ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Life2

俺が甦った。それは変わらない事実。だけど、俺に色々な問題が浮上した。

その一つは人王のことだ。既に全世界では次期人王死亡と認知していて、

甦った俺はただの人型ドラゴンとして世に存在する。

幸い、次期人王と(仮)結婚した悠璃と楼羅の立場は未亡人扱いとなっている。

だが、そう安心していられない現状だ。人王がいない妻は他の人王候補生と

結婚せざるを得ないからだ。その人王候補制はまだいないらしいけど、

何時現れるのかは分からない。

 

「兵藤家には一誠様の事は知れ渡っているようですが、

甦った一誠様をこのまま人王にするべきだという一派とまた新たに人王を決める大会を、

新たな人王を決めるべきだという一派の二つに分かれているようです」

 

と、楼羅からそう聞かされた。俺もその考えには理解できる。甦ったからといって、

また人王になれるとは思えない。それに世界が俺の生存を知らないし、

死んでいるのだと認知している。今さら俺は甦った!とお茶の間に言えるわけがない。

 

「仮に新たな人王を決めるとしたら、どんなことになる?」

 

「分かりません。こんなケースは過去に一度もなかった事です。お父さま以外の兵藤家当主だった

当主さまたちは次期人王になった瞬間に狙われた事はあったとしても死んだ事はありません」

 

「・・・・・あの人は一体、どんな決断をするんだろうか」

 

「決まり次第、報告をするそうです。今は・・・・・こうしていましょう」

 

そう言って楼羅は俺に覆い被さった。

 

―――バンッ!

 

「イ、イッセーくん!・・・・・って」

 

「・・・・・」

 

俺の部屋を豪快に開け放ったイリナが硬直した。ベッドの上で楼羅に覆い被されている俺を見て、

イリナは指を差してきた。

 

「ちょっと!いくら(仮)妻でもイッセーくんに手を出さないでほしいわ!」

 

「あら、(仮)妻でも私と一誠様は心も体も一つになったのですよ?

一度や二度の性交をして何が悪いのですか?」

 

「せ、せせせ性交・・・・・!?」

 

一気に顔を赤くするイリナだった。・・・・・それはそうと、

 

「イリナ。何か用があって来たんじゃないのか?」

 

「―――そうだった!」

 

イリナは駆け寄って来た。

 

「色んな神話体系の神様たちが集まって来ているのよ!?

甦ったイッセーくんを一目でも見ようって!もう、

この家は神さまの博物館となっちゃっているわ!」

 

「・・・・・マジで?」

 

俺は唖然となった。となると、オー爺ちゃんや骸骨のお爺ちゃんもいるということか?

素早く起き上がって、リビングキッチンに姿を現すと―――過去に出会った神さまたちが勢揃いして

いた。その壁際に清楚たちが固まって、緊張した面持ちでいた。

 

「うわ・・・・・本当だ」

 

「ん・・・・・?おお、坊主じゃないか!」

 

上半身の裸のヒゲを生やしたおじさんが俺の存在に気付いた途端に、

他の神さまが一誠に俺に視線を向けてきた。次の瞬間、わっ!と俺に集まってきた。

 

「デハハハハハッ!本当に甦っておったか!アザ坊から聞いて色々と準備をしてから来てやったぞ!」

 

「ガハハハハッ!坊主の顔をまた見れて嬉しいぞ!」

 

王冠にトーガという出で立ちのヒゲを生やしたおじさんが満面の笑みを浮かべてそう言いだす。

他にも色んな神に属する存在にも話しかけられた。

本来、下界には滅多に降りて来ない神さまもいたほどだ。

 

「・・・・・本当、一誠って物凄いよね」

 

「恐縮しまいますよ・・・・・」

 

「うん、いま一誠くんに話しかけることもできないよ」

 

「流石の私も、あの中に介入する勇気はないにゃん・・・・・」

 

和樹達が何か言っているようだが・・・・・気持ちは分からなくはないぞ・・・・・。

 

《・・・・・》

 

そう思っていた俺に骸骨のオー爺ちゃんが近寄って来た。

 

