デジモンアドベンチャー~Future~   作:優雅

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ついに、もう一人のヒロインの登場です!
さらに大輔と太一の専用機も登場!


第3話 登場!二人の専用機

 

大輔たちがISを操縦できるとわかってから、既に一ヶ月が経った。

あれからは、様々な科学者や報道者が彼らの家に押しかけていたり、外に出れば周りから注目を受け、科学者と報道者に見つかり追いかけられてしまったりと、散々な日々を過ごす中、大輔と太一はゲンナイたちが作った会社『ホメオスタシス』に来ていた。

 

「やぁ、待っていたよ。二人とも」

「ちわっす、ゲンナイさん」

「んで、俺たちを呼んだ理由ってのは何なんだ?」

「実はね。君たちの専用機が完成したんだ」

「まじっすか!?」

「…早すぎだろ」

 

ゲンナイが二人の専用機を作ると言ってから一ヶ月。このたった一ヶ月の間で、専用機を二つも作れたことに太一と大輔は驚きを隠せなかった。

 

「私たちは元々、デジタルワールドの安定を望む者(ホメオスタシス)仕えていたからね。あの程度のプログラミングなら簡単さ」

「はぁ…もうおどろかねーぞ」

「っと……そんなに簡単なんすかね?」

 

ISのプログラミングをあの程度と言ってしまうゲンナイに、驚きを越して呆れを感じてしまっている太一とあまり分かっていないような大輔。二人のISに関する知識は、この時点で差ができているのがわかる。

 

「まぁ、前置きはこのくらいにして。さぁ!これが君たちの専用機さ!」

 

一歩横にずれたゲンナイは、今まで自分の後ろだった方に手を向ける。

大輔と太一は、つられてその手の方向を向くと、締まりきっていたシャッターが開き、二つのISが姿を現した。

一方は、薄いピンク色の装甲が目立つIS。もう一方は、深い青色の装甲が目立つISだ。

 

「これが…俺たちのIS!?」

「なんつーか…あんまりパッとしないなぁ」

 

この二機のISは見た感じ、装甲の薄さが目立っていた。

機械的な角ばったフォルムではなく、どことなく義手や義足を思わせるような丸くシンプルなフォルムだ。

 

「ははっ、パッとしないのはこの二機がまだ一次移行(ファースト・シフト)前だからね。デジモンでいうなら、まだ幼年期なんだ」

 

ゲンナイの説明を受けて、二人は思わず「なるほど」と納得した。

デジモンには世帯が存在し、幼年期Ⅰ、幼年期Ⅱ、成長期、成熟期、完全体、究極体の順に強くなっていく。その中でも、幼年期と括りつけられている世帯では、大抵まるいまんじゅうを思わせる姿のデジモンが多いのだ。

 

「さて、この薄いピンク色のISが『グレイソウル』。太一くんの専用機だ。そして、こっちの青色のISが大輔くんのIS。『ブイフォース』だよ」

「グレイソウル…か」

「ブイフォース…俺のIS…」

 

ゲンナイの紹介で、自分の専用機がわかった二人はそれぞれの相棒となるISに触れた。

その装甲からは、冷たいはずなのだがどことなく暖かさを感じていた。そう、この二つのISが生きているかのように。

 

『太一~』

『大輔!やっほー!』

「「どわ~~~~~!?」」

 

自分たちのISに触れていると、急にISから聞き覚えのある声が聞こえた。

太一は大声をあげ後ずさるが、大輔はいきなりの事で尻餅をついてしまう。そして、震える指先でISを指差した。

 

「げげげ、ゲンナイさん!?ISが喋ったんすけど!?」

「ど、どういうことだよジジィ!!」

「はっはっは、期待通りのリアクションをありがとう。それと太一くん、私はもうジジィではないよ」

 

いきなりの事で、太一はつい昔呼んでいた呼称でゲンナイのことを呼んでいた。ゲンナイは前、ダークマスターズと呼ばれた暗黒デジモンのピエモンによりウィルスと思われる黒い物体を植えつけられてしまった。その影響をのがれるために、老化していたことがあったのだ。

ゲンナイは、イタズラが成功した子供の様な表情で説明を始める。

 

「ISはデジコアに近い物が使われていることは話しただろう。ならば、そのコアを元にIS内に管制人格ともいえる意識が生まれると考えているんだよ。そして、このISにはそれぞれ管制人格に彼らがなってくれているんだ」

