FAIRY TAIL~魔女の罪~   作:十握剣

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アニメや漫画でどんどんフェアリーテイルが進んでいく(震え声)

だと言うのにまだ大魔闘演武編…………早く進ませねば!

今回、というか、この作者書いてるフェアリーテイルは二次小説。楽しんで頂けることを至上にしていますが、やはり二次小説。作者の妄想が暴想(暴走)していますww

先ずはご了承のほど……


第12話「ルーシィ VS フレア」

 大魔闘演武プログラム。

 1日目

 競技パート『隠密(ヒドュン)

 結果順位:1.剣咬の虎(セイバートゥース)

      2.大鴉の尻尾(レ イ ヴ ン テ イ ル)

      3.蛇姫の鱗(ラミアスケイル)

      4.青い天馬(ブルーペガサス)

      5.人魚の踵(マーメイドヒール)

      6.黄昏の鬼(トワイライトオウガ)

      7.妖精の尻尾(フェアリーテイル)

      8.妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

 

バトルパート※各チーム一日一試合決行。

1日目:ルーシィVS.フレア

 

 尚、バトルパート勝ちにつき10P。負けにつき0P。引き分けで互いに5Pである。

 バトルパートで勝負を変えれば順位も変わる。

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 

(───フレア)

 

 そう優しい声音が闇から広がった。

 長く綺麗な深紅色の赤髪を三つ編みにし、首を傾げる癖がある少女。赤いドレスを身に包んだその少女は、ギルド《大鴉の尻尾(レイヴンテイル)》に加入した頃より優しくしてくれた大切な人の『声』に耳を傾けた。

 

(───気をつけて)

 

 大丈夫だよ、と紅髪の少女・フレアはにこやかに微笑んで心の中で答えた。

 『いつも(・ ・ ・)みたいに(・ ・ ・ ・)倒すか ら』

 そう答えたフレアに、その『声』からはまるで何かが詰まるような息が聞こえた。でもフレアには分からない。教えてくれないから。

 

(───守るよ)

 

 頭に届くその声に、いつも怖がっていたギルドの中でも気丈にふるまえた。

 だから今回も大丈夫。

 

(あんな金髪ぅ。楽勝よ)

 

 だから見ててよ、とフレアは目の前に立つ金髪の女を傾げて見下げる。これから無惨に無様に倒すところを見させてあげるよ、そう『声』に返答するが、答えはない。

 だが、それでも変わらない。

 あの女はなんか睨んだきた。だからムカつく。だから徹底的に潰す。それがギルドのやり方。そう教えてくれた。

 それに、勝たないと、……怖くて痛い……。フレアはすこしだけ思いだし、身を震わせた。マスターの暴行に。

 

『ここから闘技場全てがバトルフィールドとなる為、他の皆さんは全員控え室へ移動してもらいます。制限時間は30分!! その間に相手を戦闘不能状態に出来たら勝ちです。それではッ!! 第一試合…………開始ッッ!!』

 

 オオオオオオオオッッッ!! と会場が沸き出す中、二人の女の魔導士が対峙する。

 

 二人の戦闘が開始した中、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)陣営では黄金の鎧に身に包んだ仮面の男・アレクセイが上半身が程よく鍛え上げられた筋肉を黒タイツで張りを見せ、蛇のような鋭い顔つきが特徴である大鴉の尻尾(レイヴンテイル)のクロヘビに話しかけた。

 

「勝てるかな?」

 

「……いや、恐らく……」

 

 そうクロヘビが答えると、相手方の魔導士、ルーシィが星霊魔導士である証でもある《星霊の鍵》を翳して戦っていた。

 金牛宮の扉を開け、斧を持った牛人の戦士・タウロスを喚び起こし、更に天蠍宮の扉を開きスコーピオンまで喚び、星霊二体同時開門を可能にさせていた。

 

「……はっ、これは無理だな。オーブラ、準備しておけ」

 

「……まだ始まったばかりですよ?」

 

「ふん。初見で分かるだろう」

 