《・・・・・すまんな、私の力及ばず、あやつらを止めれなかった》

 

「骸骨のお爺ちゃん・・・・・」

 

《サマエルは、お前の中にいるのだな?》

 

確認するかのように問いかけてきた。俺は肯定と頷くと骸骨のお爺ちゃんはただ頷く。

 

《押し付ける感じで悪いが、サマエルはお前に与らせた方が良いだろう。

またあの蝙蝠の小僧がサマエルを利用してくるかもしれんからな》

 

「うん、ありがとう。でも、俺は一度死んで良かったかもしれない」

 

俺の言葉に皆が怪訝な面持ちとなった。なんでだ?とそんな感じだ。

 

「死んで俺は、いろんな奴らと出会って、いろんな体験もできたんだからね。

サマエルもその中に含まれている。もう死ぬつもりはないけど、

このきっかけを俺は大切にしたい。だから、骸骨のお爺ちゃん。そう気を悪くしないでね」

 

そう言って安心させるために微笑むと、骸骨のお爺ちゃんは徐に深く被ったフードをさらに

赤い眼光を隠すように下げだした。

 

《・・・・・そろそろ、お暇させてもらおう。お前の顔を見ればそれで十分だ》

 

「そう、また来てね。何時でも遊び来てもいいからさ。また、一緒にスイカ食べよう?

季節過ぎちゃったけどさ」

 

俺の言葉に返事をしないまま、骸骨のお爺ちゃんは足元の影の中に沈んで、

目の前から姿を消した。それを意外そうに、

 

「あいつ、泣きそうになっていたな」

 

「坊主にあんなこと言われて嬉しかったのであろう」

 

天空と海のおじさんがそういった後、笑みを浮かべた。えっ、泣きそうだったの?

 

カッ!

 

すると、この空間に魔方陣が出現した。その数は複数以上だった。

誰かがここに転移をしてくる?そう思っていると、魔方陣の光が弾け―――。

 

「イッセーくぅぅぅんっ!」

 

「セ、セラフォルー!?」

 

魔方陣の一つからセラフォルー・シトリーが飛び出してきた!俺に抱きついて、泣き始めた。

 

「うぇええん!甦って良かったよー!これで、またマジカル少女戦士セーラーたーん☆の

映画の撮影ができるよ!」

 

「・・・・・そっちの意味で俺は喜ばれているのか?」

 

「あっ、ごめんなさい。それは半分だよ」

 

半分って・・・・・じゃあ、もう半分は何なんだよ・・・・・。

 

「本当は本当にイッセーくんが甦って私は嬉しいんだよ!

だって、大好きな人がこうして生きている喜びがたまらなくてしょうがないんだもん!」

 

―――――っ。

 

その気持ちは、何度も味わった。皆のもとへ帰ってからしばらく、

皆が片時から俺から離れようとはしなかった。セラフォルーもその一人だったんだろう。

 

「やあ、イッセーくん。久し振りだね」

 

「サーゼクス・グレモリー」

 

「ふむ、こうして君を間近で見ると真紅の髪がまるでリアスのような髪の色だね。

ふふっ、私とリアスの同じ髪でなんだか嬉しいな。本当の兄弟のように思ってしまうよ。

もちろん、私が兄だよ?」

 

「兄弟って・・・・・」

 

サーゼクス・グレモリーの話になんと答えればいいか分からなかった。

 

「原始龍というドラゴンに助けられたとアザゼルから聞いたよ」

 

「知っているのか?」

 

「いや、そんなドラゴンの存在は誰も知らないだろう。だが、一人だけ知っている者がいた」

 

小首を傾げていると、サーゼクスの肩にちっちゃい生物が現れた。

 

「・・・・・ドラゴン?」

 

「こうして会うのは初めてだな。俺は『|魔龍聖《ブレイズ・ミーティア・ドラゴン』タンニーン。

元五大龍王・・・・・いや、ティアマットと同じ龍王だったドラゴンだ」

 

「・・・・・ちっちゃい」

 

「こう言う場所に入るにはこの姿で常にいるんだ。そこは気にしないでくれ」

 

あっ、そうなんだ?というか、ドラゴンはそんなことができるんだな。

 

