魔法少女リリカルなのはStrikerS 信念の刃   作:sufia

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第3話 ≪昇格試験・・・の裏≫

 

~陸戦Bランク試験場~

 

試験開始までの時間、シャドーボクシングをしながら準備運動しているスバルと、時間を確認しながらデバイスの最終調整をしているティアナ

 

「スバル・・・あんま動くとそのオンボロローラー、すぐに逝っちゃうわよ?」

「うぅ・・・だ、大丈夫だよ! ちゃんと先輩に見てもらったし・・・ティアだってそうでしょ?」

「まあね・・・・・・こんな時、デバイスマイスターが知り合いにいるってのはいいかもね・・・」

 

2人はとある人物の顔を思い浮かべる

 

嫌な顔1つせず・・・それどころか楽しそうに調整をする白髪の青年の笑顔が思い出される

 

「訓練校時代から見てもらってるけど・・・未だになんで訓練校にいたのか謎だけど・・・」

「本人は、“青春の為だ!”って言ってたけどね」

 

とってもいい笑顔でそう宣言してきたので、2人もそのパートナーも苦笑いするしかなかった

 

卒業後、パートナーとは別の道・・・本来目標にしていたデバイスマスターになるために本局へと移ったのだった

 

 

ただ、2人とパートナーのデバイスの調整を卒業後も行っており、月初やこういった試験の前などに1度調整を行っているのだ

 

「そろそろね・・・」

 

ティアナが再び時計を確認すると同時、2人の頭上にモニタが展開され、銀髪の少女が映る

 

 

『おはようございます! 魔導師試験の受験者さん2名、揃ってるですね?』

「「はい!!」」

 

幼い印象の少女にも、しっかりと返事を返す2人

 

『確認しますね? 時空管理局陸士386部隊所属、スバル・ナカジマ二等陸士と、ティアナ・ランスター二等陸士ですね?』

「「はい!」」

『保有しているランクは陸戦Cランク、今回はBランクの昇格試験を受験・・・間違いないですね?』

「はい!」

「間違いありません!!」

 

確認の間もピンと立って答える

 

『はい! 本日試験官を務めますリインフォースⅡ空曹長です! よろしくですよ~!!』

「「よろしくお願いします!!」」

 

笑顔で敬礼しているリインにも、ビシッと敬礼を返すティアナとスバル

 

そして、リインから試験内容を教えられる・・・・・・

 

【綾人SIDE】

 

 

~時空管理局・本局~

 

「リョウ? 来たぞ?」

『ああ。入ってくれ~』

 

扉越しに聞こえた声を確認して部屋に入る綾人

 

様々な研究機材が置かれている部屋の奥に、白衣を来た白髪の青年が座っていた

 

『リョウ・ライナス』・・・綾人の訓練校時代のパートナーである

 

「悪いな。忙しいのに」

「気にするな・・・しかし、どうしたんだ? 調整の予定はまだ来週じゃないのか?」

「いや~今週末から1年ぐらいここを離れる事になっててな・・・・・・だから今回は少し長めのメンテナンスをするから。ほれ、『バルムンク』貸しな?」

「わかった・・・頼むよ」

 

リョウに言われ、自身のデバイス『バルムンク』を手渡す綾人

 

それをシリンダーに入れモニタを操作すると、データの抽出が行われる

 

「さて・・・今から約2時間かな・・・その間にパパッと荷造りしちまうかな」

「手伝うよ・・・どうせ暇だし」

「サンキュー!!」

 

2人で手分けして荷物を箱に詰めていく

 

部屋にある機材全ては流石に持っていかないので、リョウの手工具や資料データなどの移動が主な作業になった

 

 

「リョウ君? 調子どう?」

 

作業の途中、ノックもなしに部屋に入ってくるメガネと白衣の女性

 

「おう、マー姉ちゃん! 綾人のおかげでバッチリバッチリ!!」

「もう! リョウ君!! ここではそれをやめなさいって!!」

「何言ってんの。ガキの頃からの付き合いなのに、今更変えられないって」

 

腰に手を当てて起こってくるメガネの女性『マリエル・アテンザ』に、軽いノリで答えるリョウ

 

「ご無沙汰してます。マリエル技官」

「ああ、綾人君。いらっしゃい・・・あ、そうか・・・リョウ君が移動するから今日しか時間ないんだっけ?」

「そうそう・・・で、せっかくだから荷造りを手伝ってもらってるところ」

「そんなの、私に言ってくれれば手伝うのに・・・」

「だって姉ちゃんも忙しいでしょ? 下っ端の俺と違ってさ・・・」

「もう・・・」

「なにより、マリエル技官に見られちゃ困るものもあるしな?」

「おいこら!! おかしなこと言うんじゃない!!」

 

