ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode7

―――冥界―――

 

「ヴァーリ、精が出るわね」

 

「一誠の隣に立つに恥じないぐらい強くならないとダメだからね。

イリナも新しい力を得たわけだ。もう一人の幼馴染としては負けていられないんだ」

 

「にゃー、ヴァーリの乙女心が炸裂しているにゃん」

 

「んで、付き合わせられる俺っちたちのことも考えてほしいぐらいだぜぃ?」

 

「でもでも、そのおかげでヴァーリさまは新しい力を手に入れました!」

 

「まあ、まだ出力は不安定ですがね。これからの成長を楽しみましょう」

 

「ふふっ、自慢の孫だわ。その点だけあの愚弟に感謝しないといけないわね」

 

「そう言うあなたは誰かと結ばれ、子を作らないのか?」

 

「周りにい男がいないからね。それに魔王としての仕事が忙しいし

何時の間にか私はこの年齢だわ・・・・・」

 

「そう言ってもまだまだ若い生娘みたいだにゃん。

しかも、千万処女の魔王なんて聞いたことも見たことも―――」

 

「黒歌、あとでお仕置きね」

 

「にゃっ!?」

 

―――ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォンッ!

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

―――アザゼルside―――

 

「なんだと、冥界が襲撃されているだぁ!?」

 

『ええっ!まったくいきなりだわ!魔王都市ルシファードのど真ん中でよ!

いま、住民たちの避難を最優先にしているけど、相手がかなり強くて厄介だわ!』

 

「英雄派か?」

 

『いえ、特徴を挙げれば・・・・・顔に刺青みたいなものがあるわ。

例の魔人たちだと思う』

 

な、なんてこった・・・・・魔人どもが冥界に襲撃し始めたのか!?

イッセーの奴は一体どうなった?あいつは今、魔人たちと一緒にいたはずだ。

 

『待って・・・・・あれは・・・・・。―――――どうして、ここにいるの!?』

 

ルシファーの表情に戸惑いの色が浮かんだ。

 

「どうした、なにがいるんだ?」

 

『・・・・・アジ・ダハーカよ』

 

「はっ!?」

 

『いえ、でも、何か雰囲気が違う・・・・・。・・・・・様子がおかしいわ』

 

いやいや、あいつがなんでまた冥界にいるんだよ!?本当にイッセーの奴はどうしたんだ!

 

『とにかく、ここが襲撃を受けているなら他の魔王領にも襲撃されているはずだわ。

お願い、増援を呼んでちょうだい。・・・・・流石に邪龍を相手にするのは骨が折れるわ』

 

それだけ言って通信式魔方陣が切れた。

 

「ちっくしょう!魔人どもめ!」

 

すぐさま転移式魔方陣で兵藤家に転移だ!

 

―――リーラside―――

 

「イッセーが・・・・・!?」

 

「ああ・・・・・私だけ現世に召喚して伝言を頼まれた。

あいつは古の魔人たちの手によって操られている状況だ。きっと冥界に襲撃しているだろう」

 

クロウ・クルワッハがこの家に現れるなり事の詳細を説明してくれました。

なぜ、あの方は何時もこんな目に遭うのでしょうか・・・・・。

 

「私、グリゼルダさんに伝えてくる!」

 

「僕は神王さまに!和樹さんは魔王さまに伝えてください!」

 

「分かってるよ!」

 

行動が早い御三方です。家から飛び出す三人を見送った直後に魔方陣が出現し、

堕天使の総督アザゼルさまが現れました。

 

「お前ら!って、クロウ・クルワッハ!?お前、どうしてここにいるんだ!」

 

「一誠に伝言を頼まれた。今さっきリーラたちに説明していたところだ」

 

「そうか、んじゃ冥界がいま絶賛襲撃中だってことも知っているんだな?」

 

彼の言葉に冥界出身のリアスさまやソーナさまが絶句した面持ちでおります。

 

