魔法少女リリカルなのはStrikerS 信念の刃   作:sufia

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今回は、マークさんのちゃんとした?戦闘になります


第32話 ≪剣王 マーク・グリード≫

 

225隊の隊員は昼食のあと訓練場に集まっていた

 

ティアナ達フォワード陣も、その近くでよくわからないまま一緒にいる

 

 

「先輩・・・大丈夫ですか?」

「ああ・・・心配かけたな・・・大丈夫だ・・・」

 

スバルが顔を見ながら聞くと、小さく笑って答える綾人

 

「でも・・・何を始めるんでしょう・・・? なのはさん達もお昼から見てませんし・・・」

「皆さんも訓練を再開する様子はありませんね・・・」

 

ティアナとキャロが周囲を見るが、誰も訓練をする様子が無かった

 

「あ、お前達は聞いてないのか?」

「何がですか?」

 

綾人の言葉に首を傾げるエリオ

 

「さっき父さんから聞いてな・・・なんでも模擬戦をするんだと・・・」

「模擬戦?」

「ああ・・・『剣王』の模擬戦だ・・・しっかり見とけよ?」

 

綾人の言葉に互いに顔を向け合うティアナ達

 

「伝説の『剣王』の模擬戦・・・」

「あ、相手は?」

「大体予想つくだろ?」

「もしかして・・・」

「なのはさん達・・・ですか?」

 

キャロがおそるおそる聞くと、綾人は無言で頷く

 

「それも、はやてさんも加わって1対5でやるらしい」

「1人で5人を相手にするんですか!?」

「さすがに厳しいんじゃ・・・」

 

スバルとエリオが驚いているとトビーがやってくる

 

「問題ありませんよ? むしろ、それぐらいでないと張り合いがないんでしょうね?」

「張り合いって・・・」

 

トビーの教える理由に呆れてしまうティアナ

 

「お? なのはさん達が来たな・・・」

 

綾人の言葉に、アリーナを見るティアナ達

 

そこには、バリアジャケットを装着したなのは達がやって来ていた

 

 

【なのはSIDE】

 

 

「うわ~・・・凄い人だね・・・」

「そうやね・・・ちょっと緊張するな・・・」

「ま、あたし達はいつもどおりやるだけだろ?」

 

ちょっぴり緊張した様子のなのはとはやて、さして緊張していない様子のヴィータ

 

「はやてちゃん・・・本当にリインは手伝わなくて大丈夫ですか?」

「うん。その代わり、しっかりデータの収集・・・お願いな?」

「はいです!!」

 

不安そうに聞いてくるリインにそう答えると、リインも笑顔で手を上げる

 

 

「かの『剣王』と手合わせができるとはな・・・ふふっ・・・」

「シグナム・・・嬉しそうですね・・・?」

「そういうテスタロッサも、さっきからウズウズしているようだが?」

「あはは・・・」

 

シグナムに言われて苦笑いのフェイト

 

シグナムの影響なのか、彼女もすっかり戦闘狂に・・・

 

 

「待たせたな・・・」

 

短くそう言う声に振り向くとマークがゆっくりと歩み寄ってきていた

 

「凄い・・・」

「ああ・・・綾人流に言えば闘気が段違いだな・・・」

「面白い・・・」

 

マークの醸し出す雰囲気に息を呑むフェイト、ヴィータ、シグナムの3人

 

「あの、少将? なにしてはったんですか?」

「なに・・・ちょっと準備があってな・・・」

「準備ですか・・・?」

 

マークの言葉に首を傾げるなのは

 

「お前達は、部隊の保有ランクの影響で出力リミッターをかけているのだろう? だから、全力を出すのも難しいだろうからな・・・だから・・・」

「だから?」

「緊急措置で、お前達のリミッターを俺の権限で外してやろうとしたが、断られた」

「そりゃそうだろ・・・」

 

マークのとんでもない提案に呆れてしまうヴィータ

 

なのは達に付けられているリミッターは解除にも条件があるので、当然ながらいくら少将の肩書きと権限でも無理なのである

 

