魔法少女リリカルなのはStrikerS 信念の刃   作:sufia

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今回から本編に突入です


第5話 ≪出会い、そして初訓練≫

~機動六課・部隊長室~

 

「天童綾人一等陸士、現時刻を以て機動六課へ出向となります! よろしくお願いします」

「こちらこそな? 綾人君の立ち位置はちょっと複雑やと思うけど、うまいことやってな?」

「了解です」

 

機動式典の前にはやてに挨拶に来ている綾人

 

ただ、お互いに知った仲でもあるので形式だけのものになっているのはご愛嬌

 

「なのはちゃんとの打ち合わせもばっちりか?」

「ええ・・・ここ数日の間に終わらせてます・・・俺の教導内容も含めて」

「ほぉ・・・・・・期待しとくよ? まあ、スターズの2人は知ってる顔やし・・・ライトニングの2人とのコミュニケーションなんかの心配はせんでええね?」

「はい。人と仲良くなるのは得意です」

 

綾人としては履歴書に載せたくなるほどのレベルなのは確かである

 

綾人は自分を隠さずに相手に接する

 

心を開くことで相手の心を開かせる・・・という手法を用いていて、それが通用しなかった人間はほとんどいない

 

そしてその後、『要らぬ一言』で撃沈されているのだ

 

「それじゃ、式までもう少しあるけど・・・これで終わりにしよか?」

「わかりました。失礼します」

 

軽く会釈して退出する綾人

 

 

~機動六課・隊舎ロビー~

 

 

(ん?・・・あの2人は・・・)

 

ロビーに入ったところで小さな男の子と女の子が話していた

 

綾人は、2人に近づき声をかける

 

「君たちが・・・『エリオ・モンディアル』君と、『キャロ・ル・ルシエ』さんかな?」

「「えっ?」」

 

2人が少し驚いて綾人を見る

 

「初めまして。今日から君たちと同じで機動六課に配属される天童綾人一等陸士だ」

 

あくまでにこやかに自己紹介をすると、2人も慌てたように

 

「あっ・・・エ、エリオ・モンディアル三等陸士であります!」

「お、同じく、キャロ・ル・ルシエ三等陸士であります!」

「「よろしくお願いします!!」」

 

2人揃って敬礼をする

 

「ああ、よろしく」

 

綾人も敬礼を返す

 

「あ、あの! 天童陸士!!」

「『綾人』でいいよ、階級も言わなくていいし」

 

エリオに軽く注意する

 

「あ・・・じゃあ、綾人さん!」

「うん、何だ?」

「どうして、僕等の名前を?」

 

エリオが聞いてくる横でキャロも頷いている

 

「隊員名簿には目を通しているし・・・・・・あと、フェイトさんにも聞いた」

「フェイトさんに?」

 

キャロが首をかしげる

 

「六課の説明受けてるときに2人のことも簡単に聞いてる」

「「へぇ・・・」」

「とりあえず、これからよろしくな? 2人共」

「「はいっ!!」」

 

2人が元気に返事をする

 

 

「あ! 先輩!!」

「ん? おう、スバル、ティアナ」

 

ロビーに入ってきたスバルとティアナに手を上げて答える

 

「ちょうどいい。フォワードチームの顔合わせだけ簡単にやっとこうか」

 

そう言うと、スバルとティアナにエリオとキャロを紹介し、互いに経験、スキルなどの確認を済ませる事にした綾人だった

 

 

数分後・・・

 

はやての挨拶が終わり、なのはと共に訓練場へと向かっている綾人達

 

 

「もう、それぞれ自己紹介はすんでるかな?」

 

先導しているなのはが振り返りながら質問してくる

 

「えっと・・・」

「お互いの名前、経験、分隊、スキルの確認は済んでます」

 

口ごもったスバルの代わりにティアナが答える

 

「そう、じゃあさっそく訓練に入りたいんだけど、いいかな?」

「「「「はい!」」」」

 

なのはが確認してくると返事を返す4人

 

「じゃあ、それぞれ着替えてきてくれるかな?」

 