 それだけ言ってアレクセイは黄金の鎧を軋ませて音を鳴らす。まるで期待していなかったようにもう目を向けていなかった。クロヘビは表情は変えずも、拳を握り締めていた。

 フレアも自在に操れる己の紅髪を使い、ステージに広がる砂を利用したスコーピオンの風撃を防いでみせた。

 だが、ルーシィは更に星霊に指示を出す。

 

「タウロス!! スコーピオンの砂を!!」

 

MO(モオ)バッチリ!!」

 

 逞しき身体で巨大な斧にスコーピオンの風撃(サンドバスター)を吸収させ、合体技にさせたらしい。

 

「『砂塵斧(さじんぶ)アルデバラン』!!!」

 

 ゴオオオオ!! と砂の竜巻を数多に発生させた。人の身体など簡単に吹き飛ばすほどの風力を放ち、フレアも当然簡単に宙に舞った。

 

「ぐあああああああああ!! くぅ!! 金髪ぅ!! <髪しぐれ狼牙>!!」

 

 だがフレアもそれだけでは終わらず、髪を自在に操る魔法で、己の赤髪を巨大な狼に変化させ突進させた。まるで本物の狼のように鋭利な牙がルーシィを襲おうとする。

 

「開け!! 《巨蟹宮(きょかいきゅう)》の扉・キャンサー!!」

 

「エビ!」

 

 次に喚ばれたのは蟹のような甲殻の脚を背から生やし、ドレッドヘアとハサミが特徴的なダンディが現れた。巨蟹宮と言っていたが、何故か『エビ!』を語尾に付けている。

 キャンサーは人間の視認では追い付けない光速の巧みなハサミさばきでフレアの赤髪で出来た赤狼を切断した。

 これにはフレアも『私の……髪が!!』と吃驚(きっきょう)し、別の方法にてルーシィに攻撃する。

 

「おのれぇっ!!」

 

 赤髪をステージである闘技場の砂の地面に突き刺し、突き進ませる。すると、ルーシィの足下にフレアの赤髪がしっかりと捕まえられてしまう。

 

「えっ! きゃああああああああ!!!」

 

 人間一人を体が浮くくらい軽々と体勢を崩させ、フレアは構える。

 

「私の赤髪は自由自在に動くのよ……」

 

 まるで狂気が含んでいるのでは、と思わせるくらいに目が歪んで笑うフレアに、ルーシィは心の内で微かな怯みを生むが、関係ないと言わんばかりに冷静に、そして対応策として腰に差してあった伸縮可能な鞭を遣う。

 

「だったらあたしの星の大河(エトワールフルーグ)も、自由自在なのっ!!」

 

「何っ!?」

 

 ルーシィの星の大河(エトワールフルーグ)に手を絡め取られ、フレアも己が放った回転が自分にも巻き込まれてしまい、一緒となって宙にて無造作に回ってしまった。

 誰も地に足が付いてないことで二人は闘技場の砂地をクッションに転がり落ちてしまう。

 頭から落ちた二人だが、ルーシィは逸早く飛び起き、フレアは金髪(ルーシィ)の強さに困惑気味で半身だけ起こし冷や汗を垂らしていた。

 

『これは一回戦から息つくヒマもない攻防戦ーーーッ!!! 親子ギルド対決!!! 女同士の戦い!! どっちも引かず!!』

 

『でも妖精の尻尾(フェアリーテイル)の方がちょっと優勢に見えるわね』

 

 実況を耳にしながらも、フレアは自分の炎の赤髪により足を掴んでいたことで、大火傷を負った筈であろくルーシィにニタリと口角を吊り上げるが、

 

「つ……! ブーツが……!?」

 

 ルーシィの足には焼き焦げたブーツが無惨に残り、ボロボロの靴と化してしまったが、代わりに直接肌に触れていなかったことが幸いとして、ブーツを脱ぎ捨て素足で勝負を続行しようとしていた。

 

「もォ! これ結構お気に入りだったのにこのブーツ!」

 

「……ッ!……私の……焼ける髪……赤髪が……その程度のダメージ……!?」

 

 このフレアの得意として自慢であった赤髪による攻撃を、ふざけたこの女は何も影響を与えられないことに苛立ちに、更に狂気染みた目が血走る。

 

(金髪ぅ……!!!)

