今正に王都クロッカスの空中にて巨大な魔法により作り上げられた大魔闘演舞の『予選』の為の競争が始まったばかりだった。
そんな誰もが夜空に広がる巨大な『
「おーおー。始まったって」
金髪を獅子の
(
黒いフードをマントにして、炎の
「カッカッカ!! まぁさか、オレっち一人で城に行くとは思ってねぇだろウルティアさんもメルディも! たんまりウルティアさんが好きな菓子と魔法人形に高額の魔本をお土産にしたおかげだって」
メルディも一緒にクロッカスで満喫出来たことを、ザンクロウの気回しだったのを感じ取り、暗黙の了解としてザンクロウが単独行動することを見逃してもらっていた。
もちろん、定期的に連絡を入れる条件として、
「さぁてさて。イッヒヒヒヒ! ぜってぇ城になんかあんぜ。これぜってぇだわ! 最初からジェラールも城に入れば良いのによォ!」
勿論、フィオーレ王国の城なのだから、国家秘蔵の何かを隠すならフィオーレ王の居城に置いておくと誰もが理解していると思うのだが、ジェラールも元評議院の議員だ。顔が割れているし馬鹿みたいに国を相手に喧嘩は売らない。利口なら。
「イヒャハハハ!!!」
だが、世界は広い。愚か者が存在しても世界は許してしまうのだ。
ザンクロウは本当に迷いもなく幾重にも警備を張られた城門前まで疾走していた。誰かが見ていればポカンと唖然として見ているか騒いでいたりして良かったのだが、今の時間帯は夜中の12時。警備を弛くなるどころか強くなる時間帯であろうその時にザンクロウは満面な笑顔も奇妙な笑い声を上げて、全力疾走で駆けくるのに対し、フィオーレ騎士隊がフル稼働して止めに入っても可笑しくはない。
「止まれこの酔っ払い!」
「悪人面しやがって、止まれ! ・・・止まれ、止まれって、とま・・・・・・」
「止まれぇぇぇぇ! 話聞い───って、止まれえええええ!!」
「ヒヒハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
「「「うわああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!」」」
きっと頭イっちゃてる人だー! と叫びながら騎士隊の男たちは城壁を囲む城の門に隊列を組んで盾になる。だが、ザンクロウは気にせず突進しようと得意の『滅神魔法』を使おうとするが、止めた。
(魔法使うと面倒かァ・・・チィッ! なら新しく覚えた
ザンクロウはぶつかるか否かという合間に、僅か数歩一瞬して後方にへと下がり、騎士隊の力を入れさせるタイミングをずれさせ、そして一気に掌を静かに甲冑に付ける。
「
すると、まるで衝撃を与えられたかのように騎士が後方にへと吹っ飛んでいった。他の騎士が呆気にとられている内にザンクロウはまた一人の騎士に同じ技で吹き飛ばす。
「き、貴様ァ!」
「コイツ!!」
周囲に居た騎士たちも騒ぎに気付き、どんどん群れ集まっていく。ザンクロウはこんな状況だというのに笑みがはち切れんばかりに広がる。
だが、これを善しとしない者が現れる。
ゴワァアッ!!! とザンクロウの瞳がいきなり光によって遮られたのだ。まるで太陽の日光を直視したかように目が一瞬にして焼けてしまい、視界が伏せる。
呻き声を軽く上げて後ろに大きく下がり、目の回復を優先するも同時に耳から情報を得る。
(騎士たちの声と、鎧と足音が消えてんなぁ。そういう魔法か?)