「魔王領を襲撃している。魔王領ルシファード以外の魔王領も襲撃されている

可能性はある。俺たちも準備して冥界に行くぞ。久々の実戦だからって畏怖するなよ」

 

「冗談じゃないわよ。こっちは真龍や龍神にしごかれている悪魔なのよ。

今さら実戦が怖いなんて有り得ないわ」

 

「恐れるというものがあれば、愛しい者を再び失うことです。

伝えられるだけ他の悪魔の皆に伝えましょう」

 

リアスさまとソーナさまは顔を見合わせて頷く。お二人とも、気が強くなりましたわね。

 

「サイラオーグは必須ね」

 

「百代先輩も呼びましょう!」

 

「父さん、兵藤当主も一応伝える・・・・・」

 

「一応、ヤハウェに頼んで協力態勢、同盟関係の神話体系にも伝えてもらおうか」

 

一誠さまを中心にした関わりある者たちが一誠さまに集まろうとしている。

誠さま、一香さま。見ておられますか?あなた方の行動と

一誠さまが周りを引き寄せる魅力が・・・・・一つになろうとしています。

 

 

―――Heros.―――

 

 

「曹操!冥界が魔人たちに襲撃されているよ!」

 

「早いな、もうか」

 

「しかも、アジ・ダハーカもいる。もしかしたらだけど・・・・・」

 

「確認はこの目でしよう。―――行くぞ、英雄派。人間の敵を倒す時だ」

 

 

―――devil―――

 

 

「うひゃひゃひゃっ!冥界が襲撃されちゃっているぜ!ユーグリットくんよぉっ!」

 

「そうみたいですね。これを乗じて動きますか?」

 

「いんや、映画館如く観戦しようぜ?高みの見物をさせてもらってさ!」

 

「では、あの実験体のデーターでも採りましょうか。いいですね?」

 

「オーケー!」

 

―――○●○―――

 

―――リアスside―――

 

少し時間がかかったけど、準備は整った。私たちは直接冥界に集団転移した。

普通の冥界行きの方法では時間が掛かる。

本当は色々と手続きをしないといけないのだけれど事が事。

だから―――目の前に広がる地獄絵図とも等しい光景に私はどうしようもない怒りを覚えたのだ。

魔王領ルシファードが見るにも無残に建物が崩壊されている。

 

「奴らは気と魔力を無効化する!極力、武器を使える奴は武器で戦え!

格闘術ができるやつは拳と足で倒せ!」

 

アザゼルが黒い十二枚の両翼を展開して、私たちから離れようとする。

 

「どこに行くんすか!?」

 

「堕天使の領土んとこだ!既に気付いているだろうがバラキエルたちを連れてくる!」

 

そう言って物凄い勢いでいなくなった。

 

「我が指示を下す」

 

グレートレッドが突然言い出す。

 

「至極的簡単だ。一誠を止める奴と魔人どもを倒すやつ。この二手に分かれて行動しろ」

 

彼女も真紅の両翼を生やし、オーフィスの首根っこを掴んだ。

 

「我らは一誠のところへ向かう。クロウ・クルワッハ、行くぞ」

 

「当然だ」

 

最強コンビがイッセーのところへと飛翔した。

 

「リアス、イッセーくんのことは彼女たちに任せよう。

我々は魔人たちを倒すべきだ。それがキミたち若手悪魔の務めだよ」

 

「お兄さま・・・・・」

 

「私もこれから眷属を率いて戻ってくる。それまで頑張ってくれ」

 

足元に魔方陣を展開したお兄さまは眷属がいるグレモリー領に転移していなくなられた。

 

「リアス、私たちも動きましょう」

 

「・・・・・ええ、そうね。皆、冥界を守りましょう!」

 

『当然!』

 

―――和樹side―――

 

