この作品の過去、デジモンアドベンチャー(無印)の物語です。
本編と並行して、勧めていこうと思ってます。
ちなみに、こっちの主人公は刀奈ちゃんです。
楯無さんではなく刀奈ちゃん(ここ重要)
プロローグ
1999年。
その年の夏は、地球全体がおかしなことが起こっていた。
東南アジアでは全く雨が降らず水田が枯れ、中東では大雨による洪水が発生、アメリカでも記録的な冷夏になっている。
そんな中、サマーキャンプに来ていた七人の子供達は何も知らずに、それが誰も知らない冒険の始まりになるとは思ってもみなかった。
そして、ここにもう一人。神様ですら始まるとは知らなかった少女の冒険が始まるのだった。
* * * * *
1999年の8月1日、光が丘サマーキャンプ場。
今日、ここには多くの子供達がサマーキャンプに来ていた。キャンプ場で遊ぶ子供達だが、中には、キャンプ場を離れたさらに上の方にある祠付近にまで来ている子供達がいるのだった。
そんな中、このサマーキャンプに参加していない子供が一人、その付近にいるのだった。
「ううぅ…ここ、どこぉ?」
少女の名前は更識刀奈。
このサマーキャンプとは別に、家族でキャンプに来ていたのだった。少女の家は少し特殊で、あまり家族で外出することは少ない上、自由に遊べる時間が少ない。その為、このキャンプでハメを外していたのだが、結果として迷子になり上の方まで来てしまっていたのだ。
迷子になり、一人ぼっちになってしまったせいで不安が心を支配していく。次第に、刀奈の目には大粒の涙がたまり始めてきていた。
そんな中、刀奈の目の前に白い物が降ってきた。
「あれ…雪?」
降ってきたものの正体は雪だった。
けれど、真夏に雪などおかしいとしか言い様がない。まだ小学3年生の刀奈でも、そのおかしさに気づき目を丸くしている。
徐々に降る量は増えていき、風も強くなっていった。このままでは、吹雪になる可能性が出てくるのだった。
幼いながらも、このままでは危険ではないか?と感づいている刀奈はパニックに陥っていく。
そんな、刀奈に救いの声とも思える声が聞こえた。
「お~い、こっちだ!」
まだ声変わりもしていない男の子の声。その声が、刀奈を呼んでいるように聞こえた。
パニックに陥っていた刀奈だったが、その声を聞くなり一目散にその声がする方向に走っていくと、そこには祠があった。
そして、その祠の前ではゴーグルをつけた少年が手招きしている。
「ほら、早く中に来い!」
「う、うん」
手を差し伸べていた少年の手を掴み、刀奈は祠へと入っていく。
刀奈と少年以外他にもいることはわかるが、薄暗いためうまく顔を見ることができなかった。
ここにいる刀奈以外の子供たちは、サマーキャンプに来ていたメンバーなため、知らなくとも多少は身元がわかっていた。けれど、刀奈はここに迷い込み、見知らぬ子供たちの中にいるため、心の中では不安な気持ちでいっぱいだった。
不安な気持ちでいっぱいだったせいか、ついついさっきから握っている少年の手に刀奈はしがみつき、わずかながら体を震わせて不安な気持ちを耐えていた。
けれど、不意に刀奈は頭を撫でられる感触があった。
まるで、大人の真似事をするようなぎこちない感触だったが、触れられている所は暖かさを感じ、不安な気持ちが安らいでいくのだった。
それから暫くして、風の音が止んだのだった。
もう大丈夫だろう、と感じた子供たちは外へ出ることにした。
「わぁ~、雪だ~!」
外に出ると、そこは一面銀世界。真夏だというのに、雪が積もっていたのだ。
そんな中、緑色の服を着た刀奈よりも年下に見える少年がはしゃいでいた。
子供たちは、この少年のように雪を見てはしゃぐ子たちもいれば、おかしさに頭を悩ませる子供もいた。
すると、動きやすそうな格好をした少女が空を指差した。
「ねえ、あれ見て!」
「「わぁ!!」」
少女が指差した先に見えたのは、虹色の円形。オーロラだった。
日本ではまず見られないオーロラに、刀奈だけでなくカウボーイハットをしている少女も声を上げても見入っていた。
「そんな…日本でオーロラなんて、おかしすぎますよ!」
「そうだよ。それに、このままじゃ危ない。早く大人たちの所に戻ろう!」
パソコンを持った少年が、叫ぶように言った。
子供たちの中で一人、非常用のバックと思われる物を持った少年も賛同し、一刻も早く大人たちの元へ戻ろうと提案した。
「おい!何かくるぞ!」
今度は、金髪の少年がオーロラの中を指差した。
オーロラの中心からは、7つの光が見えた。その光は、刀奈以外の足元に落ちてきた。
落ちてきた光は、雪に小さな穴を作っていた。だが、その穴が光小さな物体が浮かび上がってくる。
子供たちはどんどん上空に上がっていくそれを、掴み見てみるとポケベルの様な形をしたものがそこにあった。
すると、オーロラがより一層輝き光の波が子供たちを襲った。
『うわぁ~~~~~~~!!!』
波に飲み込まれ、オーロラの中に消えていく子供たち。
祠の前には、誰一人として残っていないのだった。