からかいながら会話に参加してくる綾人に、リョウも即座にツッコむ

 

「見られちゃ困るもの・・・? あ~・・・そうだね・・・それは私じゃあね~・・・?」

「そこ! 納得するんじゃないよ!! というか持ってねぇから!!」

 

綾人の言葉に何か気付いたマリエルは、ニコニコ笑いながらリョウに顔を向ける

 

なかなかにノリがよかった

 

「相変わらず仲いいのな。2人とも」

「そりゃ幼馴染ですから!!」

「まあ、さっきも言ったけど、いいとこも悪いとこも全部知ってるしな・・・そういうお前こそ、地上本部に仲のいいお姉さんがいるじゃねえの」

「まあ・・・お前と違ってもう何年も会ってないけどな・・・立場もあるだろうし・・・」

 

リョウの指摘に、思い出しながら語る綾人

 

子供の頃、よく遊んでもらった姉のように慕う女性が1人・・・地上本部に勤めている

 

彼女にも立場があり、そう簡単には会えないでいるが、そのうち挨拶くらいには行こうと考えている綾人だった

 

 

「そういやさ・・・もうBランクの昇格試験始まってんのかね?」

「どうだろうな・・・時間までは聞いてないし」

 

時計に目が行き、綾人に聞いてくるリョウ

 

「ちょっと前に始まった所だね・・・リョウ君、昨日会ってきたんだよね?」

「ああ。デバイスの調整しにね」

「2人の様子、どうだった?」

「割と落ち着いてたな・・・やっぱ心配か?」

「いや・・・俺達が心配する必要もないだろ・・・必ず一発合格するさ・・・しなきゃ恥ずかしい過去バラスって言ってあるからな・・・嫌でも頑張るだろうし」

「お前・・・相変わらずだな・・・」

「というか、そんな過去知ってるの?」

 

綾人の返答に呆れてしまうリョウとマリエル

 

ただ、2人とも綾人の性格はある程度わかっているので、この言葉にも2人への信頼を示している事は分かっている

 

「知りませんが・・・・・・2人を知らない人間からすれば、真実になりえますからね」

「・・・・・・多分、あの2人もそう思ってるだろうよ・・・」

 

リョウは肩を落としながら窓の外の空間を見る・・・

 

素直なのか素直じゃないのかよくわからないパートナーに信頼を寄せつつも、若干の不安も一緒に覚えているのだった・・・・・・

 

 

【スバルSIDE】

 

~試験場・ゴール地点~

 

「は~い! お疲れ様で~す!!」

「ちっさ・・・」

 

用意されたターゲットを全て倒し、時間に少しだけ余裕を持ってゴールした2人は、リインに出迎えられていた・・・

 

ちなみに、ティアナの一言はリインには聞こえていない

 

「今までの受験生の中でもトップクラスです! これなら問題ないですよ!」

「「ありがとうございます!!」」

 

自分の事の様に大喜びするリインに、若干苦笑いしながらもしっかりと敬礼を返すスバルとティアナ

 

そこに・・・この試験の試験官が降りてくる

 

 

「お疲れ様。2人共」

「あ・・・・・・」

「あの人は・・・・・・」

 

その人物にいち早く気付いたスバル

 

ティアナもよく知っているその人物・・・なのはは、ゆっくりと着地し近づいてくる

 

「リインも、しっかりできてたよ?」

「ありがとうございま~す!」

「なのは・・・さん・・・」

 

スバルの小さな呟き

 

それに気付いたなのはも、にっこりと笑い返す

 

「ん?」

「あぁ! 高町教導官・・・あ、いや・・・一等空尉!!」

「“なのはさん”でいいよ? みんなそう呼ぶから・・・4年ぶりかな? ちょっと背、伸びたね? スバル?」

 

なのはに名を呼ばれ頭を撫でられたことで、感極まり涙を流しだすスバル

 

その横で見ていたティアナにリインが近づく

 

「ランスター二等陸士は、なのはさんのことご存知ですか?」

「あ、はい・・・本局武装隊の『エース・オブ・エース』・・・航空戦技教導隊の若手No.1・・・『高町なのは』一等空尉・・・ですよね?」

「はいです!!」

 

ティアナの答えに、笑顔で答えるリイン

 

そこに、1台のヘリが降りてくる

 

そこに乗り込んでいたフェイトとはやてに気付いたスバルとティアナは慌てて敬礼をするのだった・・・・・・

 

 

【綾人SIDE】

 

 

「ふぅ・・・よし、こんなもんかな」

「助かったぜ綾人~・・・っと、こっちも終わったな」

 

