ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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カオスヒューマンと暗躍の冬休み
Episode1


「いいですね?この者をどんな方法でもいいので、この場所に連行してください。

生死は問いません」

 

「・・・・・御意」

 

「あなたの力も、頼りにしていますよ?少々計画がずれましたが、

この日のためにあなたを引き取ったようなものですからね」

 

「はい・・・・・」

 

「ふふっ。では、華麗に行きなさい」

 

 

 

 

 

「おい、またあいつのところに行くのか?」

 

「そうよ?」

 

「本当に魔人の力を覚醒したのか分からない奴のことなんて放っておいて、俺と―――」

 

「悪いわね。あなたと付き合う気はないの。というか、私の好みは知っているでしょう?」

 

「ちっ、そいつがお前が求めている好みのタイプってやつかよ?」

 

「ただ単に強い奴なんてそこら辺にゴロゴロいるし、私はいつも刺激が欲しいのよ。

私の予想を、想像を遥かに超えて強くなるそんな強者の隣にいれば退屈なんてしないもの」

 

 

―――○●○―――

 

 

「あー、炬燵の時期がきたなぁ・・・・・」

 

「そうですねぇ・・・・・」

 

「そうだねぇ・・・・・」

 

「足元に銀華さんがいるから気をつけないとねぇ・・・・・」

 

リビングキッチンの一角で巨大な炬燵の温もりでだらける俺たち。

原始龍の気持ちが今なら良く分かる。

 

「「「「・・・・・」」」」

 

そして、そのまま俺たちは―――。

 

「寝ては風邪を引きますよ」

 

睡魔に負けそうなところでリーラに話しかけられた。

 

「おお・・・・・」

 

「・・・・・」

 

気のない返事をしたら、リーラに炬燵から離された。

 

「・・・・・」

 

そんな俺の脚の上にはオーフィスが寝転がっていた。中は熱くなかったのかな?

 

「リーラ、他の皆は?」

 

「それぞれ自分の時間をお過ごしです。部屋に籠っていたり、修行をしていたりと」

 

「修行か・・・・・そろそろ成神のやつも成長しているかな?赤龍帝として、

本格的に強くならないとこの先辛いだろう」

 

「ヴァーリさまも冥界で修行しているでしょう」

 

あいつか・・・・・噂に聞く二天龍の極覇龍(ジャガー・ノート・ドライブ)より強い力を習得していそうだな。

俺みたいに龍化―――なんて、できるわけないか。

 

「まっ、あいつはあいつなりに、強くなろうとしているに決まっている。なんせ―――」

 

俺のライバルだと言おうとした矢先、一瞬の違和感を感じた、

怪訝に辺りを見渡すと・・・・・。

 

「和樹?」

 

話しかけても返事がない。―――これって、ギャスパーの能力と酷似している。

 

「・・・・・まさか、こうもあっさり奇襲を受けるとは・・・・・な!」

 

腕を龍化+闘気を纏い、背後に振り返りながら

 

ガキンッ!

 

刃を受け流して、敵に臨戦態勢となる。

 

「なんだか、デジャブを感じるよ」

 

「・・・・・」

 

襲撃者は―――全身を黒いマントで身に包んでいる二人だ。

 

「どうも・・・・・俺とオーフィス以外の全員が停止されているようだな」

 

「我、効かない」

 

最強の龍神さまは伊達じゃない。だが、相手は相当の手練だ。

この停止した空間の中で動けれる理由とすれば・・・・・。

 

神器(セイクリッド・ギア)の力か―――」

 

刹那、俺の目の前にナイフが迫っていた―――!?

 

「うわっ!?」

 

間一髪避けたが―――また、ナイフが目の前に―――ッ!

 

「やっろう!」

 

空間を歪ませ穴を広げてナイフを吸いこませる。さらに幻想殺しの籠手(イマジンブレイカー)を装着して―――!

 

「・・・・・」

 

と、今度は襲撃者の一人が小太刀を持って迫ってきた。

 

「イッセー、守る」

 

俺の間にオーフィスが割り込んで手元を光らせた。

だが、一瞬でオーフィスの前から姿を消した襲撃者。

次に現れた場所は―――!

 

ザシュッ!

 

「っ!?」

 

俺の首が切り裂かれた。急いで治癒して治す。もう片方の手で無効化の空間を―――!

 

「って、またかよ!」

 

やり辛いな!いきなり目の前にあるナイフをかわすのってよ!

 

禁手(バランス・ブレイカー)!」

 

二天龍の鎧(ツー・ザ・スカイ・スケイルメイル)を纏い、生身を隠した瞬間。

鎧に刃物が直撃した感触が覚えた。襲撃者の一人の気配が感じられない。

気配の隠し方が熟練だ。まるで忍者みたいだ。

 

「・・・・・」

 

だがな、

 

「もう、身切った!」

 

ガッ!ドゴンッ!

