デジモンアドベンチャー~Future~   作:優雅

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何気に山田先生が書きやすいせいか、結構でてきました。
何気に、太一×真耶になりかけてますが、あくまでこの作品は太一×楯無です


第8話 IS学園初日!新たな交流

一夏が箒と屋上で話している間、教室に残っている大輔と太一はぐったりしていた。

それもそうだろう。授業中だけでも、クラスメイトたちから視線が辛かったのだけれど、休み時間になればほかのクラス、学年の生徒たちが前例の無い男性操縦者を見に来ているのだ。その辛さは、授業中の何倍にもなっているのだった。しかも、向こうからは声をかけず、ヒソヒソとこちらについて話してる分、さらに辛く感じていた。

そんな中、一人の女性徒が二人の前にやってきた。

 

「やあやあや~、だいじょ~ぶ~?だいちゃん、たっくん」

「だ、だいちゃん!?」

「たっくん!?」

 

いきなり二人の事を自分で決めたあだ名で呼ぶ女性徒。

間延びした言葉遣いに手まで隠れている袖、そして雰囲気からおっとりしていると分かる少女だった。

 

「え…えっと、君は?」

「私は布仏本音(のほとけほんね)っていいま~す。楯無お嬢様とかんちゃんから話は聞いてるのだ~。お嬢様とかんちゃんと一緒に~、私もよろしくね~」

「ああ。楯無と簪の知り合いなのか。こっちこそよろしく」

「おう。俺の方もよろしくな」

「あいさ~!」

 

本音ののほほんとした雰囲気と話している内に、先程までの心労はなくなっていた。

そこれからも、少しの世間話をしているとチャイムが鳴ってしまい、まだ話していたかった本音は渋々といった雰囲気で着席するのだった。

 

 

 

* * * * *

 

 

 

授業終了のチャイムが鳴り、放課後を告げる。

最も、放課後になったからといって男性操縦者を見に来る生徒たちは後が絶たない。

そんな中、大輔と一夏は机に突っ伏していた。

 

「おい、大丈夫かよ…大輔…一夏…」

 

男性操縦者の内、唯一平気でいる太一は二人の安否を確認するが特に反応がなかった。

太一は溜息を吐きつつ、これまでに起こった事を思い出していた。

 

「みなさ~ん、ここまでで分からない所はありますか~?」

 

授業中、この時間帯は真耶がISの座学の講師を務めていた。

内容は確かに難しい側面を持つが、ISにとって基礎知識だ。ISの国家代表である楯無や手を借りたとは言え自身でISを作り上げた簪の二人と講習を受けた太一にとっては簡単なものでもあった。

 

「織斑くんも本宮くんも八神くんも。分かりないことがあったら、なんでも言ってくださいね!なんてったって、私は先生なんですから!」

 

自身満々に胸を反らしながら語る真耶。

その際に強調される女性らしい部分を見てしまい、太一は思わず顔を背けるのだった。

そんな中、大輔と一夏が同時に挙手をする。

 

「「先生!!」」

「はい!織斑くんと本宮くん♪」

「「全然全くわかりません!」」

「………えっとぉ…」

 

真耶もさすがに全てが分からないのは予想外だった。

一夏はどうか知らないモノの、同じ講習を受け参考書も持っているのにまったく分かっていない大輔に太一は呆れていた。

 

「…お前ら、参考書は読んだのか?」

「呼んだんすけど、さっぱりで…あだっ!」

 

後ろで見ていた千冬の問いかけに素直に白状する大輔。軽く溜息を吐いた千冬は、持っていた出席簿で大輔の頭を叩くのだった。

けれど、叩かれた時の音は前の時間に一夏が叩かれた音よりも優しく感じれた。

それに対し一夏は、軽く首をかしげていた後に言う。

 

「電話帳と間違えてちり紙交換に出しました」

「必読と書いてあっただろう馬鹿者が!!」

 

一夏の馬鹿げてた行為に、千冬は額に青筋とたて裾から白のチョークを取り出し一夏に向かって投げる。

投げられたチョークは、一直線にそれもジャイロ回転しながら一夏の額に命中しはじけた。

その一撃で、一夏は悲鳴を上げる間もなく気絶するが、千冬の気つけで強制的に起こされるのだった。

 

「参考書は再発行しておく。本宮同様、一週間で覚えろ」

「「そ、そんなぁ~……」」

「まさかとは思うが、八神もわからないなどと阿呆な事は言わないだろうな」

「あ~~、大丈夫です。一学期までの範囲なら問題ないって、たてな……更識生徒会長からの太鼓判つきですんで」

「なるほど、あいつの太鼓判つきか。ならば、この阿呆共の面倒は八神が見ろ」

「………了解です」

 

