魔法少女リリカルなのはStrikerS 信念の刃   作:sufia

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花粉症の季節です・・・皆様は大丈夫でしょうか?

私はだいぶキツイです



今回もサウンドステージ編です

オリキャラも登場しますよ~


第12話 ≪出張任務Ⅱ・市街地での捜索≫

海鳴での出張任務が始まり、スターズは中距離探査、ライトニングはサーチャーとセンサーの設置と2手に別れての捜索をすることになった

 

「じゃあ、中距離探査は・・・リイン、お願いね?」

「おまかせです~!!」

 

なのはに頼まれて胸をえへんと張るリイン

 

 

「クロスミラージュにも簡易版の探索魔法セットしてあるから、そっちとこっちでそれぞれ2手に離れて探そう?」

「「はい」」

「俺は?」

「ティアナ達と一緒にいてくれる? 2人はこの街は初めてだから、見落としがないように」

「わかりました。それじゃ、行くか」

「「はい!」」

 

綾人に連れられ、道路を渡っていくティアナとスバル

 

 

「さて、それじゃサーチャーのセットをしつつ・・・簡単な案内でもしていこうか・・・」

「案内・・・ですか?」

「ああ。なのはさん達が育った街・・・それを知っておいても損はないだろうからな」

「あ・・・よろしくお願いします!!」

「ティアナも構わないな?」

「はい」

 

憧れの人物の故郷の街という事で少しテンションの高いスバル

 

ティアナもなんだかんだと興味があるようで、綾人の提案にはすぐに頷き返した

 

「ま、さっきも言われたけど・・・見落としがないように気をつけながら・・・落ち着いてやっていくぞ?」

「「はい!!」」

 

 

その後、綾人と共にサーチャーを設置していくスバル達

 

綾人も路地裏などの見えない箇所にセットするのを忘れない

 

「それにしても・・・ホントにミッドの少し田舎の辺りと変わらないんですね・・・街並みも人の服装も・・・」

「う~ん・・・私は好きだな~・・・こういう感じ・・・」

「まぁね・・・なんかのんびりしてる・・・」

「今では“戦い”っていうものとはほとんど縁のない国だからな・・・」

 

スバル達の感想にそう答える綾人

 

「それって・・・昔は戦争とかがあったって事ですか?」

「ああ・・・昔・・・って言っていいのかわからないけどな・・・世界中を巻き込む程の戦争は確かにあったし・・・今でも小さいけど続いてる国もある・・・・・・」

 

領土を巡っての争い・・・差別に対しての争い・・・それはどこの世界でも共通の問題なのかもしれない

 

「さて、暗い話もここまでにして・・・続きをしようか」

「「あ、はい・・・」」

 

無理矢理に話を終わらせて仕事に戻る綾人達だった

 

 

<綾人君? そっちの調子はどう?>

 

しばらく経った頃、なのはから念話が入る

 

「順調ですよ。この調子なら設置は早めに終わりそうです・・・」

<そっか・・・あ、適当に休憩取ってね?>

「了解です」

 

確認を終えて念話を終え。スバル達に振り向く

 

「スバル、ティアナ」

「「はい?」」

「少し休憩にするか・・・時間としてもいいし。お、ちょうどいいところに屋台もあるな・・・」

 

時計を見ると午後3時を回っていた

 

綾人の視線の先にはアイスの屋台が建っており、2人を連れて近づく

 

「いらっしゃいませ!!」

「2人共・・・奢ってやる。どれがいい?」

「え? でも・・・」

「気にすんな・・・大した出費じゃない。ほれ、遠慮しない」

「あ・・・じゃあ・・・これで」

「私はこれとこれ!!」

 

遠慮しながら1つを指差すティアナに対しスバルは2つ注文した

 

「ちょっとスバル!? 少しは遠慮を・・・」

「構わないよ。ついでだ、ティアナももう1つ選びな」

「え? えっと・・・・・・それじゃ・・・これで」

 

