ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode5

「すまないな。片付けまで手伝ってくれて」

 

「いや、こっちこそ世話になるんだ。これぐらいは当然だ」

 

鎧を着込んでいる赤い髪の少女と片付け終えて一拍。ようやく一段落して自己紹介に進んだ。

 

「俺はフェアリーテイルのナツ・ドラグニルだ」

 

「フェアリーテイルのグレイ・フルバスターだ」

 

男子陣の挨拶は終わった。次は少女組だ。赤い髪の少女が口を開く。

 

「同じくフェアリーテイルのエルザ・スカーレットだ。よろしく頼む」

 

次は金髪の少女。

 

「私はフェアリーテイルのルーシィ・ハートフィリアよ。よろしくね」

 

最後は・・・・・青い猫。

 

「オイラはハッピーだよ。好きな食べ物はお魚」

 

「・・・・・」

 

ジィーと青い猫を見た。こんな生き物がいるなんてな・・・・・・。

世界は広い・・・・・。

 

「え?なに?」

 

「いや、珍しい猫だなって。喋っているし」

 

「ハッピーはエクシードって種族の猫なんだ」

 

「エクシードか。覚えておこう」

 

亜空間から魚を取り出してみた。すると、ハッピーが目を輝かせた。

 

「お魚ーっ!」

 

「食べるか?」

 

「あい!」

 

嬉々として魚を受け取って食べ始めるハッピー。猫そのものだ。

 

「今度は俺たちだな。俺はイッセー・D・スカーレットだ」

 

「私はヴァン、堕天使だ」

 

「私はエルフのルクシャナよ。よろしく」

 

「・・・・・イッセー・D・スカーレット?兵藤一誠じゃないのか?」

 

グレイ・フルバスターが疑問をぶつけてきた。

 

「俺は死んで人間じゃなくドラゴンとして甦った。

だから、『兵藤一誠』は死に『イッセー・D・スカーレット』として生きていこうと思って

この名を名乗っている」

 

「・・・・・無神経なことを聞いちまったな。悪い」

 

バツ悪そうにグレイ・フルバスターが言うも俺は首を横に振った。

 

「気にするな。死んだのは俺が弱かったからだ。次は負けないつもりだ」

 

「うむ、その心意気だ。負けても前に進む。私はそう言うのが好きだ」

 

「でも、甦るなんて凄いわね。一体どんな魔法を使ったの?」

 

「正確には魂だけの状態で生きていた。

そこに別の新しい肉体に定着して復活を成し遂げたんだよ」

 

「なるほど・・・・・」

 

納得した面持ちを窺わせるルーシィ・ハートフィリア。

 

「そんで、ナツから聞いたんだけど。ハルケギニアに存在する塔を攻略するんだって?」

 

「ああ、そう言う依頼が来てな。私たち四人だけでハルケギニアの五つの塔を

全て攻略しなければならない」

 

「実は俺たちも塔を攻略しないといけないんだが・・・・・。

仮に全部の塔を攻略したらどうなるか知っているか?」

 

尋ねてみると、四人は首を傾げた。・・・・・知らないのか。

 

「なんだ、五つの塔を攻略したら何か起きるのか?」

 

「・・・・・ハルケギニアの未来が掛かることが起きる」

 

「なんだと?」

 

「聞きたいか?」

 

再度尋ねれば、ナツ・ドラグニルたちが頷いた。

 

「分かった。ルクシャナも聞いていろよ」

 

「ええ、分かったわ」

 

「それじゃ、これは俺とヴァンがとある人物から頼まれていたことだ」

 

五人に告げた。塔の全てを攻略すると封印されていたドラゴンが目覚め、

ハルケギニアを襲う話しを。

 

「・・・・・そんな情報、依頼にはなかったぞ」

 

「まさか、依頼主がそのことを黙っていた?この国を壊滅させるために」

 

「いや、これは六千年も前の話しだ。現代の人間たちが知っているとは思えない」

 

「でも、どーすんだよ。俺たち、そのドラゴンを目覚めさせることをしなきゃいけねーぞ」

 

「だからだ」

 

背負っていた大剣を掴んで四人に見せびらかす。

 

「この大剣でそのドラゴンを封印する。俺たちはそのためにハルケギニアに来たんだ。

―――俺たちとお前たちの目的は一緒だ。塔の攻略を協力してほしい。

ギブアンドテイク、だろ?」

 

「「「「・・・・・」」」」」

 

四人は顔を見合わせる。すぐにこっちに顔を向けてきた。

 

「ならば、共に塔の攻略をしよう。お前の実力はあの時の大会で知っているからな」

 

「おう、ありがとうな。エルザ」

 

「ああ、イッセー。・・・・・ふふっ、それにしてもだな」

 

ん?