なんて事があったのだ。

それ以来、大輔と一夏は休み時間のたびに、集まってお互いに一つの参考書を睨む様に読んでいたのだった。けれど、その光景を見て周りの女性徒が黄色い歓声を上げていたが気づかない二人の事を気遣って、太一が自身の参考書を一夏に貸すのだった。

その性で、今の二人は知恵熱で倒れているのだった。

 

「織斑く~ん。本宮く~ん。八神く~ん。いますか~?」

 

残っていた三人を訪ね、真耶が教室に入ってくるのだった。

何事かと思った三人だったが、真耶がそれぞれの前に鍵を置くことで、大輔と太一は理解するのだった。

 

「三人には、今日から寮暮らししてもらいますね」

「あれ?俺は、寮の調整が済むまで近くのホテルに泊まるように言われてますけど…」

「それじゃあ、危ないだろ。俺たちは今じゃ世界中の科学者が喉から手が出る程の存在になってるんだ。中には、非人道的な行為を取ろうとする連中だっている可能性があるから、こういった措置をとったんじゃないのか」

「あっ……そうですね、太一さん」

「あはは……八神くんは結構過激な事を想定してるんですね…まぁ、この措置も八神くんが言った事を恐れてとったので間違いではないんですけどね」

「そんで、誰がどの部屋なんですか?」

 

大輔の疑問に、説明しますね!と張り切る真耶。

大輔に渡されたのは1002の鍵。太一の渡されたのは1003の鍵。一夏に渡されたのは1025室の鍵だった。

渡された鍵を能天気に眺めている大輔と一夏だが、太一は嫌な汗をかいていた。

 

「あの…山田先生」

「?なんですか、八神くん」

「一人部屋……ですよね?」

 

太一の疑問に笑顔で固まる真耶。

だが、その顔には汗が流れていて、相部屋だと言う事を物語っていた。

 

「安心しろ。相部屋だが、出来うる限りの処置はとってある。それに、一ヶ月もすれば個室はできる。それまで我慢しろ」

「千冬姉!」

「織斑先生だ!それと、織斑。本宮。八神。貴様らの荷物は寮長室に置いてある。後で取りに来い」

「っ~~~~~……あ、あれ。ち…織斑先生、俺荷物の用意なんて」

「私がしておいた。着替えと携帯の充電器で十分だろう」

 

デスヨネー、と既に諦め切った一夏に大輔と太一は合唱していた。

さすがに、生活必需品だけでは色々と物足りないだろう。

 

「そ、それじゃあ、寮の説明しますね。まず平日は朝食、夕食は食堂でとってくださいね。朝食は朝の6時から8時まで。夕食は18時から19時まで開いてます。大浴場は今の所使用できないので、各部屋にあるシャワーですましてくださいね」

「ええっ!風呂に入れないんですか!?」

「はぁ…貴様は馬鹿か?女子と一緒に入りたいのか?」

「あー……」

 

少し沈んでしまった空気を変えようと、真耶が寮の説明をするが、浴場を使えないことに一夏が反応するのだった。

けれど、千冬の反論を聞き、ここが自分と大輔、太一以外男がいないことをようやく思い出すのだった。

 

「えぇっ!?織斑くんは、女の子と一緒にお風呂に入りたいんですか!?」

「ち、違いますよ!?」

「そ、それじゃあ、織斑くんは女の子に興味がな…もがもが」

「はい、山田先生落ち着いてくださいね~!」

 

勘違いからヒートアップしていく真耶を太一が口を塞ぐ事で収まるのだった。

だが、太一はここでミスをしてしまった。真耶は、女子校出身なため、殆ど男子と接する機会がなかった。それで、太一という年がそれほど離れてない男に口を塞がれ、ここまで接近されたらどうなるのか。

 

「あ、ふぇ……きゅ~~~~~~………」

「あぁ!山田先生!?」

「八神…山田先生を止めたのはありがたいが、もう少しやりようがあっただろう…」

「すみません…」

 

結果は、処理落ちして気絶してしまうのだった。

千冬は太一を説教はするものの、このままでは明らかにめんどくさくなる山田先生を止めてくれたので、それほどきつくは言わなかった。

なお、大輔と太一はこれが年上のテクニック(主に、担任にそれほどキツく叱られない意味で)なのかと一緒に見ているのだった。

ちなみに、この騒動で、何故か一夏は女性に興味がなく大輔に気があるのではないのか?と言う噂と太一は年上、というか山田先生に気があるのではないか?なんて噂が流ていた。

それを聞いた青い髪の姉妹は、姉はある教師に嫉妬し妹は織斑一夏を警戒し始めたとかしないとか。


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