おずおずともう1つを選ぶティアナ

 

「俺はコーヒーとレーズンで」

「かしこまりました!!」

 

注文を受けて手際よくコーンにアイスを乗せる店員

 

「お待ちどう様です!!」

「どうも」

 

それぞれアイスを受け取り近くのベンチに座り食べ始める

 

 

「お~いし~!」

「ホントだ・・・ミッドで食べるのと変わらない・・・」

「だろ? 食文化とかそういうのはあんまり変わらないんだよな、地球とミッドって・・・だから、ミッドに移住しても文字と金以外ではあまり苦労しなかったな」

 

幼い頃にミッドに移住した頃を思い出す綾人

 

「でも先輩・・・本当に奢ってもらってもいいんですか?」

「イイよ。こういう場合は男が払うもんだろ? こういう時の好意は素直に受け取れ・・・断られる方が結構気まずいぞ?」

 

ニヤリと笑う綾人

 

ティアナは少し複雑だったが、どうにか納得した

 

 

それから、用意されていたサーチャー全ての設置を終えると、日も沈みかけ空が紅くなっていた

 

ロングアーチからの連絡で捜索指定ロストロギアの所持者が判明し運搬中の紛失で事件性はなしという情報が入った

 

「少し・・・肩の力は抜けたかな?」

「はいです~」

「ホッとしました」

「うん」

「しかしまあ、高価な割には扱いが雑ですね・・・」

「にゃはは・・・まあ、それはまた別の問題だからね?」

 

綾人の冷静なツッコミも苦笑いのなのは

 

自分もそう感じていた部分もあったのだろうか

 

「というか・・・もう日も落ちてきましたし・・・晩御飯の時間ですね~♪」

「ライトニング、そっちはどう?」

 

そろそろ終わったであろうと思ったなのははフェイトへ通信を繋げる

 

『こちらライトニング。こっちも一段落ついたから待機所に戻るよ・・・ロングアーチ、何か買って帰ろうか?』

『こちらロングアーチ。ありがたい事に夕食は民間協力者の皆さんが出してくれるそうや』

『了解。スターズのみんなを車で拾って帰るね』

「ありがと。フェイト隊長」

 

通信を終えると何か考え出すなのは

 

「う~ん・・・でも手ぶらで帰るのも何かな~・・・」

 

そう呟くと、携帯端末を取り出してどこかに電話を始める

 

「あ、お母さん? なのはです!!」

「「え・・・?」」

 

電話が繋がったあとのなのはの一言に少し驚いているティアナとスバル

 

「にゃはは! うん・・・お仕事で近くまで来てて・・そうなの、本当にすぐ近く・・・でね? 現場のみんなにウチの店のケーキ差し入れで持って行ってあげたいんだけど・・・」

 

と、自身の母親との電話をしているなのはを尻目にティアナ達はなぜか固まっていた

 

「どうした?」

「いえ・・・なのはさんの・・・お母さん・・・」

「そりゃ存在するだろ・・・どうやって生まれてくるんだよ?」

「それはそうなんですけど・・・なんというか・・・」

 

“なのはの親”という存在が信じられない様子の2人

 

「それじゃ、10分くらいでお店に行くから!」

 

そんな風に話していると、なのはは電話を終わらせる

 

「さて! ちょっと寄り道!」

「はいです~!」

「あの・・・今『お店』って・・・」

「そうだよ! ウチ喫茶店なの!!」

「喫茶『翠屋』! 綺麗で美味しいお店ですよ~」

「「えぇ!?」」

 

知られざるなのはの実家の秘密・・・それには驚くしかない

 

「ふむ・・・確かに土産には持って来いですね・・・あそこのケーキは」

「あ、綾人君も知ってるんだ?」

「もちろん。海鳴に住んでたら知らない方がおかしいですよ・・・ついでに、10年ぐらい前からの常連ですよ」

「へぇ・・・」

 

