魔法少女リリカルなのはStrikerS 信念の刃   作:sufia

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今回は前回の裏話的な感じです


ギャグ要素が少なめなので書いてる側は疲れますね


第21話 ≪六課の真実・武王と竜王≫

綾人がヴィヴィオと遊んでいる時、なのは達は聖王教会へと到着した

 

~聖王教会本部~

 

「どうぞ・・・?」

 

目的の部屋の扉をノックするはやてを通す中の人物の声

 

なのは達はそれを聞いた後、部屋に入った

 

「失礼いたします。高町なのは一等空尉であります!」

「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官です!」

 

中に入り、敬礼をしながら挨拶するなのはとフェイト

 

「いらっしゃい・・・」

 

2人に優しく笑いかけながら近付く女性

 

「はじめまして、聖王教会・教会騎士団騎士『カリム・グラシア』と申します。どうぞ、こちらへ」

「失礼します」

 

カリムに通され、1つのテーブルに着くなのは

 

「クロノ提督、少し、お久しぶりです・・・」

「ああ、フェイト執務官」

 

すでに席に着いていた男性、時空管理局本局・次元航行部隊所属、執務官で六課後見人にしてフェイトの義兄『クロノ・ハラオウン』が答える

 

「フフ!! お2人とも、そう硬くならないで? 私達は個人的にも友人だから、いつもどおりで平気ですよ?」

「と、騎士カリムが仰せだ。普段と同じで・・・」

「平気や」

 

はやてからもそう言われたので、いつもどおりの口調に戻るなのはとフェイト

 

「じゃあ、クロノ君久しぶり!!」

「お兄ちゃん、元気だった?」

「!!・・・それはよせ! お互い、もういい歳だぞ?」

 

フェイトの「お兄ちゃん」発言に顔を赤くしながら言うクロノ

 

「兄妹関係に年齢は関係ないよ、クロノ?」

 

フェイトにそう言われ、俯くクロノ

 

はやてとカリムは横で笑っていたが、はやてが咳払いと共に話し出す

 

「さて、昨日の動きについてのまとめと、改めて、機動六課設立の裏表について。それから、今後の話や」

 

はやての言葉に全員が居住まいを正す

 

カーテンが閉められ部屋が暗くなり、なのは達の前にモニターが展開される

 

「知っての通り六課の後見人は僕と騎士カリム、それから僕とフェイトの母親で上官『リンディ・ハラオウン』だ・・・」

 

機動六課設立の説明を始めるクロノ

 

「それに加えて、非公式ではあるがかの三提督も設立を認め、協力の約束をしてくれている」

 

三提督のこと聞き、驚いているなのはとフェイト

 

「その理由は・・・私の能力と関係があります・・・」

 

モニタを消し、前に出るカリム

 

カリムは手に持っていた紙の束の紐を解く

 

「私の能力・・・『預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)』・・・」

 

周りに無数の金色のカードが浮かび上がる

 

「これは最短で半年、最長で数年先の未来、それを詩文形式で書き出した預言書の作成を行うことができます。2つの月の魔力がうまく揃わないと発動できませんから、ページの作成は年に一度しかできません」

 

説明の最中に2枚のカードがなのはとフェイトの前に差し出される

 

「預言の中身も古代ベルカ語で、しかも解釈によって意味が変わることもある難解な文章。世界に起こる事件をランダムに書き出すだけで、解釈ミスも含めれば的中率や実用性は“割とよく当たる占い”程度。あまり便利な能力ではないんですが」

 

2人の前のカードに文字が浮かび上がるが、古代ベルカ文字でまったく読めず、顔を見合わせ首を振っている

 

「聖王教会は勿論、次元航行部隊のトップもこの預言には目を通す。信用するかどうかは別にして、有識者による予想情報の1つとしてな」

「ちなみに、地上部隊はこの預言がお嫌いや。実質のトップが、この手の希少能力とかお嫌いやからな」

 

クロノとはやてが現状の地上と本局の確執を簡単に説明した

 

「『レジアス・ゲイズ』中将、だね」

 

なのはが1人の将官の名前を挙げる

 

「そんな騎士カリムの預言能力に数年前から少しずつ、ある事件が書き出されている」

 

クロノがそう言うと、カリムは書き出されたという内容を言う

 

「“旧い結晶と無限の欲望が集い交わる地・・・死せる王の下、聖地より彼の翼が蘇る。使者達は踊り、なかつ大地の法の塔は虚しく焼け落ち、それを先駆けに数多の海を守る法の船は砕け落ちる”・・・」

「それって・・・」

「まさか・・・」

 

カリムの予言を聞いたなのはとフェイトの表情が変わる

 

