魔法少女リリカルなのはStrikerS 信念の刃   作:sufia

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遅れて申し訳ありませんでした

今回は説明回ですので、あまり面白みはないかもしれませんね


第7話 ≪“魔力”と“闘気”≫

 

「お疲れさん」

「ああ・・・サンキュ・・・」

 

リョウがタオルを手渡すと、綾人も礼を言いながら受け取る

 

「さて・・・どうだった? 参考になったか?」

「いや・・・その・・・えっと・・・」

「なんといいますか・・・」

 

綾人の直球の質問に、スバル達が言葉につまる

 

だが、綾人はそれをある程度予想

 

「はは・・・ま、参考になるはず無いか・・・あんな戦い方、俺以外に出来る奴いないしな・・・」

「どういうことですか・・・?」

「俺はな・・・“魔力”ではあまり戦ってない・・・俺が使ってるのは・・・“闘気”ってやつだ」

「“闘気”・・・なにが違うんですか・・・?」

 

キャロが首を傾げて聞いてくる

 

綾人は、簡単に『闘気』についての説明を始める・・・

 

 

・『魔力』と『闘気』の大きな違いとして、魔力を使うには『リンカーコア』が必要だが闘気にはそれが必要ないこと

 

・『闘気』は誰の身体にも流れてること・・・例を挙げれば、何かを握る時“手に力を込める”・・・その“力を込める”という行為が“闘気を扱う事”につながること・・・

 

・『闘気』の量は、そのままその人物の『体力』に依存し、『闘気』が一定の量まで減ると、それが“疲労”として現れること

 

・『闘気』は人工的には作れず、また他人からの転換は出来ないこと

 

・他の生き物に『闘気』を流した場合、ただ流れるだけで補充などを行う事はない

 

 

などなどを簡単に説明した

 

「それじゃ、あたし達もあれぐらい出来るって事ですか?」

「あそこまで行くとなると、少なくとも3、4年はかかるな」

「そ、そんなに!?」

「そりゃな・・・制御だけでも相当な時間を有するんだ・・・それをさらに高めていくならもっとな・・・俺だって、10年近く修行して、まだまだ途中なんだからな?」

「はぁ・・・」

 

エリオ達には想像もつかない年月

 

綾人が幼い頃からそんなに凄い訓練を続けていた事に、スバル達も驚きを隠せなかった

 

「俺は、その『闘気』を使う技を『攻撃用』、『防御用』、『移動用』に大きく3つ・・・そしてさらにそれぞれを『攻(こう)』、『破(は)』、『守(しゅ)』、『反(はん)』、『速(そく)』、『空(くう)』と、6つに分けて“六花(りっか)”って呼んでるな」

「それじゃ、綾人君・・・さっきの動きとか、その“六花”について・・・できるだけ細かく説明してもらってもいいかな?」

 

なのはが綾人に求めると、綾人も頷いてリョウとシャーリーを見る

 

「わかりました。それじゃまずは・・・・・・エリオ」

「は、はい!?」

「ストラーダで俺の頭・・・殴ってみ?」

「うぇ!?」

 

綾人の突然の指示

 

驚きのあまり変な声が出てしまうエリオ

 

流石になのはも止めに入る

 

「いきなり何言い出すの!? いくら非殺傷だって・・・」

「大丈夫ですよ・・・ほれ、本人が言ってんだから遠慮すんなって」

「わ、わかりました・・・行きます!」

 

決心して綾人の後頭部目掛けてストラーダを振り下ろすエリオ

 

綾人の脳天に直撃する瞬間

 

「“二の花・『守』”・・・『鋼(こう)』」

 

綾人が呟くと、頭でストラーダを受け止めて見せた

 

「・・・え?」

「ど、どうなって・・・?」

「これが『防御用』の六花だ・・・身体全身を闘気で覆って防御力を上げ、大抵の衝撃なら耐えられる」

 

ニヤリと笑いながら説明する綾人

 

確かに、コブ一つ作っていなかったが・・・絵面はかなりおかしい

 

「さっきの開始直後も、これを使って防御した」

「そうだったんだ・・・」

「これの短所は・・・“使ってる間は動けない”事だな・・・どうやっても克服は出来なさそうでな・・・」

 

ため息混じりに補足する

 

「よし次。ティアナ、魔力弾を作ってみろ・・・通常威力で」

「え? あ、はい・・・」

 

言われたとおり一発の魔力弾を作るティアナ

 

「よし・・・それを、俺に向かって撃て」

「え・・・また!?」

「ちょ・・・先輩!?」

 

突然の指示にティアナやスバルが慌て出す

 

「さっきも見ただろ? 当たっても問題ないから・・・ほら」

「わかりました・・・行きます!」

 

決心して綾人の胸元に向けて発射するティアナ

 