 

「私と同じスカーレットと名を付けるとは、もしかして狙っていたか?」

 

「あっ、エルザ・スカーレット、スカーレット・イッセー。確かにそうだね」

 

「名前と名字は違うが、同じ名前があるな」

 

「ついでに言えば、髪の色も同じだしな」

 

髪の色に関してはノーコメントだ。最初からそうなっていたからよ。

首を横に振って「違う」と言い、ナツ・ドラグニルたちとこれからのことを相談し合った。

寝るときは当然、男女分かれて就寝した。

 

―――二日後―――

 

いよいよダンジョン攻略の日がやってきた。デカい塔の周囲には大勢の傭兵、兵士、

ならず者が集まっている。

 

「それでは、これよりガリアダンジョンを攻略するため、

貴殿らにはダンジョンの中に入ってもらう!」

 

青い髪、青い美髯の中年男性が叫ぶように言葉を発する。見に纏う衣服はどこかの貴族、

もしくは王族が着るような服装だった。

 

「その際に、未来の女王となる我が娘たちと同行してもらう。

無事、我が娘たちとダンジョンを攻略した暁に褒美は思いのまま与えてやろう」

 

その中年男性の言葉に集まった大勢の人間たちが怒号を町に轟かせる。

―――その娘たちと言うのは青い髪の三人の少女のことだろう。

 

「あれが噂に聞くガリア王家三姉妹か」

 

「姉妹?」

 

「正確に言えば、一人だけガリア王の兄の娘だ。残りの二人は現ガリア王の娘、姉妹だったな」

 

エルザ・スカーレットが情報を提供してくれる。

 

「私たちはあの三人を護衛するために塔を攻略しに来た」

 

「じゃあ、他の国の塔はどうなんだ?」

 

「それは別の依頼だな。それぞれの国の王から指名されて、ダンジョンを攻略しないといけない。

所謂長期任務だ」

 

そいつは大変だな。って、俺たちも似たものか。

 

「おい、イッセー。絶対に攻略してやろうぜ」

 

ナツ・ドラグニルが戦意の炎を瞳に籠めてそう言ってくる。

というより、ワクワクしている様子だな。

 

「ああ、そうだな」

 

「―――では、ガリアダンジョンに入るがいい!」

 

ガゴンッ!と、塔の扉が開いた。その瞬間、我先へと塔の中へ侵入する挑戦者たち。

三人の姫たちは全員が入るまで動かずにいる。

そして、俺たちを除いて挑戦者たちが入り終えると、中年の男性と三人の娘たちがこっちに来た。

 

「娘たちをよろしく頼む」

 

「はい、お任せください。必ず帰還してまいります」

 

「うむ。・・・・・」

 

不意に、俺に目を向けてきた。

 

「・・・・・髪と瞳の色は違うが、どことなく懐かしい男と思わせる顔だな」

 

「・・・・・」

 

まーさーかーねー?まさかと思うけど、一応・・・・・ね?

 

「兵藤誠のことか?」

 

「っ!」

 

やっぱりか・・・・・もう、ここは父さんと母さんを知る者に対する絶対的な証拠の出番だな。

あの二人の写真を中年男性に渡す。

 

「それ、俺が返ってくるまで持っていてくれ」

 

「お前は・・・・・」

 

「真実を知りたかったら首を長くして待っていてくれ」

 

エルザ・スカーレットに目を配らせ、彼女は俺の意図に理解し、

三人の姫を守るように先頭に立ち、俺たちも塔の中に入る―――。

 

 

塔の中は洞窟だった。一体どういう構造をしているんだ?摩訶不思議な洞窟だ。

 

「・・・・・さて、そろそろ出させるか」

 

「何を?」

 

「こいつらだよ」

 

周囲に魔方陣を展開した。その魔方陣からオーフィス、

クロウ・クルワッハが光と共に出現した。

 

「うお!」

 

「こいつら・・・・・ドラゴンの臭いがすんぞ」

 

「ああそうだ。人間の姿でいるけど、この二人もドラゴンだ。小さい方はオーフィス、

女性の方はクロウ・クルワッハだ」

 

オーフィスが早速、俺の方に乗っかる。

 

「我の特等席」

 

満足気に言う。

 

「さて、行こうか」

 

「そうだな。さっさと攻略しよう」

 

「警戒して進む」

 

俺たちは歩を進める。先に行った挑戦者たちは今頃どうなっているんだろうか。

岩肌らだけの暗い洞窟。人の心を恐怖に陥らせるには十分なシチュエーションだ。

それは心が弱い奴に限るが。

 

「「「・・・・・」」」

 

三人の姫は無言で囲む俺たちと同じ歩調で進む。

どんな心境でこの最悪な塔に攻略するつもりでいるのか定かではない。

 

「そういや、イッセー。見てたぞ。俺の技を使っていたところを」

 

「ああ、お前の技のおかげで倒せたぞ」

 

「俺もお前の技を観てさらに技を改良したんだ。今度見せてやるぜ」

 

「そいつは楽しみだ。なんなら、勝負するか?」

 

「おう!全部のダンジョンをクリアしたらな!」

 

ナツ・ドラグニルが笑う。

 