それなりの魔導士が警備に居ると思い、ザンクロウはその者を捕まえて利用しようと考えていたのだ。馬鹿正直者、というより馬鹿者の対応をする代表者なのだからそれなりの情報を掴んでいる奴だろう、と考えていたザンクロウだったが、やはり世はそんなに甘くなど無かった。
「ちょっと、困りますってそんな勝手な事。マジ勘弁して欲しいスけど・・・」
「アァ?」
視界がまだ回復してこない中、音から得た情報によると、随分と若い声が帰ってきた。
「・・・それがこの
「オォ?」
視界が回復してきた頃、次は女の声が聞こえてきた。ザンクロウはゆっくりと立ち上がり、目を細めて見てみると、
「オーなんだァ? まだぼやけてんのか? 目の前に変なお面被った奴と錫杖を握った綺麗なお姉さんが居るってよ」
「
よく見てみると周囲の騎士たちが居なくなっていた。ざっと20人くらいは集まって来たと思っていたのだが、とザンクロウが見渡していると、コツンコツン! と仮面を叩いている男に振り向く。
「あー・・・あー・・・・・・説明しようかと思ったスけど。えー面倒になってきったス。あー」
仮面の男はポリポリとザンクロウの前まで来ると、
「何ぃ勝手な事してんのアンタ!?」
「ぐぼォ!?」
急に脈絡も無くキレて殴ってきた仮面の男に流石のザンクロウも殴られた頬を撫でながら呆然とするしか無かった。鼻血まで出てきている。
「あー・・・うん。マジ怒ってるんスよ。こういう勝手なことされっと困るんス」
「さっきから何だってんだよォ! そしてこっちもいきなりの右ストレートぉぉぉ!!」
いきなり訳分かんなく殴ってきた仮面の男にザンクロウの容赦の無い本気のパンチが繰り出される。それはかなり感触のあるハズのパンチだったのだが、ザンクロウのパンチは虚しく仮面の男を
「なッ!」
「うわこわー。いきなり殴ってきたっスねぇ。でも効かねぇっス。オレには一切の攻撃は効かねぇんスよ」
仮面の男は、何の顔のパーツの無い
「あーオレたちは勝手なコンビを組んでいる『傍観者』なんスよ。オレの名前は
「勝手ながらのコンビの2、
ザンクロウの目の前に立つ二人の異様な魔力と格好に面食らう。
無貌の仮面の男が
綺麗なお姉さん、に〝見える感覚〟に襲われるこの
「魔法の招待も分からねぇわ、本当に何者なのかも分からねぇわで怖ぇってよ。
「その名も所詮は虚像よ。真に受けるなよ。どっちでも良いがな」
城門前でとんでもない相手に遭遇してしまったザンクロウは体術だけではなく、『滅神魔法』も使う意気込みで構えを取る。
「片方はすり抜けんならもう片方もすり抜ける、なんて同じネタ晒すワケじゃねぇんだろ? だったらコレでも食らって正体見せろってよオ!」
人の目が相手側の魔法により無いことを確認していたザンクロウは、腕に〝黒炎〟を纏って一気に駆ける。
「炎神のォ!
ピシンッ、と場違いが音が支配する。
「───ッ こいつ!」
放たれた黒炎の拳撃がどれほど危険なものなのか目の前に気怠い立ち姿のままだった無貌の仮面の男・
ザンクロウの〝黒い炎〟が拳に纏い、余りにも強烈過ぎるその炎熱は周囲の空気を
だが、その余りにも『危険』な拳撃を、まるで身体を動かずに、
(なァ!?)
これに一番衝撃を受けたのは、何よりも本人、ザンクロウだった。唖然として目前で拳が止められている己の拳と相手を交互に見比べたりもして、混乱する。
「な、んだ? 見えない壁にでも防がれたのか・・・・・?」
「ふぃ~死ぬかと思ったっス。まさかいきなり『滅神魔法』使ってくるとは・・・・」
「・・・・・・流石の私も焦ったぞ。あれは紛れもなく本気の攻撃だった」
「あ゛ぁぁああ!? マジむかつくってよォ!」
「うわぁ待って待って、本当に争う気はこっちサラサラ無いの聞いてたスか?」
「まぁこちらも話してはおらんかった」
「話を聞け炎の
ザンクロウは静かに、僅かながら殺気を噴出してしまう。
ガシッ!!! と首を手で締め上げられるのではないか、と錯覚してしてまうくらいの殺気に、
(こ、れほど・・・とはッ)
手の震えで錫杖の
(大切なもの、護るものがあると、ここまで・・・・・・殺気と闘気が入り乱れ、こんなにも息苦しくするものなのかっ?)
