東方事反録   作:静乱

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STAGE-4 後編

 ドズンと大きな音が響く。同時にガラガラと崩れ去る本棚。パチュリーのスペルの火が移り、落ちた本は燃え盛りこの場は完全に炎のフィールドと化している。

 そんな中、少年__黒橋想也とこの図書館の主、パチュリー・ノーレッジは激闘を繰り広げていた。

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

「いつつ……っ!やば!?」

 

 先程被弾した痛みに耐えていると再び、弾幕が襲いかかってきた。素早くその場を離れるが、読まれていたのか、その場にも弾幕が飛来。またも僕は被弾する。

 

「ぐぅっ!?」

 

 弾き飛ばされるが、中々いい位置に飛ばされた。身を隠して一旦作戦をたて直すことにする。

 

 結構、厳しい。月面の時の人に比べたら対したことはない筈なんだけれど、……相性が悪い。

 なんか戦い難いんだよなぁ。こう、月面の人と同じくらいの冷静さがある。よく考えてみれば、今まで僕が戦った人って大抵力押しの戦い方する人なんだよ。

 こんな几帳面な戦い方する人とはあまり戦ったことないから、経験が足りないのか。

 

「……見つけたわよ」

「っ!?」

 

 しまった、接近に気付かなかった……いや、行ける!

 

 僕はそのまま突進。この至近距離なら回避はできない筈だ。僕は腕を降りかぶり、渾身の掌底を少女の右腕に向かって叩き込ん……

 

「読み通りよ。私が対策も無しに貴方の攻撃範囲まで入るわけ、ないじゃない」

「__っ!」

 

 バァンッ。

 そんな音と少女の声が聞こえた瞬間、目の前の空間が歪み、突如衝撃が僕を襲った。僕の渾身の掌底の、約二倍の威力……

 

「そこに、これよ!」

 

 同時に少女は大量の魔力が込もった小さい魔法弾を僕に放つ。軌道を反らすため弾を発射するが、ほんの少ししか動かない。左手が消しとんだ。

 

「~~!?(弾幕ごっこは不殺のルールじゃないのかよっ!?)」

 

 軽い混乱。しかしここで考えている訳にもいかない。右手で剣を持ち少女の本を切り裂く、それに剣を引っ掻けて背後に周り、再び右腕に蹴りを入れた。

 

「……だから、読み通りなのよ」

 

 しかし反射。

 再び僕の腹部に激痛が走る。

 

「ふっ!」

 

 そのまま弾幕を食らい、再び吹き飛ばされる。

 

「つぅ……くっそ、今の僕がこれだけ苦戦するって、どんだけだよ……」

 

 軽く愚痴ってみるが、状況は一向によくならない。寧ろ、さっさと決着を着けなければ不利になる一方だろう。短期決戦を……!

 

「考えている暇は、果たしてあるのかしら?」

 

「っ!このっ」

 

 馬鹿の一つ覚えのように再び蹴りを放つ僕。同じこと、僕にダメージが返ってくる。

 

「うぐっ……!」

 

「貴方、私に勝つ気あるの?」

 

 ついには罵倒の言葉まで受け、弾幕に当たり続ける僕。激痛が走り意識が飛びそうになる中、逆転の方法を必死に思考し続ける。

 

「(……どうすればいい。あのシールドは隙がない。さっきから色んなところに蹴りを入れてみてるけど、どこに入れても結果は同じだ。……気が進まないんだけどなぁ。仕方がない)」

 

 作戦完成、僕は痛みを感じながらも、叫ぶ。

 

「【僕が弾幕に当たった事実】と【君が弾幕に当たった事実】、【君にシールドがある事実】を反対に!」

 

「……!何故弾幕が、うぐっ!?」

 

 一瞬で僕へのダメージが消え、逆に少女がボロボロに。気を失ったのか、ゆっくりと墜落してゆく。

 これは不味いと受け止めに行こうとした時、目の前を弾幕が通る。なんとか避けて墜落した少女はどうなったか確認すると、赤い長髪の少女が受け止めていた。

 

 少女は僕に向かって叫ぶ。

 

「パ、パチュリー様は殺らせませんよっ!」

「……え?僕、殺す気なんてないんだけれど」

 

 と言ったところで、僕が剣を持っていることを思い出す。そりゃ警戒するよ。僕は剣を消してもう一度言った。

 

「大丈夫。確かにその……パチュリー?さんとは戦ったけど、殺す気なんて全くないよ。えーっと、ごめんなさい。この図書館は全て元に戻すから」

「……何を」

 

 警戒は解かれてないようだったけど、この際仕方ない。僕は能力で図書館を元の形に戻して、この図書館にいる人達の傷も全て消した。

 少女は動揺していたけれど、説明している暇はあまりないだろう。僕はそのまま図書館を脱出した。

 

 ……何か忘れてる気がするけど、まぁいいや。

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

「……ん?あれ、私どうしたんだっけって!おおっ、魔導書が大量じゃないか!ひゃっほーいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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