「なら、私も少しだけ手合わせを願おうか」

 

エルザ・スカーレットも申し出てきた。

 

「二人纏めてかかってこい。―――俺は強いぞ?」

 

不敵の笑みを浮かべ、挑戦を受け入れる。洞窟はまだまだ続いていた。

―――と、少し下り道になってきたな。

 

「足元にご注意を」

 

エルザ・スカーレットが三人の姫に注意を告げる。洞窟は未だに岩肌ばかり、

足元を注意しなければ躓いて転んでしまいそうだ。

 

―――――ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・ッ

 

「ん?」

 

地響きが鳴りだした。地震か?でも、発信源は・・・・・後ろからだ。振り返ってみると―――。

 

「・・・・・おおう」

 

俺たちがいる洞窟をスッポリは待ってしまうほど大きな岩の塊が

転がってきたではありませんかー。

 

「・・・・・こういう時は」

 

ガシッ!×2

 

「「え?」」

 

ガシッ!×2

 

「「え?」」

 

「この瞬間を楽しんで逃げる!」

 

三人の姫とルクシャナを翼と腕で捕まえて走り出す。

俺に続いて、ナツ・ドラグニルたちも追いかけてきた。

 

「うおい!あんな岩、砕いてもいいんじゃないのかぁっ!?」

 

「バカだなぁー、こんな貴重な体験を簡単に終わらしたらつまらないだろう?」

 

「お前、楽しんでいるな!?」

 

「ハッハッハッ!勿論!」

 

ゴロゴロと迫ってくる岩から逃げる俺たち。―――すると、視界にとあるものが映り込んだ。

真新しい死体だ。何かによって潰されたようなスプラッタな状態で洞窟の至るところに

存在していた。

 

「これは・・・・・!」

 

「先に行った挑戦者たちだろうな。この岩に押しつぶされたんじゃないか?」

 

「魔法使いもいたはずだ」

 

「なら、この先にいるはずだ」

 

走り続けていれば、真新しい死体が忽然となくなった。

代わりにこの岩の破片と思しき物が散らばっていた。

 

「・・・・・」

 

突然、腕に抱えていた眼鏡を掛けた姫が自分より身の丈ある杖を振るった。

その際に魔力を感じ、

 

パキィィィンッ!

 

洞窟の足元が氷の床となった。

 

「うお!?」

 

「きゃっ!?」

 

足がもつれ、尻持ち付いたナツ・ドラグニルとルーシィ・ハートフィリアが

 

「いやあああああああああああああああああっ!」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

二人仲良く抱き合って滑っていく。俺たちは体勢を整えてスケートのように滑る。

しばらくすると、光が見えてきた―――。

 

スッポ――――――――ンッ!

 

『・・・・・・はい?』

 

洞窟から放り出されるように抜け出た俺たちの足元は―――真っ暗な深い奈落の底だった。

目の前には途中で壊れている橋が見えた。

 

「ちょっ」

 

ルーシィ・ハートフィリアが言った。青ざめた顔で、

 

「ちょっと待ってぇえええええええええええええええええええっ!?」

 

それは俺たちのいまの心情とも言える言葉だった。

―――って、あいつ等は空を飛べれないのかぁっ!?

 

「浮遊魔法ぐらいできてほしいもんだよ!」

 

四つの魔方陣を展開して、奈落の底に落ちるナツ・ドラグニルたちに放った。

その魔方陣はあの四人を乗せても大丈夫なぐらい丈夫な強度を持ち、フワフワと上がってくる。

 

「た、助かったぁ・・・・・って、イッセー!上えええっ!」

 

「あ?」

 

上を見た。丁度、大きな岩が洞窟から出て来て俺の真上に落ちてきたところだった。

 

「ん、我、イッセーを守る」

 

手元を光らせるオーフィス。次の瞬間、岩が爆発を起こして木端微塵となった。

 

「ありがとう」

 

向こうの橋に辿り着き、ルクシャナと三人の姫を下ろした。

 

「イッセー、助かった、感謝する」

 

「魔導士って空、飛べないのか?」

 

「残念ながら、そのような魔法は得意じゃない者が多い。私は別だがな」

 

あれま・・・・・魔導士って意外と空飛べないんだ。苦労するな、お前たち。

 

「・・・・・」

 

そういえば言ってなかったな。

 

「姫さん、ありがとうな。洞窟内のスケート、楽しかったぞ」

 

頭を撫でて感謝する。と、彼女はコクリと頷いた。

 

「・・・・・シャルロット」

 

「ん?」

 

「私の名前」

 

・・・・・・この姫さんの名前か。

 

「私たちの命、あなたたちなら預けれる。だから、名前を教える」

 

「分かった。そう言われたら何がなんでもダンジョンを攻略しなきゃな。

期待してくれ、シャルロット」

 

「・・・・・任せる」

 

コクリと頷くシャルロット。

 

「うわあああああああああああああああああああああああああっ!」

 

『っ!?』

 