ハァハァ、と
そしておもむろに無貌の仮面から言葉を吐かれる。
「今は『大魔闘演舞』予選の開始が始まったばかりっスよー? 急がずにこれを眺めて楽しんでりゃぁ良いんスよ。あーほんと説明するのに、どうしてこんなことになってんスか? マジ嫌っス」
ペタンと地に座り、ザンクロウが未だに殺気を収めていないのに気付く。
「あー、ウルティアさんにメルディさんの事っスね? そんなのちょー簡単な理由っスよ。『傍観者』を自称すんスから情報もってんのも当たり前じゃないスか、分かるんスよ。そーゆー魔法っス」
「・・・・・・どぅにも気に食わねぇってよ。何で邪魔をする? 何で言うこと聞かないといけない?」
「あーそういえばザンクロウさんやウルティアさん、メルディさんざワザワザ探して、入れて上げた『
「・・・オイオイ。まさかテメーおい。本当に〝視えてる〟のか?」
「戻りなってザンクロウさん。祭りは始まる。これからね」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ザンクロウはまだまだ言い足りないくらいあったのに、全てを喉で詰まらせ、無言で従うことを選んだ。
別に相手の考えにまで従っていたわけじゃない。たまそれが何より一番手っ取り早く終わることを予想したからだった。
「カッ! あれだろ? やっぱ城にはネタバレしそうなのが沢山あるから来させないでって自主規制が掛かったんだろゥ?! ふっざけんなよ」
そしてあの
警戒するに越したことは無い。
ザンクロウは思考を巡らせながらも王都・クロッカスの街中まで戻り、喧騒が止まない真夜中の居酒屋にへと入っていた。珍しくも和風の居酒屋で、東方の酒が沢山ある店だった。
中は既に数人しか居らず、外に出てお酒を飲むサービスにありつけている客人は最高に盛り上がっていた。
(だが、分かったこともあったぜ)
ザンクロウは適当な酒を店員に頼み、先程分かったことを頭の中で整える。
(年に一度の大祭り、そりゃ王城の警備が厚くすることには何の疑問も浮かばなかったろうが、ありゃ少し無意味に多かった。・・・精々屈強な騎士や魔導士を配備させるだけでも王城の城壁は固められるだろう。だが、城門前に20人もの
注文した酒を一気に煽り、一息つく。
「これは、なんかあんだろうって」
ニヤリ、と笑ったザンクロウは、また酒を勢い良く喉に通していった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「お客さーん。もう店閉めるよ? 起きてくれねぇかなぁ!」
考えに耽り、一人で飲んでいたザンクロウは先程邪魔されたのが気にくわなかったのか、酒を沢山飲んではまた飲んでの繰り返しをして、一人で潰れてしまったのであった。
居酒屋の店主はザンクロウが記憶が飛ぶ前に置いたのか、ちゃんと手元にはお金が置いてあった。これに店主は『酔っ払いにしては律儀だ』と感じ思い、店が閉まるまでは寝かせていたがもう朝だ。この居酒屋は朝まで営業をして、早朝には閉めるようになっているのだが、ザンクロウのように泥酔して爆睡するお客は沢山扱ってきた。なので店主はそれと同じようにザンクロウも扱うように、
「朝だぜ兄ちゃん!! 起きなぁぁぁぁあああああああああああ!!!!」
「うぉぉぉおおおおおおおおおおおっっっ!!? なんだって!!?」
ガクンッガシャンバタァン! と豪快に驚いたザンクロウは面白いように飛び上がり、床に転がり落ちた。店主の厳つい大きな声にザンクロウは目を吊り上げて抗議する。
「オイオイオイオイ! 客になんつー対応だっつーのって」
「悪ぃな、だがアンタを最後まで寝かせてやってたんだ。感謝して欲しいぜ。ほらほら、早く出てけ、オレはこれから寝ずに『大魔闘演武』を見に行くんだ。これを逃したら年を越せないぜ」
「あ? へ? もう、朝か?」
「そう言ってるだろう? ほら早くしてくれ。誰よりも速く行かないとすぐ混んで良い席が取れなくなっちまうよ」
ザンクロウはワシャワシャと獅子の鬣のように乱れた頭をまた掻き乱し、寝たことで少しだけ減った酔いを他所に再度思い出す。
(予選はどうなった?)
