ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode4

ジェイル・スカリエッティの頼まれごとに俺はガジェットドローンという機械に

騎乗して飛んでいる。

 

「機動六課に保管されているレリックの奪取って・・・・・はあ、憂鬱だ」

 

正体を明かさないように全身にセインと同じスーツを纏い、

素顔を隠すため頭を覆うマスクを被っている。念のため、声音もマスクの機能で変えている。

 

『そろそろ管理局の、機動六課の本部に近づく。準備は良いかね?』

 

「レリックの保管場所、教えてくれよ」

 

『当然だ。だが、気を付けてくれたまえよ。機動六課には凄腕の魔導士たちがいるからね』

 

魔導士、この世界で魔法を使役する者のことを差す単語。俺の世界と変わらない魔法使いの一種。

 

「ま、極力戦闘を控え目にレリックをもらうとしようか」

 

『キミの言動は我々が見聞させてもらうよ』

 

「うわー、ストーカ極まりない発言だな」

 

胡坐を掻いたままジェイル・スカリエッティにそう言う。

立体映像のモニターが閉じてしばらく飛んでいれば、肉眼でとある施設の形が見えてきた。

 

「こちら管理局。こちらあなたの個人識別表が確認できません。

直ちに停止してください。それ以上進行すれば迎撃に入ります」

 

―――脳に直接届く声が警告を発する。念話・・・・・?

と、さらに進んだところで、奴さんが現れた。

赤いゴスロリに兎のぬいぐるみがついた赤い帽子を被った幼い子供だ。

 

「子供?」

 

「おいこら、外見で判断するんじゃねーよ」

 

手の中にあるハンマーの柄を俺に突き付ける。

 

「これ以上の空域及び海域に侵入するならば、所属不明の侵入者としてお前を逮捕する」

 

「・・・・・」

 

まるで警察みたいなことを言うなと思いながら俺を乗せているガジェットドローンを指で小突く。

前進―――と。ガジェットドローンも俺の意思に従い前進し始める。

 

「じゃあね、お嬢ちゃん。ちゃんと幼稚園に行かないとダメだよ?」

 

「誰が幼稚園児だぁっ!私はこれでも―――!」

 

と食って掛かる子供を余所に物凄い速さで逃走もとい、前進すれば、子供が追いかけてきた。

 

「人の話を聞けぇっ!」

 

いやー、相手にするほど暇じゃないからなー。取り敢えず前に進もう。

機動六課の本部に進もう。うん。だが、簡単には行かせてくれないようだった。

尻目で見れば、なんか銀色の玉をハンマーで打ってきた。

ガジェットドローンに指示を出して、背後から飛来してくる銀色の玉から回避する。

 

「避けれたからと油断はしないぞ」

 

追尾性があるようで銀の玉が再び飛来してくる。

両手で複数の銀の玉を素早く掴み取って握り砕いた。

 

「んなっ!?」

 

「ぜんそくぜんしーん」

 

「ま、待ちやがれ!」

 

「待ちやがれと言って待った奴はバカだぞ?バーカ」

 

「バカって言う奴がバカなんだよ!」

 

子供の言い分だ。ガジェットドローンを巧みに使役してサーフィンをする感じで空を飛ぶ。

 

「(ハンマーを持っているから近接距離の実力者か。

だったら、さっきみたいに玉を弾いての攻撃を無効化すればこのまま―――)」

 

そう思った矢先に、数多の金色の魔力弾がどこからともなく襲い掛かって来た。

避け続け、辺りを見渡せば、黒い軍服に白いマントを羽織る金髪のツインテールに黒いリボンを

結んだ女性が俺の前に立ちふさがる。

 

「止まりなさい。これ以上の騒動を起こせば、あなたの罪が重くなります」

 

管理局、機動六課って本当に警察みたいなことを言う。

だったら―――。ニヤリとマスクの中で口角を上げた。

 

「た、助けて!私、無理矢理命じられてこんなことをしているの!」

 

両手を合わせた助けを請う風に懇願する。

 

「え?」

 

彼女は目を丸くして警戒心を緩めたその時。

 

「―――なんてな」

 

一瞬だけ動揺した女性の横を通り過ぎながら言った。一拍して、

 

「フェイト!なにボーとしているんだ!」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

フハハハハハッ!甘い、甘すぎるぞ!

