結果、ヒロインはそのまま太一×楯無 大輔×簪のハーレム無しになりました!
ただ、別のヒロイン(本音やシャル、ラウラ)も見てみたいという人もいたので、IFストーリーで出すかもしれませんが。
「うっ…ん…」
何やら、周囲から様々な声が聞こえ、大輔は目を覚ました。
目を開いた先に見えたのは、ルームメイトである簪の顔だった。
「簪…ちゃん……?」
「あ…大輔さん、起きた?」
「ん………って、えぇぇぇぇぇ!!?」
始めはぼんやりとしてた大輔だったが、直ぐに自分が簪に膝枕されている事に気づき、飛び起きるのだった。
「か、簪ちゃん!?何してるの!?というか、どうしてここに!?」
「えっと…膝枕を……本音がやったほうがいいって」
「本音ちゃ~ん!?」
生まれてこのかた、ずっと膝枕なんてされたことのなかった大輔は盛大に慌てていた。
なお、簪が膝枕していたのも、本音が「だいちゃんがね~、試合で気絶しちゃったの。頭打っちゃったっぽいから~、かんちゃん膝枕おねが~い」と頼んできたからだ。簪はそれを、顔を真っ赤にしながら了承したのだった。
「おっ、やっと起きたか。大輔」
「お疲れ様。大輔くん。かんちゃんの膝枕、どうだった?」
「太一さん!楯無さん!………って、これってどういう状況ですか?」
先輩二人の登場に、ようやく落ち着きを取り戻した大輔。
周囲を見渡すと、何が何だかわからなくなっていた。まず、目の前にちょっと呆れた表情をした太一と楯無。すぐ近くに、顔を真っ赤にしてる簪。出入り口の扉から、半身だけ出してこちらを眺めている本音。そして、正座で説教されている一夏と説教している千冬と箒。おろおろしている真耶。周囲そっちのけで、話し合っているゲンナイと光子郎。
敢えているなら、カオスだ。
「あ~…簡単にいやぁ、俺たちの試合の後一夏がオルコットと試合したんだ」
「ちょうどその辺りに、私とかんちゃんが来たわね。結構試合が良かったから、他のクラスの生徒も見学OKになったのよ」
「それから…織斑くんが自滅でオルコットさんに負けちゃったの…」
「あ~…それで、今説教中って訳だな」
太一たちの説明で、現状把握できた大輔。
すると、説教が終わったのか千冬が近づいてきた。
「本宮。お前にも色々と言いたいことがあるが、まずは八神。試合だ」
「了解です。行くぞ、グレイソウル」
千冬に呼ばれ、専用機を機動する太一。
大輔は千冬に、後で色々と説教されることを考えると、既に身震いしていた。
太一は、そんな大輔を放置しカタパルトへと歩いていく。
「太一さ~ん!俺の分もお願いします!」
「太一さん!頑張ってくれ!」
「うむ。しっかりな」
「八神くん、無茶はいけませんからね!」
「八神。オルコットの天狗の鼻を折ってこい」
「太一さん…頑張ってね…!」
「太一さん。グレイソウルの整備はバッチシです」
「データとりとか気にせずに、思う存分やってくるんだよ」
すれ違うたびに、激励を受ける太一は、密かに口元を緩めていた。
そんな中、太一の前に楯無が現れる。
「太一さん…」
「楯無。どうかしたか?」
「私のことは気にしなくていいから…怪我しないでね?」
今回の選抜戦、ある意味セシリアが楯無の事を馬鹿にしたことがきっかけで起きたと言う見方もある。
もちろん、そのことはここに居る全員が思ってもないが、楯無本人はそう思っていた。
そして、太一はいつも無茶をする、
だから、このまま行かせて、自分のせいで太一が傷ついてしまうのが嫌だったのだ。
その事をわかった太一は、右手の装甲を消し、素手で楯無の頭を撫でる。
「あっ…」
「それじゃあ、勝ってくる。な~に、心配すんな。怪我する気はさらさらねーよ」
そう言い残し、太一はカタパルトに乗り、アリーナへと飛び立つのだった。
アリーナには、既にセシリアが自身の専用機。ブルーティアーズに乗って、待機していた。
太一は先程の試合を見ていたため、ある程度対策などを考えてあるのだった。
「よう、またせたな。オルコット」
「八神さん…いえ、少し待ったくらいですわ」