周囲に喧騒は無く、静かな音と、朝特有の冷たい空気が王都を包み込んでいる。欠伸を一つ吐き、ザンクロウは大魔闘演武会場である《ドムス・フラウ》にへとゆっくりと進んでいった。また堂々とした足取りで。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
日が上り、太陽の光が花の都を照らした時刻には既に大魔闘演武会場の《ドムス・フラウ》は数千万人以上もの見物客で満員となっていた。
年に一度の祭りなだけあり、大きな歓声と盛り上がる心臓の高鳴りを感じさせるような熱気が《ドムス・フラウ》を更に暑くさせていた。
今年も最高に盛り上がっているこの魔法の祭典『大魔闘演武』に、フィオーレ王国随一の、輝かしい一位という
今、会場にへと足を踏み入れるのだった。
『さぁ! 今年もやってきました!! 年に一度の魔法の祭典!!! 《大魔闘演武》!!!! 実況は
『よろスく』
『一日目のゲストにはミス・フィオーレにも輝いたギルド『
『今年は
ワアアアアアア!! と歓声が会場を、いや都に轟くほどに賑わいが最高潮に鳴り響く。
実況のチャパティが今大会の流れや、会場での禁止事項やらを面白い冗談など入れて聞き手を飽きさせない話術で会場を程よい雰囲気で落ち着かせる。後のギルド紹介の為に。
『さあ、
『よろスく、あー・・・・・あー・・・・・よろスく』
『ヤジマさん!! ちゃんと拡声器音出てますから』
あはははははっ!! と会場が活気の笑いで満たされる。ヤジマの(恐らく)冗談に観客たちが沸く中、とうとう勝ち進んだ選手たちの入場。
『まずは予選8位、過去の栄光を取り戻せるか! 名前に反した荒れくれ集団! 〝
一番に入場してきたのは、ギリギリ勝ち進んだであろう
堂々と腕を天に衝かんばかりに翳したナツ。他のメンバーの顔も凛々しく堂々としたものだったが、反対に観客からの声援は無く、逆のブーイングを浴びせてきたのだ。
「んなっ!?」
「ブーイング・・・・・だと?」
「うぬぬ・・・・・」
ナツはまさかの反応に、グレイはまさかここまで非難を受けるとはと感じ、エルフマンは悔しさで唸る。
『毎年最下位だった
実況のチャパティの脇でヤジマが
「うう・・・・・」
「気にするな、ルーシィ」
止まぬブーイングに、気分的に愉快になるはずも無く、気落ちする中、エルザがルーシィに声を掛ける。そして同時に、耳にはブーイングではない声もあった。下を向いていたルーシィだったが、すぐに顔を上げて声がする方向へ向くと、出場していない
その声援はこの会場で何よりも小さかったかもしれないが、ルーシィには何よりも元気にしてくれる声援だった。だが、ふと
その人物とは、
本人曰く『天狼島にいるのもヒマなんですよ』と、わざわざ遠くまで来て応援してくれる初代マスターにナツは喜んで笑っていた。グレイは幽霊の凄さに冷や汗を流していたが。
そして、たとえ今まで最下位でブーイングを受けていたが
この盛り上りを掴むように、実況や進行を務めるチャパティは続けて次の予選突破した選手紹介に移った。
『さあ! 続いては予選7位!! 夕暮れに
それを聞いた
入ってきたのは、一番先頭に進み《
続いて次の予選突破した選手紹介にへと移る。
『6位には女性だけのギルド!! 大海原の舞姫!! 〝
ウォォォオオオオオオオオオオっっ!! と主に男性観客たちが
『5位は漆黒に煌めく蒼き
キャアアアアアアアアアアアアアっっ!!! 続いて登場してきたのは
そして誰もが言わずと知れた『