 

真上から迫る襲撃者を掴んで床に叩きつけた。瞬時で襲撃者に鎖で縛って動きを封じた。

さらには迫りくるナイフをかわしながら無効化の空間を作って神器(セイクリッド・ギア)の能力を封じ込め、

目の前の襲撃者に迫る。しかし、襲撃者は懐から何かを取り出して床に叩きつけた。

カッ!と一瞬の閃光が迸り、視界が白く塗られる最中、

気がこの場からガラスを割れた音と共にいなくなった。

 

「オーフィス」

 

「・・・・・逃げられた」

 

鎖で縛った襲撃者は・・・・・丸太に変わっていた。本当に忍者のようだ。

一拍して、

 

「・・・・・へっ?」

 

「え、一誠さん?どうして鎧を纏っているんですか?」

 

「って、窓ガラスが割れちゃっているよ!?寒ッ!」

 

「・・・・・」

 

停止した時間が解けたのか、和樹たちが動き出して現状を把握できないでいる。

 

「(あの二人・・・・・何者なんだ・・・・・?)」

 

 

 

 

「大丈夫ですか?」

 

「ああ・・・・・問題ない」

 

「対象は一筋縄にはいかないようですね」

 

「私の動きももう見切ったほどだ。だが、貴殿の力があればいける」

 

「今回の一件で把握できました。次で任務を遂行しましょう」

 

―――○●○―――

 

「この家に直接襲撃してくるなんて・・・・・」

 

「しかも、僕たちは停止されていたなんて・・・・・」

 

「油断大敵どころではありません。僕たちを気付かせずに無力化したんですから」

 

皆を呼び寄せて俺とオーフィスが今回起こった件を説明中。

トレーニングルームにいた皆は修行に励んでいた。

ということは停止されていた空間はリビングキッチンのみとなる。

 

 

「時間を関する神器(セイクリッド・ギア)か・・・・・」

 

「アザゼル、何か知らないか?」

 

念のために呼び寄せたアザゼルに訊ねると、顎に手をやって口を開いた。

 

「誠の、お前の神器(セイクリッド・ギア)の他に時間を関する能力の神器(セイクリッド・ギア)

あるとすれば・・・・・『時間を操る支配者の領域(タイム・オペレーション・ルーラ・ドメイン)』しか知らないな」

 

「それ、どんな能力なんですか?」

 

「無論、時間を操る能力だ。ただ、時間を戻すことはできず、

移動していた物を元にあった場所に戻す程度の力しか無い。

まあ、空間を弄ることもできるがな」

 

俺と同じ系統の所有者か。

 

「どうして俺は動けれたんだ?」

 

「そばにオーフィスがいたからか、

あるいは・・・・・お前自身が無意識に襲撃者の神器(セイクリッド・ギア)の能力を弾いたかだな。

俺たちみたいな力の強いやつは、呼吸をするようにそういった特殊な力には効かないんだ。

要するに、お前が襲撃者より強いってことだ」

 

「でも、和樹はどうなるんだ?」

 

魔力が俺たちの中で上位に入る。俺みたいに強いんだ、和樹は。

 

「んー、お前を狙っているということは、この家にいるお前らのことを調べていたか

知っていたからか、式森を念入りに停止させたかもしれんな。

流石に無限の体現者さまには無理だったようだがな」

 

「えっへん」

 

小さい胸を張るオーフィス。

 

「不覚を取ったけど・・・・・次は・・・・・そうはいかないよ」

 

和樹が何やら燃えていた。

 

「しっかし、この家に襲撃してくるなんざとんでもねぇやつらだな。

あの和平を結んだ時を思い出すぜ」

 

アザゼルは苦笑を浮かべる。だろうな、俺も思ったぞ。

 

「お前を狙っているとすれば・・・・・また近々くるかもしれねぇな」

 

「俺が一人で歩いていればくるんじゃないか?」

 

「お前を狙っているなら、必ずそうなるかもしれないが・・・・・危険性はあるぞ?」

 

百も承知だ。そうするしか方法がないんだからな。

 

「まあ、俺も策が無いってわけじゃない」

 

「ほう、それは一体どんな策なのか、教えてもらおうか?」

 

口角を挙げるアザゼルに俺は告げた。所謂・・・・・囮作戦だ。

 

 

 

 

まーさか、こんな形であの人たちの力を借りるとはな。

数日後、俺は一人で夜道を歩いていた。すぐに行動したかったが、

向こうが俺が何か仕出かしていることを察知するだろうから間を置いて行動開始だ。

今現在、怪しい雰囲気は感じない。

 

