FAIRY TAIL~魔女の罪~   作:十握剣

13 / 15

本当に、週刊の漫画だからあっという間にどんどんと展開が進んでいきますフェアリーテイル!
『冥府の門』編が終わり、新しい展開になるのは大変うれしいのでありますが、笑っちゃうほど間に合わない。でも諦めないぞ!
自分の妄想の暴走は終わらない!!

ザンクロウ全然出てきませんが、ホントにすみません。出すタイミングを逃している作者です。

オリキャラ出して本末転倒なんて洒落にならないぞ……頑張らないと(-_-;)


※注意※
・この作品では勝手なカップリングなどあります。『ちょっとソレないわ~。ダメやわ~』という方は注意してくださいまし


第13話「オルガ VS カクキ」

 『大魔闘演武』会場〝ドムス・フラウ〟。

 

 その会場は年に一度開催されるこの祭りに参加するべく数多くのフィオーレ王国の各地方から行商人やら旅人が王都〝クロッカス〟に(つど)いに集っていた。

 そこには色々な思惑を持った者たちも少なからずおり、今はただ祭りの賑わいによって掻き消されているだけ。そんな都の中で、浮き足立たせた者も少なからず居た。

 

「今日黄昏の鬼(トワイライトオウガ)が三試合目に入っているから急げだと?」

 

 だが同時に、その賑わいに乗じて、普段なら忙しく遊びになんて洒落込めない職業柄の人たちの解放される日でもあったのだ。

 

「そうだよ団長急いでー! オウガとセイバーが闘うっていうのにさー!」

 

「ま、まて。そう急ぐな。それと規則を守れ阿呆!」

 

 賑わいが王都を包み込んでいる中、ある一組が今絶世開催中である闘技場《ドムス・フラウ》にへと向かうために、人と人の間を器用に避けて進む少女を追うように、紫色の髪を坊主にした少々キツめの目つきをした男が必死に追いかけていた。傍から見たら警備隊や警備兵に報告ものだが、今は良くも悪くも誰も気にも留めなかった。

 男はそんな器用に突き進む元気な少女を必死に追いかけながらも、男と一緒に歩いていた黒髪の少女にも目を向ける。

 

「大丈夫かカーミー? コスモめ、何をそんなにはしゃいでいるのだ」

 

「それは団長と……うぅ、ちがった。カマ(・ ・)さんと外出出来たからじゃないかな?………………私も嬉しい、から」

 

「うん? 最後はなんと言ったのだ? この賑わいでは大声で話さないと大変だ」

 

 カマと呼ばれた男は整えられた紫の顎髭を揺らして、はぐれないようにと和装に長い黒髪をツインテールのように纏めた少女と、手を繋ぎながら都の中央通行路を人を掻き分けて進む。

 様々なフィオーレ王国自慢の老舗店が中央を占めており、今も他店に客を取られまいと必死に客寄せをしている者もいる。

 人が(ひし)めくその王都クロッカスを、元気に突き進む帽子を被ったピンク色の髪をした少女は、元気に笑い、進んでいく。

 後ろから見える大好きな二人。

 後から追いかけてきてくれることがとても嬉しくて楽しい。そんな気分を感じているらしい。

 

「むぅ……しかし、どうして他のアイツらは今日来なかった? 年に一度のフィオーレの大祭(たいさい)《大魔闘演武》だと言うに……」

 

「……く、空気を読んでくれたのよ、きっと」

 

 顔を赤くして、しっかりとカマと呼ばれた男の手を握っていた和服の少女・カーミーはそんなことを消えそうな声で呟く。

 だがカマはそんな小さな声に気付かずに、まるで妹か娘を守る兄か父のようにしっかりとカーミーの手を握り、人混みを突き進んでいけば、《ドムス・フラウ》に続く石階段が見えてきた。まだ階段の入り口だと言うのに、そこでも様々な露店が広がっている。

 するとそこで、何やらふっくらと頬を膨らませてカマたちを睨むように見ていたのは、先行していた桃色をした髪が特徴的な少女・コスモだった。

 

「カ、カーミーずるい! 団長と手ぇ繋いでる!」

 

「しょ、しょうがないでしょ!? 貴女が先にグイグイ行っちゃうんだから」

 