別名『白夜のヒビキ』と呼ばれるヒビキ・レイティス。週刊ソーサラー「彼氏にしたい魔導士ランキング」不動の1位。その記録は7年間続くという偉業とも呼ばれる伝説を作った。
《トライメンズ》のツンデレ枠として人気を誇る別名『空夜のレン』のレン・アカツキ。肌を焼いたレンはとてもワイルドに決めて、同世代であるヒビキと並び女性の人気が規格外。
そして《トライメンズ》の別名『聖夜のイヴ』と呼ばれるイヴ・ティルム。7年後は比較的大人な男性に成長し、もはや「弟キャラ」として年齢に危惧を早めに感じ始めたのが最近の悩みという。
『4位!! ・・・・愛と戦いの女神!! 聖なる破壊者!! 〝
ドッッ!! と会場がまた熱気が上がるのを感じた。堂々と入場してくる
グレイの兄弟子でもあるリオンも所属しているそのギルドには、なんと『聖十大魔道』の一人である別名『岩鉄のジュラ』と呼ばれるジュラ・ネェキスも参加していた。
この『聖十大魔道』通称は聖十と呼ばれ、《評議院》が定めた大陸で特に優れた10人の魔導士のことをそう呼んでいた。これには
だが、この〝4位〟という実績に不満を
「何で予選4位なんだ!! 手を抜いたのかいっ!!? バカモノ!!」
〝聖十〟が居るジュラを思えば、遥か上位まで狙えたと考えるオーバには確かに、と他と
「ごめんなさいオババ様。アタシ・・・ドジしちゃって」
とっとっ、と緊張でもしてるのかと思わせるほど足取りがおぼろげで、赤紫色のピッグテールにリボンが特徴の少女がオーバに謝るが、途中で突起物が何もない砂場で転ぶ。
「シェリアあわてるな」
「ごめんね、リオン」
リオンがシェリアと呼ばれた少女に、改めて間の抜けた小さな失敗をするなよ、と頭を軽く手を当てて冷や汗を流す。
「誰だアイツ?」
「いつもの〝愛〟はどうした? 〝愛〟は?」
「
揃いに揃った他のギルドメンバーに
「シェリアはシェリーの従妹なんだ」
「おおーん。めちゃくちゃ強いんだぞ」
「ううん。アタシなんかまだまだ〝愛〟が足りないの」
「ほめてんだよっ!」
「やっ! ごめんねトビー」
「キレんなよ」
「グレイ。あの約束忘れるなよ? オレが勝てばジュビアを我がギルドに」
「約束なんかした覚えはねーけど、おまえらだけには負けねーよ」
何やら勝負事をすることを前もって約束するのなが、と勘違いした
「そういう事なら私はエルザさんを戴こう!!」
「い・・・・戴くなっ!」
「う~~ん相変わらずいい
何度も断れているエルザにアタックし続ける
「オレはおまえにするよ・・・・ふん、べ、別に好きで選んでる訳じょねーぞ」
「アンタ・・・・そのキャラ7年もやってたの?」
「そうなんだルーシィ聞いてくれ。オレはこのスタイルを墓場まで持っていくつもりなんだが、ぶっちゃけ悩んでることも──────」
「いや本当にこんな時にどんな話よ!?」
レンが何気に気安く女性に肩を回し、その見惚れてしまうほどの男前な顔が急にドアップされ、そして口から出されたツンとした後のデレも、ワイルドなレンから出されれば並大抵の女性はそれで落ちてしまうが、ルーシィは逆にこの
それを見たイヴも、『じゃあ僕はウェンディちゃんだね ♡』と意気揚々に向かうが、現在居る
きっとこの7年間で何かあったのだろう、イヴも色々な経験してきたし人生は死んでも分からないことばかりだと僅かながらも感じとるくらいは成長した、と自負している。
だから、と。
イヴが向かう先に居る人物が、あの可愛らしかった小さな少女が、たとえ
「成長・・・・・・・・・・・・・・・・したね。残念な方向に・・・・・・・・・」