 

 この異様な雰囲気に気付いたのは、同じ大鴉の尻尾(レイヴンテイル)のメンバーたちだった。

 

「おぉ! どうやらやるようでさァ」

 

「……ふん」

 

「………………………………」

 

(…………フレア)

 

 ナルプディングは笑みが止まらず、アレクセイは一応再びフレアに目を向け、オーブラは相変わらず黙然とし、クロヘビも蛇のようは顔しながらも鉄面を装いながらフレアを見ていた。

 そして、フレアは癇声でも思えるような声を上げて再び赤髪を地面に突き刺した。

 

「また足を狙うつもりね!(素足の状態であの髪に触れられた確かに戦況不利になる)」

 

 ルーシィは周囲の地面、足下から全ての意識をそちらに回すが、一向に仕掛けてこない。

 これにルーシィは警戒を怠らず対戦相手のフレアを見て伺うると、突き刺した髪をそのまま不気味に首を傾げたまま、狂気に染まりしも美しいその顔は黒く微笑み、静かに人差し指をある観客席にへと向けた。

 

(なに?)

 

 ルーシィは素直に指された方向に目を向けると、そこには声を張り上げて応援してくれる大切な仲間(ギルドメンバー)たちの観客席だった。

 そして、皆の邪魔にならないようにと子供ながら健気に配慮して端から笑顔で試合を応援してくれてるビスカとアルザックの愛娘・アスカに、フレアの赤髪が密かに狙っていた。

 

「アスカちゃ…………んぐっ!!?」

 

 思わず声を上げてしまうが、フレアが赤髪でルーシィの首周りを縛り上げた。

 

「声を出すな……これは命令。逆らったらどうなるか分かるわよね? いくら頭の弱そうな金髪でも」

 

(きたない……!!!)

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

「……見えてるんでしょ、キング」

 

「あぁ。見えているぞ? ヲヨキ」

 

 親子ギルドの対決に、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーたちは声を渇れるほどの声を上げて試合を応援している中、獅子然とした堂々たる悠然とした格好で、黄昏の鬼(トワイライトオウガ)の観客席に逆立てた金髪のキングに、真っ白な髪に真っ白な肌が特徴的なヲヨキは、隣で応援している妖精の尻尾(フェアリーテイル)メンバーたちに気疲れないくらい小さな声で話していた。

 ヲヨキは先程バナボスタに買いに行かせた鳥の串焼きを食べながら顔の表情を変えずにキングに問う。

 

「道楽は好きだけど面倒が嫌いな王様はどうするのかな? 見ているだけ?」

 

「ふむ……(オレ)が手を下し、裁定してやっても良いのだがな……ククク」

 

 獅子の(たてがみ)を逆立てるように、キングは頬杖をついて眺める姿勢に徹した。

 

「それが王様(きみ)判決(こたえ)かい?」

 

「王とは常に新しきものに眼を向いておらねばならんのだ。これからどのような結末が待っておろうが、それがどのような結果になろうが、面白ければ良いのだ」

 

 キングは目の前で止められる悲惨な物も、結果結末が面白ければそれでいいという快楽主義な嗜好を求めている。

 

「是非も、なし……クックックック」

 

「そっか」

 

 クツクツと喉から笑うキングに、ヲヨキは嫌悪を表す訳でも好感が沸くこともなく、ただ眺める。諌めることが出来ないのを理解しているならば、同じく咎を受けることくらいは出来る。だから、一緒に眺めるその王と名乗る青年と傍らから、

 

(……ま、いざとなったらボクが助けて上げるよ、あの可愛い女の子をね。感謝しなよ妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆さん)

 

 ヲヨキはパタパタと足をバタつかせ、焼きたてのタレ特有の匂いを放つ串焼きをまた一つ頬張っていた。

 バナボスタが脇の視界から収まった。

 また新しい祭りの食べ物を買って来てくれたのだろう。ヲヨキの命令で。

 

(さぁてと、食べ物も新しく来たけど、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の金髪ナイスボデーのお姉さん。赤髪姫とはどうやって戦うかな?)