 

「鬼さんこちら手の鳴る方へ~♪」

 

「ぜってぇ捕まえてやる!」

 

「ま、待ちなさい!」

 

「助けてー、ストーカー二名に増えましたよー、おまわりさーん」

 

「「誰がストーカーだっ!」」

 

なんだかおちょくるのが楽しいな。もう少し遊んで行きたいところだが、目的を果たそう。

 

「もう少しだけ頑張ってくれよ」

 

ガジェットドローンに触れながら言う。意思はないものの、俺を乗せてくれる機械だ。

労いの言葉を掛けるのは当たり前だろう。尻目で見れば―――。

赤い玉や金色の極太のレーザーが迫っていた。

 

「おおう、回避だ」

 

俺の指示通りに二つの攻撃からかわす。

もう少しで機動六課の本部―――と目前に桜色の魔力光が見えた。

と、思ったら胸元に赤いリボン、白を基調としたワンピースみたいな服を身に包む

サイドテールの茶髪の女性だった。

 

「止まりなさい!」

 

「降参します!」

 

「へ?」

 

どこからともなく取り出した大きな白旗を取り出して言った瞬間。

 

「「なのは!騙されるな!」」

 

背後から叫び声。なのはと呼ばれた女性が真剣な面持ちで赤い宝玉がある杖を突き付けた。

 

「ところでジェイル・スカリエッティ。聞こえているか?」

 

虚空で声を掛けると、俺の傍で立体映像が浮かびあがった。

 

『なんだい?それと随分余裕そうだね』

 

「まあな。んで、どいつが一番強いんだ?」

 

『目の前にいる魔導士だよ。名前は高町なのは。

「エースオブエース」と無敵のエースであると管理局内や雑誌にも載るほどの凄腕魔導士だ』

 

「そうか。それと武器を持っているようだが、この世界は武器を持つことが主流なのか?」

 

『ああ、デバイスのことかい?魔導士は魔法使用の補助として用いる機械だ』

 

デバイス、この世界の魔法使いが魔法を使う際に

補助するための機械か・・・・・和樹が知ったらどんな反応するだろうな。

 

「じゃあ、デバイスとやらを壊したり奪えば、魔法は使えなくなるんだな?」

 

『その通りだ』

 

だったら―――奪おうかな?腰を上げて立ち上がり、ガジェットドローンから一気に跳躍して、

 

「っ!?」

 

ガシッ!

 

一瞬で高町なのはの目の前に移動して杖の柄を掴んで力づくで奪い、

その場で体を回転させ、高町なのはの肩にかかと落としを食らわして海へと叩き落とす。

 

「「なのはっ!?」」

 

背後の二人が驚愕の声音を発する最中、

タイミング良く飛行してきたガジェットドローンに乗っていよいよ機動六課に接近。

 

「エースオブエース・・・・・にしてはあっさりやられたな」

 

ガジェットドローンから降りて機動六課本部の真上に降下する。

 

『いやいや、お見事だよ。では、レリックが保管されている場所は本部の地下だ』

 

「あいよ。―――禁手(バランス・ブレイカー)

 

透過の力を体に纏い、無機物の中へと侵入する。本部の中を通り過ぎる度に人と目が合い、

驚いた色を浮かばせる。その中で―――見知った男女がいた。

 

「(な、なんで父さんと母さんがここにいるんだよっ!?)」

 

一気に速度を上げて地下に侵入した。薄暗い場所で周りを見渡すと機械で埋め尽くされている。

厳重にここで何かを保管している場所だと直ぐに分かった。

 

『着いたようだね』

 

「ああ、奪ったらすぐに撤退する」

 

通信が切れたことでレリックを探す。

 

―――一分後。

 