「アホか」
ウェンディと間違えられるとは
そして残る《トライメンズ》のヒビキが女性だけギルド『
「僕は
「主題がズレてるよっ!!」
集まったギルドには、数多くの魔導士が我先にと因縁があるものや、関係のある者同士で既に火蓋を切ろうとしていたが、とあるギルドに
「あれって、本当に『
「・・・・この間
『
すると、まるだ
これに驚いたルーシィはあたふたとし、エルザは怯まずに手を僅かに上げ、挨拶する。
「び、びっくりしたし、なんかあの人、凄い優しそうな笑顔だった」
「あぁ。本当にあのギルドの者なのか疑ってしまう笑顔だったな。他の者も習って頭を下げていたし、もしかするとあの人がリーダーなのかもしれないな」
ルーシィやナツ、グレイを合わせ、
エルザは深く彼女を見ていたが、挨拶を交わすだけだ、それ以上の介入はなかった。
それぞれのギルドが挨拶を交わしていると、実況のチャパティが流れを進行する。
『続いて第3位の発表です! ・・・・おおっと! これは意外・・・・!! 初出場のギルドが3位に入ってきた!!』
その実況の声と共に会場に入ってきたのは、漆黒の色がギルド覆っているかのように、その者たちが現してきた。
『真夜中遊撃隊!! 〝
先頭に立ち、
「
「これは・・・・マスターの息子、イワンのギルド」
「でも・・・それって・・・・!」
ガバァッ! と反応を起こしたのは、
「闇ギルドじゃっ!!! こんなのが大魔闘演武に参加してよいのかっ!!! おおぅ!!?」
「マスター落ち着けよ」
怒りを、いやそれよりも闇ギルドが参加を許していいものなのかとマカロフは大声を上げて誰に対して抗議していいのか分からず、その場で叫んでいた。だがそれは息子のギルドだけでもあり、特別危惧していたことだった。
「確かに邪気を感じますね」
幽体でもある初代マスターのメイビスでさえ、
そしてマカロフが叫んだことにより、他の観客たちもこのギルド『
すると実況であるチャパティが説明を補足した。
『えーー公式な情報によりますと、
『ギルド連盟に認可されてる以上、闇ギルドじゃないよな』
これには解説のヤジマも納得せざるを得なかった。きちんとした取り決めを通して認可したギルド連盟。違反をすれば多大な罰則が付くのに対し、認可したものならばたとえどのような事を言おうと国の決め事を批判したこととなり、ますます面倒な方面にへと突き進んでしまう。
マカロフは歯軋りを起こし、冷や汗を流す。
「イワンめ・・・・どのような手を使って・・・・」
盛り上がる観客の出入口にて、その『
「おとなしくしていただけだよ、親父殿。この日の為に」
盛り上がる声援の中、
「
そう言うと、目元に仮面をした青い肌の奇妙な男が、肩に乗っている小動物が『キキキ』と鳴き、魔法を使い顔だけをウェンディになると、倒れるような仕草をしてウェンディが倒れた原因が分かった。
それを見たナツはすぐに血管を浮き出るほど怒りの顔となり、ルーシィや他のメンバーも同様に『
それを鎧の男は面白いように鼻で笑いながら、
「祭を楽しもう」
鎧の男の発言に、マカロフは離れてながらも聞き、息子・イワンの変わらぬ卑怯な手に怒りを現していた。
『さぁ・・・・さあ予選突破チームは残すとこあと2つ 』
あれ? と観客たちは首を傾げて不思議に思う。一つは現在ファオーレ
そこでグレイとエルザはまだ見ぬ知らない強いギルドがあるのかと身構え、そして同時にジェラールたちに頼まれた『謎の魔力』が関係するのでは、と出てくるギルドを待っていた。