なのはもどこか嬉しそうに聞いている

 

しかし、10年も常連の人間に今まで一度も会っていなかったのもある意味奇跡である

 

そして数分後、翠屋に到着した

 

~喫茶『翠屋』~

 

「うわぁ! 綺麗なお店~!!」

 

外観でもう感動しているスバル

 

「ありがとスバル。じゃ、行こうか」

 

なのはに連れられて店に入っていく綾人達

 

 

「ただいま、お母さん!」

「なのは! おかえり~!!」

 

挨拶と同時に女性が笑顔で出迎える

 

<2人共、あの人がなのはさんのお母さんの桃子さんだ>

<え・・・お母さん若!?>

<ホントだ・・・>

 

リインと楽しげに話すその女性を見ていたスバル達に念話で紹介をする綾人

 

「おお、なのは! 帰ってきたな!」

「お帰り~なのは~」

 

そして店の奥からエプロンを着けた男性とメガネの女性も現れる

 

「お父さん! お姉ちゃん!」

 

<あっちの男性がお父さんの士郎さんで、メガネの人がなのはさんのお姉さんの美由希さんだ>

「「はぁ・・・」」

 

綾人が続けて2人の紹介をすると、2人は念話も忘れて唖然としていた

 

「あ、この子達が私の生徒!」

「ほぉ・・・いらっしゃい。こんにちは」

「あ、はい!」

「こんにちは!!」

「ああ・・・」

 

なのはが紹介すると士郎は笑顔で挨拶をする

 

2人も慌てて挨拶すると士郎も笑いながら頷いた

 

「どうも」

「おお、君は!」

「あら、久しぶりね~!」

「はい。ご無沙汰してます」

 

綾人と挨拶する士郎と桃子

 

「えっと・・・お父さん、お母さん、綾人君って10年ぐらい常連さんらしいんだけど・・・」

「ああ、今でもたまにうちにケーキを買いに来てくれる子だよ・・・そうか・・・君もなのはと同じところで働いていたのか・・・」

「まぁ・・・一緒の部署は今年からなんですけどね・・・」

 

すっかり打ち解けている綾人

 

何度も通っているうちに話すようになっている

 

「それに、3年くらい前には恭ちゃんと試合したこともあるしね」

「お兄ちゃんと!?」

「ああ。彼の力量を感じ取った恭也がほとんど無理矢理にな」

「そうなんだ・・・」

 

なのはは意外な繋がりに驚いていた

 

『綾人マジック』は伊達ではないのだ

 

「あ、そういえば恭也さんは?」

「ああ・・・この間帰ってきたんだが、またドイツに行っているよ」

「そうなんだ・・・お仕事頑張ってるんだ・・・」

 

兄も元気である事を知って少し安心するなのは

 

「あ、そうだ皆! クッキー食べるか? これがまた自慢の新作でな!!」

「あぁ! お構いなく!!」

「はい・・・」

 

クッキーを大量に乗せた皿を取り出しながら勧めてくる士郎

 

よほど自信があるのだろう

 

「でも・・・美味しそうです~」

「じゃ、リインに1個」

「わぁ! ありがとです!!」

 

なのはが1枚取ってリインに渡す

 

リインは大喜びでお礼を言って食べ始めた

 

「それじゃ、俺も1つ・・・」

「おお! 是非感想を聞かせてもらいたいね!!」

「綾人君の感想って・・・いつも的を射ているから参考になるのよね~」

 

皿から1枚クッキーを取って口に入れる綾人

 

数回咀嚼して飲み込み、口を開く

 

「・・・・・・しっとり甘くて舌触りもいい・・・アクセントに使っているキャラメルもいい具合で絶妙で・・・これは、かなりいいですね」

 

驚きながら感想を言う綾人

 

「そうかそうか! 君がそこまで言うなら問題ないな!!」

「それじゃ、早速明日からの新メニューね!!」

 