 

 ヲヨキは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔法の凄さに興味が尽きることはなかった。

 例え卑怯な手段を用いられても、どんな逆転を見させてくれるのかを。

 

 ただ面白く眺めていた。

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

「あ は は は は !!!」

 

「うっ!」

 

 調子を取り戻したフレアは一方的な攻撃でルーシィを追い詰めていった。

 

「どうしたルーシィ!?」

 

「どうしたんだ! さっきまで互角にやり合ってただろ」

 

 急な一方的攻戦に苦い顔になりながらただやられていくルーシィにエルザらエルフマンが疑問と心配の声が上がった。

 観客席からも疑問の声が上がる。ルーシィがどのような状況に置かれているかも知らずに、

 

『これは一体どういう事でしょう。さきほどまでの激戦からうってかわって一方的な展開に!!』

 

 実況のチャパティも驚いているが、フレアは構わずルーシィを燃える赤髪で攻め立てた。

 ルーシィはチラリとアスカの方向に向く。そこには変わらず焼ける赤髪が無垢な少女に狙いを定めて構えている。それだけでルーシィが動けなくなるのは十分だった。

 

(くっ! アスカちゃん!)

 

 誰にも気付いてくれないこの状況。ルーシィは歯を強く食い縛ることしかできない。

 バシンッ! とルーシィに連続的に赤髪が鞭のようにして柔肌を傷付けるよう打ちつける。打たれた場所は無情に腫れ上がる。そこには火傷も更に負わせられる為尚酷くなっている。

 そしてルーシィが今一番に思ったのは『悔しい』という気持ちだけだった。

 本当に、それだけしか頭になく。激しく打たれながらもルーシィは一切消えないで考え続けていた。

 ギルドの皆と目標を掲げ楽しく騒いだあの日を、戦える準備も心構えも出来ていたのに何者かのせいで不参加を余儀なくされ悔しく泣いていたウェンディを、つい先程まで試合をして蓄積された筈の実力を十分に発揮できなかったグレイを、ルーシィは鮮明に思い出していた。

 

(悔しい……くやしい……くや、しいよ)

 

 ボロボロになりながらも、どうすればいいのか最善なものを考えたルーシィが出した答えは一つ。

 

「降…………さ……」

 

 アスカちゃんを絶対に傷つけたくない。

 フィオーレ1のギルドになりたいけど、その為に誰かを傷つけてまでなりたいとはルーシィは思わなかった。

 ごめんない、胸中で皆に謝りながらルーシィがリタイアを宣言しようとするが、

 

「んぐっ!?」

 

 ギュルルルとルーシィの口がフレアの赤髪で塞がれてしまった。

 

「誰が喋っていいって言ったよ金髪ぅ!!」

 

「んんんんんんッッ!!」

 

「降参なんかさせないわよ…………これからたっぷりと遊んであげるんだから」

 

 フレアはルーシィの四肢を赤髪で持ち上げ、自由を奪った。

 

「いい? 声を出さないでちょうだい。ただし悲鳴は許すわ♪ あはは!」

 

 フレアは歪んだ笑顔で目の前のルーシィに訪ねる。

 

「そうね……まずはどうしてくれようかしら? 裸にひんむいてやるのもいいわね。この大観衆の前で」

 

 口元を解放されたが、フレアの冷酷な提案にルーシィは羞恥でブルブルとその場で震えてしまう。まともにフレアさえ見れない。

 

「それも面白そうだけど、もっといい事思いついちゃった。お前の体に大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の焼き印を入れてやるわ。一生消えない焼き印をね。どこに入れてほしい? ん?」

 

 フレアが目に入ったのは、手の甲に刻まれた彼女の誇り。彼女の証明。彼女の夢が詰まったもの。

 

「そうか。〝妖精の尻尾(フェアリーテイル)〟の紋章の上にしてほしいのねぇ」

 

「お願い!! それだけはやめてっ!!」

 

「喋んなっつったろォ!?」

 

「いや!!! やめてっ!!」

 

 ルーシィは必死にその場でもがくが、フレアは依然と力を弛めず、逆に力を入れ直した。完全に抜けることが出来ないでいる。

 そんなルーシィの様子にやっと違和感を抱いたエルフマンとエルザだったが、エルザがナツが居ないことに気付いた。

 そして、その当のナツはというと、いつのまにか会場から観客席にへと移動し、観客の間を全力で走り抜け、あっという間に妖精の尻尾(フェアリーテイル)の応援していた席にへと到着していた。