「ロストロギアをきっかけに始まる“管理局地上本部の壊滅”と、そして“管理局システムの崩壊“・・・」

 

カリムが預言から導き出される答えになのはとフェイトも驚きを隠せない

 

カリムはそのまま話しを続ける

 

「情報源が不確定と言うこともありますが、“管理局崩壊”ということ自体が、現状ではありえない話ですから」

「そもそも、地上本部がテロやクーデターにあったとして、それがきっかけで本局まで崩壊・・・言うんは考えづらいしな・・・」

 

はやても、預言についての考えを述べる

 

「まあ、本局でも警戒強化はしてるんだがな・・・」

 

クロノが腕を組みながら言う

 

隣のカリムも眉間に皺をよせる。

 

「問題は、地上本部なんです」

「ゲイズ中将は預言そのものを信用しておらず、特別な対策はとらないそうだ」

「さらにもう一箇所・・・陸士225隊も、その意見に賛同する形をとっている」

「225隊って、マーク先生の・・・」

「そう、『剣王』のいる部隊だ。そこも地上本部と同じく、あまり教会の預言を信じていないようだ」

「そんな・・・」

 

自分の師匠がそうだと知り、少しショックを受けているなのは

 

 

「異なる組織同士が協力し合うのは難しい事です」

「協力の申請も内政干渉や強制介入という言葉に言い換えられれば、即座に諍いの種になる」

「ただでさえ、ミッド地上本部の武力や発言力の強さは問題視されてるしな」

「だから、表立っての主力投入はできない、と?」

 

クロノ、カリム、はやての話からそう考えるフェイト

 

「・・・すまないな。政治的な話は現場には関係なしとしたいんだが・・・」

 

クロノは申し訳なさそうに言う

 

「裏技気味でも、地上で自由に動ける部隊が必要やった・・・レリック事件だけでコトが済めば良し、大きな事態に繋がっていく様なら、最前線で事態の推移を見守って・・・」

「地上本部が本腰を入れ始めるか、本局と教会の主力投入まで、前線で頑張ると?」

「それが、六課の意義や」

 

なのはの質問にはやては力強く答える

 

そして、カリムが口を開く

 

「それと最近、また新たな預言が出てきたの」

「ほんまか!?」

 

思わず立ち上がってしまうはやて

 

「ええ、つい先日。解釈もほぼ終わっているわ」

「内容は?」

 

クロノが静かに続きを促す

 

なのは達も見守っている

 

「“『死せる王』と時を同じくして・・・彼の王を討たんがため、小さき灯火と共に蘇る・・・彼の者は『竜王』”」

 

カリムの新たな預言を聞き、再び黙るなのは達

 

「『竜王』・・・聞いたこと無いな」

「ええ、そうでしょうね・・・『竜王』は・・・聖王家を追い詰めた存在とされ、教会では禁忌の対象になっています・・・」

「禁忌の対象?」

「はい・・・」

 

首を傾げるなのは達に説明していくカリム

 

ベルカの隣に位置する小さい国の王であり、かつて最強といわれていた『最後のゆりかごの聖王』ですら傷も付けられないほどの実力者

 

幾度と無く聖王に立ちはだかり、聖王家ならびにベルカを壊滅寸前まで追い詰めた災悪の王

 

聖王だけでなく覇王などの歴戦の王達も彼により甚大な被害を被り、その最期はベルカに存在する全ての王が力を合わせ討ち取ったと言われている

 

一部の人間には『武王』と呼ばれている

 

 

そんな風に教会では伝えられていると説明した

 

 

「聖王を潰しかけた存在・・・」

「だから、禁忌の対象だと」

 

聖王教会が崇拝している聖王に立ちはだかった存在故の伝承

 

教会からすれば“敵そのもの”であり、“悪の象徴”とも言われている

 

「地方によっては呼び方も様々ですが、全て共通した人物であると言われています・・・特徴もすべて一貫して『真紅の瞳』を宿していたと」

「真紅の・・・瞳?」

「はい・・・血のように紅く染まった瞳を持っていたといわれています」

「っ!!」

 

カリムの説明を聞いたなのはとフェイト、はやての顔色が変わる

 

「? どうした?」

 

クロノもなのは達の変化に気付き声を掛ける

 

「実はな・・・」

 

そして、はやては先日の出動時に起こった話をする

 

それは、スカリエッティの一味と思われる少女達と戦った時の綾人の話を、プロフィールを交えながら話す

 

「驚いたわ・・・マーク少将に息子さんがいたなんて」

「カリムは知らなかったんか?」

「ええ。マーク少将とはあまり面識が無いの。一方は陸士部隊の部隊長、もう一方は聖王教会騎士・・・接点はほとんど無いから噂程度にしか知らないのよ。先程も言ったけれど向こうもこちらの預言に興味はなかったし・・・」

