魔法少女リリカルなのはStrikerS 信念の刃   作:sufia

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気づいたらもう30話ですね


第30話 ≪陸士225隊との模擬戦≫

【クレイSIDE】

 

「フリード! 『ブラストレイ』!!」

「ギュオーーーー!!」

 

キャロの指示で炎を吐き出すフリード

 

「おわっ!?」

「アチチチチ!!」

 

回避しながら熱気に驚く2人

 

「スゲー火力・・・」

「ああ・・・お?」

 

ハンスに頷くクレイが、ある事に気づく

 

「そういえば・・・ツインテールの子はどこ行った?」

「あ・・・」

 

ハンスも思い出すが

 

「『クロスファイア』・・・」

「「ん?」」

 

声が割と近くで聞こえてくる

 

その方向を向くと、突然ティアナ現れ弾幕を展開した

 

「うっそ!?」

「マジか!?」

「シューーーーート!!」

 

驚く2人を無視して、そのまま発射するティアナ

 

「おわっと!?」

「あぶね!!」

 

間一髪で回避する2人

 

「この!」

 

何発かの弾を撃ち落とすハンス

 

ハンスのデバイスは、銃型のアームドデバイス『ビスマルク』

 

「凄い・・・」

 

撃ち落とすハンスを見て、そうつぶやくティアナ

 

(精密射撃の精度と速射・・・さすがは最強のいる部隊・・・)

 

「よそ見してていいのかい?」

「!?」

 

不意に横から聞こえる声

 

そこには、杖型のデバイス『マルテル』を構えるクレイの姿があった

 

「・・・・・・魔力弾形成・・・サイズSS・・・40発!!」

 

マルテルに指示を出すと、クレイの周りに魔力弾が展開される

 

「嘘・・・」

 

思わずそう漏らすティアナ

 

一瞬にして40もの魔力弾を作り出したクレイ

 

よく見ると、サイズは普通の魔力弾よりも小さめである

 

「行くよ~・・・ファイア!!」

 

そして、一気に発射する

 

「ティアさん!!」

{protection.}

 

キャロが寸でのところでシールドを展開する

 

「ありがとキャロ・・・助かったわ・・・」

「はい!」

 

冷や汗をかきながらキャロに礼を言うティアナ

 

<さすがにきついわね・・・>

<はい・・・>

 

念話で会議を始める2人

 

「どうしたどうした~? もう終わりか~?」

「まだまだ始まったばかりだよ?」

 

余裕の構えで2人に話すハンスとクレイ

 

「キャロ!」

「はい! フリード! 『ブラストレイ』!!」

「ギュオーーーーー!!」

 

ティアナの指示でフリードに炎を吐かせるキャロ

 

「ほい!」

「よっと」

 

2人はそれを難なく回避する

 

「およ?」

 

着地して2人の方を向くハンスだが、2人の姿がまた消えていた

 

「どこ行った?」

 

クレイも周囲を見渡す

 

次の瞬間

 

「なぁ!?」

「うお・・・」

 

2人の周りに大量のティアナとキャロが現れた

 

「なんだこりゃ!?」

「幻術だな・・・初めて見た・・・」

 

感心した様子で見ているクレイ

 

「本物は別のところか?」

「いや・・・この場合、紛れてるかもな・・・」

 

ハンスにもそう答える

 

「そんじゃ・・・俺達のコンビ技・・・使うか?」

「もうか・・・? ま、そうだな・・・数を減らすためにも・・・やるか」

 

そう打ち合わせる2人を見てたティアナ達

 

<かなりのハイレベルの2人のコンビ技・・・>

<凄そうです・・・>

 

何が来るかわからないため、身構える

 

「・・・・・・マルテル・・・ヴァリアブルバレット形成・・・」

 

クレイの杖の先端に一発の魔力弾が形成される

 

サイズは普通の魔力弾と同じサイズ

 

「ファイア!」

 

クレイの合図で放たれる弾丸だが・・・

 

(少し・・・遅い・・・?)