「知らなかったとはいえ、俺を解放してくれてありがとう」

 

「解放?」

 

「俺は堕天使のヴァンに破れ神器(セイクリッド・ギア)として封印されていたんだ。

だが、あの堕天使は俺を解放した。その理由はお前にあるそうだ」

 

「・・・・・」

 

そう言えば、そんな事を言っていたな。

 

「感謝の念を抱いている。だが、ずうずうしい承知の上で頼みがある。

俺を原始龍のところに連れて行ってはくれまいか?」

 

「原始龍?って、知っている者ってタンニーンだったのか」

 

「俺はあの世界に生まれたドラゴンだからな。人間界に降りたのはいいが、帰れなくなったのだ。

人間界とドラゴンの世界を通じる扉を閉められたからな」

 

それは、ご愁傷様というべきなのか?いや、自ら人間界に移ったんだから同情の余地はないか。

 

「原始龍に連れてなにがしたいんだ?」

 

「原始龍がいる世界にはドラゴンアップルがあり、ドラゴンアップルに関する資料がある。

それを俺は求めているんだ」

 

「ドラゴンアップル?」

 

「その名の通り、ドラゴンのリンゴだ。そのリンゴしか食べない龍がいてな。

いま、独自の方法で人工的にドラゴンアップルを研究しているのだ。

ドラゴンアップルしか食べれないドラゴンのために、ドラゴンアップルを増やすためにな」

 

・・・・・王さまがいるぞ。

ここに王さまが。ドラゴンのために尽力を尽くそうとしているドラゴンがいる。

 

「分かった。約束する」

 

「感謝する」

 

それにしても・・・・・ちっちゃい

 

「そこは気にするなと言っているではないか」

 

「あっ、顔に出ていた?」

 

「うん、思いっきりね」

 

セラフォルーにまで言われてしまった。

 

「んじゃ!もう一回、一誠殿が甦った祝いとしてパーティをしようじゃないか!」

 

「うんうん!いいね!私もそう思っていたところだよ神ちゃん!」

 

「デハハハハ!そう思ってほら、我が海の幸を大量に持ってきたぞ!ドンドン食え食え!」

 

「こっちも特産品を大量に持ってきたぞ!」

 

ユーストマとフォーベシイの言葉に、天空と海の神のおじさんたちが魔方陣を展開して

色んな食材を出してきた。・・・・・これ、調理するのに時間が掛かるな。

 

―――○●○―――

 

結局、俺のための祝いと称したパーティは、ただの飲み会となり変わった。

ガタイの良いユーストマ、天空と海の神のおじさんが互いに肩を組んで酔っ払い、

日本の神さまは無礼講は久々だ!とこの瞬間を無駄にしないように楽しんでいる様子だった。

・・・・・これ、絶対に一泊していくつもりだろうな。

 

「そういえば」

 

俺はサーゼクスに近寄った。

 

「なあ」

 

「うん?なんだいイッセーくん」

 

「俺、学校はどうなるんだ?」

 

「・・・・・」

 

俺が甦ったことで、学校はどうするべきなのか、理事長のサーゼクス・グレモリーに訊ねた。

サーゼクス・グレモリーは顎に手をやった。

 

「ふむ・・・・・学校に復帰するならば、キミはFになるだろうね」

 

「やっぱりか」

 

「いきなりSクラスに戻すことはできない。それに君は世間で死んでいる事になっている。

だから『イッセー・D・スカーレット』と名乗っていたのだろう?」

 

その問いかけに俺は首肯する。その名はハルケギニアで名乗っていた偽名だ。

 

「そうだ。それに俺は次期人王の肩書も失っているだろうし、

これからどうすればいいか分からない」

 

「・・・・・そうだね。『兵藤一誠』は死に『イッセー・D・スカーレット』が存在している」

 

しばらくして、サーゼクス・グレモリーは俺に向かって言った。

 

「キミにしかできない事をやってもらおうかな」

 

俺にしかできない事、それはなんだろうか?サーゼクス・グレモリーは後日教えると言うが・・・・・。

いったい、なんだろうか?

 

 


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