FAIRY TAIL~魔女の罪~   作:十握剣

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本当に不定期更新だと言うのに、感想を書いて下さる方がいらして本当に嬉しかったです!

アニメではフェアリーテイルがまたと放送開始という嬉しいこの上ことなのですが・・・ヤバい。ヤバいよ。全然追い付けてないよ!

頭の中ではストーリーが出来上がっていると言うのに、如何せん書く暇が無い(´・ω・)

まだ見てくださってる方が居られるというののならば、自分も出来るだけ早く投稿出来るようしたいと思います!


第7話「大魔闘演武に入り込む者」

 

「か・・・は・・・・がっ・・・ああっ・・・・ぎぃいいいいいいいい」

 

深い森の深夜に、それは不気味過ぎる苦痛の叫びが木霊していた。

 

前回のザンクロウの戦闘の名を借りた実力測定を終わらせた後、ナツが一番に『俺がやるぜ!』とウルティアの魔法に挑戦した。

 

あり得ないほどの苦痛の叫びを上げているナツにレビィとウェンディがかなり嫌そうな顔で眺めていた。

 恐らく次にあの魔法を経験することに恐怖しているのだろう。グレイやルーシィも血の気が引いた顔で眺めていた。

 

そんなナツを眺めるように、森にある抜き出た石に胡座をかいて座る滅神魔導士(ゴッドスレイヤー)・ザンクロウ。

 そのザンクロウに近付くのは同じギルドのメルディだった。長いピンク色の髪がふわふわと揺れているのにザンクロウの意識がメルディに向く。

 

「あんだよメルディ。どうしたってよ」

 

「全っ然本気出して無かったよね、ふざけてたの?」

 

少し怒った様子で言ってくるメルディに、ザンクロウは鼻を鳴らしてケラケラと笑う。

 

「またまたァ、メルディちゃん知ってんだろォ? オレっちが本気なんて出すトコ見たことあんか?」

 

「・・・知らない」

 

「ウヒヒ、だろォ?」

 

「興味すら無いから知らないって意味で、自己の強さに酔ってそうなザンクロウに苛立ちなんて覚えてないよ」

 

「オレっちはそんなメルディが大好きだぜぇ」

 

さて抱き着くか、と立ち上がるザンクロウに警戒の為一歩下がる。

 

「いやいやいや、それよりなにより、オレっちが気になるのはここに居ないウチのリーダーと緋色の髪の美女だって」

 

「あぁ、エルザとジェラール? ・・・・ザンクロウ絶対に行かせない。絶対に!」

 

「ヒハハハハハ! じゃあメルディに抱き着くってぇ!!」

 

「キャアアアアア! だからなんでそうなんのォ!」

 

阿呆みたいに鼻の下を伸ばしたユル顔で抱き着こうとしたザンクロウに、例え筋肉質で固めた身体でも神経が集中している弱い箇所を鋭く貫けば攻撃を与えられる。それを熟知しているメルディは瞬時に脇腹に鋭い蹴りを食らわせる。

 

「脇なのは知ってるってよ! ヒハハハ! 可愛いなぁメルディは───────」

 

ザンクロウはメルディから繰り出される攻撃を事前に知っていたのが、それを難なく受けとめ、更に絡め込んで抱き着きに移行しようとするも、次にメルディが放った悪魔の一撃にザンクロウは潰される。

 

「な、舐めるな!」

 

「コガァァァンッ!!!?」

 

決して“男性”に放ってはいけない魔の一撃をメルディは容赦無く放ち、“潰した”。何をとかナニとか知らないが“潰した”。

 

「ヒィッーヒィィーヒーヒ・・・フゥーフゥー! はぁはぁ、うぅぅうう!! ダメだってマジダメヒィフゥヒーフゥゥゥゥー!!」

 

「最終手段だから私も余り使いたくなかったけど・・・・コレやるとザンクロウ本気泣きするから、本当ごめんね、ザンクロウ」

 

尻を上げさせて地面に顔面擦り付けたまま悲痛の声だけが流れる。男性にやってはいけないベストに入る位のことをしたことで罪悪感を覚えたメルディは優しく、お尻を上げていた腰を軽く(はた)いて上げている。

 

 

ザンクロウの悲痛な声を聞きながら、ウルティアは着々と仕事を(こな)していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁあああぁぁぁあああああっっっ!!!!

 

 

森で叫ぶ声がまた増量した。修行に来ていた妖精の尻尾(フェアリーテイル)の面々に術を仕掛け終えたのだ。

 

あの後、ジェラールとエルザが一緒になって戻ってくるのをメルディとウルティアが確認し、魔力の底上げに取りかかった。

 

そして、マジ泣きしているザンクロウにジェラールが理由を聞くと、かなり同情した顔でザンクロウの面倒を見たという。

 

 

苦しみ叫ぶナツたちを森に建てられてあった小屋に入れさせ、底上げが終わるまで安置することとなった。エルザは何故か苦しみを伴わず、安全に悲鳴を叫びながら成長をするナツたちの護衛となり、長く駐在できない独立ギルド『魔女の罪(クリムソルシエール)』の面々の見送りをしてくれている。

 

(あー・・・なんつーんだこりゃ・・・・・晴れた空みたいに、すっきりしたような笑顔になってるって)

 

ザンクロウが『魔女の罪(クリムソルシエール)』の重い荷物を持つ係として、背丈が倍以上あるリュックを背負い込みながら、エルザの笑顔に自身の考えを結論つける。

 

「それじゃあ、オレたちはもう行くよ」

 

「ギルドの性質上で居られねーからなァ」

 

「大魔闘演舞の“謎の魔力”の件、何か分かったら鳩で報告して」

 

「了解した」

 

「競技の方も影ながら応援してるからがんばってちょうだい」

 

「本当は観に行きたいんだけどね」

 

「ヒハハハ! 変装して行くってよゥ!」

 

「やめておけ」

 

四人のギルドメンバーが互いに笑い合いながら喋る光景に、エルザはまた笑みが溢れてしまった。

 重罪を償う為、贖罪の果てを注ぎ込もうとしている四人だが、少なくとも『闇』からは救い出されただろう。あの笑顔がその証拠だと、エルザは再び四人に、ジェラールにへと視線を向けた。

 

黒いフードを四人が共通する被り物。闇に溶け込む黒の衣装。四人は再び闇夜に熔ける。

 

ジェラールは一瞬、エルザと微笑み合いながら数秒、すぐに黒く霞んで消えた。

 

エルザの顔は、やはり晴れて笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてナツ達と会った場所から数十里と離れた洞窟で夜を明けることにした魔女の罪(クリムソルシエール)の面々。

 

焚火で街で購入した食材を焼き炙り、こんがりと焼けた骨付き肉をザンクロウは豪快に食い付き、ウルティアが作ったシチューを幸せそうにスプーンで掬いながらメルディは食べていた。

 

「謎の魔力、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のみんなに危険がなければいいが」

 

「ま・・・あのコたちなら何とかしちゃうかも・・・・って期待もあるのよね」

 

「なんかそうだよね! あっ! その焼けたお肉ちょうだいよザンクロウ」

 

「イイぜ、丁度肉汁が出てる美味(うめ)ぇのを上げるって、だから後でチューな」

 

「わーいありがとう♪ うん後でねー(棒読み)」

 

「ちょっと行儀良くないわよ、メルディ」

 

「えっ、なにかした?」

 

「賞味期限大丈夫か分からないお肉だから危ないし、ザンクロウみたいに豪快に余り食べないようにね。・・・・あー、それと妖精の尻尾(フェアリーテイル)と言えば相変わらずナツは強くなりそうな気がするわ───────」

 

「待って結構最初のワードに私はとても危険(デンジャラス)な言葉を聞いた! え、賞味期限!? ちょっとザンクロウこのお肉いつ────────」

 

「豪快に食べちゃった、ってよ・・・・」

 

「ぎゃあ! なんか悟ったような顔になってるザンクロウ! 絶対アブナイ(やつ)だ!」

 

でも最終的にはザンクロウが責任持って食べました。

 

「・・・・それよりさ、ジェラール」

 

ザンクロウが賞味期限未知の骨付き肉を胃袋に納めたと同時に、凄く聞きたかった話をする。

 

「どうして婚約者がいる・・・・・・なんてウソついたの?」

 

「き・・・・聞いてたのか!?」

 

「オウオウ!? オレっち聞いてない! 聞きたいキキタイそしていつの間に聴いてた!?」

 

騒ぐザンクロウにウルティアが『めっ』と叱ると黙るザンクロウ。

 

「少しは自分に優しくしてもいいんじゃないの? それとも自分への罰のつもり?」

 

優しそうに、慈しむようにウルティアがジェラールに促すが、確固の意志でそれを『良し』としない。

 

「“罰”こそが魔女の罪(クリムソルシエール)の掟だろ? みんなで決めたじゃないか。光の道を進む者を愛してはいけない。オレはエルザが幸せならばそれでいい」

 

「・・・・にしても、もっとマトモなウソなかったの?」

 

「サイテーね。なーにカッコつけてんのかしら」

 

メルディとウルティアはガールズトークのように個人だけの意見をジェラールにビシッバシッズシュッ! と容赦無しにぶつけてきているが、ジェラールも『な、なんだと!?』といったような顔で驚いているのだからしょうがない。