「よし、見つけた」

 

亜空間に保管されたレリックを仕舞って外へと脱出するため無機物の中へと潜行した。

その際、杖を折った。

 

―――○●○―――

 

―――イリナside―――

 

『ジェイル・スカリエッティ。レリックを奪ったぞ』

 

「ご苦労。見事までの潜入だったね」

 

『物凄く冷や汗を掻いた事があったけどな。無機物の中を潜行してそっちに戻る』

 

「分かった。無事に戻ってくれたまえよ」

 

たったの数分でイッセーくんはレリックとかいう物を手に入れたみたい。

犯罪者の加担をしてなんだか複雑な気分だけど、色々と頼らずにはを得ないよね。

 

「ドクター。彼は有能ですね」

 

「くくくっ、実に興味深いね。あの次元世界にいる人間は、

どうやらあんな素晴らしい能力を持った人間がいるようだ」

 

うわー、怖い笑みを浮かべているわ。イッセーくんを守らないといけない気がしてきた。

 

「トーレ、彼が一瞬で高町なのはに移動した瞬間は見れたかい?」

 

「・・・・・」

 

トーレと呼ばれた女性は無言で首を横に振った。当然よね。私でも全然見れないんだから。

ドクターって人は手を顎に当てて愉快そうに言った。

 

「ふむ、私の娘たちを彼と戦闘させてデータと蓄積させればより高性能になるかもしれないね」

 

「ド、ドクター・・・・・マジで?」

 

「セイン、キミが彼と一勝負した映像も記録させてある」

 

宙に腕を振るったら、それに呼応するように立体映像が現れ続けた。あっ、本当だわ。

 

「なにより、キミの戦闘スタイルに指摘したし、それを聞いて私は面白いと思ったよ」

 

「・・・・・まさか、私の腕を変形できるように改造したりしないよね?」

 

恐る恐るセインがそう訊くと、ニヤリと口角を挙げるドクターにとセインが頭と肩を垂らした。

 

「よかったっスねーセイン。もっと強くなれて」

 

「他人事に言うなっ!くそぅ、イッセーの奴、帰ってきたら文句を言ってやる!」

 

そう言った瞬間。セインの背後にイッセーくんが床から出てきた。

 

「―――なんか言ったか?」

 

「きゃっ!?」

 

背後から声を掛けられ、セインは可愛らしい女の子らしい悲鳴を上げた。

 

「おや、意外と早かったね」

 

「待たせると悪いと思ってな」

 

空間を歪ませて亜空間から何か入っている袋をドクターに手渡した。

その袋の口を開けば、赤い結晶がちょっと見えた。

 

「うむ、ありがとう」

 

「協力しているからな。これぐらいは当然だ」

 

マスクを外してイッセーくんの顔がようやく窺えた。うん、とっても恰好良いわ。

 

「こっちも協力してもらいたいことがある。機動六課のメンバーの詳細を知りたい」

 

「ふむ、それは構わないがどうしてだい?」

 

ドクターはそう訊くと、イッセーくんは溜息を吐いた。

 

「物凄く厄介な二人がいたんだ。気を消して侵入したから気付かれなかったと思うけど、

ほんと冷や汗を掻いた」

 

「一誠さま、その厄介な二人とは?」

 

「・・・・・」

 

リーラさんの問いかけにイッセーくんは口を開いた。

 

「父さんと母さん・・・・・兵藤誠と兵藤一香がいた。機動六課の本部に」

 

「「「なっ・・・・・!?」」」

 

う、嘘・・・・・あの二人までもこの世界に!?

 

「兵藤誠と兵藤一香・・・・・それは本当かい?」

 

「ジェイル・スカリエッティ?」

 

「いやはや・・・・・これは驚いたね。まさか、キミがあの二人の子供だったとはね」

 

え・・・・・?この人、異世界の人なのに知っている!?イッセーくんのご両親を!