なのはに答えてフォワードチームが更衣室へと向かっていった

 

それを見送ったなのはと綾人は訓練場へと向かう

 

「どう? フォワードの皆は?」

「そうですね・・・スターズの2人はよく知ってるんで割愛しますけど・・・エリオもキャロもいい子ですね・・・・・・素直なところが気に入りましたね・・・」

「そう?」

「やっぱり素直同士、気が合うのかもしれません」

「あ、自分で言っちゃうんだ・・・」

 

綾人の素直さになのはも苦笑いする

 

自分で自分を素直だというのは、おそらく綾人ぐらいである

 

 

~機動六課・訓練場~

 

「なのはさ~ん!!」

「あ、シャーリー!!」

「おう綾人!!」

「リョウ・・・さっきぶり」

 

メガネの女性とリョウが手を大きく振りながらなのは達を迎える

 

「皆のデバイスは?」

「ばっちりですよ!」

 

笑顔で4つのデバイスを取り出してなのはに見せるメガネの女性

 

「チップもうまく作動してるんで、問題ありませんよ・・・流石はシャーリー・・・仕事が細かい」

「えっへん!!」

「リョウ。知り合いか?」

「ああ。デバイス関連での知り合いだな・・・主にマー姉ちゃん繋がりで」

「なるほど・・・天童綾人一等陸士です」

「『シャリオ・フィニーノ』一等陸士です! お話はなのはさんやフェイトさんから聞いてるよ? よろしくね。あ、私の事は『シャーリー』って呼んでね?」

「ああ。わかった・・・」

「シャーリーは、メカニックの他に機動六課の通信主任でもあるんだ。デバイスのメンテや改良もやるけど、その辺りは俺が請け負う感じだな・・・まあ、俺は綾人含むフォワードチームのデバイス、シャーリーは隊長達のデバイスを中心にやる感じだな・・・」

 

リョウからの補足説明

 

「さて、そろそろみんな来るね・・・」

 

なのはの言葉に、横一列になってスバル達を待つ綾人達

 

その後、スバル達が集合し、各自のデバイスが返却された

 

「今返したデバイスには、データ記録用のチップが入ってるから、ちょっとだけ、大切に扱ってね?それから、メカニックのシャーリーとリョウ君から、一言ずつ」

 

なのはに名前を呼ばれ、前に出る眼鏡の女性

 

「えー、メカニックデザイナー兼機動六課通信主任のシャリオ・フィニーノ一等陸士です。みんなはシャーリーって呼ぶので、よかったらそう呼んでね?」

 

笑顔で自己紹介するシャーリー

 

「同じく、メカニックの『リョウ・ライナス』だ・・・と言っても、スターズの2人は知ってるだろうけどな・・・」

 

リョウの言葉に、スバルとティアナも苦笑いする

 

 

「みんなのデバイスを改良したり調整したりもするので、時々訓練も見せてもらったりします。あっ、デバイスについての相談とかあったら、私かリョウ君に遠慮なく言ってね?」

「「「「はい!」」」」

 

シャーリーに返事を返す4人

 

「じゃあ、早速訓練に入ろうか?」

 

なのはがそう言うと皆不思議そうな顔をする

 

「ここで・・・ですか? 見たところ何もないんですけど?」

 

ティアナが見回しながら言う

 

「クスッ、シャーリー?」

「はーい!」

 

なのはに呼ばれ返事を返しコンソールを展開するシャーリー

 

「機動六課自慢の訓練スペース、なのはさん完全監修の陸戦用空間シュミレーター、ステージセット!」

 

言い終り、パネルをタッチした瞬間、海に浮かんでいたタイルが光り、街が浮かび上がった

 

「凄い・・・」

 

驚きでそれぐらいしか言えないエリオ

 

「にゃはは、それじゃあ、移動しようか?」

 

なのは達に連れられ訓練場へ移動する

 

 

「しっかし・・・こうして見るとスゲェよな・・・」

「ああ・・・見た目は本当にただのビル群だもんな・・・中までしっかりと再現されてるし」

 