ザワザワと会場があのギルドか、いやそれともあのギルドかと互いに話し込んでどのギルドの者がこの『大魔闘演武』2位の座に着いたのか気になってしょうがない様子だった。
一つは『
『さあ!! 予選2位のチームの入場です! ・・・・んんん!? おおっとこれは意外!!! 堕ちた羽のはばたく鍵となるのか!? まさかまさかの・・・・』
オオオオオオオオオオオッッ!!! と歓声が上がる。そして、実況の声と共に現れたのは、突如一瞬にして会場に
『〝
「「「「何ぃぃぃーーーーーーーーっっ!!!?」」」」
そう。そこに現れたのは同じ
まずそれに一番反応したのは、エルフマン。
「姉ちゃん!?」
「ガジル!!?」
「ジュビア!!!?」
「ラクサスとか反則でしょーーーーっ!!!」
会場も驚く
「つーかつーかつーか! 何で
「まさか、おまえ・・・・・ジェラール・・・?」
すると、顔が迷彩柄のマスクと布で覆っており、目元以外の肌が確認できないミストガンを見て、エルザは冷や汗を長し、確認をとってみれば、ミストガンは人差し指を口元まで持ってくると、『シーー』と静かに肯定した。
『いやー今回からのルール改正により、戸惑ってる方も多いみたいですね、ヤジマさん』
『ウム・・・今回の大会は各ギルド1チームない
ヤジマの席からでも
『決勝では各チームごとの戦いになる訳ですが、同じギルド同士で争う事が出来るのでしょうか?』
『大丈夫じゃないかね、あそこは』
『でも・・・ちょっとずるくない? 例えば一人ずつ選出して争う競技があったとして、
『100以上のチームの中、決勝に2チーム残った
『これは有利になったねぇ、マー坊(ズズズズッ!)』
『マー坊? あ、すみません。急に
その解説にルーシィが予選開始時に思った大量のギルド参加数の意味が分かった。
一人冷や汗を流して意味かま分かったルーシィだったが、横を一人前に出る者が居た。それは、
「冗談じゃっっっねえッ!!」
ナツの大声量が会場を一瞬だけ静まり返る。
「たとえ同じギルドだろーが勝負は全力!!! 手加減なしだ!! 別チームとして出場したからには敵!! 負けねえぞコノヤロウ!!」
ナツの前に立っているのは同じギルドでも、精強過ぎる『S級魔導士』として認められているラクサスを筆頭にミラジェーンと
マカロフの
「望むところだよ。
「ぬぐっ!」
そしてガジルも、負けず嫌いのせいか、ナツの啖呵に軽く挑発するように予選ギリギリ突破という痛い所を突かれたナツは言葉を詰まらせた。
「姉ちゃぁ~ん」
「うふふふ。がんばろうね。エルフマン」
そしてエルフマンも、最愛の姉妹に見せる為に出場した理由だったのに対し、まさか姉のミラジェーンが出場するとはと驚愕の事実と、家族だから分かる『魔人』ミラジェーンの果てなき強さを前に、がっつりとやる気を削ぎ落とされた。
だが姉もそんな弟の気持ちが分かっているからか、からかうようにしてミラジェーンはエルフマンに共に頑張ろうと励ましていた。戦いになれば情け容赦しなさそうだが。
「ジェ・・・・・・ミストガン。おまえ・・・・・」
「なかなか話の分かるマスターだ。事情を話したら快く承諾してくれたよ」
「会場には近づけんと言っていただろう。ルール違反だ。おまえはギルドの人間じゃない」
「この方法は思いつかなかったんだ。それに、オレとミストガンはある意味、同一人物・・・・・と聞いているがな」
エルザはまさかジェラールが参加してきたことに驚くが、それでは皆に見付かるという危険な行為では無いか、と心の底では思っても、口では言えない為に少しきつい口調で叱責する。
