魔法少女リリカルなのはStrikerS 信念の刃   作:sufia

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いや~焦った・・・


気を取り直して、もう1話追加投稿です


第4話 ≪昇格祝いと出向報告≫

~ミッドチルダ・料亭~

 

「よ~し・・・料理は全部来たか?」

「ああ・・・最初に頼んだのは飲み物も含めて全部来てるぞ」

 

座敷でテーブルに並べられた料理と周りに座っている人物達を見ながらラウスが確認し、それに綾人が答える

 

「そんじゃ! ナカジマとランスターのBランク昇格を記念して・・・・・・乾杯!!」

「「かんぱ~い!!」」

「か、乾杯・・・」

「乾杯」

 

ラウスがグラスを掲げ、残りの4人も掲げて答える・・・・・・若干温度差は存在しているが

 

 

この店はミッドにある数少ない綾人のオススメの料理店

 

出てくるのは主に和食で、味にうるさい綾人も納得の店である

 

綾人達の訓練校卒業や入隊など節目ごとに利用しているのだ

 

「いや~・・・ホントにきっちり一発合格するなんてな~・・・」

「そうね・・・・・・私達としても鼻が高いわね」

「そ、そんな!! 先輩達のご指導の御蔭で・・・」

「そうですよ! 本当にありがとうございます!!」

 

ラウスとクリスに慌てながら応えて礼を言うスバルとティアナ

 

「もちろん綾人先輩も!」

「俺?・・・・・・何も教えてないけど?」

「いえ・・・先輩の応援・・・力になりました!!」

「・・・・・・なるほど・・・・・・秘密がバラされるのが怖くて必死だったと」

「違います!!」

 

どこか見当違いの綾人の言葉にティアナも少し怒る

 

「綾人? 恥ずかしいのはわかるけど、そんな言い方ないんじゃない?」

「恥ずかしいっていうか・・・俺、本当にそれぐらいしかしてないぞ?」

「してましたよ! ほら、このメッセージ!!」

 

スバルが綾人からのメッセージを見せる

 

「・・・・・・いや、知らないけど・・・?」

「「「「え?」」」」

 

首を傾げる綾人に、4人が聞き返す

 

「俺が送ったのは、“秘密バラすぞ?”ってやつだけだったはずだぞ?」

「え・・・だって差出人も・・・先輩の名前で・・・」

「そもそも、エール送るならそのメールの最後にでも付け足すだろ? わざわざ2回に分けることもない」

「まあ・・・綾人ならそうよね・・・」

「それじゃあ・・・このメールは・・・」

 

一気に綾人以外の全員の顔色が変わる

 

「・・・なるほど。犯人がわかった」

「どういうことだ?」

「もうすぐ来るよ」

 

ラウスに綾人が答えると同時、店の扉が開く

 

「ふぅ・・・あ、いたいた」

「あ、リョウ!」

「先輩!」

 

座敷に座っている綾人達に近づいてくるリョウ

 

「マリエル技官との話は済んだか?」

「誰のせいだよまったく・・・で、なんだこの空気」

 

どこか冷たい雰囲気を感じて綾人に顔を向ける

 

「ああ。ちょっと怖いメールにスバル達がビビってたところだ」

「怖いメールってどんなメールだよ?」

「差出人が覚えのないメールだ・・・ほれ」

 

メールをリョウに見せる

 

「お前が送ったんだろ? このメール」

「あ、わかるか?」

 

綾人が聞くと、あっさりと認めるリョウ

 

「え、このメールリョウ先輩だったんですか!?」

「おう。バルムンクのメンテしてる時に履歴見てな・・・・・・あまりにも応援してる気がしなかったから、良心で送ってやった・・・なるべく綾人っぽいセリフで」

「確かに・・・綾人らしいって思ったけど・・・」

 

変な気遣いに呆れてるクリス

 

言い回しなどが完全に綾人らしいので、誰も疑わなかったのだ

 

「ま、それはそれとして・・・スバル、ティアナ、おめでとさん」

「ありがとうございます!」

「はい! 先輩のメンテナンスのおかげで、問題なくクリアできました」

「当然だろ? クセも問題点も色々分かってんだ。どうメンテしたらいいかなんて楽勝だっての・・・まあ、それも来週から出来ねぇんだけど」

「そうなんですか?」

 