綾人の感想1つで決めてしまった店長とパティシエ

 

それぐらい綾人の評価を信じているのだ

 

「・・・綾人君、ここで働かない?」

「残念ながら、今は管理局辞めるつもりはないですね・・・クビになったら考えます」

 

ちょっと本気っぽい桃子に笑顔で答える綾人

 

クビになっても再就職がほぼ決まっている状態になった

 

その時だった

 

「失礼する」

「おぉ! 剛神(ごうしん)さん!!」

「え・・・?」

 

1人の老人が店に入ってきた

 

老人を見た士郎が名前を呼ぶと、綾人が固まった

 

「先輩?」

「どうしたんですか?」

 

スバルとティアナが不思議そうに聞くが、綾人は動かない

 

「おや、今日はなにやら賑やかですな」

「ええ。娘が帰ってきまして」

「ほほう・・・」

 

老人がなのは達を見やると、なのはやスバル達も慌てて会釈する

 

「な、なのはです」

「うむ・・・お話は士郎君から聞いておるよ・・・なるほど・・・彼に似て良い目をしている・・・」

「は、はあ・・・」

 

笑顔でなのはに話しかける剛神

 

その顔になのははどこか見覚えがあった

 

「ん?」

 

そんななのはを尻目に、自分に背を向けて固まっている綾人に気付く

 

「何を固まっているのだ? 綾人よ・・・」

 

剛神に名を呼ばれ、ロボットの様に振り向く綾人

 

その顔はなぜか真っ青になっていた

 

「ひ・・・久しぶり・・・・・・爺様(じっさま)・・・」

 

ぎこちない笑顔で剛神に答える綾人

 

そして、なのは達は綾人の発した一言に驚いた

 

「爺様・・・って・・・?」

「申し遅れた。私は『天童剛神』・・・」

「俺の・・・祖父です・・・」

「「「「えぇ!?」」」」

 

自己紹介する剛神と綾人の説明に驚くしかないなのはやスバル達

 

「どうぞ」

「うむ。ありがたく」

 

桃子から出されたコーヒーに口を付けて目の前のなのはに目を向ける剛神

 

「いやいや。まさかウチの孫と士郎君の娘さんが同じ職場の上司と部下になるとは・・・面白いこともあるものだ」

「いえ・・・ホントに・・・」

 

豪快に笑う剛神になのはも先程からこの程度の返ししかできていない

 

それというのも、剛神の放っている気・・・綾人流にいえば『闘気』が尋常ではないのだ

 

なにせ綾人が隣で完全に黙ってしまっているぐらいなのだから

 

「それでどうかな? 綾人は」

「はい・・・とっても頑張ってます・・・チームのリーダーとしても、教え子としても」

「そうか・・・」

 

真っ直ぐな返答にどこか満足な剛神

 

「そこの2人・・・君らとしてはどうかな?」

「「え?」」

 

後ろで聞いていたスバルとティアナにも質問をする

 

「そう・・・ですね・・・・・・先輩はとっても優しいし頼りになります!」

「私達のこともしっかり見てくれて・・・相談にも乗ってくれてますし・・・」

「ふむ・・・」

「そ、それぐらいにしてくれよ爺様・・・俺の方が恥ずかしいよ」

 

スバル達からの評価に綾人が珍しく慌てていた

 

完全な公開処刑状態に、流石の綾人も耐えられないのだろう

 

「普段のお前からは聞けない話だからな・・・マーク君からもたまに聞くが・・・身内以外からの評価は質が違う」

「それもそうだけど・・・せめて俺のいないところで聞いてくれないかな・・・」

 

綾人の意見も尤もなのだが、剛神はそんなこと気にせずに話を続けるのだった

 

そして・・・

 

「ふむ・・・時に綾人よ」

「・・・・・・なに?」

「この中に・・・お前の思い人はおるのか?」

「ぶぅ!?」

 

せっかくのコーヒーを剛神の一言で吹き出してしまう綾人

 