 それを見たコスモは帽子を目深く被り直し、カマの空いている片方の腕に絡み付く。

 カーミーより数段ほどバージョンアップしたそのスキンシップに、カーミーは負けじと繋いであった腕に自らの腕を絡ませてコスモに負けじと顔を赤くして睨んでいた。

 

「はぁ~…………」

 

 二人は美少女の部類に入るほどの美を兼ね揃えている。だが、やはり子どもの面として見てしまうカマは互いに言い争っている二人を、やはり娘か妹か、そんな気持ちで引っ張っていくように、完全にスルーして歩を進める。

 しかし、そんなカーミーやコスモの言葉から少しだけ気になり始めたカマ。

 その黄昏の鬼(トワイライトオウガ)剣咬の虎(セイバートゥース)の闘いの観戦に赴くのにあたって、内に潜む『刈る』ことに特化したの己の魔力が、ひしひしと震えていることに気付き始めていた。

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 過去、フィオーレ王国最強のギルドを(うた)ったあの《妖精の尻尾(フェアリーテイル)》と同じ街であるマグノリアから進出してきたギルド《黄昏の鬼(トワイライトオウガ)》。

 改めて説明をするわけでもないが、このギルド、何気に妖精の尻尾(フェアリーテイル)マスターであるマカロフが生まれてくる前から存在しているギルドであり、名こそ有名ではなかったが、コツコツと築き上げてきた地道な仕事を数多にこなしてきたことで、潰れることも、トラブルを巻き起こすこともなかった。

 たとえそういう問題を直面したとことがあっても、やはり街で起こりうる大きなトラブルの被害は大抵は妖精の尻尾(フェアリーテイル)が持ち込んだものが多く、大抵はことを軽く目を瞑ってくれることが多かったのだ。もちろん目を潰れる範囲で。

 だが、勿論それだけでギルドの相続が続くはずがなかった。

 依頼もそうだが、何も魔物の退治だけが依頼として舞い込んでくるわけでもなく、街中の修理や配達、採取、物造り、建造物や農業など多種多様にその行動範囲を広げてきた。

 妖精の尻尾(フェアリーテイル)の主戦力が居なくなった日から、黄昏の鬼(トワイライトオウガ)は大きな顔をきかせるようになったと聞いたが、それは実は『表の顔』であったのだ。

 

 だが、本物の顔は、裏にある。

 

 『(ニセモノ)』ではなく『(ホンモノ)』の《黄昏の鬼(トワイライトオウガ)》のメンバーは元あったであろうマグノリアの周辺にある森の中のアジトに揃っていたのだ。

 『(ニセモノ)』の黄昏の鬼(トワイライトオウガ)メンバーを率いていたのはマスター代理を務めていたボナボスタ。この四角い角のとった顔が特徴的なだけの大男だけが、黄昏の鬼(トワイライトオウガ)の『(ホンモノ)』のメンバーを知っていた。

 

「鬼が表に出てくるのは徹底とした破壊を目的にしたものだけ、それ以外での鬼の外出は気高き(オレ)より高位である我が父・頭領(マスター)が許さぬ」

 

黄昏の鬼(トワイライトオウガ)のマスターか、のう…………」

 

 その話をしていたのは、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の応援席の隣を陣取っていた獅子然とした金髪の雄々しき男、キングから発せられたものからだった。

 話を聞いているのはマスターであるマカロフや、メイビスのみ、他のメンバーは只今戦っている第二試合の《青い天馬(ブルーペガサス)》対《人魚姫の踵(マーメイドヒール)》に熱中していた。

 

黄昏の鬼(トワイライトオウガ)……最近出来た新人たちのギルドかと思っておったら、そんなに長い間あったというのか? 全く知らんかったぞ)

 

 マカロフはマグノリアに長年住んでいたが、黄昏の鬼(トワイライトオウガ)の名は聞かなかった。

 

「我らは極一部の者にしか依頼を受けていなかったからな。だが、達成率はどれも確実にしてきた」

 

「だったら、少しでも名くらいは通ると思いますが……」

 

 メイビスは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章を持っている者にしか幽体が見れない様子だった為に、キングには見えていなかった。

 

「ふっふっふ。話してやろうか? 小うるさいヲユキも頭領(マスター)に呼ばれて居なくなったことだしな」

 

 不遜に、キングはただ王のように構えて座る。

 

「ま、こうして(オレ)(オレ)として振る舞えるのも、こうやって大々的に表立つことが可能になったからだがな。『裏』のままでは『(オレ)』としては振る舞えなかった」

 

 一体今まで何を? そう聞こうと思っていたマカロフだったが、

 ワアアアアアアアアァァァァ!!! と歓声が響き渡る。

 第二試合が終了したらしい。

 

「積もる話もあるだろうが、(オレ)はこれから家臣たちの魔闘を眺めてやらねばならぬ故、話は次にしてやろう」

 

 マカロフは既にこの不遜な態度に慣れ始めていることに驚いていた。これといった燗に障ることもないのが不思議である。自信から溢れるなにかだろうか?

