ちなみに、wikiでは大輔の姉のジュンにもドラマCDでパートナーデジモンがいると判明したのでこの作品にもパートナーがいる設定です
そこには一体の異形が存在していた。
「許さない
私は許さないぞ」
その言葉だけが、何度も何度も呟かれる。
異形からはその呟き以外にも、炎が出され、大地を。海を。生命を燃やしていく。
既にこの空間、いやこの世界にはこの異形しか生命は存在しなかった。
存在していた生命は全て、この異形により焼き付かされていたのだった。
「必ず後悔させてやるぞ………選ばれし子供たちぃぃぃぃ!!!!!」
異形から放たれた怒りや憎しみの感情は漆黒のオーラとなり、どこかへと飛んでしまった。
* * * * *
pipipipipipipip!!!!
「んぁ…?もう朝かぁ…?」
めざまし時計の音が鳴り響き、一人の少年が目を覚ます。
少年の名前は
「ん~………もう五分…」
めざましは鳴り続くなかでも、大輔は再び自身に襲いかかる睡魔に身を任せ、眠りにつこうとするのだった。けれど、そんな大輔を起こそうとする存在がひとつ。
「だいすけ~。あさだぞ~」
顔からお腹までが白く、それ以外の部分が青く二本の触覚の様な角に尻尾を生やしたこの世のどの動物にも分類されない存在。デジタルモンスターのチビモンだ。
「ほら、だいすけ。おきろ~!」
小さな両手を使い揺するも、起きようとしない大輔に痺れを切らせたのか、チビモンは大輔の上に乗り飛び跳ねるのだった。
「いて…いてて!こら、チビモン!俺の上で飛び跳ねるな」
「む~、こうでもしないとだいすけがおきないのがわるいんだろ!」
「なんだと!」
さすがに寝ている最中に、飛び跳ねられて起こされれば機嫌は悪くなるだろう。
起こしてくれたのにも関わらず、怒る大輔に対してチビモンも怒りを見せるのだった。
今にも暴れだしそうな二人。だが、二人の喧嘩はすぐにでも終わることになる。
「うるさい!大輔!あんた、朝っぱらから何騒いでるのよ!!」
「げぇ、姉ちゃん!」
「あっ、じゅん。おはよー」
扉が壊れてしまいそうなほどに強く開け放たれ、大輔の姉
「まったく…あんたってば、何も成長してないわね」
「んなことねぇよ!俺だって、ちゃんと成長してる!」
「はいはい。そんなことはいいけど、時間。大丈夫なの?今日は受験の日でしょ?」
ジュンの言葉にくってかかっていた大輔だが、ジュンのその一言で固まってしまう。
ギギギギギ、と錆びた機械のように顔を時計の方に向けると既に結構な時間が経ってしまっていた。
「う、うわー!遅刻だぁ!」
「ちょ、あんた!レディがいる前で、服脱がないの!」
「ジュン。そんなこと言ってる前に、部屋から出ましょ?」
慌てて着替えをはじめる大輔。直ぐさま、お台場中学の制服に着替え、カバンを持つと部屋から出ていってしまう。
「だいすけ、がんばれ~」
部屋に取り残され、脱ぎ捨てられた寝巻きに埋もれていたチビモンは小さく手を振る。
何気ない日常。
だが、この日から彼らの新たな冒険が始まろうとしているのだった。