FAIRY TAIL~魔女の罪~   作:十握剣

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本当は去年の内に投稿しようと思ったのですが、時間が無く投稿出来ませんでした(泣)

誤字脱字があるかもしれませんが、生暖かい眼差しで読んでいってください


第4話「妖精と戦鬼の邂逅」

フィオーレ王国東方に存在する街「マグノリア」。

 

 

その場所には『黄昏の鬼(トワイライトオウガ)』のギルドがあった。

 

豪華に作られた『黄昏の鬼(トワイライトオウガ)』のアジトから六人の影が延びて行く。

 

「イーヒッヒッ! さっきの顔見たか? バナボスタの野郎めちゃめちゃ喜んでたなァ!」

 

「おいおい、そう言ってやるなよ・・・“これから起きる事”を考えるとお気の毒ってヤツだろ? ウチのリーダーや頭領(マスター)が考える事は末恐ろしいぜ・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・リーダー黙っちゃった」

 

「ふふふ、色男が寡黙を装うのはとても魅力的でありんす、そんな貴方(ぬし)の魅力を見つけた(わっち)はもっと良い女でありんしょう?」

 

「しっー! しっーでござる! 寝てるでござるよ!」

 

 六人が一人ひとりに『個』を持っているだけあり、その『個』はとても大きかった。あり得ない程の存在感で周囲にいる者を飲み込む勢いで勇んで歩む。

 

「ヒッヒッヒ! 寝てるねぇ? 本当に寝てんのかねぇこの子供“ジジィ”は!?」

 

 そう言って寄るのは、赤々と炎のように燃えるような真紅色の髪が特徴的な青年だった。能面と思わせる被り物を付けている為、口元しか素顔を見せていない。被り物には鬼の象徴とも言える『角』があった。

 

「寝てんだろ、つか俺も眠い、早く眠させろ」

 

 そう言ったのは、こっちも素顔を隠すように幾重にも巻かれた白い布で覆面をしている少女であった。

 喋り方はとても粗暴だが、びっくりする程に男とは程遠い綺麗な『声色』だった。清らかで透き通った水のように流麗。

 その覆面の少女は出し惜しみ無い『女』のラインを突き出していた。首から上は白布で覆い、白布の隙間から抜き出ている黒く長い髪。首から下は着物と思わせる東洋の衣服であるのだが、ミニスカートのように丈が短い着物に男達は思わず唾を飲み込んでしまう。

それほどまでにとてもスタイルが良い覆面の女性は荒い口調のまま歩を進め、真紅の髪をした青年も口元しか見えない能面で口角を吊り上げて笑みを浮かばせていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 先程から黙然としている30代と思わせる黒髪の男性は、目を開けていないと言うのにまるで見えているかのようにスタスタと躊躇無く進んでいた。こちらは皆に『リーダー』と呼ばれている男性は、仮面も能面も覆面もしておらず、堂々その面を晒していた。

 

と ても整った顔立ちで、『美形』と言えば百人が頷くであろうその顔に、男性は男らしさを表すように力強い覇気が顔に張り付いていた。

目も閉じているのに、力強い眼差しで睨まれているかのような感覚が伝わる。

 

「・・・リーダーも気になる? オニマルのこと」

 

そしてそのリーダーと呼ばれる男性の後ろから歩いて来るのは、平均男性と変わらなそうな長身の女性であった。紫色に長い髪を一本に纏め、ポニーテールにしているその女性も恐ろしい程に『美女』であった。

だが、その女性には何処か“欠けている危うさ”を感じ、その謎めいた所も魅力的に感じ取ってしまう程に綺麗だった。

 

「オニマル、あの童子も中々善い男じゃ。俗に云わすあな強い男子(だんじ)()い、あな男男(おお)しさが善い、あな頼りが善い等・・・、そんなことを吐きよる女が居るが、(わっち)としては、傍らにただ居っているだけで幸せでありんす。(わっち)はな? あの童子は強い・・・だから大丈夫じゃ」

 

 そしてもう一人の女性は、艶やかでありながら、決して下品なわけでも華美装飾が過ぎるわけでもない。雨に濡れた未亡人のような妖しい色気を纏いながら、なのに母性的な側面を強く感じるとはどういうことだろう。

だとしても、とても美しい女性だった。

 

 服装は遊女や花魁(おいらん)と思わせる緋色と黒色が交じり合い、綺麗な花柄が特徴な着物を着崩してあり、首から肩は無恥を隠さないように玉のような白い肌を晒していた。その艶かしさには見事に婀娜(あだ)さを包みを破り、威風堂々と放っていた。

 

「あの~・・・(それがし)の話を聞いてござったか?」

 

