天空の城の世界に憑依転生した   作:あおにさい

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 滅びの呪文というものがある。ラピュタの浮遊島全てを無に帰す言葉だ。島に立ち、飛行石を掲げて僕が唱えれば島は崩壊する。ラピュタの技術と浮遊島を海に沈めるという目的は、それで果たせるだろう。飛行船艦ゴリアテより先に浮遊島に入れた時点で、勝ったも同然と言っていい。

 僕も最初はそのつもりだった。海賊たちに財宝を渡し、ついでに僕も少々の史料などを失敬して呪文を唱え、海賊船で離脱する。これだけのことだ。

 それで済むのだと僕は楽観視していた。

 

 ロミールの持つ古文書には、ラピュタについて細かく書かれている。浮遊都市の機能や建物、厳しい階級制度、ロボットや機械を使った豊かな暮らし、そして滅亡に至った経緯。

 前世で識る物語(ラピュタ)では、滅亡した理由については言及されていない。映画の外で設定などがあったかもしれないけれど、(わたし)は識らない。だからだろうか。古文書で「病によって地上に降りざるを得なかった」と知った時、僕はひどく衝撃を受けた。

 

 なぜ浮遊島は浮いたままだった? 疫病患者の隔離施設か? 健康な者が地上へ逃げて、病気の人だけが浮遊島で余生を送り死んだのでは? そして病原菌は宿る生き物を失い、断絶した?

 

 ではもし。

 ラピュタの科学力を持ってしても治せなかった病が、浮遊島を壊すことによって世界に広まったら――。

 

 ロミールは「ありえない」と断じた。今現在、何事もなく地上で人間が繁栄しているのがその証拠となると。そもそもそのような危険があるのなら、ラピュタ人が浮遊島を放置するはずがないのだ、と。

 たしかに一理ある。そうだよなと頷ける。

 前世の感覚でも、冒険を主軸とした子供向けのアニメ映画で、ハッピーエンドとなるあの映画(ものがたり)の世界で、そのような陰鬱な「その後」があるわけがないと思う。

 

 しかし、考え始めるとただ浮遊島を崩壊させるだけで済むのか疑問が湧き出てくる。物語(えいが)のエンディングをなぞるように呪文を唱えて、それでお終いなのだろうか。

 飛行石を抱えた巨木によってはるか上空へ昇るであろうラピュタの庭園は、そのまま放置していいのか? いつか遠い未来で宇宙開発によって発見され、結局ラピュタの科学を世に放つことにならないか? 海に落ちるであろうロボットや兵器は、呪文ひとつで本当に機能が停止するのか? 二度と動かないという保証はどこにある?

 

 リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ(ラピュタ王)として、見ないふりをしていいのか。

 

 僕は、ラピュタを識り制御し()()()()()させなくてはならない。ここは二次元の映像の中でなく、多くの者が生きている世界(げんじつ)なのだから。

 

 

**

 

 

 壁が消失して出来た六角形の穴へ入ると、妙なことに気がついた。遅れて入ってきたロミールに声をかけ、ランタンの火を消してもらう。

 

「……なんで見えるんだろう?」

 

 パズーがきょとりとした顔で不思議そうに首を傾げる。

 特別明るいわけでもなく、どこかに光源があるわけでもない。だというのに、周囲の壁や床の模様も色も、くっきりと認識できている。外ではわかりづらかった互いの表情まで全てだ。

 

「これもラピュタの技術の一つだ」

 

 ロミールが何でも無いように言うが、今の時代の科学を通り越した()を識っている身では空恐ろしいと思う。左手に握る飛行石も、この不思議な空間も、生半な科学では実現し得ない。記録によると約七百年前らしいが、一体その時代に何が起きていたのだろうか。