橋の向こうから悲鳴が聞こえた。まだ、生き残っている奴がいた。

 

「行くぞ」

 

―――○●○―――

 

「―――なんだ、ここは」

 

悲鳴が聞こえた場所に辿り着くと、広い空間に惨状と物語らせる血痕が広がっていた。

死体は一切なかった。

 

「さっきまで何かと戦っていた、ようだな」

 

「でも・・・・・一体何と・・・・・」

 

「・・・・・」

 

皆は背中を合わせて警戒する。―――不意に、気配を感じた。

 

「上か!」

 

俺の発言と同時に、上から鋭く何かが降ってきた。

 

「換装!」

 

エルザ・スカーレットの鎧が光に包まれ、白銀の鎧へと一変した。背中に二対四枚の翼のような

形状に、腰を覆うドレス上の白銀の鎧、肘まで覆う籠手の手に二つの剣を持っていた。

 

「ふっ!」

 

彼女はその鎧のまま上に飛翔した。降ってくる影に擦れ違い様に五芒星を描くように切り裂いた。

 

「おお、やるな」

 

「だろう?なんたってエルザはS級魔導士だからな!」

 

「またの名を『妖精女王(ティターニア)』と称されている」

 

ナツ・ドラグニルとグレイ・フルバスターがエルザ・スカーレットの情報を教えてくれた。

 

「でも、一体何が落ちてきたの?」

 

「さあ・・・・・なんだ?」

 

今のが何らかのモンスターなら呆気なさすぎる。まだ何かあるはずだ。そう思っていると、

エルザ・スカーレットが叫ぶように言った。

 

「全員!そこから退けっ!」

 

「っ!」

 

その言葉に反射的で動きだす。三人の姫とルクシャナをまた翼と腕で抱えて壁際に

避難したその直後。今度は物質が落ちてきた。鈍い音を立て、軽く床を揺らす。

 

「・・・・・なんだ?」

 

肉の塊と表現がピッタリな赤黒い大きな塊が落ちてきた。

こんなものが塔の中にいたというのかよ。『幻想殺しの籠手(イマジンブレイカー)』を装着して警戒する。

 

「まさに悪魔の異形・・・・・」

 

侮蔑を含んだ声音がルクシャナから聞こえた。

 

「こいつが最後の敵だって言うんなら、俺がぶっ倒す!」

 

そう言うナツ・ドラグニルが腹を膨らませた。

 

「火竜の咆哮ぉっ!」

 

膨大な熱量で灼熱の炎が口から出て目の前の肉を焼き焦がす。―――だが、

 

「なんだと」

 

肉の塊は燃え尽きないどころか、ダメージを与えれなかった。

ナツ・ドラグニルの炎を肉の表面に開いた穴が吸い込んだからだ。

 

「こいつ・・・・・俺の炎を吸いこみやがった!」

 

「いや、正確には魔法、魔力を吸いこんだ」

 

「なんにせよ、攻撃しない訳にはいかないだろう!」

 

バサッ!と上半身裸になるグレイ・フルバスターが左拳を右手の平に置いて魔方陣を展開した。

 

「アイスメイク氷雪砲(アイスキャノン)ッ!」

 

氷が大きな大砲となり、氷の塊の砲撃をする。あいつの氷の弾丸は―――また、

肉の表面に開いた穴に吸い込まれた。

 

「んだと・・・・・!」

 

次の瞬間、肉の塊から蔓のような、鞭のような形状の肉厚が無数に飛び出して来て俺たちを襲う。

 

魔法無効化(マジック・キャンセラー)の能力を持っているぞ!」

 

「こなくそぉっ!」

 

一気に形勢が逆転した。魔法、魔力を吸収されては打つ手もない!ナツ・ドラグニルたちは

襲いかかる肉の触手に迎撃する。防戦一方だ。唯一、物理攻撃ができるエルザ・スカーレットは

舞うように剣を振るい、触手を斬り捨てる。

 

「はっ!」

 

大剣で一閃。一気に無数の触手を切り捨て、片手に金色の錫杖を虚空から展開して床に突き出す。

そして、シャルロットたちの周りに金色の膜を張る。

 

「何か遭ったら誰でもいいから叫べ!」

 

「・・・・・分かった」

 

「オーフィス、クロウ・クルワッハ。念のために四人を守ってくれ。

ついでに肉の塊にも攻撃してくれ」

 

「「わかった」」

 

もうこの二人がいれば最強の砦だろう。ヴァンと共に肉の塊に突貫する。

そっちが鞭で来るなら、こっちも鞭だ。

籠手の能力、消滅のオーラを鞭の形状に具現化して振り回す。消滅の鞭に触れたとこから

触手の肉は削れる。一気に数十の触手に襲われても消滅の鞭によって無効化される。

俺の隙を突こうとする鞭はヴァンに切り裂かれる。そんなことを繰り返していると、

 

「・・・・・すげぇ」

 

「ナツ、感心している場合じゃない。私たちも負けていられないぞ」

 

「おう!わかってらぁっ!」

 

「そうだな。フェアリーテイルの名に懸けてこいつを倒すぜ!」

 

あいつらも気合が入ったか。これならなんとかなりそうだ。

 

「滅爪」

 

空間を引っ掻くように爪を立てて振るった。消滅のオーラの斬撃が肉の塊の表面を削る。

 

「滅び玉」

 

ギュンッ!と籠手の手の平に消滅のオーラを極限まで圧縮した小さな玉を作りだす。

 

「お前ら、一旦離れろ!」

 

そう告げて、小さな玉を肉の塊に投げた。俺の力に反応したようで肉の表面に穴が開いた。

―――それは喰らえないぞ?

