東方事反録   作:静乱

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第41話 悪夢

星のカービィをご存知だろうか?いや、大抵の方々は知っているだろう。名高い星の戦士であり、スマブラでもそれなりに使われるキャラなのだから。更に詳しい方は、彼(彼女?)の別名もご存知だろう。

『ピンクの悪魔』。それが星の戦士カービィの別名でもある。そして最後に、彼は大食いであるーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーそして僕の目の前で凄い勢いで食べ物を頬張っている彼女…西行寺幽々子の髪の色はピンク。つまり、カービィ=幽々子さん←完全に一致という方程式が僕の中でたったわけで。

 

白玉楼に(何故か)留まることになって一週間。先程も述べた通り、僕の中では5日前にそういう方程式がたったのである。いや、誰でも毎日毎食三回くらい食事を作りなおさなきゃいけなくなる状況を経験すれば、この方程式がたつと思うんだ。うん。

 

それはそれとして、未だに幽々子さんの身体を使って封印以外の方法は見つかっていない。しかし、そんなことはお構い無しに『西行妖』は満開に近づいている。紫によると、満開まであと3日だそうだ。急がなければならない。何故そんなにも満開になるのを恐れているのかというと、アレは満開になると吸った精気を解放して暴れまくる可能性があるらしい。

そうなってしまえば、他の方法云々の話ではなくなる。その時点で幽々子さんの身体を糧に封印を施さなければならなくなるのだ。それはどうしても、どうしても回避したい。だからこそ、僕らは急いでいるのだが………

 

………ともかく、今日は妖忌さんに剣の稽古をつけてもらう日だ。庭に出よう。

 

 

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「甘いですぞ!」

「わっ!?」

 

僕の隙をついて妖忌さんは僕に足払いをかけた。見事にすっ転ぶ僕。くっそー………

 

「痛てててて……妖忌さん強すぎですよ…」

「いや、想也殿は私より何倍も強い。ただ、ちゃんとした剣の扱い方を知らないだけです。だからこそ今、私が稽古をつけているのですよ。」

 

妖忌さんの言うことは、完璧に正論である。僕は前世の時に剣道やらをやっていたわけではないし、この世界に来てからもとりあえず武器が欲しいから剣を使っているだけだ。しっかりとした剣の扱い方など心得ていない。

六日前、事情を話して打ち解けた僕と妖忌さんは色々会話をした。で、「剣は我流ですか?」と問われた僕は「とりあえず適当に振り回してるだけ。」と答えると、「それは勿体ない!」と、僕に稽古をつけることにしてくれた。そして現在に至るわけだが………

 

「それにしても強すぎじゃあ…」

「いえいえ。想也殿は六日前とは比べ物にならないほど成長していますよ。想也殿が今までの戦い方と私が教えた剣を組み合わせて決闘をすれば、私には簡単に勝てるでしょう。」

「本当ですかぁ…?」

 

疑問符が頭の中に大量に浮かぶ。こんなに簡単に負けてしまうのに。過大評価のし過ぎじゃあなかろうか?

 

「本当です。十年剣術を磨いた剣士にだって、今なら楽に勝てます。それこそ、今までのを組み合わせればもっと楽に。」

 

本当だろうか。兎に角僕には自信が無い。もっと頑張らなきゃ、皆を助けられないんだ。

今日の稽古は、これで終わった。僕は明日も頑張ろうと決意して、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

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意識が覚醒した。僕は立ち上がって屈伸をする。そして朝ご飯を作ろうとして部屋を出て……………………

 

 

 

 

 

そこで見たのは、

 

 

 

 

 

 

死、肉、血、肉片、死、肉、血、肉片、狂ったようにうごめく西行妖、……………皆の、僕の大好きで大事な、友達の、守ると誓った人達の、生気のない目。

都の人達の、妖怪達の、永琳の、諏訪子の、神奈子の、ルーミアの、椛の、文の、大天狗様の、姫崎の、勇儀の、萃香の、にとりの、さとりの、こいしの、輝夜の、妹紅の、幽香の、聖さんの、村紗の、一輪の、雲山の、ナズの、星の、紫の、小傘ちゃんの、ぬえの、妖忌さんの、幽々子さんの、生気のない目、身体。なんでこんなことに僕のせいだ僕がちゃんと能力を使えていればこんなことにはならなかったんだきっとそうだそうすれば皆助かったんだ大好きな皆が死なずに済んだんだ何でこうなったどうしてこんなことになるんだ僕は何もできてないじゃないか畜生僕は無力だ無力だ無力だ無力だ無力だ無力だ無力だ無力だ無力だ無力だ無力だ無力だ無力だ無力無力無力無力無力無力無力無力無力無力無力無力ムリョクムリョクムリョクムリョクムリョクムリョクムリョクムリョクムリョクムリョクムリョクムリョクムリョクムリョクムリョクムリョクムリョク。

 

 

 

 

 

 

 

アハ。僕も死のうっと。

 

 

 

 

 

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「…!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっ!!!」

「お兄さんっ(想也っ)!?」

 

無力無力無力無力無力無力無力無力無力無力無力無力無力無力無力無力っ!ぼクは無力!

 

「ぁぁぁああああああああああああああああ!!!」

「お兄さん!落ち着いて!」

 

無力無力無力無力無力無力無力無力無力無力無力無力無力無力皆を守れない僕は無力!

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい守れなくてごめんなさい皆を守れなくてごめんなさい守るって誓ったのにごめんなさいっ!!!ああああああああああああああああああ!!!」

「お兄さんっ!お兄さんは私達をいつも守ってくれてるよ!守れてなくなんかないよっ!」

 

無力無力無力無力無力無力無りょ………………

 

「そうよ想也!貴方は沢山の妖怪や人間を守っているじゃない!私達だって!」

 

…………………………こがさちゃん、ぬえ?

 

「こ、がさ、ちゃん?ぬ、え?」

「!お兄さんっ!大丈夫っ!?」

「想也っ!」

 

…………………生き…………てる。死んでない。あんな光景は、無い。………………生きてる!

 

「小傘ちゃん!ぬえ!」

「「わぁ!?え、え!?」」

 

衝動的に二人を抱き締める僕。涙が溢れる。僕は二人を抱き締めながら、言った。

 

「ありがとう、ありがとうっ!生きていてくれてありがとう!君達も皆もっ!僕が絶対守るから!」

「「う、うん!」」

 

二人に、皆に、生きていてくれたことに感謝する僕。僕は絶対に、皆を守る。必ず守って、皆で笑い合うんだ。そう、誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことが、僕にできる筈、無かったのに。

 

 

 

 

 

 


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