東方事反録   作:静乱

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第32話 突撃、隣の命蓮寺

命蓮寺に着いた。実際には今いるのは命蓮寺の上空であるが。とりあえず聖さんを起こさないと。

 

「聖さ……ん?熱が退いたっぽいね。村紗。」

「そうだね。じゃあ起こすよ!聖ー!」

 

聖さんに声をかける村紗。正直耳元で大きい声は出さないでほしいのだけれと、仕方ないか。村紗の声に反応した聖さんはもう一度目を覚ます。一瞬ポケーッと辺りを見渡して、又も顔を赤らめた。

 

「な、ななななな!何でこんな状況になってるんですか想也さん!」

「え、こんな状況って………僕が村紗をおんぶ、聖さんをお姫様抱っこして空を飛んで命蓮寺に向かっている状況のことですか?」

「っっっ!そ、そう!それですよ!村紗をおんぶして命蓮寺を目指すのはいいんですよ!でも何で私をお、お、お姫様抱っこして……」

「いや、でもそうしないと二人纏めて移動できないし……聖さんおんぶしたらその……胸が。」

「っっ!!」

 

なんでそこまで嫌がるんだろう?わからない。村紗はまた爆笑してるし。いいや、とりあえず降りよう。

 

「降りますよー。衝撃に備えて下さいねー。」

 

一言かけて急降下する。ってちょ!村紗!首が!首が絞まってる!うぐ、い、息が………

着地&意識が飛ぶ。何か聞こえたけどわからなーい。

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

「知らない天井だ。…この台詞は何回目だっけ。」

 

何回目かもわからない台詞を言って起床する。首絞められて意識が飛ぶって基本無いよ。この世界来てからいろんな体験してるな。あ、僕は原作知識消しただけだから転生したとかは覚えてるよ。さて、ここはどこだ。まぁ十中八九命蓮寺だろうけど。とりあえず、部屋から出る僕。しかし道がわからない。どうしよう。しかもへんな五重の塔(五重じゃないけど)の下に宝玉みたいなのがついた物が落ちてるし。拾っとこ。そんなこんなで迷っていると、前からネズミのような耳をした少女と金と黒の混ざった髪をした女性が現れた。

想也はどうする? 

たたかう ぼうぎょ にげる →はなしかける 

というわけで僕は話しかけた。

 

「あの……」

「あ!宝塔あった!あったよナズ!」

 

しかし声をかけると同時に金と黒の髪の女性が駆け出して来る。ちょ、やばいやばい!凄いスピードなんだけど!

 

「ちょ!一旦止まって…」

「ご主人!止まれ!」

「えぇ!?なんでナズ!」

 

僕が叫ぶと同時にネズミ耳の少女(ナズさん?)も叫ぶ。その声を聞いて止まる女性。助かった…僕がほっとしていると、ナズさんが話しかけてくる。

 

「君は誰だ?見覚えが無いが。そして何故宝塔を持っているんだ?」

 

尋問だろうか。まぁ知らない奴が(多分)自分の家にいたら警戒はするだろう。ていうか聖さんと村紗は知らせてないのか。知らせておこうよ。それくらい。まぁ嘘をつく理由も無いし正直に答えよう。

 

「僕は黒橋想也。聖さんと村紗の知り合いだよ。宝塔ってこれのこと?その辺で拾ったんだ。多分、君のご主人の物だよね。じゃあ返すよ。はい。」

 

僕はそう言ったあと、ご主人さんに近づいて宝塔(?)を渡した。警戒も解いてくれたようで嬉しいね。

 

「警戒してすまなかった。あと、うちのご主人が迷惑をかけてすまない。私はナズーリンだ。此方は毘沙門天代理の。」

「寅丸星です。宜しくお願いします。」

 

僕が嬉しいなぁとか思っているとナズーリンさんが謝罪と自己紹介をしてくれた。うわ、この人達常識人だ。嬉しい。この世界何故だか常識を持ってる人が少ないんだよ。是非友好的な関係を結びたいね。さて、とりあえず道案内を頼もう。

 

「あの。聖さんのとこまで道案内お願いできますか?」

「構わない。宝塔を見つけてくれたしな。」

 

一言返事で了承してくれたナズさんと寅丸さんに感謝しつつ、僕は二人についていくのだった。

 

 

 

 


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