 

ギュポンッ!グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

滅び玉が一気に膨張して肉の塊だけじゃなく床まで文字通り削る。

 

「す、吸い込まれる・・・・・っ!?」

 

「あ、すまん。忘れていた」

 

アレはいわゆるブラックホールに近い。吸引の力も含まれている。

魔方陣を展開して肉の塊を覆うようにし、防風対策もした。

そして、しばらく経った頃には眼前の肉の塊が消失していた。

 

「あっ、失敗したなー」

 

「どうした?」

 

魔法無効化(マジック・キャンセラー)なんて貴重な能力、強奪すれば良かった」

 

「なんだ、そう言うことか」

 

あれ、呆れちゃっている。まあいいや。

 

「敵は倒したことだ。次に進みたいところだが・・・・・」

 

「次に進むって・・・・・進む道がないぞ?」

 

階段も扉もない。さて、どうやってこのダンジョンをクリアする?

 

「・・・・・イッセー」

 

シャルロットが俺を呼ぶ。何でしょうかね?

 

「どうした?」

 

「・・・・・多分、上」

 

「上・・・・・?」

 

肉の塊が降ってきたところか。見上げて、視線を天井に向ける。

 

「あれ、なんか・・・・・紋様が刻まれている」

 

「紋様と言うより・・・・・文字か?ありゃ・・・・・」

 

見たこともない文字が天井に記されていた。えーと・・・・・ミョズニトニルン・・・・・?

なんのことだ?

 

「・・・・・あれ、イッセーの額にある文字と同じ」

 

「なに?」

 

聞き捨てならないことをルクシャナから聞こえた。

振り向けば、手鏡を取り出していたルクシャナが俺に突き出してくる。

 

「ほら、前髪を上げてみてみなさいよ」

 

「・・・・・」

 

その通りに前髪を上げて額に刻まれた文字を見た。こんなことをしている俺に気になったのか、

ナツ・ドラグニルたちが集まってくる。

 

「あっ、本当だ。同じ文字よ?」

 

「どーなってやがる。アレとお前の額に刻まれている文字と何の関係があるんだ?」

 

「・・・・・」

 

「というか、あの肉の塊を倒したのに、俺たちはいつになったら外に出られるんだ?」

 

そのことについては同感だ。なんだ、他にまだやり残していることがある?

 

「・・・・・イッセー、試してもらいたいことがある」

 

「エルザ、なんだ?」

 

「同じ文字を記されているなら、お前があの文字に触れてみたらどうだ?」

 

「・・・・・・」

 

今はそれしか方法がないか・・・・・。彼女の提案に同意した天井まで飛んだ。

そして、同じ文字同士をくっ付け合う―――。

 

カッ!

 

次の瞬間、天井の文字が光り輝きだした。それだけじゃない、俺の額の文字も光り輝く。

文字から光の粒子が降り注ぐ。ゆっくりと下に落ちて皆と様子を見守る―――。

 

フッ。

 

『・・・・・・』

 

あれ、足場の感覚が無くなったぞ?視線を下に向ければ―――。真っ暗な奈落の底だった。

 

「え・・・・・・」

 

一拍して、穴から強烈な吸引が発生して俺たちは穴の中に吸い込まれた。

 

「うわああああああああああああああああああああああああああっ!」

 

ガッシャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!

 

吸い込まれてすぐ。俺たちはどこかに落ちた。体を起こして辺りを見渡すと・・・・・。

 

「・・・・・凄い」

 

周りは金色に輝いていた。いや、違う。金銀財宝ザックザク!

膨大な量の財宝がそこらじゅうにあった。

 

「うっはーっ!すげぇ、お宝だぁっ!」

 

「わぁ、綺麗な宝石だわ!」

 

「おお・・・・・・本当に財宝があったんだな」

 

「マジでか・・・・・これ、持って帰っていいのかよ・・・・・?」

 

ナツ・ドラグニルたちが大はしゃぎ、俺たちはと言うと、呆然としていた。

 

「これはこれで凄いんだけど、どうやったら外に出られる?」

 

「さあな。だが、ダンジョンは少なからず面白かったのは事実だ」

 

「後、四つ。こんなことをしなくちゃいけないんだな」

 

「イッセー、頑張る」

 

マジですかぁ・・・・・ん?中央に置かれているあの香炉はなんだろうか?