 

「オレは耳がいいんだよョ!!! 確かに聞こえたぞ!! 『アスカちゃん』ってな!!」

 

「ナツお兄ちゃん?」

 

 んがー! とナツがフレアの赤髪を見つけ、見事にそれを引き千切りアスカを守った。だが当のアスカは単純に疑問に思ったのか『どーしたの?』と見上げている。

 ビスカが我が子を引き寄せ、ナツに理由を聞いていると、横目に映る金髪の男が目に入る。

 

「……うん。お前……」

 

「フハハ」

 

 ナツは金髪の男、黄昏の鬼(トワイライトオウガ)のマスター代理であるキングに何かを聞こうとすると、

 

「これナツ! アスカを守ってくれたのは助かったが早う戻れ。後は儂が言っておく」

 

「ナツー! がんばれー!」

 

 マカロフに止められ、ナツは意識がルーシィにへと向かう。

 そして、キングは顎を摩りながらナツを背中から眺める。ヲユキはそれ見てまた新たにバナボスタから買ってきてもらったポップコーンを一つひとつを頬張りながら美味しそうに咀嚼(そしゃく)しながら食べていると柔和な笑顔を浮かべていた。ナツは言いたいことをルーシィに叫んだ後、キングを一瞥して、すぐに駆け戻っていった。

 それを見ていたキングは小さな笑みを浮かばせて、ヲユキはそれを眺め、一抹の不安を抱きながらも試合を見ることを続行した。

 

「何っ!」

 

 そして、ナツの行動( あ れ )には予想外過ぎたのか。フレアは少しのラグを生んで驚くが、ナツのありがたい援護にようやく反撃のチャンスを手に入れたルーシィはすぐ様に《 双子宮》のジェミニを喚ぶ。

 

「ジェミニ!」

 

「「ピッキッーリッ!」」

 

 二体の星霊(せいれい)が開門され、一気にフレアの赤髪を切っていくと、ルーシィはジェミニと何かを鍛練していたのか、『アレやるわよ!!』とジェミニに言う。

 

「とにかくあたし(・ ・ ・)に変身!!」

 

「了解」

 

 ボンッと変身したジェミニの姿は、会場の男たちが思わず席を立ち上がって喜ぶ。なんとバスタオル一枚のルーシィ(・ ・ ・ ・)の姿が現れたのだった。

 これにはルーシィも『 ウェ(゚Д゚)!? 』といった感じに驚いていて、すぐに反応するが、理由はどうやらコピー時の姿でいるため、服装もそのままだったらしい。

 会場も勿論これには野太い歓声が上がり、盛り上がる。

 だが勿論フレアは面白くないし、形勢逆転の予想図が完全に脳裏を横切るばかり。

 

「金髪ぅ!!」

 

 フレアだけでは無く、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)陣営の控えで待っているアレクセイは鋭利ある手甲を灰色の煉瓦にぶつけ砕き、怒りを表している。

 ナルプディングは恐れ、オーブラは無反応、そしてクロヘビはアレクセイの横に控えると冷静に分析したことを呟く。

 

「……あの双子宮の星霊、ジェミニはコピーの魔法を得意とする星霊の様子。だがあの様子からして高い実力がある魔導士には変身できない様にも見られます。そこから導き出されるのは、同系統、同質の魔力…………つまりはジェミニのマスターである星霊魔導士ルーシィの強さも比例されるということ」

 

「…………では、ラクサスやマカロフといった妖精の尻尾(フェアリーテイル)の実力者には変身(コピー)できない。そういうことか」

 

「恐らくは…………ですが、甘く見れないのは確かです」

 

 アレクセイはそのことも気にくわないのか、握力だけで煉瓦を潰し壊していく。だが、アレクセイの視線がオーブラに移すと、

 

(ふん……アイツがどうなろうと構わんが、もしもの時は、)

 

 アレクセイの視線や思惑に早くから気付いていたのか。オーブラは肩に小さな黒い生き物を既に待機させていた。それにアレクセイは仮面越しに微笑み、そしてクロヘビは冷や汗を垂らしていた。