「か、彼ら…」

「君たちのパートナーデジモンだよ」

 

ゲンナイのその言葉に、ISを凝視する二人。

すると、ISが光を放つとそれぞれ二人のパートナーであるアグモンとブイモンが姿を現した。

 

「太一~、そんなに驚くことはないよ~」

「あっははは!大輔のあの驚き顔!サイコーだぜ」

「なっ!なんだと~、ブイモン!」

「アグモン!どこもおかしいとこはないのか!?」

「うん、大丈夫だよ。むしろ、ひだまりの中みたいであったかいよ」

 

現れたデジモンたちは太一と大輔の元へと歩いてくる。

アグモンはマイペースに話しかけれくるが、ISの中にいたという事実からどこかおかしな所がないか太一は心配し、さっきの驚いた顔がおかしかったのか爆笑しているブイモンを大輔が捕まえようとし、追いかけっこが始まっていた。

そして、しばらくして二人と二匹も落ち着くのだった。

 

「にしても、まさかISの中にデジモンが入れるとは思わなかったな」

「別に驚くことではないさ。君たちがデジタルワールドに行くように、アグモンたちもISのコアに入っただけだからね」

「まあ、ネットの中にも入れますしありえないことじゃないっすね」

「でも、これで太一とずっと一緒にいれるよ~」

「今まで俺たちって、外歩くこともできなかったからな~。前は、幼年期の姿でバックに詰められたっけ」

 

ブイモンたちはデジモンが外を歩けばパニックになるからこそ、中々外に出られなかった事があった覚えがあった。もちろん、中には例外として現実世界でデジモンが暴れてる時には出てたこともあったが基本的にはデジタルワールドかデジモンを知っている家の中だけだった。けれど、これでISの中にいれば太一や大輔たちといられることに喜びを感じているのだった。

 

「さてと、それじゃあそろそろフィッティングと一次移行(ファースト・シフト)を行おうか」

「んじゃあ、どうすりゃいいんですか?」

「まずは…アグモンとブイモンは、コアに戻ってくれ。そしたら、ISに背を預けるように乗るんだ」

「おっけ~」

「了解!」

「「わかった」」

 

アグモンとブイモンは、またさっきのように光に包まれるとISの中に入っていった。

それを確認した二人は、ゲンナイが行っていた通りにそれぞれの専用機に乗り込んだ。

すると、どこからともなくゲンナイと同じ姿をした二人がそれぞれのISのフィッティングを行い始めた。

 

『太一~、調子はどう?』

「ああ、まったく問題ないぜ。アグモン」

『大輔は大丈夫だよな』

「もちろん、平気だ」

「これが終わったら、二人には模擬戦をしてもらうよ。それで、ISになれながら一次移行(ファースト・シフト)を行って欲しい」

「模擬戦っすか?太一さんとやればいいんですか?」

「いいや違うよ。君たちの相手は彼女らだ」

 

ゲンナイがそう言い切ると、空中ディスプレイが二人の前に現れた。

そこには、太一たちと同じ選ばれし子供の更識楯無がいるのだった。

 

『やっほー、太一さん。大輔くん』

「楯無!?お前が相手なのか?」

『うん、そうだよ太一さん』

「でも、いくら初心者の俺たちとはいえ楯無さん一人で二人相手はキツいんじゃ…」

『だいじょーぶ、だいじょーぶ。私の相手は太一さんだけで、大輔くんの相手は他にいるわ』

「え、それって誰っすか?」

『ほーら、かんちゃん!隠れてないで出てくるの!』

『きゃ……お、お姉ちゃん…まって…』

 

楯無に引っ張られてモニターに映った少女は、楯無と同じ青い髪に赤い目の少女だった。

その少女を見て、大輔はどこか会った事がある覚えがあった。

 

『この子は私の妹の(かんざし)ちゃんよ。そういえば、しっかりと紹介するのは初めてだったわね』

『更識簪……です。…その、よろしくお願いします…八神さん、本宮さん』

「おう。俺は八神太一。太一でいいぜ。ほら、大輔も。なに考え込んでんだよ」

「あっ、すみません太一さん。俺は本宮大輔。俺も大輔でいいぞ」

『それじゃ…私も、簪で…太一さん、大輔さん』

「自己紹介も終わったようだね。二人のフィッティングも終わったし、模擬戦に移るとするよ」

 

ついに、太一と大輔の初めてのIS戦が始まるのだった。

 

 


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