『イッセー、配置完了。今のところ周囲に人はいないよ』

 

―――分かった。引き続き、探索を頼む。寒い中、悪いな。

 

『気にしないで。私たちは半径一キロの位置で待機しているし、

どんな人でもそこまでの距離に敵が待ち構えているとは思えないよ』

 

―――相手は時間を操る。お前らを停止することだって可能だ。敵が現れたら俺が合図を出して、

長距離から攻撃を頼む。それか捕縛魔法だ

 

『了解』

 

念話が途切れた。それ以降、片手に持つ買い物袋をぶら下げて帰宅最中に―――待ち望んでいたことが起きた。

 

「―――――っ」

 

闇夜に紛れてナイフが迫ってきた。顔を逸らして避けていると、

鈍く光る銀が振り下ろしてきた。

前に両腕で交差して、その一閃を肉で切らせて骨を切った。

 

「っ!?」

 

襲撃者に拳の一撃を与えた。上空に襲撃者を打ち上げた瞬間に極太のエネルギー砲を放つ。

―――これが合図だ。一キロからここまで来る時間は約数分。それまで時間を稼がせてもらうぞ。

そう思って構えていると襲撃者が―――。

 

「何時の間にか増えているし!?」

 

一気に九人と増えていた。こいつ、本当に忍者か?暗殺向きの職人だな!

そして、俺のすぐ傍にナイフが迫ってくる。腕を龍化させてナイフを弾き返して、

直ぐに襲いかかる襲撃者たちに迎撃をする。

 

「何気に素早い・・・・・!」

 

その上、今は夜だ。一瞬だけ見失ってしまう。拳を突きだしたり、

かわしたりとそんな事を繰り返し続けていると―――時折、俺の身体に切り傷が生じる。

 

「・・・・・ぐっ!?」

 

しばらくして、俺の身体に異変が起きた。痺れるような感覚が覚え、

身体が重く自由に動くことができないつつある。

俺の異変に襲撃者は―――一気に決めようと迫ってきた。

 

「ちくしょう・・・・・っ!」

 

両腕を交差して闘気を迸り次の攻撃を防ごうとした。

が、俺の頭部に鈍い感覚と痛みが覚えた時には目の先が真っ暗になった―――。

 

―――○●○―――

 

「・・・・・」

 

暗殺対象が頭に突き刺さったナイフによって倒れた。警戒して近づいても動く様子はない。

跪き、首筋に触れると・・・・・。

 

「死んでいる」

 

死んだことを確認し、手を挙げれば闇夜の向こうから相方が現れた。

 

「死んだのですね?」

 

「ああ、間違いない」

 

小太刀を暗殺対象者の背中から心臓に突き刺した。抜けば刀身に血が濡れている。

 

「・・・・・では」

 

「うむ」

 

この死体を速やかに指定された場所に―――。と、そう思った束の間だった。

地面から伸び出てきた手が私の足首を掴んで引きずり込まれた。太股まで引き摺られると、

私の足は完全に地面と融合してしまった・・・・・!

 

「敵っ!?」

 

相方が地面に視線を落として警戒している時、相方の身体に光の粒子が発現したかと思えば、

一瞬で光の縄と化と成り、拘束した。

 

「ISレイストーム」

 

虚空から二人の少女と一人の女性が姿を現した。

周りの風景と擬態して姿を隠していたというのか・・・・・!

地面からも一人の少女が出てくる。

 

「私たちは彼と関係する者よ?」

 

「くっ・・・・・情報に聞いていない者たちか・・・・・」

 

「最近ことだからしょうがないと思うけどねー?

まっ、これでお前たちを捕まえれたから結果オーライ」

 

・・・・・気になる。どうして対象者が死んでもこの態度でいられる?

怪訝な面持でいると、敵は愉快そうに言う。

 

「どうして彼が死んでいるのに平常にいられるのか気になるようね?」

 

「・・・・・」

 

「沈黙は肯定と取らせてもらうわ。その理由は・・・・・彼は偽物だもの」

 

女性の言葉に呼応して、私が殺した対象者が、ユラリと姿を消した。

 

「なっ・・・・・!?」

 

「ふふふっ!彼の偽物に踊らされている様子を見て、笑いを堪えるのは大変だったわぁ~」

 

「待て・・・・・あの血は一体、私が心臓を貫いたあの感触は一体・・・・・・!」

 

「うふふのふぅ~。クアットロさんの偽りと幻術による感覚よぉ~?

この辺り一帯にあなたたちを騙すための細工を施してあったのよねぇ~?」

 

全てが・・・・・全てが私たちを誘いこみ、嵌めこむためだったものか・・・・・!?