「俺は何度か顔を合わせた程度だ」

 

マークが結婚していたことも、綾人がマークの息子であることも、あまり知られていない情報であり、知っているのは、225隊の人間と一部上層部・・・そして、機動六課のメンバーぐらいである

 

「でも、これを見る限りでは彼の目は・・・」

「うん・・・せやから、これを見て欲しいんや・・・」

 

そう言って、はやては1つの映像を見せる

 

それは、クアットロ達に追い討ちを掛ける時の綾人の映像だった

 

「これは!?」

 

カリムとクロノが目を見開く

 

写真の綾人の瞳は黒だったのに、モニタに映る綾人の目が真紅に染まっていたのだ

 

 

「『武王』・・・いえ、『竜王』に関係する人が六課にいるなんて」

「それも、マーク少将の息子とはな」

 

カリムとクロノが顔を見合わせ、部屋が静寂に包まれる

 

「あのな? カリム・・・クロノ君」

「なんだ?」

 

しばらく黙っていたはやてが2人に話しかける

 

「ここまで話して、こんなこと言うのは変やけど・・・綾人君のこと、信じてくれへんかな?」

「どういうこと?」

「綾人君が仮に『竜王』と関係あるとして、『彼』が私等に危害を加えるなんて思われへん。私は、彼を・・・綾人君を信じたい・・・」

 

小さくそう語るはやて

 

「そうだよね・・・綾人君はそんな人じゃないよ・・・誰かを裏切るなんてこと・・・絶対にしない」

「うん・・・」

 

なのは、フェイトの2人も続く

 

出会ったのはかなり前で、一緒に仕事を始めてからまだ数ヶ月・・・

 

しかもそれほど話をする機会も少ないのだが、綾人の自分や他のメンバーへの接し方、相手を疑うことなく真っ直ぐに信じる姿勢などを、ずっと見てきたはやて達

 

尊敬する恩師・マークの息子だからではなく、『天童綾人』個人を、仲間として信じているのだ

 

同様に、カリムやクロノのことも信じている・・・だからこそ、彼女は綾人の事を話したのだから

 

「大丈夫よ。はやて?」

「え?」

「私もクロノ提督も、彼をどうこうする気なんてないわ・・・それに・・・」

「それに・・・?」

「はやての人を見る目を・・・僕たちが疑うはず無いだろ?」

 

カリムの言葉に続いてクロノが話す

 

「はやての信じた人が、悪い人なはずがないもの。だから、はやてもそのまま彼を信じてあげて?」

「おおきにな・・・カリム・・・クロノ君」

 

少し泣きそうになりながら、礼を言うはやて

 

「勿論、皆さんに任務外のご迷惑はおかけしません」

「ああ、それは大丈夫です」

「部隊員達の配慮は八神二佐からも確約はいただいていますし」

 

なのはがはやてを見ると、はやては笑って頷いた

 

それを見てカリムは改めてなのは、はやて、フェイトの顔を見る

 

「改めて、聖王教会・教会騎士団騎士カリム・グラシアがお願い致します。華々しくもなく、危険も伴う任務ですが、協力をしていただけますか?」

 

ゆっくりと頭を下げて頼むカリムに

 

「非才の身ですが、全力にて」

「承ります」

 

なのはとフェイトもしっかりと頷き、六課へと戻った

 

 

【???SIDE】

 

《・・・・・・!!・・・ま!!》

(ん・・・?)

 

誰かに呼ばれて目を開ける

 

目の前には2人の人物がいる

 

(誰だ・・・?)

《こんなところで寝ていると、風邪を引きますよ?》

《この後、私との手合わせもあるのですからね?》

 

顔はよく見えないが、楽しそうに笑っている目の前の2人

 

体格からして1人は男性、もう1人は女性だとわかってきた

 

《さあ、参りましょう?》

(あ、ああ・・・)

 

女性が手を差し伸べてくる、よく分からないまま自分も手を伸ばす・・・

 

【綾人SIDE】

 

「ん・・・?」

 

手を伸ばした状態で目を覚ました綾人

 

「夢・・・か・・・?」

 

ぼんやりと天井を見つめながら呟く

夢の内容を思い出そうとするが、何も思い出せなかった

 

「でも、なんか・・・懐かしい感じがしたな・・・」

 

伸ばしていた手を見つめ、そう呟いた

 

「まだ、2時か・・・寝よう・・・」

 

時計を確認し、再び瞼を閉じて眠りについた・・・

 

そして、2日後・・・

 