 そして、そんな個性溢れる数人の中、仮面を付けた少年を背負っている忍者装束に身に纏っている男性が口を開く。だが、口を開くとなっているが鼻と口元には覆うように黒い布が巻かれ、口が見えず、その鼻から上も丸みの掛かった兜で見えなくなっており何もかも“隠れて”いたのだ。

だが何より『某~』『~ござる』の口調に他の数名が反応する。

 

「ヒッヒッヒ! 相っっ変わらず面白(おもしれ)ぇ~よな、口調(それ)!」

 

「キャラ作りご苦労なこって・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・あ、リーダー今溜め息吐いた」

 

「ふっふっふっ、確かに面白い(やっこ)なのは本当じゃのう」

 

「くぬぅ! (こ奴らッ!)」

 

 恰好だけでも十分過ぎる派手さを醸し出しているこの六人に、忍者装束の男性の背中に背負われている“少年”が目を覚める。

 

『──────────・・・・・』

 

「あ、起きたでござるか?」

 

“少年”はマグノリアの街中から空を見上げた。

つられて他のメンバーも空を見上げる。

 

 紅髪(こうはつ)の能面男が白布の覆面少女に『何かあんのか?』と質問され、『知るか』と答えれば寡黙な青年が憮然としてまた軽い溜め息を吐き、紫色の美女がそれを窺い、色気惑わす花魁女性は優しい眼差しで皆を見、忍者装束の男性も背中に乗る体重をしっかりと受け止めながら歩を進めた。

 

六人は『個』が強く、『個』で勝つ為に生きてきた者たち。

 

『個』で勝つ以外生ける(すべ)を知らなく、強く硬く、そして強烈な『個』が破られば、それは案外脆く崩れ落ちる。

 

故に『群』を作る。故に『群』は最強。故に『群』は一蓮托生。

 

 

 

 

故に彼らは──────────、

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

X791年。

 

 

その年に、あの最強の雷名を轟かした『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』の主要メンバーが戻った事がマグノリアだけでは無く、フィオーレ王国内までに広がっていた。

 

そう、帰ってきたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

マグノリアの端に建てられた小さな『|妖精の尻尾《フェアリーテイル)』のギルドでは、大いに喜びと活気に満ち溢れていた。

 

「「「帰ってきたーー!! 帰ってきたんだぁぁーー!!」」」

 

飲んで歌って踊って騒ぎ、空白に空いたその間(はざま)を埋めるように喧騒が止まなかった。

 

「おまえも火の魔法使うのかロメオ!!」

 

「またギルドの温度上がっちゃうねー」

 

騒ぐ妖精の尻尾の連中の中、そこには元気な姿なナツとハッピーの姿もあった。

 

「冷たい炎も出せるぜ」

 

「おおっ、青い炎!」

 

そして、そんなナツに嬉しそうに喋り、自分の魔法を説明する少年魔導士、ロメオ・コンボルトが色々な炎を出したりする。手頃に掌(てのひら)サイズの炎を発火させれば、皆驚くのに心底嬉しそうに笑うロメオ。

 

最近まで、いや、7年前から『笑う』ことをしなくなっていた少年は、その7年間を埋めるように笑っていた。

 

ロメオの父親であるマカオも嬉しそうに息子を眺めて酒を気持ち良く飲んでいると、横に小さな老傑が居るのに気付き、先に口を開かれた。

 

「しかし、おまえが四代目妖精の尻尾(フェリーテイル)マスターとはな」

 

先代の妖精の尻尾(フェアリーテイル)マスターにして三代目マスターでもあるマカロフが意外そうに微笑み掛ければ、マカオはたじたじになって答える。

 

「なーに言ってんだよ、こんなの代行みてーなモンだよ! 今すぐこの座返すよ」

 

「いや・・面白いからしばらくマスター続けてくれい」

 

「マジか!!?」

 

そこでマカオは初代マスターであるメイビスから二代目マスターであるプレヒトとマカロフに繋ぐ自分に少し嬉しそうに頬を紅潮して喜ぶ。

 

先代(・・)がそう言うならもうしばらく、エヘヘ・・・・・」

 

そしてその脇で、

 

「このなんともいえねーガッカリ感がウケんだけど」

 

「じゃろ?」

 

くぷぷ、と笑うマカロフとワカバに気付かずマカオは自分の服を着直したり、無精髭を摩ったりしているのにまたも笑い合うマカロフとワカバ。

 

 

 

他にも沢山と新しいことを聞いては驚き、喜び、また歌う。

 

久しぶりに帰ってきた妖精の尻尾(フェアリーテイル)メンバーに会う為にわざわざやって来たギルド『蛇姫の鱗(ラミアスケイル)』のメンバーが加われば、また騒ぎが跳ね上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、皆が帰還した中、やはりきっちりと“借りたもの”を“返しに”行くのが決まりと言わんばかりに、妖精は尻尾を振り、今まで喰い尽くしていた黄昏の鬼に会いに、翌日三人が向かった。