「な・・・何を!?」

「これだけの女性と一緒に仕事をしているのだ・・・誰か1人くらいおらんのか? わしもそろそろ曾孫を楽しみにしたいのだが?」

 

剛神は綾人以上に容赦が無かった

 

しかし、スバル達も中々聞けない綾人の恋愛事情・・・なぜか興味が湧いたのだった

 

「そ・・・そんな人まだいないよ! そもそもそういう目的で出向したわけじゃないから!!」

「なんじゃ・・・そうなのか・・・勿体無い・・・」

「まあ、そのうちいい人見つけて・・・連れて行くから」

 

当たり障りのない綾人の返答

 

少しつまらなさそうに頷く剛神

 

その後、フェイト達にも同様の質問をして綾人を困らせてお土産のケーキを買って帰ったのだった・・・

 

 

そして、フェイトの運転する車の中・・・

 

「すみません・・・ウチの祖父が・・・」

「にゃはは・・・いいよ別に・・・でも、豪快な人だね?」

 

剛神に圧されていた綾人の様子を思い出しながら苦笑いのなのは

 

「でも・・・まさかエリオ達を見るなり『お前の息子と娘か!?』って聞いてくるとは思わなかったかな?」

「アレはびっくりしました・・・」

「僕も・・・」

「俺だってそうだよ・・・どんだけ楽しみにしてるんだか・・・」

 

開口一番に綾人の子供と勘違いされたエリオとキャロ

 

あの時の迫力はおそらく一生消えないだろう

 

そんな中、ティアナは何かに気付いた

 

「そういえば・・・先輩?」

「ん?」

「お祖父さんは・・・今、お一人で生活してるんですか?」

「ああ・・・一応お手伝いの人が身の回りの世話をしてくれてるハズだけど・・・それがどうした?」

「いえ・・・その・・・」

 

綾人の家庭の事情を知っている為に、少し気になったティアナ

 

「・・・なるほど・・・まあ、心配じゃないって言えば嘘だよ・・・家族だしな・・・でも、俺が仕事放って帰ったりしたら・・・爺様余計に怒るからな・・・」

 

少し複雑な思いの中で、綾人はそう呟く

 

 

~バニングス家別荘内~

 

「運転お疲れ!フェイトちゃん!」

「うん」

 

ずっと運転していた親友を労うなのは

 

「あ、お帰り~!」

「なのはちゃん! フェイトちゃん!!」

 

コテージの所持者のアリサとともに青紫色のロングヘアーの女性が駆けてきた

 

「すずかちゃん!」

「すずか!」

 

なのはとフェイトも出迎えてくれた幼馴染に駆け寄る

 

「久しぶり~」

「すずか・・・元気だった?」

「写真とメールばっかりで、声、聞けてなかったもんね?」

「だよね~」

「大学の方・・・相変わらず?」

「勉強大変・・・」

 

と、幼馴染達の再会を見ていたフォワード陣は

 

<ティア・・・やっぱり隊長たちが普通の女の子だよ?>

<同感・・・どうよ? ちびっ子達的には>

<えっと・・・僕的には、なのはさんもフェイトさんも普通の女性ですので・・・>

<そっか、エリオ君は私達の中だと一番昔からなのはさんたちのこと知ってるんだもんね?>

<うん>

 

と、念話で会話をしていると

 

「ほら、すずか・・・あの子」

「?・・・ああ!!」

 

アリサに言われてすずかは綾人を見る

 

すると、驚きながら近寄る

 

「あなたは!」

「はは・・・どうも・・・」

 

すずかに苦笑いしながら頭を下げる綾人

 

「そういえば・・・アリサちゃんと一緒に会ってるんだよね?」

「うん! 私の恩人さんだよ!」

「いや、そんな大したもんじゃ・・・」

「そんなことないよ~!」

 

上機嫌のすずか

 

なのは達ですらなかなかお目にかかれない風景

 