「あ、綾人君・・・」

「なのはさん? それにフェイトさんにはやてさんも・・・どうかしましたか? レポートに何か不備が?」

 

早朝訓練が終わって朝食後、1人で過ごしている綾人を見つけたなのは達

 

綾人はいつものように読書をしていたが、隊長3人が一緒に来たことに、自分の仕事の不手際を疑っていた

 

しかし、なのは達は首を振りながらそれが違う事を教えてきた

 

「少しお話がね・・・何読んでるの?」

 

なのはが綾人の持っている本を指差しながら聞く

 

まさに、先日のエリオ達のように・・・

 

「これですか? 『武王』っていう昔に存在した男のことを書いた歴史小説ですよ・・・」

 

持っている本を見せながら説明する綾人

 

<やっぱり・・・>

<ビンゴ・・・やね・・・>

 

綾人の回答に念話で頷くフェイトとはやて

 

ヴィヴィオの持っていた絵本について、詳しく話を聞こうと綾人を探していたのだ

 

「俺の一番のお気に入りの作品ですよ」

 

胸を張って言う綾人に少し苦笑いのなのは

 

「そうなんだ・・・ヴィヴィオにも絵本をあげたんだよね?」

「ええ、なんかものすごく気に入ったみたいなので」

「それでね? その『武王』のことなんだけど・・・」

 

話題をさりげなく振ってみると

 

「『武王』は古代ベルカ最強の男といわれています・・・それこそ『聖王』や『覇王』にも負けないぐらい強かったって言われてますね・・・」

 

 

昨日、カリムから聞かされた内容と酷似している綾人の説明だが

 

 

「聖王や覇王も認めるほどの強さと誇りを持っていて、2人からも信頼されていたんですよ」

「え?」

 

少しだけ、教会で聞いた内容とズレが生じた

 

「聖王と覇王の2人は、鍛錬を重ね幾度と無く『武王』に挑み、己も鍛えられていたと・・・」

「でも・・・聖王家を壊滅寸前まで追い詰めた王だって・・・」

「それは無いですよ・・・彼が戦ったのは王本人達だけなんですから」

「でも、そんな頻繁に会えるもんかな? 一国の王様やのに・・・」

 

はやては綾人の説明の中の不可解な点を聞いてみる

 

「いえ? 彼は国を治めていませんよ? 『武王』という通り名は、彼の強さを称えて付けられた称号のようなものですから・・・父さんの『剣王』みたいなものです」

 

とても身近な例え

 

「それじゃあ、彼の結末は・・・?」

 

次はフェイトが質問する

 

「彼の最期はどの本にも確かなことは書かれていないんです・・・一説では、“異世界に渡った”とか言われてますけど」

「そうか。なあ、綾人君? 話は変わんねんけど・・・『竜王』って聞いたことあるか?」

 

少し淋しそうに答える綾人にさりげなく聞いてみるはやてだが

 

「『竜王』?・・・・・・いえ、聞いたこと無いですね・・・それが?」

「ああ、いや・・・ちょっとな・・・ありがとうな?」

 

少し考えた後に答え、首を傾げる綾人はやても少し慌てて話を切り上げて去っていった

 

綾人はその背中を不思議そうに見送るしかなかったのだった・・・

 

 

【なのはSIDE】

 

 

「なんか・・・聞いてた話と違ってたね・・・」

「うん・・・」

 

綾人と別れて廊下を歩いているなのは達

 

「とりあえず、クロノ君には報告しとく・・・」

「うん」

 

そう言って、なのは達と別れ隊長室へ戻るはやて

 

「フェイトちゃんは準備いいの?」

「そうだね。エリオ達も呼ばないと・・・」

 

そう言って、端末を操作しエリオとキャロの2人を呼び出し現場検証へ向かい、なのはは事務仕事の為にオフィスへと向かっていった・・・




どうも


2種類の『王』の共通点と相違点

これらは一体何を意味するのか・・・今後をお楽しみに


歴史の改変は色々な場面で行われています

この小説では、ある意味重要な部分が改変されているんですが、この本編中で語られるかは未定です



では、特に書く事もないので次回予告です


スバル、綾人と共に事務仕事をしているなのは

その昼食時、ヴィヴィオについてあることを決める・・・

「ヴィヴィオの本当のママが見つかるまでの間、なのはさんがママの代わり。ヴィヴィオは、それでもいい?」

その提案の後、ヴィヴィオの一言に固まってしまう・・・

「ねぇママ・・・?」
「なぁに?」
「パパは?」
「え・・・?」

果たして彼女の答えは・・・?


次回、『ママとパパ』


次回はコミカル成分が多めだと思います

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