 

ティアナがそう思う

 

マルテルから発射された弾丸は、通常よりも若干遅めで向かってきた

 

難なく回避していくティアナとキャロ達だが

 

「ハンス!」

「おうよ!!」

「え・・・?」

 

クレイの後ろで、ビスマルクを構えるハンス

 

「ビスマルク・・・バレットセット・・・」

 

ビスマルクの銃口からも、一発の弾丸が形成される

 

サイズは、クレイのよりも小さめのサイズである

 

「お2人さん・・・本物が紛れてるなら・・・しっかり防御しろよ・・・?」

「「え・・・?」」

「シュート!!」

 

聞き返す2人をよそに、弾丸を発射するハンス

 

こちらの速度はかなり速く、クレイの弾丸に迫っていった

 

「『インパクト』!」

「『バレット』!!」

 

2人が叫ぶと同時、ハンスの弾丸がクレイの弾丸を打ち抜く

 

そして・・・

 

クレイの弾丸の中から、無数の弾丸が飛び出した

 

「「きゃあ!?」」

 

驚き、防御しそこねた本物の2人は、弾丸に飲み込まれ吹き飛ばされる

 

「よっと!」

「ほい!」

 

そんな2人をしっかりと受け止めるハンスとクレイ

 

「俺等の勝ちだな?」

「「はい・・・」」

 

抱えられたまま、負けを認めたティアナとキャロだった・・・

 

 

「いや~・・・さっきの幻術には驚かされたな~」

「ああ・・・ブーストを活かすとああいうことも出来るんだな・・・」

「いえ、そんな・・・」

「お2人もかなりすごかったです・・・特に最後のは・・・」

 

お互いにさっきの訓練の話をしている

 

「ああ・・・『インパクトバレット』?」

「俺達の代表的な技だしな・・・褒められて悪い気はしないな」

「よ~し・・・少しだけ原理を教えてやろう!」

 

そう言って、悠々と説明をしていく

 

「と言っても、仕組みだけなら単純だ・・・まず、俺の形成した魔力弾・・・あれは極小の魔力弾を複数、1つの弾殻で覆ったものだ」

「その弾殻も、内側に少しだけ強度を偏らせた特殊な弾殻だけどな?」

「内側に?」

 

キャロが首を傾げる

 

「ああ。あんまり脆いと、打ち出した瞬間に破裂するからな・・・でも硬すぎると、今度は外から撃ち抜けないから、比率としては、内7:外3の計算だな」

「弾殻の中はでたくさんの魔力弾が暴れてるからな・・・それを抑えるのさ」

「なるほど・・・」

 

同じガンナーとして、そういう戦い方も出来ることに頷くティアナ

 

「外には、当たると弾けるぐらいの魔力弾で衝撃を与えて割るって寸法さ」

 

固い弾殻の外から割ることで、自然に魔力弾が四散する

 

「とまあ、これが『インパクトバレット』の解説な・・・」

「へぇ・・・」

 

キャロも驚くばかりである

 

「あ、ティアナにキャロ・・・ここにいた!」

「あ、なのはさん・・・」

「「おぉ!!」」

 

後ろを振り返ると、到着したなのはが近づいてくる

 

「いつここに?」

「ついさっきだよ? マーク先生に挨拶してたから・・・ヴィータ副隊長やシグナム副隊長、あとフェイト隊長は綾人君達のほうに行ったみたいだけど・・・」

「そうなんですか・・・」

 

簡単に説明するなのはに頷き返すキャロ

 

「「あ、あの!!」」

「はい?」

 

ハンスとクレイが同時になのはに声をかける

 

「お会い出来て光栄です! 高町一等空尉! ハンス陸曹です!」

「同じく、クレイ陸曹であります!!」

 

緊張しながら敬礼するハンスとクレイ

 

「あ、高町なのは一等空尉です。よろしく!!」

「「はい!!」」

 

笑顔で答えるなのはに、挨拶を返す2人

 

「あの、出来れば自分達もご教授願いたいのですが・・・」

「え?・・・でも・・・」

 

少し迷うなのは

 

今回は自分達が教えを請う事になっているので、自分が教えるのは違うのではないかと思っている

 

「問題ありませんよ・・・我々の訓練を見て、何か気付いた事があればおっしゃってください」

「あ・・・わかりました」

 

そばにいた教官からの許可が降り、クレイ達の訓練を見学することにしたなのはだった

 

 

 

【綾人SIDE】

 

それぞれのデバイスを構え、互いに向き合う綾人とグレン

 

(リーチでは向こうに分がある・・・それでも来ないのは・・・カウンター系だからか・・・?)