中央に向かって跳んで香炉を観察するように見詰めていると、

コンコンと固い感触が頭から感じた。

振り向けば、シャルロットを含めた三人の姫がいた。どうした?と視線に乗せて見詰めていると、

杖で香炉を突き刺した。

 

「・・・・・それ、貰ってもいい?」

 

「ん?ああ、香炉のことか?別にいいぞ。秘宝は興味ないからな」

 

「・・・・・興味ない?」

 

うん、と頷く。俺は別の目的がある。それさえ果たせばそれでいいわけだ。

 

「・・・・・あなたはとても不思議」

 

「はは、異例とか非常識とかよく言われたが、不思議か。初めて言われた」

 

パチンと指を弾く。すると、周囲の財宝の周りにポッカリと空間に穴が開き、

掃除機のように吸い込む。あっという間に財宝を吸いこめば穴を閉じて、

それから中央に置かれた香炉を手にする。

 

「はい、ダンジョン攻略達成だな」

 

笑みを浮かべ、香炉をシャルロットに突き出す。

彼女は若干、頬を赤く染め、コクリと頷いて香炉を手にした。

 

「・・・・・あなたたちがいなかったら私たちは死んでいたかもしれない」

 

「んじゃ、運が良かったな」

 

「・・・・・お礼、何が良い?」

 

お礼?んー、お礼か・・・・・。

 

「じゃあ、一つだけ良いか?」

 

「・・・・・なに?」

 

「シャルロットとあと二人の姫と友達になりたい。ダンジョンを攻略した仲だしさ」

 

「―――――」

 

シャルロットが目を丸くした。あれ、意外そうな顔だな。他の二人も同じ感じだ。

 

「・・・・・私たちと友達になりたいなんて、あなた、変わっているわね」

 

「そうね。普通、ガリアの姫である私たちと婚約したいとか言い出すのかと思った」

 

ここに来て、初めて喋ったガリア王国の姫たち。

 

「いやー、なんとなくだけど、お前ら。友達いないだろう?」

 

「「「・・・・・」」」

 

押し黙った。図星だったのか?

 

「それとそこの姫さん。どうせ拒否される願いを俺がすると思ったか?

そりゃ、今でも可愛いが数年後にはガリア王国が誇る美しい女性となるだろうけど、

それは自分が好意を抱く異性に―――って、何故顔を赤くする?」

 

「・・・・・っ」

 

率直な意見を述べただけなのに・・・・・ああ、照れているのか。初々しいな。

 

「ジョ、ジョゼット・・・・・」

 

「え?」

 

「私の名前です。イッセー。これから私のことをそう呼んで。

・・・・・友達、なりたいんでしょう?」

 

・・・・・・。ちょっとびっくり。まさか、姫さんからそう言いだすなんてな。

 

「ああ、友達になりたい。よろしくな、ジョゼット」

 

手を突き出せば、ジョゼットは恐る恐ると小さな手を出してきて俺の手を握り返してくれる。

 

「大きい・・・・・」

 

「ん?」

 

「い、いえ!何でもないわ!」

 

バッと手を離された。―――と、思ったらシャルロットが握ってくれた。

 

「・・・・・友達」

 

「おう、シャルロットも友達だ」

 

「・・・・・」

 

コクリと、シャルロットは頷いた。すると、今度は

 

「そんじゃ、ここまでしてくれた礼に私も友達になってやろうじゃないか」

 

明らかに二人より年長だと思しき少女が手を出してきた。

 

「私はイザベラ。よろしくね。イッセー」

 

「おう、よろしくなイザベラ」

 

「ガリア王国の姫にタメ語なんて肝が据わっている平民だこと。面白いわね」

 

・・・・・・元、次期人王だったんだけどねぇ・・・・・一気に平民に降格か・・・ぐすん。

 

「さて、どうやって帰ろうか?」

 

「・・・・・多分、あの扉から」

 

またしてもシャルロットがどこかに指摘した。そこに向けば、静かに佇んでいる扉があった。

 

「あれか・・・・・皆、準備は良いか?」

 

そう全員に訊けば、全員は頷いた。その様子に俺も頷いて扉に向かう。

そして―――扉のドアノブを掴んで、火なりながら開け放った。

 

その瞬間、扉の向こうから光が洩れて俺たちを包んだ。

 

視界が白く塗られしばらく視界を奪われていると、耳にざわめきが聞こえてきた。

目をゆっくり開けると―――。ガリアの町が映り込んだ。

 

『・・・・・・・・・・・・・』

 

沈黙がこの場を支配する。後ろに振り向けば、皆がいる。

そして、塔が突然に光の粒子と化となってガリア王国から姿を消した。

 

「えーと・・・・・ダンジョン攻略しました・・・・・?」

 

―――次の瞬間。周りから歓声と言う怒号が轟く。この六千年間、

誰も成し遂げれなかった偉業なことを俺たちがした。だから感動をしているんだろう。

 

