東方事反録   作:静乱

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STAGE-3 突入

 想也がチルノを倒して数分が経過した。今も想也は、霧の発生源だと思われる屋敷(紅魔館)を目指し、森の中を疾走していた。途中妖精に襲われたが、無闇な殺生は意味がないと(実際、妖精は死ぬというより自然に戻るだけだが)素早く避け、無理矢理突破した。

 そして現在に至るわけだ。想也は屋敷の中から沢山の力がぶつかりあっていることを察知する。急がなければと、更にスケボーを加速させた。しばらくすると、森が終わろうとしていた。もうすぐだと、想也は気を引き締め森を脱出した__

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 __瞬間、想也は何者かによって脇腹に掌底を叩き込まれた。再び森に吹き飛ばされ、背中に激しい衝撃が走り、肺の空気が全て抜かれたような感覚を覚える。更に追い討ちと言わんばかりに飛来するスケボー。想也の鳩尾に直撃し、また激痛が走る。

 

「が、ほっ。く、なん……!?」

 

 激痛に耐えながら起き上がると、目の前には中華っぽい服を着た女性が視界に入った。女性は既に拳を振り上げており、再び想也の腹部に命中した。視界がぼやけてくる中、能力を発動して復活。即座にその場を離れ態勢を立て直す。

 

 冷静になって、想也は分析する。どうやら女性は格闘戦が得意のようだ。鬼みたいなものだろうか。次に、推測でしかないが、恐らくあの屋敷の人(?)だろう。そして、僕の接近を察知した女性は僕を襲撃してきたんだな。

 百点満点である。想也の推測は的の真ん中を射ていた。一応の確認のため、想也は女性に問う。

 

「いきなり何するんですか」

「すいません。やり過ぎなのはわかっています。でも、貴方も紅魔館に進入しに来たのでしょう?通すわけにはいかないんです。……既に二人通してしまいましたが」

 

 推測が当たっていることを確認する想也。入るには平和的解決はどうやら見込めないと悟った想也は、あまり気が進まないが女性と格闘戦をすることに決めた。

 

「……名前は?」

「紅美鈴です。中国では決してありません」

「あ、はい。美鈴さん……すいません」

「え……!?」

 

 瞬間、跳躍。拳を振り上げ、殴った。しかし、格闘戦に秀でている美鈴はそれにしっかりと対応。完璧にいなし、それに合わせてカウンターを放つ__

 

 

 

 

 __しかし、そこに合わせて更にカウンター。美鈴が拳を想也に放とうとしたことでガラ空きになった美鈴のガードに、渾身の蹴り(と言っても、跳躍しながらなので通常より威力は落ちている)を叩き込んだ。

 その威力が落ちた蹴りを食らった瞬間、美鈴の身体が浮いた。腹部に激痛を感じる美鈴、しかし、彼女も伊達に紅魔館の門番をやっていない。想也の足を掴み、思いきり振り回し、再び木に叩きつけた。

 だが、叩きつけられるとわかっていればどうにでもなる。想也は叩きつけられる寸前に体勢を整え、木に手を叩きつけた。

 

「!?」

 

 急に勢いが消え、一瞬困惑する美鈴。すぐに理由に気付いたが、一瞬あれば反撃には充分だ。

 困惑により緩んだ手での拘束をするりと抜け。

 

「すいません。少しだけ寝ていて下さい」

 

 と、美鈴に声をかけた。それが聞こえたと同時に美鈴の頭部に激痛が走る。脳が揺れる感覚を感じながら、美鈴の意識は闇に沈んでいった。

 

 

 

 ……やり過ぎた?

 戦闘が終わった後、脳裏にその疑問が浮かんでくる想也。そもそも、いつものように首筋をとんってやればよかったじゃん、もしくは弾幕ごっこすればいいじゃんか。

 終わった後に色々と後悔する。後悔先にたたずとは、まさにこの状況のためにあった言葉なんじゃないかと、本気で思考してみたりしているが、とりあえず屋敷に入ることにしたようだ。

 

「……えっと、【美鈴さんに傷がある事実】を反対にっと。で、小規模の結界をちょちょいとな。よし、行こう」

 

 美鈴の傷(精々あざ程度だろうが)を回復させた想也は、遂に目指していた屋敷__紅魔館へと、突入する。

 

 

 

 

 

 

 ……は、いいのだが……

 

「……えぇ。広すぎやしない?ここがどこなのかちっともわからない」

 

 迷っていた。見事に。元々、想也は方向音痴のようなかんじだったのだ。ここまで上手く館まで来れたのは奇跡に近い。ただでさえ普通の人でも迷いそうなこの館を、想也が迷わず突破できるわけなかった。

 想也はとりあえず、棒を取り出して倒れた方向に向かうという、適当な進み方を実行したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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