セシリアの返答に、思わず眉をひそめる太一だった。
自分の知っているセシリアなら、イヤミの一つでも言ってくると考えていたからだ。
だが、目の前にいるセシリアは普通に返答している。本当に目の前にいるのは、あのセシリア・オルコットなのかと疑問に思うほどだった。
「八神さん…始まる前に、謝罪させてもらいますわ。あなたと本宮さんの試合、そして一夏さんと向かい合い、私がどれほど愚かだったのか…身に染みましたわ。私はずっと、父を…女性にヘコヘコと頭を下げ、機嫌を伺い続けている男性を見ていて、男とはそういうものだと勘違いしていました。けれど、少なくとも貴女方は違うと悟りましたわ」
「お、おう…そうか」
「確か、日本には上には上がいるという言葉がありましたわね。まったくその通りですわ。あの試合を見て、私は八神さんに勝つ方法が浮かばない。それほどまでに、八神さんは強い」
「俺はそんな強くねぇよ。俺が強いってんなら、楯無の…生徒会長のおかげだ」
「謙遜も行き過ぎるとイヤミになりますわ。まぁ、それは置いとくとして。八神さん、私のこの傲慢だったプライドを完膚無きまでに叩き潰してくださいませ。そこから、私は前に進もうと思うのです。今までの自分を変えるために!」
「了解した!言っとくが、手加減する気はないからな。プライド叩き潰されて、再起不能になるなよ!」
セシリアの注文に対し、太一はデジローダーのカブテリモンのカードを挿入する。
すると、デジローダーは大きな銃器に姿を変えた。それと同時に、太一の頭部にカブテリモンの頭部を模した兜が装備される。
ライフルのような、長い銃身はカブテリモンと同じ色をし、側面には4枚の羽の様なものがたたまれている。これが、デジローダーでカブテリモンをロードした姿『カブトブラスター』だ。
「私と同じ武装…八神さんとの実力差を知るいい機会ですわ!」
試合開始と同時に、セシリアはさっそく特殊兵装である4機のビット【ブルーティアーズ】を展開し、太一の周囲を囲む。
囲まれたというのに、平然としている太一に疑問を持ちながら、セシリアはビットによる方位射撃を放った。
「………こいつだ!」
「なっ!?」
あらかじめ、威嚇に一発。逃げ道に二発と直撃する軌道の射撃は一発だけだった。
太一はあろうことか、その一発を見極め、カブトブラスターの射撃で撃ち落としたのだ。
ビーム兵器の利点は、発射から着弾までの速さだ。今いる太一と放ったブルーティアーズの距離から、ん命中に1秒もかからないくらいの範囲で、太一は直撃のみを見極め、さらに撃ち落としたのだ。
それだけではない。その射撃の後ろには、もう一発放たれており、そのままブルーティアーズの銃口に命中し、破壊されてしまうのだった。
勝てない事は理解していた。けれど、これほどの実力差があるとは思ってもいなかった。
「くっ…まだですわ!」
今度は自身の主武装である【スターライトmkⅡ】による射撃も合わせて、ブルーティアーズを放つ。
だが、いくらBT兵器に適正が高いとはいえ、まだブルーティアーズを操りながら自身の射撃はうまくいかない。それを分かって上で、セシリアは果敢に攻め続ける。
「悪いが、甘いぜ!」
雨のように降り注ぐビームを、太一は自身に当たるものだけを狙い打つ。
ビットと自身の同時射撃ができないため、セシリアのビームの一部は検討外な方向に向かったりもするが、それでも太一に向かっていくものは多い。
それをすべて打ち落とす太一の実力は、まさしく国家代表クラスなのは疑いようもない。
「まさか…これほどの差があるなんて…」
「まっ、こいつの特性のおかげでもあるが、一番は相棒のおかげだ」
「相棒?」
「そ。こいつ」
そう言って、グレイソウルを指差す太一。
太一が言った特性というのは、ガブトブラスターで現れた兜のことだ。この兜は、装甲の硬さ以外にもセンサーの強化、聴力の強化ができる。それにより、空気のゆらぎ、ビットが飛ぶ音から予測が可能なのだ。
「ISを相棒、ですか」