シリンダーからバルムンクを取り出し綾人に手渡すリョウ

 

リョウの荷造りもある程度完了していた

 

「1年まるまる見れないわけじゃないんだろ? だったらここまで念入りにしなくても」

「いやいや・・・なにが起こるかわからねぇからな・・・万全の状態にしとけば、それも起こりにくい」

「ありがと」

 

受け取りながら礼を言う綾人

 

「お茶入ったよ~」

「お~・・・サンキューマー姉ちゃん!」

「すみません・・・俺まで・・・」

「いいよいいよ! 手伝ってくれたんだし・・・これぐらいはね~?」

 

出されたお茶を受け取り、一口飲んでみる綾人だが・・・

 

ある違和感に気づく

 

「マリエル技官・・・・・・また入れましたね?」

「え・・・? な、なんのことかな~?」

「姉ちゃん。綾人相手にごまかしきかないって・・・特に食物関連は・・・」

 

必死に目を反らすマリエルに、リョウもため息混じりに追撃する

 

「でも・・・だめ? 『お砂糖ミルク緑茶』・・・」

「ダメとまで言いません・・・好みもあるでしょうからね・・・ただ、それを他の人のお茶にまで入れないでください。俺じゃなかったら引かれますよ?」

「あぅ・・・」

 

ズバズバと放たれる綾人の口撃

 

相変わらず容赦のない綾人である

 

「そんなんだから恋人も・・・」

「ぎゃぅ!?」

「ストップ綾人!! “それ”はマズイって!!」

「ん?・・・・・・あぁ・・・そうだったな。今のは忘れてください」

 

そう言う綾人だが、マリエルはヨロヨロと崩れていった・・・

 

「姉ちゃん! 元気出せって!! お、俺は好きだぞ!? この姉ちゃんの入れてくれたお茶・・・」

「そう・・・“お茶”の方なんだね・・・」

「あ、いや・・・きっと見つかるから!! 彼氏!! だからほら!!」

 

必死になだめているリョウだが、肝心の綾人は・・・

 

「さて、俺の用事はこれで済んだかな・・・じゃ、帰るな」

「帰る前に謝らんかい!!」

「ああ・・・わかったよ・・・マリエル技官?」

「ぐすっ・・・なに?」

「お嫁の貰い手なら、すぐそばにいるじゃないですか!

「え・・・?」

 

綾人の一言にパッと顔を上げるマリエル

 

「ほら、マリエル技官の隣に・・・」

「あ・・・」

「へ・・・?」

 

言われて隣に視線を移すと・・・・・・意味がわからない状態のリョウがいた・・・

 

「そう・・・リョウ君が・・・」

 

顔を赤くしながら何か考えているマリエル

 

それを見たリョウが先ほどとは別の意味で慌てだした

 

「いや待て!! それはなんかおかしいから!!」

「なんだリョウ? 嫌いなのか」

「いや、そうじゃないって!! ,でもさ!!」

「さっき言ってたろ? “良い所も悪い所もなんでも分かってる”って・・・幼馴染という見事な立場にいるんだから・・・な?」

「“な?”じゃねぇだろ!!」

 

いつの間にか綾人の掌に乗せられていたリョウ

 

「とりあえず、こっからは当人たちで・・・じゃ」

「待てコラぁ!!」

 

言うだけ言って部屋を出ていく綾人

 

リョウの悲痛な叫びを背中に聞きながら・・・・・・

 

 

 

「さてっと・・・俺も戻って荷造りを・・・ん?」

 

廊下に出たところでバルムンクに一通のメールが届く

 

そこには・・・・・・

 

「ふむ・・・・・・荷造りは明日に回すかな・・・・・・さて、予約予約・・・っと・・・」

 

そうつぶやくと、行きつけの店を予約する綾人だった・・・

 

 

メールはスバルの名前で

 

『お祝いのご馳走、期待してます!!』

 

というものだった・・・




どうも

本編に少しだけ足を入れましたね

原作とは色々と変わっている部分もありますのでそのへんもお楽しみにしてください

では次回予告


「あたしとティア・・・スカウトされました」
「スカウト?」

合格祝いの席で、スバルとティアナの2人から聞かされた報告

それは新しい部隊への出向依頼


「お前らが行くのって“機動六課”だろ?」
「あ・・・はい」
「俺もそこに行くんだよ」

リョウも同じ場所への出向

そして・・・


「俺も“機動六課”に出向になった」
「「「「「えぇ!?」」」」」

綾人の一言に、また驚かされるのだった・・・・・・


次回、『昇格祝いと出向報告』


綾人の一言は、どうあっても驚かせるものしかないのかもしれない

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