 勿論ジェラールの気持ちも理解して言っている。そんな意地を無駄に張っちゃって、と。

 だが逆にザンクロウはその話を聞いて、自分の願いが叶うことが判明した。

 

「ジェラールの理屈だと、オレっちの好きな奴を愛せることが出来るって」

 

「ザンクロウの好きな奴って・・・・あぁ、それなら確かに愛し合えるかもしれんな」

 

「・・・?・・・なんの話よ」

 

ザンクロウとジェラールが互いに笑い合っているのに、女性陣はまったく気付かない。すると、ガバッ! いきなりメルディとウルティアの間に座るザンクロウ。それを不思議そうにしている二人に、

 

「オレっちは二人がダァイ好きだから愛せるってよォ」

 

「「きゃあっ!」」

 

ウルティアとメルディを立派な膂力で自分の元に寄せて抱き着かせるザンクロウ。

 

「ウルティアもメルディも大好きだし、ウルティアもメルディも闇を進んだ者同士ってよ! これはもう結婚しか無ぇー!」

 

「「何故かぁー!!」」

 

ぎゅううううぅぅぅぅ!!! と両サイドから押し込まれ、顔が両方からプレスされているザンクロウに、ジェラールは笑いが込み上げていた。

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 年に一度という稀少な大祭、それがフィオーレ王国を今最大に熱気を包む話題となっていた。どの街にも行けばその開催される大き祭の為に出展の準備や、フィオーレ王国の王都・花咲く都『クロッカス』に向けての《隊商一団(キャラバン)》が、群を成すように進んでいたのだ。祭事だけあり、どれの隊商一団(キャラバン)も豪奢な品と名産品なども沢山の品物が運び込まれていた。

 そんな隊商一団(キャラバン)の一隊に、まるで何かに取り憑かれたかのように目が虚ろな者達が静かに荷馬車を揺らして進んでいる。その荷馬車の中には、黒いスーツを着込み、隠す気が無いのか、それとも単なる無知なのか。体内から強力な『魔力』を発している者が居た。

 

「・・・まったく~。何を殺気立つの? 久しぶりに会ったというのに?」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

「君も元気で助かったよ? まぁ、魂魄(スピリット)がだけどね」

 

 微笑するその黒いスーツを着込んだ少年は、不要に微笑んで一人(・ ・)で笑っている。だが確実にこれは一人で喋っている感じでは無い。相手が居て、それを応答してくるているしゃべり方なのだ、絶対に居るはずなのに、まるで見当たらない。

 

「“久しぶりに”彼女に会えるというのに・・・・・・・・・・」

 

『・・・・・不語(かたらず)・・・』

 

 それだけを何処から呟かれた後。それは本当に居なくなっていた。そう感じさせる消失の仕方に、その一人語っていた少年は『・・・ハハハ』と虚しく一人で笑っているも。すぐに、また別の微笑みを浮かばした。

 その顔の動作一つで、()()()()()()()ことで、憑かれたように虚ろに静かに荷馬車を運転していた男は『うおっ! なんだ?』と急に意識がはっきりしたことで、馬も驚き荷馬車を鈍くさせてしまう。

 

「とととっ、すまねぇな兄ちゃん。なんかちょっと(・ ・ ・ ・)だけボウ(・ ・ ・ ・)っとして(・ ・ ・ ・)たわ(・ ・)

 

「あ、いえ。おきになさらずに。乗せてって貰っているのはこちら側なので」

 

 謝ってきた男にまた謝り返す少年と奇妙な光景となっているが、もっと奇妙にして不気味なのが。自分が操(・ ・ ・ ・)られていた(・ ・ ・ ・ ・)ことをまったく意識していない荷馬車の主に、少年は片方の目が『隻眼』ながら優しい眼差しを向けてくる少年に、荷馬車の主もにこやかに笑って返し、あとは通常通りと戻っていた。

 

 だが、その『隻眼の少年』は、眼帯で覆った眼を優しく摩りながら、ニヤニヤと笑顔になってしまう顔を手で覆い隠しながらも声を出して呟いてしまう。

 

「あぁ、やっと・・・やっと会えることが出来るのだ・・・これほど嬉しいことは無いと言えるよ。・・・・・・・・さぁ。久しぶりの再会を喜ぼうじゃないか、我が愛しきマスター〝メイビス〟よ」

 

 クツクツと笑いが込み上げながら、『隻眼の少年』は王都『クロッカス』の街へと堂々(・ ・)入門した。




恐らくまたも誤字脱字があるかもしれません(涙)

気兼ねなくご指摘など受け付けますです(涙)

感想やコメントお待ちしております!


2015/03/15 修正。

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