まっすぐ綾人の胸に向かっていくが、綾人が手をかざしまた呟く

 

「“四の花・『反』”・・・・・・」

 

すると、魔力弾は綾人の手に当たるが弾けることなく綾人の手の平で止まった

 

「・・・え?」

「どうなって・・・?」

「これがもう一つの『防御用』の六花だ・・・飛んでくる攻撃を闘気で覆って跳ね返したりする技だ・・・やろうと思えば、これをそのままティアナに跳ね返せるわけだな・・・」

 

説明が終わると、それを空高く飛ばして弾けさせた

 

「こいつの短所は“直接触る必要があること”と“自分の闘気よりも大きなモノは覆えない”事だな・・・・・・」

「例えば?」

「そうですね・・・簡単に言えば、あたりの魔力を使う“収束砲”とかには使えませんね・・・撃ってきた相手の魔力すら超えちゃうんで」

「なるほど・・・・・・ちょっと不便なんですね」

「まあな・・・でもま、一般の射撃型の魔導師相手にはある程度使えるからな・・・・・・だから、今のところティアナには有効だけどなのはさんにはあまり効果は無いってところかな・・・」

 

笑いながら付け足す綾人に、ティアナやなのはも苦笑い

 

「それじゃ、次は『攻撃用』だな・・・基本の『一の花・攻』・・・これは、いろんな所に闘気を込めて攻撃する・・・って絵に書いたようなものだな」

「説明が一気に雑になったな・・・」

 

映像を出して説明をする綾人

 

「この時は刀身に込めてたけど、これは自分の拳だったりにも込めるのはもちろんだが、飛ばし方にも色々バリエーションがあるんだよ」

「飛ばし方?」

「そう。これはただ振り下ろして“線”にして飛ばしたけど、拳に込めたり、突き出す事で“点”で打ち出したりもできるんだよ・・・ま、どういうのかは長くなるから割愛な」

「参考までに、どれくらい種類があるんですか?」

「そうだな・・・さっきの『閃』と・・・『点(てん)』、『丸(がん)』、『螺旋(らせん)』、『周(あまね)』・・・5つぐらいだな・・・どれもあまり飛距離がなくてな・・・参考としてはさっきのガジェットの光弾とほぼ同じ距離だな」

 

指折り数えて教えていく綾人

 

「次はもう一つの『攻撃用』・・・『六の花・破』だな・・・これも結構難しいな・・・ま、どんなものかと言えば、『破壊技』だな」

「は、破壊・・・?」

 

なにやら物騒な綾人の説明

 

「『攻』と同じ様に刀身・・・というか、“攻撃する面”に闘気を凝縮したまま相手に打ち込む技だ・・・理論上なら、どんな防御も砕く技だな」

「どんな防御も・・・?」

「そうだ・・・強固な守りを崩すのに使える技だが・・・問題なのは“闘気を込めたまま力任せに砕く”って事だな・・・闘気もかなり消耗するから連発も出来ないし疲れやすい・・・まあ、通常のガジェットの硬さなら問題なく砕けるハズだな」

「はぁ・・・」

 

少し想像してみるスバル

 

思い切り振り下ろされた刀で一刀両断されているガジェットが浮かぶ・・・

 

問題は通常の綾人でもそれが簡単に出来そうなところである

 

「さて・・・最後は『移動用』かな・・・まずは基本の『三の花・速』だな・・・・・・ま、これは原理だけな・・・足に闘気を込めて地面を複数回蹴って移動するんだな・・・」

「まあ、それ以上でもそれ以下でも無いし・・・目に見える特徴もないからな・・・全員が気になってるのは・・・『空』の方じゃね?」

 

リョウが言うと、なのは達もうんうんと頷く

 

「そうだな・・・じゃ・・・次を・・・よっ!」

 

少しジャンプし、足が着く前に身体が浮き上がった

 

「すご・・・」

「どういう事なんでしょう・・・」

「さっきの『速』ってのが“足”に込めてたんだから・・・こっちの『空』ってのも同じ原理のハズよね・・・闘気は飛ばすことだって出来るんだし・・・それと同じ感じで・・・」

「お、ティアナ鋭いな・・・」

 

着地しながら答える綾人

 

「これの場合は込めてるのは“足の裏”・・・というか“靴底の表面”だな・・・そこに込めて闘気を爆発させてるんだよ」

「爆発・・・ですか・・・?」

「ああ・・・よく見てみろ? 足の裏・・・何か破裂してるだろ?」

 

もう一度飛び上がると、スバル達も足の裏に注目する

 

すると、綾人の足の裏からなにかが放出されているのが見えてきた

 