 

『第二試合勝者、青い天馬(ブルーペガサス)、レン・アカツキ!!! これで青い天馬(ブルーペガサス)は一日目、14(ポイント)! 人魚姫の踵(マーメイドヒール)は3(ポイント)ォォーーー!!!』

 

 解説席に居たゲストの青い天馬(ブルーペガサス)所属、ジェニーがかなり高めのテンションで喜んでいる。

 青い天馬(ブルーペガサス)の強さに、ナツやエルザたちが称賛や感想を洩らしていると、闘技場の砂場を魔法により一瞬にして綺麗にされると、休憩を挟んで続く一日目の第三試合が開始しようとしていた。

 

『続いて一日目第三試合!! 《黄昏の鬼(トワイライトオウガ)》カクキVS《剣咬の虎(セイバートゥース)》オルガ・ナナギア!!!』

 

 おおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!! と歓声が轟き渡る。正にオルガの登場と同時にそれがおこった。

 

『この大歓声!!! すごい人気だオルガ・ナナギア!!』

 

 特に猛る様子もない、仏頂面のオルガはトゲトゲしい長髪を揺らし、上半身が裸だと言うのに堂々とした戦士の様に勇然としていた。

 対してのカクキは、真っ赤な深紅の髪をこちらも逆立てるようにトゲトゲしくした長髪で、両手を広げ、上半身裸で、何故かゆらゆらと上半身を左右にゆれながら歩いてくる。

 

黄昏の鬼(トワイライトオウガ)の、戦鬼としての力を魅せてやれよ……〝赫鬼(カクキ)〟よ」

 

 キングは凶悪な笑みを浮かべ、(わら)った。

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 第三試合開始の銅鑼が会場を包み込んだ。

 会場の皆が、一体あの常勝無敗のギルド《猛虎(セイバートゥース)》にどう噛みつくのか、《戦鬼(トワイライトオウガ)》は両手を広げて構えている。

 

「よぅよぉ……オレぁアンタを知ってんぜ? アンタはオレを知らないだろゥが、オレぁ知ってるぞ、カカカカ!」

 

「……あァん?」

 

 闘いを開始することでもなく、カクキはケラケラと笑ってオルガを中心にして円を描くように歩く。

 

「アンタはオレを倒せやしねぇのさ。ただ馬鹿ショージキに力を使うアンタじゃ踏み抜く足場も全然チガウ」

 

(……なんだコイツ? 頭でもイッてんのか?)

 

 オルガはさっそく己の魔法で速攻勝利を狙おうと、鬼面の赤毛男に掌を向ける。

 だが、魔法を行使しようと、そうしようとしたその刹那、カクキは笑って(・ ・ ・)いた。

 

(な…………に?)

 

 だが、放ってしまった。

 まるで轟音。光速が(はし)ったと思えば、次に遅れてやってきた音速が音圧と共に会場を震わせたのだ。

 晴天の霹靂(かみなり)がその場を支配した。

 

 その誰もが目を見開いて驚いている中で、もっとも驚いていたのはオルガ本人だった。

 

(なんだ!? コイツは!?)

 

 何に驚いているのかと思っていると、なんとオルガの『雷の魔法』が直撃をしないで、(すんで)の所でカクキは躱していたのだ。

 そして、その『雷の魔法』から発せられた光がカクキの口元を照らしていると、口唇の動きでオルガの元へ届いた。

 

(『お前……雷神の滅神魔導士(ゴッドスレイヤー)か』……だと!)