 そんな思惑を露知らず。フレアはルーシィのただならぬ魔力の向上に冷や汗が滝のように流れるか、状況を打破出来る訳でもない。

 そんなフレアに、ルーシィは次の一手をかけた。

 

「天を測り、天を開き、あまねく全ての星々。その輝きをもって我に姿を示せ」

 

 ルーシィが唱えたこの言葉に、青い天馬(ブルーペガサス)のトライメンズが反応する。

 

「その魔法はまさか!!」

 

「何かすげー魔力だぞ!!」

 

「なるほどね。自分を二人にして魔力を高めてるのか」

 

 それは、かつて『六魔将軍(オラシオンセイス)』の戦いでみせた星霊魔導士と星霊が協力なくしては出来ないであろう星々の超魔法。

 

「テトラビブロスよ。我は星々の支配者。アスペクトは完全なり…………」

 

 今のルーシィの魔力では二人(・ ・)合わせてもあの時の力は出せない。それは本人が一番に理解している。だが、それでもルーシィは見せたかったという。

 

「な……何よコレェ…………!」

 

 星野の輝きを、放て。

 

「荒ぶる門を解放せよ!」

 

 これが妖精の尻尾(フェアリーテイル)。これがギルドの誇りをかけた一撃。

 

「全天88星……光る! 〝ウラノ・メトリア〟!!!」

 

 オオオオオオオオオオオオォォォォォ!!!!! と会場は地上で放たれた

 

 それは、かつて『六魔将軍(オラシオンセイス)』の戦いでみせた星霊魔導士と星霊が協力なくしては出来ないであろう星々の超魔法。

 星々の輝きが地上から発せられる。

 目が焼かれてしまうのではと恐れてしまうほどの閃光。輝きは一瞬にして会場を包み込んだ。

 

 誰もが期待に満ち溢れ、観客たちは歓声を上げ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーは次々と勝利への確信でなのか、自然と笑みを溢していた。

 

 だが、

 

(えっ?)

 

 何も起こ(・ ・ ・ ・)らなかった(・ ・ ・ ・ ・)のだ。

 

 まず誰よりも、それを理解出来なかったのは、魔法を行使しようとしたであろう。ルーシィが一番に理解を苦しんでいた。

 

(なんで? どうして? 星霊たちに教えてもらった魔法、それが不発?! ちが……う……魔力もちゃんと無くなってる……ちゃんと発動はした、感触もあった……それなのに……なんで)

 

 崩れ行くルーシィ。

 片やフレアはと言うと、カタカタと震えていた体がまだ言うことを聞かないが、首だけを大鴉の尻尾(レイヴンテイル)陣の方へ向ける。

 

(オーブラ!! おまえか!!)

 

 ニヤリと黒い笑みを浮かばせるフレア。

 それに気付かずに、ルーシィは体勢を崩して倒れてしまう。

 

『オォー!? これは一体何が起きたのか!? ルーシィほ魔法は不発!!? ヤジマさん!! これは……!!?』

 

『……………………………………』

 

『ヤ…………ヤジマさん?』

 

 実況のチャパティは今起きたであろう事実を観客たちに言葉にしてあらためて分からせるよう再びそう実況していたが、ヤジマのただならぬ雰囲気に思わず言葉を詰まらせるが、

 

『おォーっと、ルーシィがダウーーン!! 試合終了ーー!! 勝者《大鴉の尻尾(レイヴンテイル)》フレア・コロナ!!』

 

 ここにきて、勝負が決まってしまった。

 

 黒い(ハネ)を落としながら、鴉は這いつくばる妖精を嗤った。




フレアが大好きです。クロヘビも大好きですww

てかフェアリーテイルは魅力あるキャラが多いですね。書いてるときなんてもう妄想が暴想して暴走してww

月刊フェアリーテイルマガジンが馬鹿にならない値段ですが今のところ全巻揃ってる……そこで連載しているフェアリーテイル―ZERO―…………

まさかあんな展開[壁]ω´・)チラッ

亀更新ですが、またご贔屓にお願いします(T-T)

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