「―――まずは、一つ」

 

残りは・・・・・四つか。先が長いな。

 

―――○●○―――

 

ガリア王国は賑やかになっていた。もうお祭り状態と言っても良いだろう。

国だけじゃなく、王城ヴェルサルテイル宮殿も似たような感じだった。

ナツ・ドラグニルたちが任務を達成したお礼に、今回ダンジョン攻略した俺たちも一緒に宮殿に

招かれてちょっとしたパーティを楽しませてもらっている。

そして・・・・・この国の王とその弟に絡まれている俺であった。

 

「フハハハハ!懐かしい奴らの子供であったか!道りで似ているわけだな!なぁ、シャルルよ!」

 

「そうだね、兄さん。イッセーくん、娘たちを守ってくれてありがとう。心から感謝しているよ」

 

「俺だけの力じゃないんだがな・・・・・」

 

それに今の父さんと母さんは敵となっている。そんなこと、言えるわけがないだろう?

いまの現状にとっても複雑だ。

 

「王族の掟とはいえ、娘たちをダンジョンに攻略させるために行かせるのは本当に心を痛んだ。

だが、それはもう終わった。あの塔は消失したのだからな」

 

「始祖ブリミルの秘宝も手に入れた。これからはガリアの統治に意識を向けようよ兄さん」

 

「もちろんだシャルルよ」

 

酒で顔を赤くしても瞳には意思が籠っていた。この二人、良い人たちだな。

 

「イッセー」

 

俺たちの横から青いドレスを見に纏ったジョゼットが近づいてきた。因みに俺はタキシード姿だ。

他の皆もガリア王から借りているドレスとタキシードを見に包んでいる。

まあ、食事に夢中だけどな。

 

「ジョゼットか。綺麗なドレスでさらに美が引き出されているな」

 

「も、もう・・・・・お世辞言っても何も出ないわよ」

 

「何も出なくても、綺麗なものが目の前にいる。それだけで十分だ」

 

「・・・・・」

 

モジモジとジョゼットは照れているようで顔を赤くする。

 

「ほう・・・・・?」

 

現ガリア王のシャルルが瞳を煌めかせた。あれ、この感じ・・・・・物凄く覚えがあるぞ。

 

「ふふっ、なるほど、そういうことか」

 

「なにがだ、シャルル」

 

「いやいや、兄さん。これは当事者たちの問題だ。外野である我々は少しだけ離れていよう」

 

「む?お前がそう言うなら・・・・・」

 

なんだろう、あのヒト・・・・・物凄くフォーベシイと似ているところが一瞬だけあったぞ。

シャルルの兄であるジョゼフをどこかに連れていく姿を見ていると、ジョゼットが口を開いた。

 

「あ、あの・・・・・イッセー?」

 

「なんだ?」

 

「私と・・・・・踊ってくれない?」

 

踊り?ああ、なるほどな。俺は恭しくお辞儀をする。

 

「かしこまりました。この私でよければ、

ジョゼットさまの踊りのお相手を務めさせてもらいます」

 

自分でして、似合わない言動だぁー。彼女の手を引いて、

ダンス会場と化となっている空間へ赴き、流れる音とリズム合わせて、ターンやステップ、

彼女の動きに合わせてしばらく踊り続ける。そうこうしている内に、周りが俺たちを見ていた。

 

「・・・・・」

 

ジィーと俺を見上げるジョゼット。何だろう、言いたげな顔だな。

 

「俺のダンスがおかしいか?」

 

「ち、違います。―――あっ」

 

彼女の足が俺の足に引っ掛かって床に倒れそうになった。ジョゼットの腕を引き上げ、

腰に腕を回して抱きかかえるように体勢を整えて立ち直す。

 

「大丈夫か?」

 

「―――――っ!?」

 

バッ!

 

突然、彼女が俺から離れて駈け出した。・・・・・え?何事?

 

「・・・・・」

 

徐に俺に近づきて来たのはシャルロットだった。

 

「次、私の番」

 

「え?」

 

「・・・・・」

 

「・・・・・分かった」

 

だから、そんな睨むように見ないでくれよ。

 

―――ジョゼットside―――

 

「はぁ・・・・・はぁ・・・・・」

 

お、思わず彼から逃げ出すように離れてしまった。きっと変な子だと思われたに違いないわ。

 

ドキドキ・・・・・。

 

この胸が高鳴るのって・・・・・本で読んだのと同じ・・・・・私、まさか平民に

恋しちゃっているの?そんな、身分も地位も天と地の差なのに、許されない恋を

私はしちゃっているの・・・・・?

未だに高鳴る胸、心臓に手をやっていまの自分の気持ちに葛藤していると、

 

「ジョゼット、どうしたんだい?」

 

「お父さま・・・・・」

 

父が尋ねてきた。

 

「顔が赤いが・・・・・もしかして風邪でも引いているのかい?」

 

「い、いえ・・・・・そうではありません」

 

そう答えると、お父さまは笑みを浮かべた。

 

「では彼に、イッセー・D・スカーレットという平民に恋を抱いているのかな?」

 

「なっ・・・・・!」

 

核心を突いた事実を突き付けるお父さま。私の気持ちを気付いて―――!?