「アリサちゃん、すずかちゃん・・・改めて説明してくれる?」

 

なのはの要求に頷き語りだすすずか

 

~1年前・8月~

 

 

夏休みの中あたりの日・・・アリサと一緒に夕方近くまで遊んでたすずか

 

その日は遅くまで外にいて、急いで家に帰るところだった

 

その帰り道、公園を通って帰ろうとした所に柄の悪い男たちにナンパされた

 

「いいじゃねえか、姉ちゃん達! 俺達と遊ぼうぜ~!」

「そうそう、後悔させないからさ~!」

「行かないって言ってるでしょ!!」

「あの、私達急いでるんです。通してください!」

 

男達はすごくしつこく、断っても遠さない様に道を塞いでいた

 

「ああもう、面倒くせえ! いいから連いて来い!」

「いや! 放して!!」

「すずか!? ちょっとアンタ達!!」

「こんな時間にこの辺を通る奴なんかいないんだよ~諦めな~」

 

すずかの手を掴み、無理やり公園の奥に連れて行こうとする男達・・・すずかは怖くなって目を瞑ったそのとき

 

「あんたら、何やってんだ?」

 

後ろから声が聞こえ、全員が振り返るとそこには・・・

 

黒髪の少年が立っていた・・・

 

 

「なんだこのガキ! 邪魔すんじゃねえよ!」

「女の人に酷いことしてるくせにでかい顔すんなよ」

「なんだと~この!!」

 

男の1人が彼に殴りかかると・・・

 

「え・・・?」

「ふっ!」

「ぐえ!!」

 

いとも簡単に避けてそのまま顔面を蹴り飛ばした綾人

 

「おい! 大丈夫か!?」

 

もう1人が呼びかけるが、完全に気絶してした

 

「くそ!! この!!」

 

すずかから手を離して向かっていくが

 

「っ!!」

「ぐふぅ!!」

 

それよりも早く鳩尾に正拳突きをいれる綾人

 

「今ならまだ許してやるから、そいつ連れて消えろ」

「くそ!! 覚えてやがれ!!」

 

綾人が倒れてる男をあごで差してそう告げると、教科書通りの捨て台詞を吐き捨てて男は去っていった

 

「名前言わなきゃ覚えられないっての・・・大丈夫ですか?」

 

冷静に突っ込みを入れた後、アリサとすずかに声をかける

 

「はい・・・ありがとうございます!」

「助かったわ・・・ありがと」

「いえ、それよりもこのあたりは物騒ですから、もっと人通りのあるところを歩くか、タクシー呼んだりした方がいいですよ?」

「そうね・・・」

「気をつけます・・・」

「それじゃ、俺はこれで・・・」

「あ、あの・・・せめてお礼を!」

「結構ですよ・・・それに、これから約束があるんで。じゃ!!」

 

綾人はそう言って走り去るのだった・・・・・・

 

 

「「「「「「「「へぇ~~」」」」」」」」

 

なのは達はすこしニヤつきながら綾人を見る

 

綾人は少し顔を赤くして顔を逸らしていた

 

「やっとあの時のお礼を言えるよ!! あのときは、本当にありがとう!」

「いえ・・・」

 

満面の笑みで礼を言うすずかにすこし小さく答える綾人

 

「先輩がね~」

「まさに、王子様だよね~」

「ロマンチックです~!」

 

いまだにニヤけながら綾人を見ているティアナ、スバル、リイン

 

「そ、それよりはやてさん達は?」

 

強引に話を逸らす綾人

 

「ああ、はやて達なら今食事の準備を始めてるはずよ・・・ん?」

 

アリサがそう説明していると1台の車が入り、中から2人の女性と女の子が下りてきた

 

「は~い!」

「みんな~お仕事してるか~?」

「お姉ちゃんズ、参上~!」

 

美由希と後の2人が手を振りながら近づいてくる

 

「エイミィさん」

「アルフ!」

 

