とある教師の業務日誌   作:ダレンカー

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第1話

○月×日

 

川村恭一、23才、7月8日生まれ、かに座、AB型。

職業 IS学園教師。

 

 

学園長に業務日誌なるものを書くように命じられたので初めに自分の事を書いてみた。

なんだか一気に日記みたいになったけど。

 

 

去年からここIS学園で教師をしているけれど、あまり仕事をした覚えがない。

それを見かねたのかこれを書くように言われた。

学期末に提出らしい。なんとも気の長い話だ。

 

 

 

俺ならきっと忘れてる。でもまぁ言われたからにはやるしかない。

気軽に、それこそ日記のように書いていこうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○月△日

 

今日から新学期だ。手始めに入学式があった。

会場の準備とかで結構忙しかった。

一年で俺が一番働く日かもしれない。疲れた。

 

 

今年は初の男性操縦者が入学するとあって色々大変だった。

それもなんと織斑先生の弟さんだそうだ。

俺もチラッと見たけどイケメンだった。織斑先生に似て。

そう先生に言ったら出席簿で殴られたけど、解せぬ…。

 

ISかぁ…。俺は動かせないけど楽しそうだよね、空飛ぶの。

改めて俺ってなんでここにいるんだろ?不思議に思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○月▽日

 

 

 

学園長になんで俺がここにいるか聞いてみた。

そしたら色々経験豊富だからって言われた。そうかな?

確かに色んな国で軍隊とかにいたことはあるけどそれだけだ。

ISで襲われたら絶対勝てない自信がある。嫌な自信もあったものだ。

 

 

 

話は変わるけどどうやら例の織斑君、入学早々大変なことになっているらしい。

クラス代表を賭けて代表候補生と試合をするんだそうだ。それも一週間後に。

 

 

織斑君って、ISを動かしてまだそんなに経っていないんじゃなかったっけ?

それで候補生と試合って…。大丈夫なのかな?

 

 

織斑先生はなんか機嫌が悪かった。

真耶ちゃんに聞いてみたらその候補生、オルコットさんというらしいけど。

彼女がヒートアップして日本や織斑君を馬鹿にしたそうだ。

 

 

そりゃ怒るよね、だって彼女は元日本代表で織斑君のお姉さんだもの。

大切なものを二つも侮辱されたんだから機嫌も悪くなるか。

 

 

でも俺にできることなんてないから二人に缶コーヒーを差し入れしてあげた。

そしたら眉間のしわが少し減った。よかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○月▲日

 

 

元気なのはいいことだと思うけどドアとか壁とかを壊すのはやめてほしい。

直すのは俺なのだ、暇だから別にいいけど。

 

 

 

織斑君、女の子と同室なんて大変だなー。

年頃の男の子は色々デリケートなのに。

どうせなら俺と同室にでもしてあげようかと思ったけど大人と一緒っていうのもあんまり変わらないか。

 

 

織斑先生は寮監だしね、それにあの人公私混同とかしないだろうし。

織斑君に会ったら、優しくしてあげようと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○月▼日

 

 

今日は初めて織斑君と話をした。

会った場所が男子トイレだったのがあれだけど。

 

 

織斑君はIS学園に男の教師がいることにすごく驚いた様子だった。

もしかしてIS乗れるんですか?とも聞かれた、乗れません。

 

 

でも彼モテるんだろうなー。爽やかだしイケメンだし。

男の俺でもそう思ったんだから相当だろう。

 

 

気になって織斑先生に弟君モテるんでしょうねと言ったらすごい顔をしていた。

なんでだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○月☆日

 

 

 

織斑君が剣道場でしごかれていた。なんだったんだろう?

ISの訓練はしなくてもいいのかな?乗れないからよくわからない。

 

 

女子生徒に混じって見学していたら声をかけられた。

いや、助けを求められたが正しいのかな?

 

 

一緒にいた女の子は水を差されたようで顔をしかめてたけど。

名前は篠ノ之さんというらしい。どっかで聞いたことある苗字だ。

 

 

邪魔するのもあれだったからすぐにいなくなったけど悪いことしたかな?

完全に見捨てられた!って顔してたもん。

反対に篠ノ之さんはうれしそうだったけど。

 

 

 

 

 

 

その帰りにベンチで缶コーヒーを飲んでいたらなんでこんなところに男が!

って叫ばれた。

なんだか去年も似たようなことがあった気がする。

すぐに俺の事なんて忘れるんだけどね。

 

 

声の主を見ると金髪縦ロールの美少女が立っていた。

見覚えはないから多分一年生だと思う。

 

 

その後も色々罵られたけど正直覚えていない。

俺からすれば慣れっこだからだ。女尊男卑とかもどーでもいいし。

何も言い返さない俺にイライラしながら彼女は去って行った。

うん、なんかごめんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

○月★日

 

 

ベンチでボーっとしていたら、楯無ちゃんと会った。

生徒会室から逃げてきたそうだ。

生徒会長がそれでいいのかと思ったけどそれなら俺は教師でこんなだし。

 

 

ちなみに楯無ちゃんとは結構仲が良かったりする。

去年からこうしてたまに一緒にサボったりお茶したり。

 

名前呼びも許可してくれた。

はじめはたっちゃんと呼んで?って言われたけど俺、南ちゃんじゃないし。

そう返したら不思議そうな顔された覚えがある。

 

 

ジェネレーションギャップって、変な所で感じるもんだよねー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○月◎日

 

 

今日は織斑君の試合があった。

相手を見てみて俺を罵った子だったのは驚いたなぁ。

 

 

 

結果は惜しくも織斑君の負けだった。

決め台詞まで言ったのにね、残念。

 

 

締まらない終わりに織斑先生は頭を抱えていたけど充分すごかったと思う。

すごいですねって言ったらちょっと嬉しそうにしていた。

それを指摘した真耶ちゃんは出席簿で殴られていた。

学習しようね?真耶ちゃん。

俺もついでに殴られた。なんでさ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○月●日

 

 

オルコットさんに謝られた。驚いた。

なんでもあの試合で思うところがあったらしい。

そう話すオルコットさんはうれしそうだった。

 

 

でもやるなぁ織斑君。もう女の子を落としちゃうなんて。

やっぱり俺が思った通りモテるようだ。

 

 

やっぱりモテますね織斑君と織斑先生に言ったらまたすごい顔をしていた。

ちょっと面白かった。

 

 

 

 

その夜一人で部屋にいると織斑先生が訪れた。

手に缶ビールを持って。どうやら付き合えということらしい。

でも俺、酒を飲むと無性にタバコが吸いたくなるのだ。

織斑先生をタバコ臭くするわけにはいかない。

 

 

そう言ったらニヤリと笑ってついて来いと言った。

そして屋上に連れていかれた。

 

 

ここなら問題あるまい?

そう笑う先生はイケメン過ぎたと思う。俺が女なら惚れていた。

だから巷でお姉さま呼ばわりされるんだなと納得した。

 

 

一緒に飲むビールはおいしかった。

明日からも、頑張ろうと思う。

 


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