「なので、代わりに俺にリミッターをかけることにした・・・遅れたのはそのためだ・・・」

「先生にリミッター・・・?」

「あんまり意味が無いような・・・」

 

なのはとはやてがお互いを見合う

 

 

「とりあえず、八神が4ランクダウンだったからな・・・俺も6ランク落とさせてもらった・・・」

「6ランク・・・先生のランクって確か・・・陸戦SSS・・・」

「Bランク!?」

「スバル達と同等・・・」

 

マークのランクを思い出しながら計算したなのは達が驚きの声を挙げる

 

 

【綾人SIDE】

 

「BランクでAAランクのなのはさん達と戦うってこと?」

「そうみたいね・・・それぐらい余裕ってことかしら?」

「まあ、部隊長なら難しくないでしょう・・・」

 

遠くで聞いていたスバル達も驚いているが、トビーは相変わらず笑いながら答える

 

「ま、“ランク≠その魔導師の強さ”っていうのは、なのはさん達見てればわかるだろ?」

「それはそうなんですけど・・・」

 

綾人の言葉に動揺しながら答えるエリオ

 

「さぁ・・・よく見とけ? “最強”と言われる男の戦いをな・・・」

 

 

【マークSIDE】

 

 

「ルールは1つ・・・ダウンしたらそこまでだ・・・バインド等の拘束系の魔法も好きに使え・・・俺には関係ないからな」

「ホンマに関係ないもんな・・・」

 

マークの説明に苦笑いのはやて

 

よく知っているなのはも後ろで笑っていた

 

「では始めるとしよう・・・準備はいいな?」

 

マークの言葉に無言で頷くなのは達

 

「オーディン・・・起動・・・」

 

その言葉に反応し、光り出すマークのデバイス

 

光に包まれ、バリアジャケットを装着していくマーク

 

光が収まると、蒼色のローブを身に纏い手には綾人を吹き飛ばした際に持っていた槍のようなデバイス『オーディン』を持ったマークの姿が現れる

 

オーディンは、先端が三叉に分かれている形状をしていた

 

 

「審判は、トビーとイルムがやる・・・そちらはそこの空曹長だな?」

「はいです!!」

 

リインも手を上げて答える

 

「それでは~・・・レディー・・・ゴー!!」

 

リインの合図と共に駆け出すシグナムとヴィータ

 

そして、その後ろからフェイトも突っ込み、なのはとはやても空に上がる

 

「飛竜・・・一閃!!」

 

連結刃をマークに向けて放つシグナム

 

マークはそれを紙一重で避けると、シグナムは連結刃を戻しながら突っ込んでくる

 

「はぁ!!」

「ふっ・・・」

 

ガキンという金属音が響く

 

レヴァンティンをオーディンで難なく受け止め、そのまま横に薙ぐ

 

「くっ!!」

 

はじかれ、そのまま距離をとるシグナム

 

その直後、ヴィータがグラーフアイゼンを振りかぶって飛び込んでくる

 

「だりゃぁぁぁぁ!!」

「甘いな・・・」

 

振り下ろされるアイゼンにオーディンを向けるマーク

 

次の瞬間

 

「なっ!?」

 

ヴィータも驚く

 

オーディンの先端の刃でアイゼンを受け止めたのだ

 

それも右手だけで・・・

 

「くっそ・・・!!」

「・・・・・・なるほどな・・・」

「くぅ・・・おわぁぁ!?」

 

そのままオーディンを押し出し、アイゼンごと後ろに吹き飛ばしてそのまま振り返り構える

 

「あ・・・」

「甘いな・・・執務官・・・もう少し自身の気配に注意することだ・・・」

 

後ろから攻撃しようとして、受け止められたフェイトにそう指導するマーク

 

「おまえ達の行動は・・・“風に乗って”手に取るようにわかっているぞ・・・次に来るのは」

「あぅ!!」

 

フェイトを吹き飛ばし再び振り返ると、すぐそばまで青色の魔力弾が迫っていた

 

「八神だろう!?」

 

