東方事反録   作:静乱

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第38話 前を向いて歩こう

窓から日射しが差し込む。朝のようだ。

あれから、数十年。僕はこの間、前にも後ろにも進んでいない。何かをしようと改めて誓ったことは無いし、何事にもやる気を失って、行動を何一つしていないわけでも無い。いや、僕はこの数十年で、一つだけ変わったことがある。

 

僕は暗くなった。勿論、僕も自分でわかっているし、友人も僕に指摘してくるから、明らかに暗いのだろう。今も僕に着いて来てくれる小傘ちゃんと、最近知り合ったぬえが特に心配してくれるけれど、残念ながら僕は彼女達の心配を無くすことはできない。どうしても、僕は命蓮寺の皆を助けられなかったのをどうしても忘れることができない。

いや、勿論、小傘ちゃんが忘れたわけでは無いだろう、多分彼女は皆の分を楽しく生きようと思ったんだろうな。

実際それは正解だと思う。過ぎたことをどうにかすることはできないのだから。だからそろそろ、僕も前に進まないといけない。もう、小傘ちゃんやぬえ、友人に心配させるわけにはいかないんだ。

 

兎に角、起きよう。話はそれからだ。僕は身体を起こして居間へと向かった。

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

居間に入ると、小傘ちゃんとぬえ、後何故か紫がいた。何故いるんだろう。まぁ、なんか用でもあるんだろうが。それ意外は基本有り得ないだろう。声をかける。

 

「おはよう!」

「「「えぇ!?」」」

 

驚愕の声をあげる三人。多分、まともに挨拶したからだろうな。昨日まで、まともに挨拶してなかったし。………最低だ、僕って。自己嫌悪で頭がいっぱいになる。これも僕が数十年の間に得たスキルである。全く必要が無い。

おっと、こんなんでは駄目だ。僕は前を向かなければならない。この自己嫌悪スキルは、まるで道端に缶を捨てるが如く(実際、そんな行動をしたことは無いのだが)、何処かに廃棄しなければならない。

うん。そう、今日は燃えるゴミの日だ。燃えるゴミの日に燃えるかわからないこのスキルをゴミに出す(イメージをする)僕。よし。これで大丈夫。

 

「ごめんね皆。心配かけて。もう大丈夫。」

「ほ、本当!?お兄さん!」

「なんか……無理してない?」

「そうね…そんな気がするけれど。」

 

僕の言葉に思い思いの言葉で答える三人。そんなに無理してるかんじだろうか?これは自分じゃ、わからないなぁ。うん、まぁ、いいや。それでも前を向かなきゃ。心配させちゃあ駄目だ駄目!僕は今からハイテンションになるっ!

………それは、流石に嘘だけど。

 

「そうかもしれないね。けど、僕もずっと凹んでちゃいられないよ。前を向かなきゃ!」

「……そ。ま、元気になったようで良かったわ。そうそ、今日は貴方に用があって来たのよ。」

 

予想通り。やはり紫は僕に用があったらしい。正直、紫の用件って面倒なことが多いんだよな。嫌なことに巻き込まれることが多いから、僕の心の中の『天也君』と『悪也君』が議論中だぜ。………僕、調子出てきた。僕の世界が広がるぜ。その代償でキャラがぶれまくってるけど。あは。

 

さて、天也君と悪也君の議論を皆さんに紹介しようか。

 

 

「紫にはお世話になったことがあっただろ?恩を返さなきゃ!」

「いやいや!彼奴は面倒なことばっか持って来るんだ、受けない方がいいぜ!」

「「ぐぬぬぬぬ…!」」

 

 

ーーーこんなかんじだ。あ、今天也君がヒマ○パタ○ウラで悪也君をぶちのめした。いや、なんで天也君そんなん持ってんだよ。

 

「気にするな!」

 

何処の魔王様だ。天也君はっちゃけすぎだろ、おい。僕の中身ってどうなってんだ。ネタが入りすぎだろ。これ大丈夫なのかよ。

 

「大丈夫だ、問題ない。」

 

いや、またネタかよ。ていうか僕、自分で言うのもあれだけど、元気になりすぎだよ。どんだけはっちゃけてるんだよ。

……もういいや。天也君が勝ったし、天也君の言う通りにしよう。

 

「おけ。用って何さ?」

「ええ。私の友達に会ってほしいのよ。」

 

…………えぇ?紫の友達に会ってほしい?

 

「え?紫って僕らの他に友達いたの?」

「いるわよそれくらい!貴方は私を何だと思ってるのよ!」

「えっとね、胡散臭くて偉そうにしてるくせにそこまで強くない隙間妖怪。」

「キィィィイイイ!!」

 

ゆかりは いやなおとを くりだした!

僕のぼうぎょが二段階下がってしまった!それでも進化の奇跡ラ○キー以上の防御力を誇るけど。

 

「まぁいいや。わかった。行こうよ。小傘ちゃんとぬえも着いてくる?」

「よくなi「お兄さんが行くところには私も着いてくよ!」ちょ、m「私は暇だから着いてくわ。」無視しないで!」

 

紫の台詞を華麗にスルーしつつ、僕らは紫の友達に会うことを決めたのだった。

 

 

 

 

 


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