とある教師の業務日誌 作:ダレンカー
☆月○日
篠ノ之さんがシュンとしていた。
どうやら、織斑先生に相当叱られたようだ。
事情を知った織斑君はなぜか俺に礼を言ってきたけど。
いわく、箒を助けてくれてありがとうと。
仕方なかったとはいえ女の子に手荒な真似をしたから怒ってくるかと思ってたけど、
そんなことなかったみたいで安心した。積極的に嫌われたいとは思わないからね。
当の篠ノ之さんは俺と会った時気まずそうな顔をしていた。
俺が怒ってないよ?と伝えるとすごく意外そうな顔をした後謝られた。
まぁ良くも悪くもまだ子供だ、これからの成長を見守ろうではないか。
だからといって、次も木刀で殴りかかられたらさすがに怒ると思うけどね。
☆月△日
今日も整備室に行ってみた。
ノックして部屋に入ると、前回ほどではなかったけどちょっと驚いたような顔で迎えられた。
また来るとは思ってなかったんだろう。
途中で買った缶コーヒーを掲げて少し休憩しない?と誘ったら戸惑いながらも承諾してくれた。
話題は特になかったんだけど、部屋にあったアニメのDVDについて触れると
顔を赤くして隠してしまった。
おかしいですよね?って聞かれたから、何が?俺も結構好きだよ?
っていうとおずおずと話しだした。
ロボアニメとかヒーロー物が好きらしい。
ロボかぁ、俺はどちらかというとラブコメが好きだからなぁ。
おススメを貸してもらうのもいいかもしれない。
俺が結構マンガとかアニメを好きなのに驚いた様子で、何を読むんですか?
って聞かれたから、小説、ラノベ、哲学書、絵本、児童文学、マンガ、
とにかく何でもっていうと、
それはいくらなんでも雑食すぎるんじゃ…と苦笑いで言われた。
うん、ちょっとは仲良くなれたかな。
次は、食堂とかで話せたらいいかもね。
☆月×日
楯無ちゃんに、簪ちゃんを口説いているのか!って問い質された。
楯無ちゃん、シスコンだったんだね。
ただ、たまに話をしているだけだと言っても、なかなか信じてもらえなかった。
その後妹の可愛さについて延々と語られた。
なんでこんななのに仲違いしてるんだろうかすごい気になったけど
あまり突っ込んだこと聞くのもあれだしね。
でも、今まで気の休まるものだった楯無ちゃんとの遭遇が、なんだか怖くなってしまった。
話を聞くとは言ったけど、妹の惚気を聞くとは言ってない。
いくら俺が暇だとしても勘弁してほしい。ホント、マジで。
☆月●日
今日は、織斑君に稽古をつけてほしいと頼まれた。
いや俺、剣道できないんだよね…。
そう伝えるととにかく何でもいいからと言われた。
やっぱり、男との交流に飢えているみたいだ。
なので、適当に組み手をした。
素人にしてはなかなかなので武道経験を聞いてみると昔、剣道をやっていたそうだ。
それで篠ノ之さんとやっていたのか。
一つ疑問が解決した。
その後、何故かついてきた篠ノ之さんとオルコットさんの痛いくらいの視線を受けながら
組み手を終えた。
その時、織斑君があまりにもいい笑顔でどうでしたか?って聞いてくるものだから、
身長差も相まって、弟がいたらこんな感じなのかなって思ってしまった。
そして、何気なく織斑君の頭を撫でていた。
そして、その瞬間を黛さんに撮られてしまった。
自分でも、やってしまったと反省している。
奴らに自ら餌を与えてしまったと。
だけどね?
織斑君、頬を赤くすることはないんじゃないかな?
篠ノ之さん、オルコットさん、そんな殺すような目でこちらを睨まなくても
いいんじゃないかな?
うん、勢いって怖いね!
☆月▲日
今日は初めて簪ちゃんと食堂で出くわした。
ちなみにその時に、簪と呼ぶことを許してもらった。
更識と呼ばれるのはあまり好きではないそうだ。
その時、一緒にいたなんだかほにゃーとした雰囲気の女の子も紹介してもらった。
名前は布仏 本音さんというそうだ。なんでも簪ちゃんの従者らしい。
その子の事も本音ちゃんと呼ぶ許可をもらった、
こちらは別になんでもいいそうだ。
話題は、自然とマンガアニメに。
こういうことを話せる友人も、今まで少なかったのかもしれない。
どんなのが好きですかって聞かれたから、
女の子に抱き着かれたら動物になってしまう男の子たちとのラブコメとか
美術大を舞台にした群像ラブコメとかをおススメしておいた。
特に後者。最終回は泣いた。
簪ちゃんからも色々薦められた。今度DVDを貸してくれるらしい。
最初に比べたら、仲良くなったもんだとしみじみ思った。
☆月凸日
今日は、仕事が休みだった。
仕事がない日まで書く必要があるかはわからないが、一応。
織斑君も、学園を出て実家に帰っているらしい。
いい機会だし、羽を伸ばしてほしいと思う。
陽もくれる頃、約束だと織斑先生に飲みに誘われた。
真耶ちゃんは?と聞くと今日は都合が悪いらしい。
行ったのは普通の大衆居酒屋。
なんとなく織斑先生のイメージとは合わなかったが、本人いわく。
『私はこういう店の方が好きなのだが、真耶とではなかなかそうもいかん。
だからお前との飲みは楽しい。』
らしい。いや本人が良いなら俺はいいけど。
ちなみに揚げ出し豆腐が好きだそうだ。
その後は色々話しながらお酒を飲んだ。
その中で例の頭撫で写真について触れられたが、
『私は、お前を信じているぞ!』
と言われた。
うん、織斑先生が常識人でよかった。
俺は普通に女の人が好きだ。
年上の、料理上手な管理人さんが好みのタイプなのだ。
織斑先生にこういうと、先生には通じたみたいだ。
うん、世代が一緒だと安心する。
そして料理ができないとダメなのかと聞かれた。
ダメってわけでもないけど、できたほうが嬉しい。
俺、カップめんしか作れないし。
そういうとなんだか小さく何か呟いていたけどなんだったんだろう?
まぁ良いけど。
ともかく楽しい休日だった。
また今度、今度は真耶ちゃんも一緒にお酒を飲みに行きたいな。