 

 

 

そこで奇縁があるとも知らずに、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシャァアン!! と割れる音がマグノリアのある建物なから響いた。

 

「オイオイ、だからさぁじーさん・・・今さら話すことなんかねェんだョ? 貸した金きっちり返してくれればウチらはそれでいい訳ョ」

 

その音源となった建物は、今の時代に於けるマグノリアNo.1の魔導士ギルド『黄昏の鬼(トワイライトオウガ)』のアジトだった。

 

そこにやって来ていたのは、先代のマスターであるマカロフに、S級魔導士の階級を持つ二人の紅白と対と成す髪をした美しい女性、ミラジェーンとエルザが傍らに居た。

 

三人はアジト内に群がっていたギルドメンバー全員が取り囲むようにして迎え、今は『黄昏の鬼(トワイライトオウガ)』のマスター(・・・・)であるバナボスタと話をしていた。

 

下卑な微笑みを浮かばせて、美しい女性二人を舐め回すように見ているギルドメンバーを尻目にミラジェーンは微笑みを絶やさず、エルザはムッとするように顰(しか)め面のままでいる。

 

「そう言われてものう・・・・知っての通りビックリするくらい金が無くてのう」

 

「それに帳簿を見るかぎりだとお金の出入りがあきらかに変ですよ?」

 

「あぁ? イチャモンつけようって言うのかよ!」

 

マカロフがバナボスタに言われた問いに答え、ミラも金融関係に問題が在りと話を持ち上げてみれば物の見事に反応を示した。

 

「とんでもない、借りた金とその正当な利子分は払いますよ・・・・・・・・いつか」

 

「こっちは今すぐ払えっつってんだョ、ジジィ!!!」

 

「いやいや、だからね。まずは金利の計算からやり直してですな」

 

ガタッ! とバナボスタは巨大な体躯を使い、立ち上がれば相手に威圧感を与える真似をする。

 

───なぁに、いつもやってることだァ、このジジィや小娘共もビビって言うこと聞きやがる。

 

バナボスタは脳内で余裕に構え、いざ目下に座る小人サイズの老人に大声を張り上げて問い詰める。

 

「こっちは若(やけ)えモンが5人もケガさせられてんだぞゴラァ!!! 債務者にどつかれて貸した金も返ってきませんってんじゃ、こっちとしてはギルドのメンツに関わるんだョ!!!」

 

「おや? 今日は“お金”の話という事で伺ってきたのじゃが・・・・・“そっち”の話もしますかな?」

 

その返しにバナボスタは完全に頭に血が登った。

つい先日やっとこの『黄昏の鬼(トワイライトオウガ)』の正規マスターになったというのに、今目の前の年寄りは自分を舐めていると、舐めているからこんな馬鹿みたいな言葉(こと)を吐いたんだと、バナボスタは脳内を占めた。

 

 

 

あぁ、決めたぞ。

 

 

 

この爺(ジジィ)を“潰す”と、

 

 

 

バナボスタは目の色を変え、ジジィは潰すとして、後ろにいる女はかなりの上物だと、既に『人買い』の交渉材料として脳内で築き、あぁ早く潰して女を金に換えたい、という欲求に潰された。

 

大きな鬼は呟いた、それを待っていたと言わんばかりに小人は目を見開きながら、

 

「“そっち”も“こっち”もないんじゃワレェ!!!」

 

“大”鬼は実は“小”鬼で、

 

「『貸したものは返せ』・・・それがおたくのギルドの信条・・・・という事でよいですかな?」

 

“小”人は小さく人で無く。

 

「7年間・・・・私たちのギルドへの器物損壊及びメンバーへの暴行・・・・・・・・」

 

 

「その分全てを私たちもアナタ達に返さねばならなくなりますよ」

 

「7年間・・・・ガキどもが受けた苦しみ・・・・・涙が出るわい・・・」

 

“巨”大な人となり、小鬼の額に頭突きしそうな程に寄り、呟いた。

 

「おい、小僧」

 

 

 

 

 

戦争って事でいいんだな

 

 

 

 

あふぇ・・・? といった感じに鼻水を垂れ流しながら、バナボスタは目前に巨大化した老人に焦りに迫られる。

 

(こ、この感じ・・・)

 

バナボスタは記憶の片隅に残っていた幼少の頃を思い出した。

 

マグノリアで度々目撃されていた巨人と、その『巨人(ジャイアント)』の魔法を扱う唯一の魔導士と、自分がとても憧れていた『黄昏の鬼(トワイライトオウガ)』先代(・・)マスターの“この感じ”を・・・、

 

 

巨大化しようとしているこの老人だけで今の(・・)黄昏の鬼(トワイライトオウガ)』が壊滅するのは目に見えているというのに、何やら老人の背後に立っていた二人の麗しき女性も、驚く程に様変わりしたお姿になってバナボスタ以外のギルドメンバーと相対しているの見たのを最後に、