 一本道を進むと行き止まりになり、突き当りの正面にはまたあの紋章と石が埋め込まれている。それに飛行石をかざすと、床が下へ沈み始めた。――エレベーターだ。

 模様の描かれた黒っぽい壁に囲まれた狭い空間を、下へ下へ向かっていく。振動も音もなく、静か過ぎる移動は非現実的だ。圧倒されている僕らはただ無言で、動く床に乗っていた。

 やがて視界がひらけて、壁と同じ黒っぽい色の立方体が大小様々に積まれて()()()()()空間に出た。床は相変わらず動いたままで、見下ろすと、僕らが乗っている床もまた黒い立方体であることがわかる。

 

「ここが、ラピュタの中枢……か」

 

 ぽつりと呟く。

 SFの世界だった。一度そう思ってしまうと、立方体の側面に描かれている模様は機械の回路にしか見えなくなる。立方体が積み上げられて造られた壁からは、それらが出たり入ったりして回路を繋ぎ演算し、浮遊島を管理している。大規模コンピューター、演算装置、ひとつの巨大な機械だ。

 

「上の城や建物は居住区なのだよ」

 

 ロミールは言葉少なに解説してくれた。その視線は熱を帯びて演算をする立方体へ向けられている。

 やがて僕らが乗っていた床は広間を通り過ぎ、少し下へ降りて間もなく止まった。黒い壁に四方を囲まれたが、正面の壁が四角くくり抜かれる。それはやはり壁が突然消失したかのようだった。

 中に入ると、今度は黒い壁に青い線が光っている。後ろでパズーが声を上げたので振り返ると、入ってきた部分が壁になっていた。まるで閉じ込められたかのようだ。

 

「外にはちゃんと出られる。大丈夫だよパズー」

 

 声をかけている間に、僕たちが入った小さな部屋は動き始めた。下へ行っているというよりも、部屋ごとどこかへ移動しているのだろう。壁の青い線は淡く輝いて直線的な模様を描き、動いている。それをなんとはなしに目で追いかけながら数十秒ほど待っていると、再び正面の壁が消失した。

 

 最初に目に入ったのは、太い紐かパイプのようだった。遅れて、それが植物なのだと理解する。

 

「なんだこれは」

 

 ロミールが言うなり、眼前に垂れ下がっていた木の根を掴んで()けて小走りに大部屋らしき空間に進んだ。僕とパズーもそのあとを追いかける。

 

「木の根っこ……?」

 

 パズーがきょろきょろと見回して呟いた声は、広い空間によく響いた。

 広間は相変わらず黒っぽい壁だったけれど、回路じみた模様は装飾が加えられ、柱や石像で飾られている。その壁を木の根が這い、高い天井からは無数の根が垂れ下がっている。床にまで達したそれらは細く広がっていて、つるりとした表面を覆っていた。

 壁の像に絡まる根っこを触ると、感触は地上のものと変わりはないようだ。ただの植物に見える。

 

「害はなさそうだ」

 

 ひとりごちて、ロミールの様子を窺う。広間を見回し、手帳をめくり、木の根を除けて壁を調べてと忙しない。進む方向を尋ねると、迷いなく歩き出した。その確信に満ちた顔は実に頼もしい。

 

「すごい木の根だね。タイガーモス号から、庭園みたいなのが見えたからそれかな」

「時間があればそっちにも行きたいけどね」

 

 パズーの言葉に肩をすくめると、ロミールがため息をついた。

 

「難しいだろう。今いる中枢部分も相当の広さだ。全てを探索する時間はないと思いたまえ」

 

 そう言う本人が一番探索したいだろうに、一切を耐えている。

 ロミールの案内に従って足を進めながら、僕らは道中で垣間見たラピュタの技術や生活の痕跡について語り合った。緊張感に欠けるけれど、この機会を逃せば二度と目にすることはないのだと思えばつい考察したくなる。壁の模様や等間隔に並ぶ人型の像の意味、動かずに壁に寄りかかっているロボットの本来の役割、植物の侵入を許している理由。十字路のような分かれ道でロミールが手帳をめくり、「あちらに行くと玉座の間だ」と言ったときなど駆け出したかった。