そう叫びながら叩き落していくマーク

 

「あちゃ~・・・せやけど・・・」

「む?」

 

はやての表情を見たマークは、自身の違和感に気付く

 

「バインドか・・・俺にはこんなものは・・・」

「分かってます・・・でも・・・ほんの一瞬でいいんです・・・気を引くなら・・・後は・・・」

 

バインドを破ろうとするマークにそう呟き、横に移動するはやて

 

その後ろには、レイジングハートを構えるなのはがいた

 

「行きます・・・ディバイーン・・・・・・」

 

桃色の光が杖の先端に集まっていく

 

「オーディン・・・2ndモード・・・」

 

そうマークが呟くと、オーディンの形状が変化していく

 

先端で別れていた刃が一つになり、柄の部分がマークの手元まで移動しその下から刃が現れ、完全に両刃の剣の形状になった

 

「バスターーーー!!」

 

その直後、桃色の砲撃がマークを飲み込んで土煙が辺りを包んでいく・・・

 

 

「や・・・やった?」

「どうやろか・・・」

 

フェイトとはやては土煙をジッと見つめる

 

 

「まだだよ・・・」

「「え・・・?」」

 

その後ろのなのはの言葉に振り向く2人

 

「こんなものじゃないよ・・・先生は・・・」

 

土煙から目を離さずにそう続けるなのは

 

「さすがは・・・俺と一番模擬戦をしただけはあるな・・・」

「「!?」」

 

土煙の中からの声に驚くフェイトとはやて

 

煙が晴れ、中からかすり傷一つないマークの姿が現れる

 

 

「む・・・無傷・・・だと!?」

「そんなのアリかよ!?」

 

別の場所で様子を伺っていたシグナムとヴィータも驚く

 

 

「ど・・・どうやったの・・・?」

「簡単だよ・・・ディバインバスターを・・・“斬った”だけ・・・」

「「「「斬った!?」」」」

 

なのはの答えにまたしても驚くフェイト達

 

「先生なら・・・それぐらい朝飯前だよ・・・正直・・・先生に傷を付けられる人なんて・・・見たことも聞いたことも無いよ・・・」

「それは買いかぶりすぎだがな・・・“今”では確かにいないが・・・だが・・・可能性のある奴ならいるさ・・・」

 

なのはを見上げながらそういい、視線を別の場所に向けるマーク

 

なのは達もその視線を追うとそこには・・・

 

 

「あ・・・綾人・・・君?」

「あいつは・・・俺を越える・・・必ずな・・・」

 

ニヤリと笑うマーク

 

それは親として、師匠としての予測であり、願い

 

「身内贔屓を抜きにしても・・・あいつにはその素養がある・・・」

「確かに・・・そうかもしれません・・・」

 

なのはも小さく頷く

 

「だが・・・それにも時間はかかるだろう・・・だから・・・それまで俺は・・・“最強”であり続ける・・・」

 

まっすぐなのは達を見つめてそう宣言するマーク

 

「さあ・・・休憩はもういいだろう・・・? 一気に行かせてもらう・・・」

 

左足を前に出し、オーディンを下段で構えるマーク

 

「くっ・・・!」

「遅い・・・」

 

シグナムが構えようとするが、その前にマークが横を走り抜ける

 

「ふっ・・・」

「ぐわぁぁ!!?」

 

肩、腰、胸の辺りのバリアジャケットが破れ、そのまま倒れる

 

 

「・・・え?」

「今・・・何したんだ・・・?」

 

フェイトとヴィータも唖然とし、完全に油断してしまう

 

「ヴィータちゃん! ボーッとしちゃダメ!!」

「はっ!」

「残念だったな・・・」

 

なのはの声に慌てて我に帰ったヴィータだが、時既に遅し・・・シグナムと同じように切り刻まれて吹き飛ばされてしまう

 

「これで・・・2人・・・」

 

ゆっくりとフェイトに視線を移すマーク

 

 

【綾人SIDE】

 

 