作り出されたビルの一つに登りながら感想を言い合う綾人とリョウ

 

 

一面を見渡せる屋上へと出ると、なのはがスバル達に回線を開く

 

 

「みんな、聞こえる? 早速ターゲット出していこうか。まずは、軽く10体から」

 

そういいながらシャーリーを見るなのは

 

「動作レベルC、攻撃制御Dってところですかね?」

「うん」

 

コンソールを叩きながらなのはに確認するシャーリーに頷いて返すなのは

 

「私たちの仕事は、捜索指定ロストロギアの保守管理、その目的の為に私たちが戦う相手になるのは・・・これ!」

 

スバル達の前に魔方陣が現れ、その中から大きいカプセルの形をした青色の機械人形が現れた

 

「自立行動型の魔道機械、これは近づくと攻撃してくるタイプね。攻撃は結構鋭いよ?」

 

シャーリーがそう説明する

 

「それでは、第一回模擬戦訓練。ミッションの目的は逃走するターゲットの破壊または捕獲、15分以内に!」

「「「「はい!」」」」

 

4人がそれぞれに構える

 

「それでは・・・」

「ミッション・・・」

「「スタート!!」」

 

なのはとシャーリーが同時に合図を出し、第一回模擬戦が始まった・・・

 

 

『うおぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ!!』

 

スバルがスフィアをガジェットに向かって飛ばすが、

ガジェットはいとも簡単に回避して行った

 

『なにこれ!? 動き早!!』

 

驚きながらガジェットを追うスバル

 

ガジェットの向かう先にはエリオがストラーダを持って待ち構えていた

 

『はぁぁぁぁぁぁ!』

 

エリオがガジェットに向かって進む

 

ガジェットも攻撃してくるが、回避しながら近くのビルの壁を蹴りガジェットに斬撃を飛ばす

 

しかし、この攻撃もガジェットは悠々と回避して通り過ぎていく

 

少し焦りながらエリオもガジェットを追撃していく

 

 

<ちょっと! 前衛2人、分散しすぎ! 少しは後ろのことも考えて!>

『ごめん!』『すいません!』

 

ティアナが念話で怒鳴ると、2人が同時に謝る

 

近くのビルの屋上では、ティアナがキャロに威力強化を施された状態でガジェットに照準を合わせていた

 

しっかりと狙いを定めて打ち込むが、ガジェットに当たる瞬間スフィアが消滅した

 

『バリア!?』

『違います。多分、フィールド系!』

 

「ガジェットドローンには、ちょっと厄介な性質があるの、攻撃魔力を打ち消す『AMF{アンチマギリングフィールド}』。普通の射撃は通じないし・・・」

『ああ、もう!』

 

なのはの説明の最中にスバルが焦れてウイングロードを展開しガジェットに突っ込んでいく

 

「それにAMFを全開にされると・・・」

 

ガジェットのバリアが拡大しウイングロードが消えていった

 

『え!? うわわわ! どうなって!? あ、あぁぁぁぁぁぁ!!』

 

加速したまま近くのビルに突っ込んでいったスバル

 

「飛翔や足場作り、移動系魔法の発動も困難になる」

「お~いスバル~・・・無事か~?」

『は、はい~・・・』

 

説明してるなのはの横で、突っ込んだまま出てこないスバルに声をかける綾人

 

すると、スバルは少しふらついた状態で返事を返してきた

 

「まぁ、訓練上ではみんなのデバイスにちょっと工夫をして擬似的に再現してるだけなんだけどね。でも、現物からデータ取ってるから、かなり本物に近いよ?」

 

シャーリーがそう付け加える

 

「対抗する方法は、いくつかあるよ。どうすればいいか、すばやく考えて、すばやく動いて」

「さて・・・あいつらならどうするかな・・・?」

 

なのはの説明が終わり綾人がそう考えていると

 