 やがて行き止まりになり、僕らは手分けをして壁に這う根っこをかき分けて先へ進む標を探した。目印は黄金の紋章を刻まれた石だ。僕やパズーにとっては少し見上げるくらいの高さにあるそれに、僕の左手に括り付けた飛行石をかざす。これまでと違い、壁は消失することなく左右へ動いて開いていった。

 向こうは光に溢れて、室内一面に背の高い草が茂っている。僕の顔の高さにまで達しているそれらの間を、小さな虫が無数に飛び回り、その中央にひときわ輝く()()があった。飛行石だろうか。天井から垂れてきている太い木の根が絡み合って繭のようになっている。隙間から漏れ出ている光は青白く、茂った草が神秘的に輝きを照り返していた。回路のような模様の黒壁が見える隙間はなく、壁はものすごい数の根が覆い尽くしている。

 大きく深呼吸をして踏み出した。僕に先頭を譲った二人がついてくる足音が、妙に耳に響く。

 草をかき分けて進むと、水音が足元からする。見下ろすと、じわじわと中央から流れてきているようだった。

 前世の映像(きおく)では、このあたりの細かいことを覚えていない。精密機器と思われる機械の中枢が植物に覆われ、水が漏れ出ているのは大丈夫なのだろうか。

 

「ひどい状態だな」

 

 ロミールの声が苛立っている。ふいに頭の中で「焼き払ってやる」というロミールの声が回り、一瞬後ろから聞こえたのかと錯覚した。違う、これはムスカ大佐(別のロミール)の声だ。

 とりあえず、中央にある根の繭に近寄り、手を伸ばした。

 

「普通の植物みたいだけど、内側が光ってる」

「切り裂いても?」

 

 隣に立ったロミールが窺うようにこちらへ視線をよこした。彼が言うからには必要なことなのだろうと頷くと、切り裂くと言った割には力づくで根っこを引きちぎっていく。僕とパズーも協力して根をかき分けていき、間もなく「それ」が姿を現した。

 

「……おお……」

 

 声を漏らしたのはロミールだったけれど、僕もパズーも息を呑んでそれに魅入った。

 巨大な宝石。頭より大きな青い石――飛行石だ。三角錐を底面同士で貼り合わせた形状の美しい石は、くるくると横回転しながら根っこの繭の中で浮いている。まるで木の根に守られているかのように。

 

「これが、ラピュタの力の根源……」

 

 口をついて出たのはそんな感想だった。

 

「七百年もの間、王の帰りを待っていたのだ」

 

 厳かに言ったロミールが僕に向き直ると、目を細めて頭を下げた。芝居がかった気取った仕草が妙に様になっている。

 

「リュシータ陛下のご帰還、誠に喜ばしく存じます」

「……ありがとう。ロミールとパズーのおかげだ。ドーラ一家もね。それで、制御盤(黒い石)はどこだろう」

 

 ちょっと面食らったけれど、僕はどうにか応じて強引に話をそらした。そうでもしないと、大仰な口上を言われそうな雰囲気だったので。

 ロミールは頭を上げるときょろきょろと周辺を見回し、「こちらへ」と歩き出した。僕やパズーにとっては視界が遮られる草だけれど、ロミールほどの身長があれば上から何があるか見えるのだろう。

 数メートル歩くと、僕の胸ほどの高さまである黒い四角柱があった。ロミールが示す石柱の、斜めに傾いている上面にはラピュタ語がびっしりと書かれている。いくらか教わった単語は拾えるけど、全体の意味はまったくわからない。付け焼き刃の知識ではどうにもならないものだ。文章の形をしているのか、それともキーボードのようなものなのかも不明である。パズーも横から覗き込んで顔をしかめた。僕らは視線を通わせて、それからロミールを見上げる。

 

「……読める?」

「おまかせを」

 

 自信満々に言ったロミールは手帳片手に、しばらく無言で石版をなぞった。

 