 

動かないグレンを見て、そう分析する綾人

 

(ま、彼の力量を見るのなら・・・こっちから行ってみるか・・・)

 

そう思い至り、握りを強くする

 

「行くぞ・・・?」

「はい・・・」

 

グレンは小さく答える

 

綾人はそれを確認し一気に距離を詰める

 

「!?」

「はぁ!」

 

腕をクロスさせてグレンに切りかかる綾人だが、グレンはそれに反応して受け止めた

 

「へぇ・・・」

「ぐっ・・・!!」

 

綾人の攻撃の重さに驚いているグレン

 

しかし綾人はそのまま攻撃を続ける

 

「はっ! はぁ!!」

「くっ・・・!!」

 

綾人の猛攻に防戦一方のグレン

 

「それなら・・・」

 

一旦距離を開ける綾人

 

「一刀流・・・“閃の太刀”・・・」

 

左手の一刀を右腰に据え、腰を落とす

 

そして、『速』で突っ込む綾人

 

「“乱桜(みだれざくら)・八雲(やくも)”!!」

「っ!!」

 

通り抜け様にグレンに衝撃が襲い、腕や肩のバリアジャケットに傷が出来る

 

「ぐっ! くぅ!!」

 

槍で支えながらなんとか持ちこたえるグレン

 

「凌いだか・・・」

 

振り向きながらそう言う綾人

 

「凄い・・・あの一瞬で・・・八回も・・・」

 

同じく振り返りながらそう感想を言うグレン

 

「へぇ・・・よく見えたな?」

「まあ・・・どうにか・・・」

 

少し驚いている綾人にそう答えるグレン

 

「ほとんど見切られたことないんだけどな・・・この技・・・」

「見切った訳じゃありません・・・」

 

綾人の言葉に首を振る

 

「それじゃあ今度は・・・こっちからいきます!!」

 

イグニスを構え、綾人にそう宣言する

 

「ああ・・・来い!!」

 

綾人も答える

 

 

【スバルSIDE】

 

 

「すっごーい・・・2人とも・・・」

「はい・・・綾人さんもですけど・・・グレンさんも凄いです・・・綾人さんの速度についていけてます・・・」

 

観戦しているスバルとエリオも驚くしかない

 

グレンは、槍特有のリーチを活かして綾人に攻撃を仕掛け、綾人もそれを凌いでいる状態・・・

言葉にすればそれだけだが、2人の動きがとても早いのだ・・・

 

「ふむ・・・さすがは綾人君ですね・・・」

「まったく・・・グレンにはきついんじゃないですか? 綾人の相手・・・」

「そうですね・・・ですが、これが彼等の成長につながるかもしれません・・・」

 

少し離れたところで見ていたトビーとイルム

 

「ああやって、互いを高め合うのはいいことです・・・僕等ではもう難しいでしょうし・・・」

「まぁ・・・今じゃ、部隊長ぐらいしか模擬戦してくれませんしね~」

 

トビーのつぶやきに苦笑いで答えるイルム

 

「おう。スバルにエリオ・・・ここだったか」

「あ、ヴィータ副隊長!」

「フェイトさんにシグナム副隊長も」

「うん・・・」

「遅れたな・・・ふむ・・・」

 

声のした方に振り向くと、フェイト、シグナム、ヴィータの三人が到着していた

 

「綾人と戦っているのは・・・?」

「あ・・・225隊の新人さんで・・・グレンさんです!」

「そうか・・・」

 

エリオに短かく答えて、視線を戻すシグナム

 

フェイトとヴィータもしっかりと見つめる

 

 

【グレンSIDE】

 

(すごい人だな・・・攻撃がひとつも通らない・・・)

 

肩で息をしながらそう思っているグレン

 

(動きを完璧に見切られてる・・・まるで、呼吸するかのように・・・)

 

グレンの攻撃を完璧に見切り、すべての攻撃を捌いてみせた綾人

 

「イグニス・・・“あれ”・・・やれる・・・?」

 