最初から私たちはこの者たちの手に踊らされていいたとは・・・・・!

 

「さてさて、皆も集まってきたし、連行しちゃおうかしら。セインちゃん、よろしくねー?」

 

「あいよー。無機物の中だったら抵抗もできないだろうしねー?」

 

足のつま先を地面に小突く。―――地面に潜るつもりか・・・・・!?

 

「地面の中は文字通り無機物。私が手を放したらお前たちは地面の圧力に

一瞬で潰れちゃうから、抵抗なんて考えないでね」

 

・・・・・万事休す。ここまでか・・・・・。私の首筋に軽い打撃が与えられた時、

私の意識は遠のいたのであった。

 

ドサ・・・・・・。

 

―――○●○―――

 

「イッセー、ただいまー」

 

「お帰り、首尾はどうだ?」

 

「バッチリ、襲撃者を捕まえてきたよ」

 

セインが床から顔出して報告。それから床から出てくれば、

あの時の二人の襲撃者たちが出てきた。

 

「ありがとう、助かったよ」

 

「えへへ、どういたしまして」

 

頭を撫でて労うとセインは嬉しそうに目を細める。他の皆にも労いに行かないとな。

 

「さて、お前らは誰なのか教えてもらおうか」

 

「「・・・・・」」

 

沈黙・・・・・。まっ、当然か。

 

「ナヴィ」

 

「はいはい、調べるわ」

 

魔方陣の上に乗って宙に浮くナヴィが二人の襲撃者のフードをはぎ取った。

一人は銀髪の女性で、もう一人は黒いポニーテールの・・・・・。

 

「子供・・・・・?」

 

「大人だっ!」

 

―――えっ!?大人!?どう見たって小学生ぐらいだぞ!ナヴィに視線を送る。

 

「ナヴィ、本当か・・・・・?」

 

「本当ね。見た目に反してその背は有り得ないわね・・・・・歳は十代後半よ?」

 

「うわー、ビックリしたなぁ・・・・・」

 

しばらくナヴィは二人を見つめる。それからカタカタとノートパソコンに記入していく。

 

「子供みたいな大人の子の名前はアカツキ、伊賀と甲賀の血を引く末裔ね。

もう一人は十六夜咲夜、神器(セイクリッド・ギア)の所有者よ。

あの時間を関する神器(セイクリッド・ギア)のね」

 

「こいつか・・・・・」

 

銀髪の女性こと十六夜咲夜を見据える。アザゼルの予想通りだった。

 

「この二人・・・・・兵藤家の手の者よ」

 

「・・・・・」

 

そんな事だろうと思ったよ。俺を狙ってくる奴なんて限ってくるし。

 

「俺の命でも狙いに来たのか?」

 

「「・・・・・」」

 

沈黙する・・・・・。

 

「イッセー、口を割らないなら強制的に割った方が良いわよ?」

 

「ん、やっぱりそうなるか。んじゃ、精神的なダメージを与えるか」

 

こうなると思い、事前に用意していた二つのヘッドオンと録音機を二人の前に。

ヘッドホンを二人の頭にかぶせ耳に装着・・・・・。録音機を操作する。

二人の表情は最初こそなんとでもなさそうにしていたが、徐々に険しくなり、

冷や汗を流し始める。それから―――青ざめたり顔が赤くなったりと顔色を何度も変えた。

 

「ねぇ、一体なにを聞かせているの?」

 

「知らなくていいぞ」

 

ピッと流している曲を停止させてヘッドホンを取った。

 

「さて、教えてくれるか?」

 

「「・・・・・っ」」

 

頑になって口を割ろうとしなかった。

 

「しょうがない。バージョン2だ」

 

再びヘッドホンを生着させて、録音機を操作する―――。

 

「「―――――っ!?」」

 

後に二人は絶叫する。頭を振ってヘッドホンを振りほどこうとしても、

俺が曲を止めない限りヘッドホンは外れることはないぞ。

 

「い、言います!言いますからもうこれを聞かせないでぇっ!見せないでぇっ!」

 

とうとう屈したか。意地の悪い笑みを浮かべ、俺は告げた。

 

「もう十分♪」

 

「う、うわああああああああああああああああ!」

 

「いやああああああああああああああああああ!」

 

この日、襲撃者たちの耳と目が死んだ。

 

 

 

 

 

 

―――おまけ―――

 

『ッ!?』

 

「なんだ・・・・・この悪寒は・・・・・?」

 

「曹操も感じたか・・・・・」

 

「俺たちと同じ体験している者の悲鳴が聞こえたような・・・・・」

 

「ま、まさか・・・・あいつがまたとんでもないことをしているんじゃ・・・・・」

 

『・・・・・』

 

―――全力で忘れようっ!


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