 

黄昏の鬼(トワイライトオウガ)』“現”マスター・バナボスタは初めて老人に顎から拳の鉄槌を受け、宙(そら)に舞ったのを生涯忘れないと、ヴゥンヴゥンと空中で螺旋回転しながら、そう心に刻んだ。

 

 

 

 

 

 

「ボロボロにやっちまったなぁ~、話し合いで解決するんじゃなかったのかよ?」

 

「やっぱかなわねーな」

 

「あの小僧共が悪いんじゃ、」

 

マカオとワカバはボロボロになった『黄昏の鬼(トワイライトオウガ)』のアジトに入れば、そこには『巨人(ジャイアント)』の魔法を解いたマカロフと同じく普通の服装に戻っていたエルザとミラが居た。

 

「七年間じゃ、七年間ウチの小僧共を可愛がってくれたらしいからのう、お礼をしたまでじゃ」

 

「そりゃ、壮大なお礼だな」

 

冷や汗を流しながらも、やはり昔ながらのやり方で返した我がギルドに微笑むマカオだったが、すぐに表情が一転した。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これは、また」

 

 

 

 

 

 

ガチャッ! と音を立てて現れたのは、巻くように付けられた包帯に黒い髪を逆立てた一人の青年だった。

 

青年は見事に大破したアジトの一室に眠っていたのか、寝惚けたように周囲を眺めながら状況を知ろうとしていれば、その青年はある人物によって目が奪われた。

 

一人の、女性に。

 

「なぁッッ・・・・!!!」

 

「あっ」

 

その青年はぐらつかせながら歩ってその女性の前に両膝を付かせた。

 

「ミ、ミラ・・・・」

 

「オ、オニマル・・・?」

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「どうもー! ギルド総合予算割当規格変更の為、『蒼い鳥(ブルーバード)』から回覧板でござる」

 

「あらあら、こんな町外れまでご苦労さまです」

 

「いやいや、最近なんて『大魔闘演武』の準備などでフィオーレ中が大忙しでござろう、某(それがし)が出来るとすれば運送ギルドの手伝いや届け手になる以外無いでござるからな。重量操作魔法を得意とする魔導士は土嚢を闘技場まで運ぶらしいでござるが、闘技場までの距離が馬鹿みたいに長いとか」

 

「あら、そうなんですか? 道理で街中の運送屋さんが荷物を運んでいたんですか、大変な訳ですね」

 

マグノリアの隅の隅に建てられた『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』のアジト前に何やら忍装束に身に纏った男性と、眼鏡を掛け髪をポニーテールにした女性・ラキが回覧板を受け取っていた。

 

ラキは随分と奇抜な格好をしているこの届けてくれたこの配達忍(はいたつにん)から色々と話をして、少しでも最近の話題を聞き出そうとしていた。

 

だがこの配達忍さん、弱小ギルドであるこの『妖精の尻尾』の前で【大魔闘演武】の話を持ち出すなんて、分かっててやっているのだろうか? とラキは若干訝しく思いながら配達忍さんと話していれば、向こうもそれに気付いたのか、慌て始める。

 

「こ、これは申し訳ござらん! そちらの心境では大変不愉快な話でしたな! いいや、本当に申し訳ござらん!」

 

配達忍は本当に申し訳無さそうに頭を下げて謝ってきたことに若干驚きながら、ラキは『だ、大丈夫ですから頭をあげてください!』と急いで止めた。

 

「ほ、本当に申し訳ござらん・・・」

 

「アハハ、そこまで真面目に謝らなくても分かってますよ。事実、『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』は何度も最下位でボロ負けでしたから」

 

自分から言っといて少し落胆するラキだったが、そこで配達忍は目が見えないほど深く被った丸みが掛かった兜が音を鳴らし、視線がラキに向けられたのを理解した。

 

「・・・・某も昔からマグノリアに住んでいるでござるよ、『妖精の尻尾』の威名は未だに残ってるでござる。『火竜(サラマンダー)』、『妖精女王(ティターニア)』、数多くの一騎当千の猛者が集まるギルド。それが『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』なのは街の皆も分かっているでござる」

 

「・・・・・えっ」

 

「長話が過ぎたでござるな、では某はこれで────────『妖精の尻尾』と戦える日を楽しみにしているでござるよ」

 

配達忍がそれだけを告げた瞬間、突風がラキを吹き掛けられ、瞼を開けた瞬間には忽然(こつぜん)と居無くなっていた。

 

「今、なんて・・・・」

 

戦える日を、あの配達忍が何を言っていたのか深くまで理解はしていなかったが、あの先程言った言葉は、ラキは本当に沁(し)み入るように嬉しかった(・・・・・)


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