グレンの言葉に、光って答えるイグニス

 

「そう・・・ありがとう・・・・・・行くよ・・・?」

 

目付きが変わり、綾人を睨むように見つめるグレン

 

 

【綾人SIDE】

 

「ん・・・?」

 

その変化に、綾人だけでなく見ていた隊員が気づいた

 

そして・・・

 

「行きます・・・真紅の爆炎・・・我が槍に集え!!」

「な・・・!?」

 

グレンの周囲を炎が回りだす

 

「これは・・・魔力変換・・・?」

「そうです・・・僕の変換資質・・・“業火”・・・“炎熱”よりも火力は上です」

 

綾人に答えながら炎を操り、イグニスに集めていくグレン

 

そして、ついにイグニス本体に炎を纏わせた

 

「“バーニング”・・・“ブレイブ”!!」

 

イグニスを大きく振りかぶり横に薙ぐと、炎が一気に綾人に迫ってくる

 

「ぐっ!! 『壁』!!」

 

後ろに回避しながらシールドを張り、シールドごと炎に飲み込まれる綾人

 

爆発が起こり、観戦者達に届く

 

 

【フェイトSIDE】

 

 

「あ、綾人!?」

「綾人さん!!」

 

顔を手でかばいながら綾人を見るフェイト達

 

「すげぇ・・・シグナム以上の火力だ・・・」

「ああ・・・」

 

ヴィータとシグナムも驚いていた

 

「あ! 先輩!!」

 

スバルがいち早く綾人を確認する

 

煙の中から、綾人が姿を見せた

 

 

【グレンSIDE】

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

既に限界の状態のグレンは、煙の中で立っている綾人を見つめていた

 

「さすがに・・・効いたと思うけど・・・」

 

煙が晴れ、綾人が現れる

 

上着がなくなり、インナーとズボンだけになっていた

 

「・・・・・・」

 

俯き、しゃべらない綾人

 

グレンも変に思い、近づこうとするが・・・

 

「!!?」

 

すぐに立ち止まり、綾人を見つめる

 

綾人の目が・・・真紅になっていた・・・

 

 

【フェイトSIDE】

 

 

「あれは!?」

「主から報告のあった!!」

 

綾人の様子を見ていたフェイト達も、綾人の変化に気づいた

 

「間違いない・・・あの時の『真紅の瞳』・・・!!」

「確かに・・・雰囲気が少し違うな・・・」

 

フェイトもヴィータも少し押されていた

 

 

【グレンSIDE】

 

 

「あ・・・綾人・・・先輩・・・?」

 

驚きながらも綾人に声をかけるグレンだが、綾人は答えない

 

そして、そのまま突っ込んでくる

 

「うわぁ!!」

 

無言で攻撃を続けてくる綾人

 

グレンは必死に防御する

 

「くぅ!! あ・・・」

 

一瞬の隙をついて、イグニスを弾き飛ばす綾人

 

そして、そのままグレンに攻撃をしようとするが・・・

 

「・・・そこまでだ・・・綾人・・・」

 

短くその言葉が聞こえたと同時、綾人は弾き飛ばされ壁に突っ込んだ

 

「・・・え・・・?」

 

グレンは何が起こったのか理解できずに立ち尽くす

 

「まったく・・・熱くなりすぎだな・・・」

「あ・・・ぶ、部隊長・・・」

 

グレンの目の前には、デバイスを握ったマークが立っていた・・・




どうも

久しぶりの『真紅の瞳』発動です

ハンスとクレイコンビの技は、とあるアニメを参考にしてみました

『できる』『できない』のご意見は受け付けませんのであしからず


グレンくんもなにげにレアスキル持ちの逸材で、225隊のトンデモ度が増した感じですかね

オリキャラの変換資質持ちは、とりあえず後1人の予定です


では、次回予告

綾人達の模擬戦の始まった頃

225隊の部隊長室にははやて達の姿があった

共同任務についての打ち合わせとともに“あの情報”についての話を聞くことに・・・

「その・・・綾人君のことで・・・」
「綾人?・・・あいつに何か問題があったか?」

はやての話にマークは・・・・・・


次回、『恩師と教え子』

この親子は、1度紡いだ絆を絶対に断ち切らない

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