 

「・・・・・なんで、知っているんだ?」

 

イッセーくんもドクターの言葉に怪訝な面持で問いかける。

 

「知っているも何も、十年ぐらい前だね。

彼らがこの世界でまだ幼かった高町なのはとPT事件、闇の書事件を解決していたんだ。

その頃は私も戦闘機人を創っていたり、戦闘機人の試運転を兼ねて色々としていたがね」

 

「それから二人は?」

 

「とある日にパッと姿を暗ましたよ。死んだとは思っていないが・・・・・まさか、

次元世界の人間だったとはね。今日は驚くことが多い日だ」

 

そう言う割には楽しそうに笑っているわよね・・・・・。

 

「因みに、キミは自分のご両親に勝てるかな?」

 

「・・・・・一対一なら何とか、二対一で戦闘されたら苦戦に強いられる。

足止め程度が限界だな」

 

「それで十分だ。他の者にはガジェットドローンや娘たちで当たらせよう」

 

「高町なのはが率いる機動六課にか?だったら、セインたちの強化としないとな。

それと、セイン以外の皆の能力を知りたい」

 

「いいとも。もし何か進言したいことがあったら気軽に言ってくれ」

 

ドクターの言葉にイッセーくんは頷いた。

何だかこの二人、お似合いだわね・・・・・良く分からないけどそんな感じがする。

 

 

 

 

「これは大失態やなぁ・・・・・」

 

「「ご、ごめんなさい・・・・・」

 

「すまん・・・・・」

 

とある部屋で襲撃者と接触した私たち三人が申し訳なさそうに謝罪の言葉を発する。

位の高い人間が使う机、椅子があり、

その椅子に座っている制服を身に包む女性は関西弁で話している。名前は八神はやてちゃん。

 

「まさか、なのは隊長とフェイト執務官、ヴィータ副隊長の三人がかりででもってしても、

軽くあしらわれた上に保管していたレリックを強奪されたなんて・・・・・機動六課を

結成して以来の前代未聞の事件や。しかも、本部や六課に努めている人員に被害を出さず、や」

 

「「「・・・・・」」」

 

「幸い、この件については一部の者しか知らん。今回の件に関わった

三人はお咎めなし・・・・・とは言い切れれんな。特にフェイト執務官、油断し過ぎやで」

 

「うっ・・・・・」

 

「なのは隊長のレイジングハートは折られているし、修復にはちょっと時間が掛かる。

今回分かったのはガジェットドローンと関わりがある人物の襲撃」

 

机に肘を突き、両手の指を交差して今回の件について思考の海に潜りながらも様々な仮説を立てる

はやてちゃん。ちなみに機動六課の正式名称は、

時空管理局遺失物管理部機動六課でその課長・本部隊舎総部隊長・中枢司令部の肩書を

持つのがはやてちゃんなの。

 

「今度会ったら、ぜってぇ、とっ捕まえてやる・・・・・っ!」

 

「うん・・・・・今度は油断しない」

 

「そうだね・・・・・」

 

私たちはそれぞれ決意を胸に秘めたその時。コンコンと扉を叩く音が聞こえた。

はやてが声を出すと扉は開き二人の男女が入室してきた。

 

「お邪魔するよ」

 

「こんにちは」

 

兵藤誠さんと兵藤一香さん!二人の登場に私たちは目を張る。

 

「ま、誠さんと一香さん!」

 

「どうしてここに・・・・・?」

 

「うん、ちょっとお願い事があってね」

 

誠は朗らかに言う。そのお願いとは・・・・・とそう思っているとヴィータちゃんが

一香さんに抱きかかえられた。

 

「は、離せよ!」

 

「やーん、可愛いわねぇ・・・・・あれから十年経っているのに全然成長していないのね。

―――色々と」

 

「ひ、人が気にしていることを言うなよ!」

 

あー、捕まっちゃったね。

 

「それで・・・・・お願いとはなんでしょうか」

 

はやてちゃんがそう声を掛けた。

 

「ええ、こうしてあなたたちと再会したおかげなのは息子のおかげなの」

 

「む、息子・・・・・?」

 

「ええ、誠と間に生まれた子供。一誠というの」

 

えええ!二人に子供がいたの!?十年経つとやっぱり色々と・・・・・。

 

「は、はあ・・・・・そのお二人の子供がどうしておかげなんですか?」

 

「まあ、詳細は教えれないけどこの世界に私たちの息子がどこかにいるようなのよ」

 

「だけど、俺たちだけじゃ探しようがない。だから、仕事の曖昧でも捜索してくれないか?」

 

そうなんだ。もしかして、この世界に来てしまった時にはぐれてしまったのかな?