 

 僅かな口唇の動きだけでオルガは読唇する。

 

『ぅあぁーーっと!!? なんということだ!? 開始数秒後にオルガは速攻でカクキを仕留めに黒雷を放つも、なんとなんと!! カクキは未だに健全だぁ!!』

 

 ワアアアアアアアアアアアアア!!!! と観客たちは一発目からド派手な攻撃を放ったオルガに歓声を上げているが、殆どの者はそのオルガが放った『黒雷』を避けたカクキにも注目を浴びていた。

 

「カヒヒヒヒ!! そりゃぁ簡単に終わっちまったらつまんねーだろォがよ! カヒヒヒヒ!!」

 

「お前ェ……!!」

 

 オルガは拳を握り、怒りを表していた。

 それもその筈、オルガはこの黒雷に己の強さを込めた攻撃の1つだったのだ。

 それだと言うのに、オルガの目の前で大きな声を上げて笑うこの男に神経を逆撫でさせられる。

 カクキは鬼の象徴でもある《角》を指で撫でながらオルガを見る。

 

「余程の余裕で挑んだんだろォ? 余裕の強さで挑んだんだろうォ? カヒヒヒヒ!! ダメだなぁオルガちゃん!!」

 ブチブチとカクキに聞こえてきそうな何かか切れる音がした。

 オルガは怒り心頭で両手でカクキを向けて、放とうとする。

 だが、

 

「もっと周りを見ろよォ! オルガちゃぁん!!」

 

 ガツゥン!!! とオルガの視界が炎によってカクキの姿を遮られた。

 

「あぁ!?」

 

 こんな炎ごとき、オルガの前では効かない。自らの黒雷を炎を払うかのように広範囲に放とうとしようとする、だが、オルガの動作に合わせるかのように炎がますます勢いが増し、とうとうオルガの周辺だけ(・ ・ ・ ・)が炎の柱のように燃え上がったのだ。

 闘技場から天まで伸びる赤々と炎の柱が周囲に高熱の空気が覆われる。

 だが、観客席の最前列数センチ前まできちんと抑制(セーブ)されており、業炎がただ竜巻のように柱立つそれを、観客たちは歓声を上げて眺められていた。

 

『こ、これは凄すぎる!! まさかここまでの炎使いがフィオーレ王国に居たとはーー!! あ、熱い!! カクキは観客にまで及ばないように抑制(セーブ)しているが見ているだけで汗が止まらないィーー!! ヤ、ヤジマさん!! こんな猛る炎を放っておきながら、ここまで精密に制御を誇った人は居たでしょうか!?』

 

『いやぁ……これまた驚きだねぇ。こんなに炎を放ってさぞオルガくんやカクキくんは熱そうだねぇ』

『いや、スルー……』

 

 炎々と燃える焔の柱に、火の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)であるナツは興奮せずには居られなかった。

 

「すげぇすげぇ!! あんな炎食ってみてぇ!」

 

「そこなのかナツ!?」

 

 エルフマンは目の前で起こっている現実に冷や汗を垂らしながらも、興奮して乗りだそうとしているナツを抑え込んで、エルザも両選手の魔法には驚いていた。

 

「ここまでの実力があったのか、黄昏の鬼(トワイライトオウガ)剣咬の虎(セイバートゥース)とは……」

 

 ジェラールから知らされた謎の魔力も関係しているのではと勘ぐっていたエルザだったが、どちらも己が手にした魔力だと肌からヒシヒシと伝わってきた。

 どれほどの苦労を重ね、どれほどの戦いに身を投じてきたのか、この魔法とのぶつかり合いで分かったのだ。

 だから、ナツも純粋なこの魔力を感じ取ったのか。あの燃え盛る炎柱を食べてみたいと、火の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)として言っている。

 エルザも元から戦い好きもあるせいか、自然と笑みを溢して(たぎ)る闘気を必死に抑え込んでいた。

 

 肝心のその両名、オルガとカクキはあの天まで届く炎の柱の中で闘っているのか、中々姿を表さない。だが、長期戦、長く続くのかと皆が思った瞬間だった。

 

 バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリィィィ!!!! と炎の柱の中から轟音が轟いたかと思えば、黒い雷が内側から洩れ出した。突き破るかのように黒雷が炎柱を消し飛ばした。

 皆が固唾を呑んでいると、中からは無傷のオルガが勝利を勝ち取ったかのように空に向けて拳を上げ、対戦相手であるカクキは黒焦げになって倒れていた。

 