何人か組んで共に冥界の町を駆け回る。メンバーは清楚さん(項羽)と龍牙、

カリンちゃん、イリナさん、ゼノヴィアだ。いつものメンバーだけど何時も共にいて

お互いのことが分かるメンバーの方が攻撃も動きやすいし問題ない。

 

「あ―――!」

 

イリナさんが声を上げる。その理由は僕も理解している。

目の前の十字道路に逃げている悪魔の女性がいる。

―――その背後から襲いかかろうとしている魔人がいた。

 

「させるかああああっ!」

 

風の如く、カリンちゃんは物凄い速さで魔人と悪魔の女性の間に割り込んで

風を纏う軍杖を振るって、魔人を吹き飛ばした。

 

「あ、ああ・・・・・」

 

「大丈夫ですか!」

 

「は、はい・・・・・」

 

「もう少しだけここに留まってください。いま、敵を倒します」

 

龍牙が女性に話しかける。今ので倒れたとは思えない。なぜなら―――。

 

「つぅー、いきなりやってくれやがったな・・・・・って、人間か?

どうして冥界にいるんだよ?」

 

僕たちと年頃が変わらないと思う黒髪の少年が怪訝な顔をする。

 

「どうしてこんなことをする!冥界を滅茶苦茶にしてお前たちは何がしたいんだ!」

 

「なにって冥界を取り戻すために決まっているじゃん。

俺たち魔人は元々この世界に住んでいたんだって話だ。中途半端な存在だからって

昔の魔王たちが当時の魔人たちを人間界にまで追い出して、

自分たちは悠々と冥界に住んでいる。そんな悪魔を聞いて許す訳には行かない。

―――俺たち魔人は冥界を手に入れるために、帰るために悪魔どもが

邪魔だから討伐しているわけだ」

 

「身勝手な・・・・・!」

 

「身勝手?んじゃ、昔の魔王たちがしてきたことは何なんだよ?

それこそ身勝手なことじゃないか?」

 

話が平行線・・・・・。とても説得できる雰囲気じゃないし、

なにより彼は何の疑いも持たずに冥界を蹂躙している一人のようだ。

 

「一つ良いかい。キミたちのところにイッセー・D・スカーレットがいるはずだよ。

彼はどこにいる?」

 

「ああ、あいつか?確かルシファーの娘と戦っているはずだぜ。

俺たちを育てた古の魔人、六大魔人と共に」

 

「・・・・・」

 

ここも殆ど破壊尽くしたからか・・・・・。

 

「んで、お前ら人間は俺たちの邪魔をしようって言うのか?」

 

「罪もない悪魔に、無益な殺生をするお前たちを見過ごせないんでね」

 

「はあ・・・・・そうか。人間には好意的に接しているんだけどなぁ。

できれば悪魔以外のやつらとは戦いたくなかったが、仕方ないか」

 

彼の顔に刺青みたいな紋様が浮かびあがり、

両腕に肘まである黒い籠手が魔力によって装着し、背中に紋章状の両翼が生え出す。

 

「なら、潰す」

 

次の瞬間。魔人が僕たちのところへ飛び掛かる―――!

 

―――サイラオーグside―――

 

「ふんっ!」

 

「なんだ・・・・・こいつは・・・・・!?」

 

リアスたちと別れた後、直ぐに魔人と出会い交戦を始めた。

なるほど、確かに気が徐々に吸われていくな。

これは並みの相手では天敵に等しい。

だが、魔力を持たない悪魔である俺にはあまり通用しないものだがな。

 

「こ、この・・・・・悪魔のくせに!どうして俺たちの邪魔をする!