「操作は可能のようだが……今から()()のかね?」

「必要なところを教えて。間違えそうなら言って欲しい。まずは雲を出せるか試すところから始めよう」

 

 左手には括り付けた飛行石、右手に鞄から出した手製のラピュタ語辞典(監修ロミール)を持って、僕は石版の正面に立った。制御盤(黒い石)を使うには、飛行石が必要なのだ。隣ではパズーが石版に刻まれているラピュタ語を書き写そうとしている。察して助けになろうとしてくれている彼の行動には、本当に頭の下がる思いだ。

 

「一時間やって雲が出せないなら、施設や兵器の完全停止と廃棄を優先するよ」

「陛下の仰せのままに」

 

 (うやうや)しく言ったロミールは、一転して厳しい顔つきとなり僕に次々と指示を出し始めた。こっちの単語を飛行石でなぞって命じて、あっちの文字へ飛ばして云々。都度意味を添えてくれる丁寧さである。この人、本当になんでもできるなあ。

 プログラム関係は得意ではない。それでもそういった予備知識があるのとないのとでは違うのか、繰り返していくうちに要領がつかめてくる。教え方もいいんだろう。間もなくして、空中へ外の様子を映し出すことに成功した。

 スクリーンや投映機器、モニターがあるわけでもなく、空中へ平面的に映し出される様子は、揃って息を呑むほど非現実的で超絶した技術を感じる。夜空に雲が流れているだけのなんてことのない風景に、僕らはしばし言葉を失った。

 

「科学がずっと進んでいたんだね……どうして」

 

 パズーは独り言のように小さくささやき、ふつりと言葉を切った。

 彼の言いたいこと、思うことはわかる。どうして、ラピュタは滅んだのか。三人で話し、文献をめくり、古文書を解読しても、結論が出なかったひとつだ。流行り病があったとして、技術を全て捨て去る必要はどこにもなかった。これほどの科学力があれば、人類は今よりずっと豊かに暮らしていたはずだった。それをどうして放棄したのか。まったくわからないのだ。

 

「――その話はあとにしよう」

 

 頭を振って、僕は黒い石(制御盤)に視線を戻した。彫り込まれたラピュタ語は、僕の操作に合わせて赤く光り、点滅する。

 

「待ってリュシー、あれを見て!」

 

 パズーの声に映像の方へ顔を上げる。パズーには何か見えているようだったけれど、僕とロミールは首を傾げた。夜空があるだけだ。何があったのかと僕が口を開く前に、映像に写り込んだのは金属の翼を広げた影だった。船艦ではないけど、タイガーモス号でもない。

 

「軍の飛行艇だ」

 

 ロミールがそう言って、ちらりと僕を見下ろす。

 

「リュシータ。君の善性と高潔さによって生かされた諜報員と兵士が、追いかけてきたようだぞ」

 

 咎めるような響きだった。

 無論、昼間の飛行艇は追ってこられないように細工したし、彼らの持っていた通信器具も全て壊した。元同僚であるロミールが徹底的に諜報員の持ち物を調べていたから、そこに穴はないだろう。それでも彼らは拘束から脱し、新たな飛行艇でここまで来ている。あちらだって無能というわけではないのだろう。わかっていたから、ロミールは()()しようとしたのだ。

 

「そんな言い方!」

 

 パズーが威勢よく身を乗り出してくれたのを、僕は止めた。なにか言いたげに口をぱくぱくさせたパズーはため息をつき、一歩下がって肩をすくめる。

 

「ロミール、飛行艇をどうにか出来るかな」

「やり方を教えるからよく聞きたまえ」

 

 飛行艇への攻撃方法をロミールは操作方法を交えながら語った。要塞部分から砲身を使って撃ち落とすなら簡単な操作でいい、動かせるロボット兵を使って戦ってもいい。

 僕は首を横に振り、唇をなめて慎重に口を開いた。

 