 おおおおおおおおっっ!!!! とオルガの勝利に観客たちは席を立つほど盛り上がりを見せていた。

 オルガは倒れているカクキを一瞥したあと、観客ちに勝利のポーズを決めていた。

 

『試合終了ォーーーっ!!!! 炎の竜巻をオルガの黒雷で一閃!!! 強い!! やはり強いぞ!! だがそのオルガと闘ったカクキも凄かった!!! なんてド派手な試合だったんだぁーーっ!!!』

 

 実況のチャパティが試合終了を宣言し、両名の魔導士は戻っていく。

 

「……………………」

 

「どうしたの、ラクサス?」

 

 そして、そんな黒雷を操った魔導士・オルガに視線を送っていたのは、妖精の尻尾(フェアリーテイル)Bチームとして出場した妖精の尻尾(フェアリーテイル)S級魔導士の一人であるラクサスにミラジェーンは不思議に思い、顔を近付かせて確かめようとするも、ラクサスはフンと鼻を鳴らすだけで特に反応を示さなかった。

 ミラジェーンは『もう!』と言いながら諦めずにラクサスを追及するが昔とは違う、ゆるやかな態度でミラジェーンから逃げる。

 同じBチームであるガジルはこの男に雷で焼かれたことがあるのだが、今のラクサスを見ているとどうにも恐怖というものを感じない。

 

「オラ、今はそんなことより次だろ次。残ってるのは俺たち妖精の尻尾(フェアリーテイル)Bチームに蛇姫の鱗(ラミアスケイル)。一体どんな組み合わせになるんだァ」

 

「むぅ。なんだか旅に出てから(かわ)し方を覚えたわねラクサス」

 

 ラクサスの言う通り、これからチャパティは対戦相手を発表しようとしていた。

 

「誰が出ても勝たないとね」

 

「はっ! 当たり前だろゥが、つかオレを出させろ!!」

 

「……(まか)…………せろ……」

 

「ミストガンよう、小声過ぎて後半しか聞こえてねえぞ」

 

 

 先に出場し、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に勝利を送れなかったジュビアは今は一人になっている。

 だが、悔しさは皆一つだった。

 ここに居る者すべてが本気になるだろう。

 自分の為ではなく、汚名を馳せられた妖精の尻尾(フェアリーテイル)の輝きを取り戻す為に。

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 上から眺める会場に、観戦に来ていたマカたちは肝心の黄昏の鬼(トワイライトオウガ)の魔闘を観れて満足そうに話し合っていた。

 席が上方にしか無かったのだが、中央上空に魔水晶(ラクリマ)ビジョンが映し出されていた為にどんな闘いをしているのか詳しく観れるようになっていたのだ。

 闘技場内で売られていた大量に積め仕込まれたポップコーンの箱を、両手で震えながら零れないよう慎重に持って座っているカマを、二人の少女は囲むよう両隣に座って食べていた。

 

「大丈夫? やっぱり私が持とうか?」

 

「カーミーは優しいな、だが大丈夫だ。この席並びならばこのポップコーンは持つのは自分である」

 

「それがもっとも美しい並びよ。でも大丈夫、だって私が食べさせて上げるのだからね」

 

 そう言ってコスモはポップコーンをカマに食べさせようと口に運んであげる。

 帽子から覗いた瞳に、悪戯の思惑があるのに気付いたカマは溜め息をついてコスモを少し叱ってやるかと思っていると、カーミーはそれを本気だと気付き『わ、私だって、やる!』とポップコーンをカマに押し付けてくる。

 

「ま、まて、落ち着け。うん? ほら、見てみよ。次の対戦相手が決まったようだぞ?」

 

 カマは話の流れを正常に戻させると、次の対戦カードが決まった。

 

『一日目最後の試合となります第四試合!!! 《妖精の尻尾(フェアリーテイル)B》〝ミストガン〟VS《蛇姫の鱗(ラミアスケイル)》〝ジュラ・ネェキス〟!!!!』

 

 

 『聖十』の一人が次の対戦に出てくるらしい。

 それだけでも、先程試合をしていた黄昏の鬼(トワイライトオウガ)剣咬の虎(セイバートゥース)に続くくらい興味を持った。

 

 






あ、はい、すみません。
凄いところで終わってしまった。


読んでくださった方々、ありがとうございました。
感想やコメントをお待ちしております!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。