FAIRY TAIL~魔女の罪~   作:十握剣

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亀さんよろしく遅々微々更新(泣)
もう、大変です。仕事とか(泣)
もく(泣)しか出てこない(泣)



・誤字脱字あるかもしれません。
・なんかまたオリキャラ出てますゴメンなさい。


第10話「進む大魔闘演武」

 参加人数が限られた中、それが始まった。

 

 『大魔闘演武』オープニングゲーム〝隠密(ヒドゥン)〟。

 

 今それが開始しようとしていた。

 妖精の尻尾(フェアリーテイル)を応援するであろう観客席で、マスター・マカロフ達が居る席の隣では静かに、だが一見すれば絶対に目が離せないであろうその存在を、『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』創設者である初代マスターのメイビスが気付いた。

 

(こ、これは!)

 

 姿は少女然としているメイビスだが、それでも妖精の尻尾(フェアリーテイル)の伝記を数多残したのも事実であるそのメイビスが戦慄したのだ。

 この事実を早く知らせるべく、三代目と六代目を務めている妖精の尻尾(フェアリーテイル)マスターのマカロフにへと叫ぶ。

 

「マスターマカロフ!」

 

「ぬぉぉおっ!? 急に大声を出してどうされたのですか初代?」

 

 応援ということもあり、年に合わず応援団を彷彿させる学ランを着込んだマカロフに、若干興奮気味で、まるで近未来の出来事を目の当たりにしたかのような反応をしている少女のメイビスが指差した方向にへと顔を向けると、

 

「おぉおうッッ!?」

 

「どうしたのマスター!? マスターメイビスも! ・・・・うん? どうしたのアスカ?」

 

「みてみてー」

 

 メイビスとマカロフのマスター二人がワナワナと震え始めていることに不審に思ったビスカが、愛娘であるアスカが服を引っ張って何かを指差している。父のアルザックと共にそちらに顔を向けるとそこには、

 

「ほほぉ~。やっと偉大なる俺に気付いたか? 本来ならば偉大なる(オレ)に気付かなかったこと万死に値するところなのだが・・・・まぁ、(オレ)とは寛容なることこそが(オレ)なのだから許してやらんこともない。喜べ!」

 

「さ、流石は黄昏の鬼(トワイライトオウガ)のマスター代理! もうマスターとも呼ばせてくだせぇ!」

 

 今まで妖精の尻尾(フェアリーテイル)を借金の圧力を掛けていた《黄昏の鬼(トワイライトオウガ)》マスターの筈であるバナボスタを椅子(・・)にして座っているのは、獅子のように髪が逆立て、何処までも真っ直ぐにギラつかせた瞳は誰の指図も受けないと無言で言っているかのように強くはっきりとした眼光を放っている青年だった。

 そんな青年がバナボスタを椅子にしているというこの場面、どう見ても青年が目上となっていそうだが、あの巨漢をここまで、あの妖精の尻尾(フェアリーテイル)に借金返済を理由に食い潰していたあの『黄昏の鬼(トワイライトオウガ)』のマスター・バナボスタがここまでされて笑って媚を売っているのに、あのマカロフさえ不審に思った。

 アスカと一緒にビスカが『ハイ見ちゃダメよー? 今のは忘れるのよ?』と他のメンバーと共にアスカを安全地帯へと移動させた。

 

 ゴホン、と。この人間イスという近代的嗜好(隔たった情報)に気になってしょうがなかった幽体のメイビスの代わりに、マカロフが聞く。

 

「あー、そこの青年や? そのー、それって・・・・」

 

「フハハハハ! 何だご老人よ? このバナなんとかいう椅子のことが気になるのか? あぁ、まぁこれは『気にするな(キ ニ ス ル ナ)』」

 

 その言葉に、

 

(なにっ?)