「ちなみに、綾人ならどうする?」

「そうだな・・・・・・俺の場合は“自分の間合いまで一気に近づいて斬る”・・・かな、やっぱり」

「まあ、それも間違いじゃないよ・・・“綾人君の戦い方なら”ってことだね」

「ま、俺もそうするだろうしな・・・」

「デバイスのAMF対策も今後の課題だけど、今のところ有効な手段って見つかってないし・・・」

「そういう意味で一番有効なのは・・・多分・・・“使用者の強化”だろうな」

「強化?」

「ああ。『魔法を打ち消す場』でも戦えるように術者自身が鍛えるしかない・・・225はそうやってる」

 

魔力よりも魔導師自身の体力などの持力を鍛えている225隊

 

なので、魔力の多い少ないは関係なかったりする

 

「それともう一つ・・・術者を鍛える以外の方法なら・・・・・・そもそも“デバイスを使用しない”ってことぐらいだな」

「使用しないって・・・じゃあどうやって戦うの?」

「簡単だ・・・実弾銃だとか刀剣とか魔力を使わずに攻撃力のある武器・・・いわゆる『質量兵器』を使えばいい・・・」

「でもそれは・・・」

「ま、あくまで『AMF対策』としての手段の1つだ・・・それにガジェット自体に改良加えられたらどれも厳しいだろうしな」

 

そんな話をしている最中、スバルとエリオが走り出す

 

「お、何か考えたか?」

 

ガジェットの後ろを追走するスバル

 

そして追いかけた先にあるビルの連絡橋にエリオが待機する

 

『行くよ、ストラーダ!! カートリッジロード!!』

 

ストラーダにカートリッジが2発装填し、そのまま自分の立つ連絡橋を斬りつけその瓦礫がガジェットに向かい落下していく

 

数機はそれを回避し上昇して行こうとしたが、それをスバルが飛び上がって追いかける

 

『潰れてろぉ!!』

 

スバルがバリアごとガジェットを殴り落とした

 

そして、後ろにいたガジェットをマウントポジションから一撃を加え破壊に成功した

 

『やった!』

 

拳を握りながら喜ぶスバル

 

「スバル、何機か逃げたぞ?」

『あぁっと!!』

 

綾人に言われて慌てて追いかけるスバル

 

「お、今度はティアナとキャロだな?」

 

ビルの屋上でキャロのブーストを受けてスフィアを形成しているティアナの姿が映る

 

「おいおいあれって・・・」

「多重弾核・・・本来ならAAランクの技術だね・・・」

「そんなこと出来るんですか?」

「出来るさ・・・俺は、もっと凄いのを見たこともある・・・」

 

複数の魔力弾を1つの弾殻で覆ったモノ・・・初見の綾人もかなり驚かされていた

 

ティアナは時間をかけて作り出した多重弾核をガジェットに向けて撃つ

 

「AMFに穴を空けるための弾殻で本命の弾を包む・・・・・・外殻がAMFを相殺することで本命の弾は・・・・・・しっかりと届く・・・と」

 

綾人が説明したとおりに2体のガジェットが破壊された

 

「ティアナすげえな・・・」

「ああ・・・ま、少々時間が掛かってるが・・・仕方ないな・・・」

「そうだね・・・それに、ちょっと無茶しちゃったかな・・・?」

 

残りのガジェットをスバル達が破壊するのを確認し、終了の合図を出したなのはだった・・・




どうも

本来スバル達フォワード視点で描かれている物を、なのはさん達からの視点にしてみましたが・・・ほとんど変わらないですね・・・


今後は、本編に沿いながらオリジナル話を入れたりしながら進んでいきます



では次回予告

初訓練が終わり、エリオが不意に一つの質問をする

「綾人さんってどれくらい強いんですか?」

その質問を皮切りに急遽決まる綾人の実演

「教導する立場にいるんだ・・・これくらい出来なきゃ意味ねぇよ」
「勝手なこと言うな」
「出来ねぇの?」
「・・・・・・やってやるよ」

リョウの挑発に簡単に乗ってしまう綾人

そして、スバル達も知らない綾人の“技”が披露される・・・

次回、『綾人の実力』


次回でいきなり綾人君の強さの一端を披露したいと思います

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