そして、ジェラールもエルザが思って言ってくれているのを感じながらも、『謎の魔力』をより
頑固な所がある二人だが、要点を冷静に見据えるのには卓越した二人には、流れを話せば終わることもラクサスは理解していたので、ジェラールに『ミストガンはもう少し無口だ。気をつけな』と彼に腕を回してエルザに悟らせる。
エルザも腕を組んで溜め息を吐き、ラクサスを軽く睨む。ラクサスは肩を竦めるだけで、エルザはそれで行くんだな、と理解し、それ以上は言及してこなかった。
何やら
それに、初代は『
そして、早速ジェラールはエルザに何か気付いたことは無いか、と訪ねるのだったが元闇ギルドであった『
だが、エルザも分かるように『
そんな事を話している途中に、一気に会場がオオオオオオオオ!!! と歓声が盛り上がる。
『さぁ! いよいよ予選突破チームも残すとこ、あと一つ!! そう!!! すでに皆さん御存じ!!! 最強!!! 天下無敵!!! これぞ絶対王者!!! 〝
遂に、会場の観客たちが待ち焦がれた猛虎のギルドに、ウウウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!! と地が揺れるのでは無いかと思わせるほどの大声援に、ギルド『
これは
先頭にはナツやガジル、ウェンディと同じ
ナツ、ガジル共に闘争心をギラつかせながら
『これで全てのチームが出揃った訳ですが、この顔ぶれを見てどうですか、ヤジマさん』
『あ~若いって、いいねぇう~ん』
『いや・・・・・そういう事じゃなくて』
『ぅん~?』
『うぅ、ゴホン。えーでは・・・・・皆さんお待ちかね!!』
ゴゴゴゴゴッッ!! と会場の中心から、巨大な石板のようなものが会場を揺らしながら盛り上がってきた。
『大魔闘演武のプログラム発表です!!』
オオオオオオオオ!!! と観客たちは大いに盛り上がる。これでどのような競技をするのか分かるからだった。
「一日に競技とバトルがあるのか?」
「バトルかー!!」
グレイは一日の組み合わせに何か理由を感じ、ナツはバトルがあることに喜んでいた。
『まずは競技の方ですが、これには1位から8位までの順位がつきます。順位によって各チームにポイントが振り分けられます。競技パートはチーム内で好きな方を選出する事ができます。続いてバトルパート。こちらはファン投票の結果などを考慮して主催者側の方でカードを組ませてもらいます』
「何だと?」
「勝手にカードを組まれるのか」
「つまり運が悪いと競技パートで魔力を使い切った後にバトルパート突入?」
グレイもエルザも、このルールがよく出来、尚且つ不鮮明な相手との戦闘も考えて『競技』から『バトル』へと繋ぐ魔力の使いようで、勝利を左右せれる可能性もあるということ。
『バトルパートのルールは簡単! 各チームランダムで対戦していただき、勝利チームには10
競技で稼いだあと、バトルパートで更に稼ぐことも可能ならば、競技で稼げなかったポイントをバトルパートで挽回する。という幾らでもやりようがあるという内容だった。
この大会ルールに観客たちも見所がある場面が多々出来、更には《演武》なだけあり、バトルパートという『魔』を競い闘うのを見られるという興奮で、歓声が上がりに上がっていた。
『では皆さん!! これより大魔闘演武オープニングゲーム!! 〝
更新遅くなり申し訳ない!
ザンクロウのキャラ崩壊半端ないですけど、よろしくお願いいたします!