 

 ビキィ! と意識はあると言うのに、何故かバナボスタが這うような姿勢なっているのを〝疑問に思わなくなってしまった〟のだった。

 まるで、無理矢理引き剥がされたかのように。

 他の妖精の尻尾(フェアリーテイル)メンバーである者も、ピィン! と一切そちらに向けることが出来なくなってしまったのだった。

 

「魔法、ではありませんねこれは」

 

 それを眺めていたのは唯一幽体であるメイビスだけがその事象を冷静に分析していた。

 

「ふむ。今の(オレ)は『寛容』こそを主体に思考を向けさせていたのだが、やはり直ぐに『王言(おうのことば)』を使うのはいけないな。うむ。以後気を付けよう。許せ」

 

 どこまで上から目線で言ってくるのか分からないが、だが彼の言葉は何処か重みが違うように聞き感じ、二度(ふたたび)聞くマカロフ。

 

「君の、名は?」

 

「うむ。(オレ)の名か、ならば心して聞け! この名こそ絶対にして最強の王の名! 我が名は───」

 

「〝(キング)だよ。でもこの国の王様の前でそんなこと言えるのキングぐらいだねぇ。でもさすがに気軽に呼び捨てされたぐらいじゃ『寛容になった』キングとは言わないかもねぇ」

 

 ぶわっ! と沸き出る観客から出た歓声が最前列で応援していた妖精の尻尾(フェアリーテイル)の面々を包む中から、急に現れたのは可愛らしい中性的な顔立ちをした白髪の子供が、何やら会場で購入でもしたのか、唐揚げを串に刺して呑気に食べながら王土の前までゆっくりと歩いてきた。

 

「なっ!! いつの間に!?」

 

「おわあぁあ!? えっ?」

 

 妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーが各々の反応をしている中、その子供らしき人物は満足そうにしてキングの前まで来る。

 そんな子供にキングと呼ばれた獅子のように、王のような構えるその青年に笑みを浮かべたまま溜め息をつく。

 

「おいおい、ヲユキ。俺の堂々たる王としての言葉を邪魔するとは・・・・万死である万死!」

 

「王だからってね、万死万死使えば良いってハナシじゃないんだよ王さま? あっ、自己紹介がまだだったね。ボクはこのキングと同じギルド《黄昏の鬼(トワイライトオウガ)》のメンバーであるヲユキって言うんだよ。気軽に呼んで良いからね♪ ヲ・ユ・キってね♪」

 

 にこやかに笑う少女の子供に、マカロフやマカオ、ワカバも対応が困っている。

 

「まぁ、王の冗句(ジョーク)もこの辺にして、共に観戦しようではないか。同じマグノリアのギルドとして応援してやっているのだからな」

 

「何ぃ?」

 

 キングの不躾過ぎる物言いに勿論のこと妖精の尻尾(フェアリーテイル)メンバーが食って掛かろうとしたが、マカロフが手で『止めろ』と合図する。

 キングに向き合い、人差し指を椅子にしている顔がカクカクしている巨漢に向けて、言い放つ。

 

「報復、ですかな?」

 

「この境遇を見てそれを語っているのか妖精の尻尾(フェアリーテイル)マスター・マカロフ? それにそれでは『報復の報復』になってしまうではないか・・・・それは面倒だぞ、実に。(オレ)は面倒が嫌いだ。あぁ、道楽は別だぞ? (オレ)は小さき道楽から大きな道楽まで愉悦したい。ぜひ(すべから)く遊戯するべきであるな道楽とは、・・・・・・・・ん? なんの話だ?」

 

「つまりこの王サマが言いたいことはですねお爺ちゃん。ギルドをメチャメチャにされたからこれで互いに納めましょう、と言っているんだよ? まぁ、ボクたち(・ ・ ・ ・)が留守の間にあった出来事だったからさ。帰ってきたら元あった場所のギルドが無くなってて、街中探して聞いてたらなんか有名になっちゃってるし」

 

 ヲユキがそう言いながら、キングに唐揚げの串刺しを分けて、椅子になっていたバナボスタをヲユキから助けると、用意された観客席に座り、またも箱ごと買ってきていた唐揚げの串刺しを再び美味しそうに口に頬張っている。そして、事も無し気に『黄昏の鬼(トワイライトオウガ)』の後の方針を告げる。

 

「そして、あの有名なギルド『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』に対しての対応を聞いて、見事にボロボロにされたんでこれでお相子だ、っていうウチの頭領(マスター)の方針なんだよ」