俺たちは冥界に帰りたいだけだ!」

 

「ならば、イッセー・D・スカーレットの言葉に耳を傾けるべきだったな。

あの男は現五大魔王と親しい関係だ。あの男に頼めばお前たちの望みも―――」

 

闘気を纏った拳を、魔人の顎下から突き上げた。

 

「がっ・・・・・!」

 

「叶えられただろう」

 

―――リアスside―――

 

「魔力が・・・・・奪えないだと!?」

 

「私の魔力は滅びの力。奪うこともより全てを消滅する力を秘めているこの魔力は、

誰にも奪えやしないわ!」

 

背中に三対六枚の消滅の翼、肘まで覆う消滅の魔力。

魔力の質を変えて打撃ができるように物質にし、

同様の色を浮かべる魔人へ絶え間なく攻撃をする。

 

「なによりも、この力は守るべき者のために振るう力!

あなたたち魔人なんかにやられたら、グレモリーの名が泣くわ!」

 

「ふざけるな、ふざけるな!せっかく俺たちの故郷に帰れたのにここで死ぬわけには―――!」

 

殺しはしないわ。全てが終わるまでその場にいなさい―――。

滅びの魔力を巨大な手に具現化し、五指を伸ばし、魔人の両腕両足を切断する。

 

「あなたたちは敵に回してはいけない人たちを敵に回した。

それがあなたたち魔人の敗因」

 

―――ソーナside―――

 

「ぐおおおあああああああ!」

 

「流石です、椿姫」

 

「魔力と気が奪われるなら、この方が早いでしょう」

 

椿姫の神器(セイクリッド・ギア)禁手(バランス・ブレイカー)の能力で魔人に幾度も衝撃を与え、

眷属たちとのコンビネーションで一人の魔人を倒した。他にも魔人がいるはず。

 

「鎖で彼を縛り、転送しましょう」

 

―――○●○―――

 

―――ガイアside―――

 

「―――見つけた!」

 

アジ・ダハーカだが、あのドラゴンが好き勝手に暴れている。

そんなやつに戦っているのはルシファーとアルビオンどもだ。

奴の頭部に何者かがいるな・・・・・。

 

「アルビオン、ルシファー!」

 

「っ!ガイア・・・・・!」

 

「待たせたな」

 

「良いタイミングよ。あなたたちがこっちに来てくれたおかげで余裕ができたわ」

 

疲労の色が見える。流石に不死の邪龍と戦うのは面倒だったと見受けれる。

 

「アルビオン。アジ・ダハーカがいるということは他にも邪龍が現世にいるのか?」

 

「いや・・・・・どうやらあいつだけだ。・・・・・あいつが一誠なんだ。

アルビオンがそう言うんだ」

 

「なんだと・・・・・?」

 

龍化になっているのか?だが、どうしてあいつが冥界を襲撃するんだ・・・・・?

悪魔嫌いだからと言って自ら悪魔を、冥界を襲うわけがない。それは我が一番知っている。

 

「何度も話しかけても意思がないのか、答えてくれないんだ」

 

「・・・・・」

 

操られているのか・・・・・。もしもそうだったらしっくりくるな。

 

「ルシファー、他の魔王どもは?」

 

「襲撃している魔人たちと応戦。一人ずつだけど、倒していっているわ。

ベルゼブブはさっさと魔人たちを倒してアスモデウスの援護をしに行っている」

 

「奴は刀剣で戦う悪魔だったな。魔力と気以外の戦い方ならば魔人とて苦戦するか」

 

「そうみたいね。だけど、それでも厄介な魔人が目の前にいるのよ」

 

険しい表情を浮かべ、一誠を見つめるルシファー。

だが、それだけじゃない。一誠の前で宙に浮くあの女の魔人がいるのだ。

 

「彼女、私が認めるほど手強いわ」

 

「ふん、魔王ごときが認めようと我は認めん」

 

「我も」

 

「私もだ」

 

「・・・・・身も蓋もないことを言わないでくれるかしら?」

 

悪魔とドラゴンと例えて何が悪い?

 

「おい、貴様。一誠に何をしたか答えてもらおうか」

 

「・・・・・」

 

魔人の女は無表情で答える。それは我がムカつかせる十分な言い分だった。

 

「支配しているわ」

 

一誠を支配していいのは我だけだ!返してもらうぞ、一誠を!


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