リョウの突然の一言に、身を乗り出すスバル

 

「ああ、新しい部隊に出向が決まってな? だから、いつもみたいにメンテできないかもしれないからな」

「そうなんですか・・・」

「先輩も出向なんだ・・・」

「ん? “も”ってなんだ?」

 

スバルの呟きが聞こえたラウスが聞き返す

 

「えっと・・・私とティア・・・スカウトされちゃいました」

「スカウト?」

「はい・・・本局捜査官の八神はやて二等陸佐が発足する部隊のフォワードとして・・・」

「八神はやてだぁ!? スゲェじゃねぇか!!」

「しかも、あなたたち2人なんて・・・見る目もしっかりしてるわ」

「い、いえ! そんな・・・」

「それだけ素質を見込まれてんだから。素直に喜んどけ」

「あ、はい・・・」

 

恐縮しそうなティアナだが、綾人の言葉でどうにか落ち着いた

 

「で、そのスカウト受けるんだろ?」

「あ、はい・・・スバルは高町教導官に教えてもらえますし・・・あたしもフェイト執務官から執務官になるために直接教われますし」

「へぇ・・・・・・ってちょっと待て」

「どうした?」

 

ティアナの説明を聞いていたラウスだが、ある一点に気づいて話を止める

 

「今・・・“高町教導官”と“フェイト執務官”って言ったか?」

「あ、はい・・・言いましたけど・・・?」

「本局のエースがそろい踏みかよ!? すげぇ部隊じゃね!?」

 

いきなり騒ぎ出すラウス

 

「確かに・・・・・・みんなオーバーSランクの魔導師だものね・・・」

「はい・・・だからちょっと自信が・・・」

 

クリスの言った『オーバーSランク魔導師』という言葉に少しうつむくティアナ

 

周りが凄すぎるので自信が揺らいでいる

 

「何言ってんだよ・・・」

「え?」

「そんな所にスカウトされるんだ・・・逆に自信にしないでどうするんだよ」

「でも・・・」

「そんなにすごいなら、追い越せなくて当たり前だ・・・でも、追いつくことは不可能じゃない。それにティアナの夢は、なのはさん達を追い越す事じゃないだろ?」

「あ・・・」

 

リョウと綾人に言われて顔を上げるティアナ

 

ティアナの夢は、『兄がなれなかった執務官になる』こと・・・・・・それからの目標はまだ模索中だが、第一目的であるのは確かである

 

なのは達を越えるという目標は、その中ではあまり意味をなさない

 

「嫌な言い方するなら・・・夢を叶えるためならなんだって利用すればいい・・・・・・せっかく現役が教えてくれるんだからな・・・きっちり利用しとけ」

「はい!!」

 

これが本来の綾人の励まし・・・確かにリョウのメール内容と変わらなかった

 

「ところでよ。天童」

「ん?」

「なんでさっきからそんな馴れ馴れしいんだ?」

「確かにそうね・・・高町教導官のこと『なのはさん』って呼んでるし・・・」

「あれ? 言ってなかったか? 俺・・・なのはさんとはやてさんに会ったことあるんだよ・・・随分前に」

「「えぇ!?」」

「なのはさんとは父さんが教導隊にいた頃に・・・はやてさんとは225隊に研修ではやてさんが来てた頃に・・・」

 

つまりどちらも父親関連

 

「お前の親父さんスゲェ・・・いろんな意味で」

「そうね・・・そんな有名人の教官やってたり・・・本人も相当な魔導師だものね」

「本人は、そういう言われ方気にしてるけどな・・・」

 

特別視されることが嫌いなマーク

 

当然綾人も同じで、“マークの息子”として認識されてる事には若干コンプレックスがあった

 

ただ、父親を尊敬してるのももちろんなので、それを乗り越えいつか“天童綾人”として認めてもらえるように精進している

 

「あ、ならデバイス調整は問題ないかもな」

「はい?」

「お前らの行くのって“機動六課”だろ?」

「あ・・・はい」

「俺もそこに行くんだよ」

「「えぇ!?」」

 