 

「な、に? マスターじゃと? では、そこの男は!」

 

「いやいや、確かにバナボスタもマスターだった(・ ・ ・)

 

 パクパクと真剣な話をしているのだが、気にしないで食べるこのヲユキという子供のペースに、他のメンバーであるマカオやワカバ達は肩をすくめている。

 

「マスター交代。それをした時に君たち妖精の尻尾(フェアリーテイル)に潰されちゃったんだよね黄昏の鬼(ウチ)は」

 

 笑顔で答えるこの子供だが、そう言えばと周りのメンバーたちが気付き始めた。

 そう、子供の割には重要過ぎる話を知りすぎていないか? という疑問だった。ギルド同士の紛争は多くは無いが少なくもない。だがそれは幾らギルドのメンバーである子供にまで知らせるのか? と。

 よく見れば妖精の尻尾(フェアリーテイル)のウェンディにも相応の歳にも見えるその子供に、マカロフはありもしない不安を駆り立てられる。

 一体何者なのか、と。

 

「まぁ。そういうことですよ? マカロフさん。別に邪な考え(・ ・ ・ ・)は持ち合わせていませんよ、ヤダなぁ」

 

 にこにこと笑ったヲユキの可愛らしい顔に、マカロフは血の気が引くのを覚えた。

 いや違う。たまたまじゃ、たまたま心を読ま(・ ・ ・ ・)れたかの(・ ・ ・ ・)ように(・ ・ ・)聞こえた(・ ・ ・ ・)のじゃ、とマカロフは汗が垂れているのにも気付かずにヲユキを見た。

 白髪に可愛らしい顔。ぶかぶかの服を着てマフラーさえ巻いている少し奇妙な格好の子供。やはり何処からどう見てもウェンディのように小さき子供にしか見えなかった。

 

「ふふふ。ありがたい感想だよ。お爺ちゃん」

 

 ゾッ!! とマカロフは思わず子供に向ける目ではない、まるで脅威を目の当たりにした瞳を向けてしまった。

 

「むぅ、ヲユキよ? お前は少し喋り過ぎているぞ? この会場の活気と歓声と共に見ていようじゃないか、我ら『黄昏の鬼(トワイライトオウガ)』と『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』が活躍するマグノリアのギルドの強さをな」

 

「ごめんごめんよ。ボクも妖精の尻尾(フェアリーテイル)を応援したくなっちゃったよ。だってあっちには強くてカッコいいお兄さんとお姉さんが沢山居るからねぇ!」

 

 純粋に笑い合ってキングと話すヲユキに、マカロフは未だに警戒の念を心の内だけでも潜めていた。

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

『参加人数は各チーム1名。ゲームのルールは全選手出そらった後に説明します』

 

 そうして実況のチャパティが説明を終えると、一番に話し込んだのは『黄昏の鬼(トワイライトオウガ)』だった。

 

「ふっふっふ! 隠密(ヒドゥン)の名から察するに、やはりここは(それがし)が・・・・」

 

「カカカ! 狙ってんじゃねぇかこのゲーム」

 

「そう言うなよ、カクキ。普段手伝いと称して他のギルドに出入りをするほどの暇人フウキがたまに活躍する場面なんだからよぉ」

 

「アレ? これ声援じゃないでござるよな? そうでござるよなヨウキ殿!?」

 

(わっち)も応援してやろうかえ」

 

「素直にありがとうでござる、ゲンキ殿!」

 

「がんばれ」

 

「あれ? 声援は嬉しいのに全然顔こっち向いてないでござるよ、ボウキ殿?」

 

 恐らく弄られキャラなのか、忍者装束を纏う青年は、目元が見えないくらいの丸い兜を揺らして仲間から応援を受け、前に出た。

 

『まず名乗りを挙げたのが『黄昏の鬼(トワイライトオウガ)』のフウキィー!!』

 

 そして、相談していたのは黄昏の鬼(トワイライトオウガ)だけでは無く、次々と他のギルドからも名が上がっていった。

 