 

「ジョゼット、平民と王族と結ばれることは決して許されない。

これは先祖代々ガリア王国を守ってきた先代のガリア王たちもその子供もそうだった」

 

「・・・・・」

 

やはり、私は彼と結ばれることはダメと、そんな運命に縛られるのですね。

 

「が―――、兵藤家の者なら話は別だ」

 

「・・・・・兵藤家?聞いたことがない貴族の名前ですね」

 

「貴族ではない。僕たち人の頂点に立つ王、人王なのだよ」

 

人王・・・・・兵藤家?でも、それが彼と何の関係が・・・・・。

お父さまは私の気持ちを理解したのか、説明してくれた。

 

「彼はね、ジョゼット。僕と兄さんがまだ若い頃に色々と世話になった両親の子供なんだよ。

その両親は人王、兵藤家の一族の者だ」

 

「え・・・・・!?」

 

「ということは、彼も人王の一族だ。いまはイッセー・D・スカーレットと名乗っているが、

本名は兵藤一誠のはずだ」

 

兵藤・・・・・一誠・・・・・・。

 

「だから、違う国とは言え彼は王族の子供。ジョゼットこれから末永く彼と仲良くして交流をしてもらいたい。ガリア王国は次代の王に掛かっているからね」

 

「お父さま、それって・・・・・」

 

「ふふっ、今の僕は酔っているからね。自分の娘に何を言ったのか明日になったら

忘れているだろうから言わせてもらうよ。イッセーくんを色んな方法でもいい、

―――彼を手籠なさい」

 

「んな―――っ!?」

 

自分の父親がとんでもないことを発した。絶句して顔がいつにも増して赤く熱くなっているのを

自覚している私を余所にお父さまは、どこかに行ってしまった。

 

「・・・・・あの人と恋愛ができる・・・・・」

 

そう思った瞬間に、私は堪らなく嬉しくなった。だって、私の恋はまだ終わっていないから!

 

―――一誠side―――

 

シャルロットとダンスが終えたと思ったら今度はイザベラと踊り、

さらにクロウ・クルワッハとも踊れば、オーフィスを肩に乗せたまま、

エルザ・スカーレットと踊った。

それからパーティは幕を閉じてそれぞれ設けられた部屋で就寝するハズだった。

 

『こんばんわ、聞こえていますか?原始龍です』

 

脳裏にあの龍の長から話しかけられた。心の中でも聞こえる?

 

『ええ、口で言わなくても思いで返事をしてくれれば問題ないです』

 

なるほど、便利だな。それで、何か用か?

 

『そうですね。労いの言葉を、と思い話しかけました。お疲れ様です』

 

大して疲れはしなかったけど、色々と遭ったのは間違いない。見ていたから分かるだろう?

 

『エルフの少女と共に使い魔のルーンを刻まれ、主と使い魔の関係となったことも

こちらで確認しました。しかし、あなたは本当に異例中の異例です。

そのルーンの意味は分かりませんよね?』

 

勿論だ。なんだ、これは?

 

『簡単に言えば、始祖ブリミルの使い魔である四人のルーンです。

確には使い魔が三人で弟子が一人』

 

始祖ブリミルって・・・・・このハルケギニアの魔法の祖だった魔法使い。

その魔法使いの使い魔と弟子のルーンがこれだって言うのか?

 

『まず間違いないです。あなたは一人で四つのルーンを持ったドラゴンです』

 

おおう、俺の存在がグレートアップしたぞ。

 

『始祖ブリミルと三人の使い魔と一人の弟子についてはそちらの国で学べます。

気になるんでしたら独自の方法で調べてください。私はあまり詳しくないので。

―――さて、話は変えさせてもらいます。とても重大な話なので聞いてください』

 

原始龍の声に真剣さが籠っていた。

 

『とある国が一夜にして滅びました。その元凶はリゼヴィム・リヴァン・ルシファー』

 

―――っ!あの悪魔が・・・・・国を滅ぼしただと・・・・・!?

 

『そちらの世界では他の国の情報を知ることはできません。

、あなたが知らないのは仕方がないことなのです』

 

・・・・・そうか、そうだよな・・・・・。

 

『ですが、その国の生き残りがハルケギニアに向かっております。

兵藤一誠、どうかその者に手を差し伸べてやってください』

 

そいつはいまどこに?

 

『―――ゲルマニアに向かっております。目的はダンジョン攻略するようで』

 

そっか、そいつらしい奴を見掛けたら誘う

 

『ありがとうございます。では、ダンジョンを攻略したら話しかけます。お休みなさい』

 

お休み―――と、聞こえなくなった。さてと、俺も寝るとしよう。ふわぁぁぁぁ・・・・・・。

 


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