はやてちゃんは私やフェイトちゃんを一瞥して頷いた。

 

「分かりました。お二人にはお世話にもなりましたし、一誠くんの捜索もしましょう」

 

「ありがとう。助かるわ」

 

「それで、一誠くんの容姿を教えてください」

 

うん、そうだね。それを聞かないことには探しようもない。静かに耳を傾ける。

 

「腰まで伸びた真紅の髪に金色の瞳。身長は・・・・・大体170㎝ぐらいだったかな?」

 

―――――あれ?どこかで聞いたような。はやてちゃんに顔を向けると、

はやてちゃんは机にあるキーボードを操作してとある画面を展開してた。

 

「もしかして、このこの子でしょうか?」

 

今日、エリオとキャロが関わったと言う一人の少年の画像だ。誠さんと一香さんは微笑んだ。

 

「ええ、その子よ」

 

「良かった。どうやら無事みたいだな」

 

・・・・・この子がお二人の子供・・・・・驚いた。でも、髪と瞳の色は違うね。

どうしてなのかな?

 

「でも、どうしてあなたたちは急に姿を消したのですか?」

 

「うーん、帰らないといけないことがあったからね。時期が時期だったし」

 

「それは一体・・・・・」

 

「おっと、それ以上は教えれないさ。これは大人の事情なのだからね」

 

うー、教えてくれないかー。私たちも大人だけど、二人には敵わないからなー。

 

「あの、二人の子供にしては・・・・・ちょっと雰囲気が違うような気もしますが

どうしてたのですか?」

 

フェイトちゃんが訊ねる。私が気になることをフェイトちゃんは聞く。―――ナイスだよ!

 

「「・・・・・」」

 

二人は顔を見合わせて、途端に暗い顔を浮かべる。

 

「・・・・・とある人にね、誘拐され、調教され、肉体を改造され、洗脳されちゃっているの」

 

「元々は人間だったんだけど、今の息子は人間じゃないんだ」

 

なっ・・・・・!?

 

「一見、優しそうに見えるけど、それは息子を裏で操っている人物がそうさせているの。

私たちは息子を私たち家族の手で取り戻そうとしていたところ、私たちの敵がこの世界に

繋げて逃げてしまったの」

 

そんな・・・・・この子は洗脳されちゃっているの・・・・・?

 

「どうやら、一時的に洗脳から解き離れていているようだが、

また俺たちの敵が現れて息子を洗脳されたら・・・・・」

 

誠さんは悔しそうに握り拳を作った。とても悲しくて辛そうな顔を浮かべて・・・・・。

 

「教えてください。一誠くんを裏で操っている人のことを」

 

気付けば私は二人にそう訊ねた。そんな辛い目に会っている人を見逃すわけにはいかない。

この二人には恩もある。だから、力になりたい!

 

「強力、してくれるの?」

 

フェイトちゃんが手を胸に当てて口を開く。

 

「当然です。お二人の気持ちは痛いほど分かります」

 

「せや。あの時の事件もお二人には感謝しています。今度は私たちが二人を助ける番です」

 

続いてはやてちゃんも言った。うんうん、そうだね!今度は―――私たちの番!

この十年間、培ってきた力を、皆を守るこの魔法を役立てなきゃ!

 

 

 

 

 

 

「うん、素直で優しく良い子に育っているな」

 

「そうね。―――私たちに騙されるほどね?」

 

「申し訳ないけど、利用させてもらおう」

 

「私たちが楽しむためにね」

 


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