いきなりのリョウのカミングアウト

 

「デバイスマイスターとして、マー姉ちゃんが推薦したみたいでな・・・外で色々勉強して来いとさ」

「技官らしいな・・・ふむ・・・」

 

リョウ、スバル、ティアナの発表を受けて綾人も言う事を決めた

 

「なら、俺からも一つ報告がある」

「おう。なんだよ・・・もう驚かねぇぞ・・・」

「そうね・・・こうも立て続けに来ることもないでしょう・・・」

 

姿勢を正して綾人の言葉を待つラウスとクリス

 

「俺も“機動六課”に出向になった」

「「「「「えぇぇぇぇ!?」」」」」

 

ラウス達だけでなくスバル達まで声を上げる

 

「あ、綾人先輩も!?」

「さっき言わなかったじゃねぇかよ!!」

「いや、言うタイミングが見つからなくってな・・・」

 

顔を掻きながらそう言う綾人

 

手伝いや他の話などでタイミングを見つけられなかった綾人だった

 

「試験の前にお前等に連絡入れたのもなのはさんがそっちに行ったって聞いたからその確認にな・・・」

「でも何も聞かなかったよな?」

「なのはさんが来てたら、ラウスが間違いなく自慢してくると思ったからな・・・でも、その様子だと来てたことも知らなかったみたいだな?」

「そもそも、スカウトの話も試験後に伺いましたし・・・」

「多分、その前に言ってコンディションが悪くなるってそっちの部隊長も考えたんだろうな・・・もしくは、なのはさんとかが『直接言う』って言ったか」

「しかし綾人もか・・・ってことは、今日のメンテ意味なかったか?」

「そんな事ないさ。いつでも絶好調で使えるのはリョウのメンテナンスのおかげだし」

「そうだな・・・そういう事にしといてくれや」

 

感謝の言葉も素直に言ってくる綾人

 

ある意味ではスバル以上に素直である

 

「そういえばなのはさん・・・説明の時に『一緒に訓練を見る人がいる』って言ってました・・・それが先輩なんですね?」

「そうだな・・・ティアナと同じように、俺にも教導官になる夢があるからな・・・現役に教われるまたとないチャンスだと思ってるからな・・・」

「てことは、先輩からも色々教われるんですね?」

「どうだろうな・・・基本的な教導はなのはさんがやることになってるな・・・月に何度かは俺主体でやる事もあるみたいだけどな」

「へぇ・・・」

「綾人の教導ってちょっと興味あるわね・・・どんな事するつもり?」

「それを、教え子になる2人の前で言えってのか? そりゃ内緒だよ」

「それじゃ、俺達にだけ耳打ちで・・・」

「・・・・・・クリス、耳」

「なんでだよ!?」

「男に耳打ちなんて冗談じゃない・・・ってことでクリス」

「止めろ!! クリスの耳は俺んだ!!」

 

必死で立ちふさがるラウス

 

「なら、仕方ない・・・・・・残りの部分をもらおう」

「ふざけんな!!」

 

すっかり綾人のペースに呑まれているラウスなのだった

 

 

「ま、なんにせよ・・・スバルにティアナ、新部隊でもよろしく」

「はい!!」

「よろしくお願いします!!」

 

綾人やラウス達が騒いでいる横で、改めてグラスを鳴らすリョウとスバル達だった・・・・・・




どうも


準備編はこれにて終了、次回からは本編に入ります


綾人君の能力やタグに関する事も少しずつ出していく予定ですので、お楽しみに


では、次回予告を

いよいよ始動する機動六課

スバル達も早速訓練を開始する


「それでは、第一回模擬戦訓練。ミッションの目的は逃走するターゲットの破壊または捕獲、15分以内に!」
「「「「はい!」」」」

初めての全員での訓練に苦労しながらもこなしていく新人達

後輩達の成長に、綾人やリョウも嬉しさを覚える

「すげえな・・・」
「ああ・・・ま、少々時間が掛かってるが・・・仕方ないな・・・」


次回、『出会い、そして初訓練』

訓練は最初から全力全開・・・それが高町流

「そんなことないですから!! これが教導隊のやり方ですから!!」

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