「おう。俺にとっちゃ、こいつもあいつも、大切な相棒だ。だから、信じられる」
「でしたら…私もブルーティアーズ信じますわ!」
覚悟を決めたセシリアは、腰についているミサイルも使う。
放たれたミサイルは、直ぐに太一の射撃に打ち抜かれ爆発を起こす。
爆煙が発生し、お互いの視界を塞ぎ見失ってしまう。その為か、セシリアのブルーティアーズも戻り、射撃も止むのだった。
爆煙により、センサーが効かなくなったため、何が起きるかを今も音をたよりに調べている。
音に集中した太一。こちらに向かってくる音を聞きつけた。
タイミングを合わせて回し蹴りで迎撃するのだったが。
「なっ!?オルコットが持ってたライフルだぁ!!?」
回し蹴りで撃ち落としたのは、セシリアが持っていたスターライトmkⅡだった。
セシリアが主要武器を手放したことに、思考が一瞬停止したが直ぐに持ち直した。
けれど、その僅か一瞬にセシリアは太一の懐に潜り込んでいた。
「インターセプトッ!」
「くっ!」
潜り込んだセシリアは、近接武器【インターセプト】を取り出し太一に斬りかかってくる。
気づいた太一は、咄嗟にカブトブラスターを盾にする事で防ぐのだった。
「まだですわ!」
「ぐわ!」
「ダメ押しですわ!」
インターセプトを防ぐために力を入れる中、セシリアは戻していたブルーティアーズ2機を展開し、動けない太一を狙い打つ。
直撃したせいで、体勢を崩した太一を力任せに切り飛ばすと、ダメ押しにミサイルを発射する。
そのミサイルが太一にぶつかり、爆煙が広がった。
「はぁ…はぁ……やりましたの?」
『Evolution』
「悪いが…そいつはフラグだぜ、オルコット」
広がる爆煙の中、無機質な音声が響くとセシリアの表情が固くなった。
それと同時に、爆煙の中から太一が飛び出してきた。
だが、太一のグレイソウルの姿は先程までと変わっていた。
「そんな!?ファーストシフト……いえ、セカンドシフトしたというのですか!?」
「いいや違う。こいつは……
山吹色をした装甲は濃いオレンジ色に変わり、所々青いラインが入っている。
一番の変わりようとすれば、その腰に尻尾のような装甲ができている事だろう。これを知る人が見れば、太一のアグモンの進化したデジモン、グレイモンに似ていると答えるだろう。
この起きた現象、エヴォリューション・シフトは太一のグレイソウルだけでなく大輔のブイフォースにも組み込まれているシステムだ。このシステムを組み込まれたISはセカンドシフトすることができない。けれど、一度なると戻れないセカンドシフトと違い、エヴォリューション・シフトは前の姿に戻ることができる。つまりは、デジモンの進化と同じ現象が起きているのだ。
結論から言えば、グレイソウルは形態を成長期から成熟期へと進化したのだ!
「まだ…まだ決闘は終わってませんわ!」
インターセプトを構え、斬りかかってくるセシリアを太一は片手で受けた。
何度も切りつけてくるものの、装甲には傷一つ入っていない。
セシリアの連撃を、インターセプトを引いた瞬間に体を回転させ、尻尾でなぎ払うのだった。
「くぅぅ…」
「悪いが、こいつで決まりだ!」
吹き飛ばしたセシリアに向けてカブトブラスターを構える太一。カブトブラスターの閉じていた羽が展開された。
展開された羽の先端から、電撃が走ると銃口に電撃が溜まっていく。
「メガ…ブラスター!」
「あぁぁぁぁぁぁ!!!」
電撃が溜まり引き金を引く。
そこから放たれたエネルギー弾は、この試合で放たれた物の中で圧倒的な威力を誇っていた。
事実、今まで一度もシールドエネルギーが減っていなかったものの、たった一撃で空になったからだ。
気絶したセシリアを横抱きで受け止める太一。
この瞬間、勝者は決定するのだった。
これでクラス代表選の全ての試合が終了するのだった。
ちなみに聞きたいのですが、前回大輔のブイフォースで換装した形態の名前、フレイドラフォームとかの名前が微妙と言われてしまって…何かいい名前ってないでしょうか?