「撃ち落としたり、乗っている人が死ぬような攻撃はしない。ロボット(機械兵)を使って浮遊島から遠ざけたい。その間に雲を出すか、兵器を放棄する」

「しかしそれでは――」

「いいから操作方法を。ロボットを動かすのはこっちだね」

「……いいだろう」

 

 機械兵への複雑な指示は難しい。単純にあれを壊せとするなら忠実に従ってくれるが、そんなことをすれば乗っている人は十中八九死んでしまう。僕はロミールに助言を受けながら、飛行艇を追いやって近づけないように交戦し、なおかつ撃墜しないようにしろ――、という指示をロボットへ下した。

 映像の中にロボット兵が映り、長い両腕に薄い膜を張って飛んでいく。飛行艇から銃撃を受けているが、効いている様子はない。僕の指示した通りに数体のロボット兵が飛行艇に取り付き、窓を塞いで妨害し始めた。これでいい。

 ふ、と息をついたところを、ロミールが複雑そうに見下ろしてくる。

 

「……リュシーは少々お人好しが過ぎるように思うがね」

 

 大分表現が柔らかい。僕が忌避していることを見抜いてそういう言い方をしているんだろう。

 僕は頷いて「自覚はあるよ」と答えた。

 

「僕らはラピュタの遺物が軍事利用されるのを防ぐためにここにいる。そのために人を殺すのは間違っている」

「それが君の敵であってもか?」

 

 ロミールは、笑うでなく怒るでなく、淡々とした調子でそう問いかける。

 平和を掲げるバカバカしさは、国の上層部にいた彼のほうがよくわかるのだろうと思う。前世は平和ボケした国の一般人で、十数年生きた今の人生でも僕はただの農民だった。争い事とは縁遠く、それゆえにロミールの思考を理解できる日はこないとも思っている。それでも僕は、この()を通さずにはいられないのだ。

 

「これが綺麗事なのは承知しているよ。だけどロムスカ、()()()()()失ってしまったら、僕らには一体何が残る? 歴史を失くし、記録を失い、言葉と文字が廃れた。血は薄れ、技術は継がれず、わずかに残ったのは伝承とひとつの石だけだ。誇りと尊厳を捨ててしまえば、僕らはもう王族ではない」

 

 この黒い石を使った操作ひとつで、あの飛行艇を消し炭に出来るだろう。飛行船艦だって、物語(きおく)の通りに撃墜してしまえる。こちらに一切の被害を出さないまま、敵を全て抹殺できる。

 そうすることが最善であるのはわかっている。ラピュタ探索を担う者たちを殺し、金と技術が注ぎ込まれて運用しているであろう船艦を破壊すれば、政府はしばらく動けまい。その間に僕らは目的を完璧な形で成し得るだろう。

 ――でもその先は? 僕はきっと一生をかけて自問する。殺人者となったラピュタ最後の王様は、果たして王族足り得るか。倫理を捨てた時点で、ただの虐殺者となるのではないのか。

 

「僕を虐殺者にしないでくれロムスカ。無血をもってラピュタは滅ぶ。そうでなければいけない」

 

 頭の中をぐるりと廻る映像は、繰り返し幻聴を響かせる。兵隊の悲鳴、爆撃音、逃げてと叫ぶ少女の声、死んでいく人々を指して面白い見世物(ショー)だと揶揄するムスカ大佐の嗤い声。

 兵器は使わない。使ってはいけない。使わせてはいけない。ラピュタは壊さなければいけない。そうでなければ、僕の望む未来(エンディング)がない。

 

「わかってくれなんて言わない。――従って欲しい」

「……陛下がそう望むのなら」

 

 ロミールは薄く笑みを浮かべ、優雅に頭を下げる。ついため息を漏らし、じっと黙って見ていたパズーと目が合って僕は口角を上げた。

 僕もなかなか王様ぶりが板についてきたのではないだろうか。




ムスカ「よめる、よめるぞぉ!」

 ムスカさんの内心はきっとこう。

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