デジモンアドベンチャー~Future~   作:優雅

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一週間ぶりの投稿です!
本編をどうぞ!


第1話 始まりはいつも突然に

 

 

 

 

 

時は2月。受験シーズン真っ只中、ある会場には多くの受験生が集まっていた。

これは、近年。カンニングの増加を対策するために、受験生を集め、様々な学校の教師たちで監視するという人海戦術を用いた対策方法だ。最低でも、人部屋には二人。多い所では四人の教師に監視されながらも、筆記試験を受けなくてはいけないのだ。

だが、その結果会場にはかなりの広さを持つ必要があった。その為、何が起きるのかというと……

 

「やべぇ…迷った…どこだよ、藍越学園の試験会場……」

 

ここにいる一人の受験生、本宮大輔のように試験教室にたどりつけない受験生もいるのだった。

 

「くそっ…ここどこだよ…」

 

自分がどこに行きたいのか、むしろ自分が今何処にいるのかすら分からない大輔は途方にくれていた。

運が悪いことに、さっきから誰とも合うことができず道を聞くことができないでいた。

 

「あっ!な、なぁ、少しいいか!?」

「ん?」

 

そんな大輔に声をかける人物がいた。

見たところ大輔と同年代の男。学生服を着ているところから、同じ受験生だとわかる。

 

「藍越学園の試験会場ってどこなんだ!?」

「………そりゃ、俺が聞きたいぜ」

 

そして、同じ迷子だった。

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

「「はぁ…今、どこにいんだよ…」」

 

未だに藍越学園の受験会場を探し、迷子になっている大輔と今さっき出会ったもうひとりの迷子、織斑一夏(おりむらいちか)

試験会場どころか、現在自分たちがどこにいるのかすら分からずに落ち込んでいた。

そんな中、一夏はいきなり大声をあげる。

 

「あ~~~~もう!こうなったら、目の前にあるこの部屋に入る!だいたいそれが正解なんだ!」

「あっ、おい待てよ!」

 

ついに痺れを切らし、どこの部屋かすら分からない扉を開き入っていく一夏。そんな一夏を追いかけて、大輔も同じ部屋へと入っていった。

 

「あ~、君たち受験生?なら、さっさと着替えて頂戴。まったく…時間もないのに、なんで受験会場がここしかないんだか…」

 

中に入ると、何やら試験管と思わしき女性が書類を片付けながら答えていた。

何故筆記試験で受験を?とお互いに疑問に思ったのか、顔を見合わせるがカンニング対策だろうと納得し、部屋の奥へと歩いて行った。

すると、奥の方にひときわ目立つ物だ置いてあった。

 

「な、なぁ…織斑…あれって」

「あ、ああ。あれって…インフィニット・ストラトス、だよな?」

 

そこに置いてあったのはインフィニット・ストラトス、通称ISと呼ばれるパワードスーツだ。

現在では、ISに勝てる兵器は存在しないが、兵器運用を禁じ、スポーツとして扱われている物だ。

だが、このインフィニット・ストラトスには、最大の欠点があった。それは、インフィニット・ストラトスは女性にしか扱えないのだ。その性で、世界最強とも言えるスペックを扱える女性の地位は上がり、男性の地位が下がってしまい、女尊男非という風習が広まってしまったのだ。

 

「すっげ…ISなんて初めて見た」

「おい、勝手に触るなって!」

「別に大丈夫だろ。ISは女性にしか使えないじゃないか。それに、生のISに障れる機会なんて俺たちにはもう二度とないだろ」

「そう言われりゃそうだな…んじゃ、俺も」

 

もう二度と生で見れないなら、なんて考えで置いてあったISに触れる大輔と一夏。

だが、そんな気楽な考えがダメだったのか。二人がISに触れた瞬間、ISが起動したのだ。

 

「お、織斑!?お前、何でISを動かしてんだよ!?」

「本宮!?お前だって…」

「はぁ!?まじかよ!!?」

「ちょっと、うるさいわよ!」

 

男なのにISを動かしてしまった性で、困惑する大輔と一夏。

突然のことで、騒いでしまったのがいけなかったのだろう。その声を聞きつけて、試験管の女性が来てしまったのだ。

 

「うそ…なんで男がISを…!?」

「そんな…ありえないわ!?」

 

驚愕な表情で呟く試験管たち。

大輔と一夏の二人が、ISを動かせてしまったことは瞬く間に広がってしまったのだった。

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

「そこの男子!今すぐにとまりなさい!」

「だぁーっ、くっそ!なんでこうなんだよぉー!」

 

ISを動かせることが発覚してしまった大輔は、現在試験会場を逃げ回っていた。

二人がISを動かせたことは既に、様々な所に広まってしまった。たった1時間しか経っていないのだが、この会場で行われていた試験は全て中止になり、IS関連の科学者や放送局の人々で溢れかえっていた。

その中には、大輔の事をモルモットの様に見ている科学者もいた。

大輔はそんな科学者たちから逃げているのだった。

 

「大輔くん!こっちだ!早く!!」

「!タケルとヤマトさんの父ちゃん!?」

 

逃げ回る大輔を庇う人物がいた。その人物は大輔の仲間である高石(たかいし)タケルと石田(いしだ)ヤマトの父親だった。彼はフジテレビで働いているため、報道のためにここに来ていたのだ。

タケルたちの父親に言われるがまま、彼が開けていた部屋の中に入る。

そこには、ただ机とパソコンが置いてあるだけの簡素な部屋だった。

 

「げぇ!?これでどうやって逃げろってんだよ!!」

 

そう、その部屋には窓すらなく、この施設から逃げることどころか部屋から出ることしかできないのだった。けれど、どこからともなく声が響き渡る。

 

『大輔!いるか!?』

「この声…太一さん!?そうか!パソコンか!」

『早くこっちにこい!大輔!!』

 

パソコンの電源が急に入ると、そこには一人の青年の姿が映っていた。その青年の名前は八神太一(やがみたいち)

大輔よりも早くデジタルワールドを冒険し救った選ばれし子供たちのリーダー的な人物であり、大輔の尊敬する人物でもある。

大輔はポケットから自身のデジヴァイス、D-3を取り出しパソコンに向ける。

 

「デジタルゲート!オープン!」

 

その声と同時に、パソコンから光が漏れ出す。

大輔はその光に吸い込まれるように、パソコンの中へと消えていったのだった。

それから少しして、大輔を探していた研究員がこの部屋の中に入ってくるのだった。

 

 

 

 

 


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