろすリアス・グレモリー。その時だった。

 

「―――祐斗」

 

「はっ」

 

リアス・グレモリーは木場に何か指示を出したのだろう。

だから木場は、帯剣している剣を抜き放って―――彼女の背後から貫いた。

 

「―――――」

 

その一撃によって、ユーベルーナは光に包まれ俺たちの前から消失した。

 

『ライザーさまの「女王(クイーン)」一名、リタイア』

 

これで残りは一人。『(キング)』ライザー・フェニックスだけとなった。

リアス・グレモリーは俺たちを決意に秘めた瞳で見渡して口を開いた。

 

「さあ、皆。残りは不死鳥フェニックスと称えられているライザーのみよ。

―――何がなんでも倒すわよ、私たちの手で!」

 

『了解!』

 

いざ行かん、と新校舎の中へと入ろうと進んだ。―――その時だった。

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

新校舎が一気に燃え盛りだした。リアス・グレモリーたちは突然の火災に絶句する。

 

「これは・・・・・!」

 

「まあ、こんなことできる奴がいるとしたらただ一人」

 

悟るように言えば、燃え盛る炎の向こうから人影のシルエットが。

 

「ライザー・フェにックしかいないだろうよ」

 

平然と炎の中から出てくるライザー・フェニックス。

ギラギラと、敵意と怒りに満ちた瞳を俺たちに向けてくるのは、下僕を倒された怒りか、

自分をここまで追い詰めた俺たちへの怒りか、心情を察すれないが、これからが本番と言うわけだ。

 

「リアス」

 

「なにかしら」

 

ライザーとリアス・グレモリーが口を開いた。

 

「まさかだとは思うが、その人間を頼って俺に勝ったつもりでいるのなら、

それは思い上がりもいいところだぞ」

 

「ええ、理解しているわ。でも、彼を招いたのはあなた自身。

彼の力をフルに使ってこそ、私の仕事よ」

 

「だが、その仕事はこれまでだ。俺を倒してはいけないのだからな」

 

まあ、その通りだな。だが、俺は手を出すつもりはない。

ここからがこいつ等の戦いなのだからな。

 

「―――と、言いたいところだが、

そこの人間には俺の可愛い下僕たちを存分に可愛がってくれた礼をしないと気が済まない」

 

背中から燃え盛る炎翼の翼を展開した。明らかにリアス・グレモリーたちに眼中なく、

俺にだけ視線を向けている。

 

「リアスが俺に勝とうが負けようが、俺はお前を倒さないと気が済まない!

お前を俺の業火の炎で塵一つ燃やしつくしてやる!」

 

「おーい、俺、お前を攻撃しちゃいけないんだけど?フェニックス家の悪魔は、

逃げる相手を甚振るのが趣味なのか?」

 

と、言ってみるものの・・・・・。奴は、背後に燃え続ける炎に手を突っ込んで、炎を凝縮した。

 

「死ね!」

 

凝縮した炎を、レーザーのように放ってきた。

金色の翼でリアス・グレモリーごと包んで防御態勢に入った。

その瞬間、翼に何かが直撃したような衝撃が伝わった。

 

「で、俺に執着してくるようだけど?」

 

「それはそれで構わないわ。私たちは私たちの仕事をするだけ」

 

「どうすんの?」

 

「ライザーの精神を削るだけ削って、最後に倒す方法しか無いわ。

要は攻撃し続けないと倒せない」

 

そりゃ、当然のことだ。

 

「アーシアはイッセーと一緒に。彼と一緒なら攻撃されるでしょうけど、

あなたは私たちの命綱とも言える立場。彼なら絶対に守ってくれる」

 

「勝手に動こうとするなら俺が殺す」

 

「・・・・・本当に守ってくれるんでしょうか?」

 

不安そうに俺を見るアーシア・アルジェント。冗談だ、冗談。

 

「・・・・・ちゃんと、守りなさいよ」

 

「はいはい、分かってる。だが、そっちこそ守れよ」

 

「ええ、分かってるわ。必ず、私たちがライザーを倒す」

 

何時しか交わした約束、ライザーを倒す。それを達成してもらわないと意味がない。

 

「成神」

 

「なんだよ」

 

「お前、禁手(バランス・ブレイカー)に至らなかったな」

 

「だ、だからなんだよ・・・・・」

 

文句あるのか?と言いたげな顔を浮かべる。ああ、文句大ありだ。

 

禁手(バランス・ブレイカー)状態じゃなきゃ、お前はライザーには勝てない」

 

「・・・・・っ」

 

「だから―――」

 

腕を伸ばし、成神一成の頭を掴んだ。

 

「俺から、グレートレッドから、お前に選別をやる。―――受け取れ」

 

「―――っ!?」

 

ドクンッ!と成神の力が数段にも増した。内にいるガイアのドラゴンの力を抽出して、

成神一成の中に送っているからだ。

 

「後はお前の気持ち次第だ。誰かを守りたい、誰かを倒したい、もっと強くなりたい、

様々な思いを浮かべろ。言いたいことはそれだけだ」

 

「・・・・・」

 

「ついでに、―――『強奪』」

 

そう呟いたその瞬間。脳裏に何かが思い浮かんだ。・・・・・ふーん、なるほどな。

 

「お、おい・・・・・?」

 

「何でもない。そんじゃ、行って来い」

 

翼を思いっきり動かした。その拍子に、突風が吹き荒れる。

目の前にいたライザーは腕を交差して突風に耐えている姿勢を伺わせていた。

 

「―――行くわよ皆!」

 

『了解ッ!』

 

リアス・グレモリーたちは最後の敵に向かって駈け出す。さて・・・・・俺はこの力を・・・。

 

 


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