「最初は様子見っ! アチキにやらせて」

 

「許可しよう」

 

『『人魚の踵(マーメイドヒール)』からはベス・バンダーウッドォー!!』

 

 続いて黒き鴉から、黄金の鎧の男がメンバーを選定。

 

「ナルプディング。お前が行け」

 

「了解でサー!!」

 

『『大鴉の尻尾(レイヴンテイル)』からはナルプディングゥー!!』

 

 スーツを上着を脱ぎ、やる気十分に向かうは青き天馬から、出てきたのは。

 

「僕が出るよ」

 

「☆ぅぁイヴくんが~一番手っ!!!☆」

 

「「イヴくんがっ~! 一番手っ!!!」」(♪わっしょいわっしょい♪)

 

『イヴコールに送り出され、『青い天馬(ブルーペガサス)』からはイヴ・ティルムゥー!!』

 

 各チームが次々と出場選手が決まっていく中、会場が注目している人気ギルド『剣咬の虎(セイバートゥース)』から出てくる選手は、

 

「私が出よう。今日は小鳥たちの歌声が心地よい」

 

『大注目! 『剣咬の虎(セイバートゥース)』から赤い月に歌う吟遊詩人!! ルーファス登場ォー!!』

 

 その瞬間、年頃の女性たちが黄色い歓声を上げてテンションをまたも上げていく。どれほどの人気を誇るのか、剣咬の虎(セイバートゥース)の人気高さが計り知れない。

 だが、もちろんこの人気には妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバー、というよりナツが気に触った。

 

「なんでこんなに騒いでんだコノヤロウ!!!」

 

 うがー!! と観客たちを見るが、それは仕方もないこと。この七年でここまで人気を博している実力があったからこそ、今に至るのだろう。ナツを宥めながらそう考えていたエルザだった。

 

「ここは(おとこ)として一番槍となって!」

 

「お前のどこが隠密(ヒドュン)って感じだよ。肉団子」

 

「ゲームの内容が分からんが、隠密(ヒドュン)という名から〝隠れる〟事が必須か」

 

「ウェンディが居てくれたらなぁ。小っちゃいし」

 

 それぞれがゲーム内容に気にして話し合ってる中、蛇姫のギルドも隠密(ヒドュン)という内容から、体が小さいのが有利。だと勘づき。新人(ニューメンバー)であるシェリアと同じ小柄な身長ぐらいのユウカだね、と笑顔で言っているが、ユウカが身長を気にしてか、吊り上がった目で睨みながら『小さい言うな』と告げる。

 だが、そんな話を聞いてる中でも、白髪の青年が勇み足で前に出る。

 

「いや・・・・初めからとばしていく。オレが出よう」

 

『おぉーと! 『蛇姫の鱗(ラミアスケイル)』からリオン・バスティアァー!!』

 

 それにやはり一番に反応したのが、この男。

 

「ほう、だったらオレが出よう。この大会。どんなモンか見させてもらうぜ」

『そして『妖精の尻尾(フェアリーテイル)・Aチーム』からは、グレイ・フルバスタァー!!』

 

 そしてここでもやはり一番に嬉々として反応したのが、この女性。

 

「あぁ~ん♡ グレイ様が出るならジュビアも!!」

 

「オイ!! わざと負けたらただじゃおかねーぞ」

 

『『妖精の尻尾(フェアリーテイル)・Bチームからはジュビア・ロクサァー!!』』

 

 ワァアアアアアアアア!!! とジュビアが決まったことにより、全チームの選手が決まった。会場の熱気も渦巻くばかり。

 

『以上! 8チームの参加選手が決まりました! そして! いよいよオープニングゲーム《隠密(ヒドュン)》!! そのルールとは!?』

 

 

 これにより、大魔闘演武開会試合(オープニングゲーム)が開始された。

 

 




感想やコメント貰えたら嬉しいです(´Д`)

そして、オリジナルなフェアリーテイルを楽しみたかった人には手酷い裏切り行為をおこなったかもしれません。
まさかのあの王様キャラ!
本当にすみません(泣)
でも生暖かい目で見ていってほしいです(涙)

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