「今の・・・見えた・・・?」

「全然・・・エリオは?」

「僕にもわかりませんでした・・・」

「私も・・・」

 

ティアナ達も、シグナムとヴィータに何が起こったのか全くわからなかった

 

 

「俺の『八雲』と同じだ・・・一気に距離を詰めて、3回切り込んだんだ・・・」

 

冷静に先程の状況を説明する綾人

 

「先輩・・・見えてるんですか・・・?」

「少しはな・・・あとは、原理として知ってるからな・・・」

 

ティアナがもしやと思って聞くと、綾人そう答える

 

親子だからこそ知っている能力

 

 

【マークSIDE】

 

 

「次は・・・執務官か・・・?」

「はい・・・」

 

まっすぐにマークを見据えるフェイト

 

(パワーじゃ勝てないけど、スピードなら負けない!)

「バルディッシュ!!」

{Sonic Move}

 

フェイトに答えるバルディッシュ

 

フェイトは自慢のスピードを利用してマークの周囲を飛び回り牽制する

 

「はぁ!!」

「遅いな・・・」

 

一瞬の隙を突いたつもりのフェイトの横からの攻撃を、腕を突き出すだけで難なく受け止めるマーク

 

「あ・・・」

「高速型が動きを止めたら・・・その時点で“負け”だ・・・」

「きゃぁ!!」

 

軽く弾いて、フェイトに切り込むマーク

 

今度は5箇所ジャケットが刻まれ、フェイトも吹き飛ばされる

 

 

「「フェイトちゃん!!」」

「残りは・・・“砲台”の2人だな・・・さぁ・・・どう戦う?」

 

まっすぐ2人を見つめながら聞くマーク

 

「それなら・・・」

「これしかないよね!!」

 

自分達の周囲に無数のシューターを展開するなのはとはやて

 

「弾幕で牽制し、砲撃の準備か・・・まあ、それしかあるまい・・・」

 

2人の考えをそう分析する

 

オーディンを横に構えると、風がマークの周囲・・・正確にはオーディンの刀身に集まり出す

 

「風が・・・」

「先生の・・・変換資質・・・“烈風(れっぷう)”・・・」

「さあ、来い・・・」

 

「シューート!!」

 

マークの言葉に、先になのはのシューターが放たれる

 

「『ブリューナク』!!」

 

時間差ではやても放出する

 

シューターはまっすぐにマークに向かっていく

 

 

「“疾風(しっぷう)”・・・“怒濤(どとう)”!!」

 

叫びながら剣を横に薙ぐマーク

 

刀身から巨大な風の刃が放たれ、2人のシューターを飲み込んでいく

 

「・・・終わりだ・・・」

「「きゃぁぁぁぁぁ!!」」

 

振り向きながらそう呟くマークの後ろから、なのはとはやての叫び声が聞こえた

 

 

マークの後ろには、バリアジャケットのあちこちに傷をつけたなのはとはやてが倒れていた

 

「そこまで!!」

 

このトビーの声によって、模擬戦の終了が告げられた・・・・・・




どうも

というわけで『最強』の強さを遺憾無く発揮していただきました

リミッター付きでなのはさんをノーダメージ撃破という無理ゲーを見事に完遂ですね


オーディンの形状ですが、説明力不足なので簡単に言うと

『ファイアーエムブレム 封印の剣』の『エッケザックス』です


あの特殊な形状は是非とも使ってみたかったんです

ついでに、オーディンにはもう一段階変形が用意されていますので、それもお楽しみに


では次回予告


225隊との模擬戦から数日、機動六課に新たな顔ぶれが・・・

「108部隊・ギンガ・ナカジマ陸曹です! よろしくお願いします!」
「マリエル・アテンザです!」

姉との再会と久しぶりの模擬戦に喜ぶスバル

しかしその昼食時、ちょっとしたことが

「パパ嫌い!!」
「別に構わないぞ?」

一体何が起こったのか?


次回、『新たな仲間、綾人の躾』

次回は一気に飛びます


この模擬戦の直後の話は、後に外伝として投稿すると思うのでご了承ください

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