「ま、このおかげで空中でも移動できてさらに戦いの幅が増えてるんだよな」

「でも・・・綾人さんって『陸戦魔導師』ですよね?」

「ああ・・・この『空』もあくまで『移動用』だ・・・なにせ、常に爆発させてなきゃいけないし、『滞空』はできないからな・・・これも徐々に改良していかなきゃいけない部分だな・・・っと、俺からの説明は以上ですよ」

「うん。ありがとう・・・」

 

綾人の言葉に頷いて礼を言うなのは

 

「それじゃ訓練の続き、始めようか? 今度は少しだけレベルを上げてね?」

「凄いじゃないか皆・・・“さっきの俺がやった奴よりも”レベルが上がるんだってよ。頑張れ」

「「「「えぇ!?」」」」

 

綾人の一言にティアナ達が固まる

 

最初のレベルでも苦戦していたのに、攻撃をまともに見れない状態のレベルの上で行うとなれば当然であるが

 

「ち、違うからね!? ちゃんとみんなのレベルに合わせてやるかたね!?」

 

慌ててなのはがフォローすると、ティアナ達もホッと胸をなでおろしていた

 

「つうか、ティアナとスバルもいい加減慣れろって・・・俺はもう慣れたぞ?」

「「うぅ・・・」」

 

綾人の『要らぬ一言』は、あまり時と場所を選ばないのだった

 

 

それから、何度か同じ様にガジェットとの模擬戦やなのは、綾人、リョウなどからの解説を織り交ぜながら訓練は夜遅くまで続いた・・・

 

 

「は~い、それじゃ皆お疲れ様!!」

「お疲れ」

「「「「お、お疲れ様でした・・・・・・」」」」

 

訓練場を出たところで整列し、なのはと綾人に挨拶をすませる

 

「明日以降も朝早くから訓練だからな・・・今日はもう、夕食とシャワー済ませてゆっくり休むこと。いいな?」

「「「「は、はい・・・失礼します・・・」」」」

 

フラフラになりながらフォワードチームは隊舎へと戻っていった

 

「綾人君、お疲れ様」

「なのはさんこそ・・・お疲れ様です」

 

互いに労う綾人となのは

 

「どうかな? 初めての教導は」

「そうですね・・・やっぱり楽しいって思いましたね・・・“人に教える”ってことが・・・」

「そう・・・それなら嬉しいかな・・・でもね・・・色々大変な事も多いんだよ?」

「例えば?」

「チームでの訓練とかで、優秀すぎて1人だけ突出しちゃう子が出たり、回りより少し遅れてる子が焦って無茶なことをしたり・・・そういう事もあるんだよね・・・」

 

過去に、自分が教えていた生徒の事を思い出しているなのは

 

「そうですね・・・特に新人とかによく有り得ること・・・なんですよね・・・そういうの」

「うん・・・そういう子って、ちょっとした失敗で折れることがあるの・・・そういう時に、なんて声をかけたらいいのか・・・実は私もまだよくわかんないんだよね・・・」

 

少し俯きかけるなのはに綾人は小さくため息を吐く

 

「ま、それは仕方ないでしょうね・・・“言葉の捉え方”ってのは、個人で違いますからね・・・ある奴に伝わった言葉でも、別の奴には伝わらない事もそりゃありますから・・・」

「うん・・・それもわかってるつもりなんだけどね・・・」

「なら、今考えても仕方ないでしょ? 何か悩んでたり、迷ってたりした時に道を示してやるだけでもいいと思います・・・っていうのが、俺の目指してる“教導”ですね」

「あれ・・・もうなれる気でいるんだ?」

「そりゃもちろん。なのはさんを参考にしてれば一発合格できるのは間違いないでしょ?」

「それはどうかな~?」

 

気がつくと互いに笑いながら隊舎へと戻るなのはと綾人だった・・・




どうも


というわけで、綾人君のオリジナル戦法『闘気』についての説明でした


“空中戦を行える陸戦魔導師”という感じで作りました


リメイク前は、本当に近接一辺倒だった綾人君ですが、新設定によって生まれ変わりました

そのため、以前は新人フォワードだったのが教導官志望という立ち位置変更を行う結果になったわけですね


おかげで中途半端な立ち位置になってしまったのは否めませんが


今後も、綾人君らしい戦い方を見せていけたらいいなと思います

では次回予告


毎日の訓練をこなすフォワード達

しかし、自作のデバイスを使用しているティアナとスバルのデバイスがとうとう悲鳴をあげた

「皆・・・訓練にも慣れてきたし、そろそろ実践用の新デバイスに切り変えかなぁ・・・?」
「新・・・?」
「デバイス・・・?」

リョウに託された新たなデバイス

そこに鳴り響くアラート

『ほんなら・・・機動六課フォワード部隊、出動!!』
「「「「「『了解!!』」」」」」


次回、『新デバイスと初出動』


次回はちゃんと土曜日に更新します

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