エリオとキャロがその2人の名前を呼ぶ

 

「それに、美由希さん!?」

「さっき別れたばっかりなのに」

「いや~エイミィがなのは達に合流するって言うから。わたしも丁度シフトの合間だったし」

 

少し参ったような顔で説明する美由希

 

「エリオ、キャロ、元気だった?」

「「はい!」」

 

エイミィとアルフはちびっ子2人と会話をしていた

 

「2人とも、ちょっと背伸びたか~?」

 

自分の頭とエリオ達との差を見ながら問うアルフ

 

「どうだろ?」

「少し、伸びたかも・・・」

 

うれしそうに答えるエリオとキャロ

 

<う~ん・・・誰かの使い魔かな? 先輩知ってます?>

<いや、知らないな・・・>

<犬耳と尻尾・・・わんこ素体ですよね・・・>

<見た目10歳ぐらい? ちっちゃくてかわいい~!>

 

スバルとティアナ、そして綾人が念話でそんな会話をしていると

 

「アルフ~~!」

「フェイト! フェイト~!!」

 

フェイトが遠くからアルフを呼んでいて、アルフも大喜びで走っていった

 

「元気そうだね?」

「元気!!」

<すぐに分かったな・・・>

<<はい・・・>>

 

アルフの豹変振りをみてすぐにご主人様が判明された

 

その時だった

 

「ちょっ!? シャマル!? それ違う!!」

「え? ああ!?」

「うわ!? やっちまった・・・」

 

遠く離れた場所から3人の声が聞こえてきた

 

「なんだ?」

「この声は・・・はやてちゃんとヴィータちゃんにシャマル先生?」

「行くわよ!!」

 

アリサの合図に全員が声のしたほうに走る

 

 

「あ~皆お疲れや~」

 

苦笑しながら迎えるはやて、シグナム、ヴィータ

 

その近くではシャマルが肩を落としていた

 

「八神部隊長? 何を?」

「いやな~夕食の準備をしてたんやけどな?」

「シャマルが・・・その・・・少しな・・・」

 

言いよどんでいるはやてとシグナム

 

「調味料間違えたんだよ・・・」

 

ヴィータがはっきりといってしまう

 

「何と何を?」

「・・・・・・ラー油と醤油・・・」

「一体どんな経緯で間違えるんですか・・・その2つを」

 

綾人の突込みが更にシャマルを追い詰めていく

 

「ごめんなさ~い・・・!!」

 

泣きそうな顔をして謝るシャマル

 

「ま、まぁ被害に遭ったんは一人分だけやから、そのほかは何とか無事や」

 

何気に抉るはやて

 

「それじゃ、パパっと作るから、待っててな?」

「部隊長自らですか!?」

 

ティアナも驚いているそういうことは自分達の仕事と思っているのだが、はやても料理が趣味だと言った

 

「はやて隊長の料理はギガウマだからな・・・有難く頂け」

「「「「はい!」」」」

 

ヴィータの死語を気にせずに満面の笑みで楽しみにしているフォワード4人

 

「はやてさん、他に何か作るんですか?」

「そうやなあ・・・これ作るだけでも結構時間掛かるしな~・・・あとはバーベキューするし・・・」

 

綾人の質問に考え込むはやて

 

ちなみにメニューは鉄板焼き

 

「材料は?」

「まだ少しあるな」

「じゃあ・・・」

 

言いながら羽織っていた上着を脱ぎ

 

「俺が作ってもいいですか?」

 

そう聞いた

 

「綾人君が?」

「お前、料理作れんのか?」

 

綾人の言葉にヴィータは訝しげな視線を送る

 

「ええ、結構得意です・・・翠屋の新作に口を出せるぐらいに」

「ほ~・・・ほんなら、なんか一品お願いしようかな?」

「了解です!」

 

はやてから許可がおりて少し嬉しそうな綾人だった




どうも


綾人君のお祖父さんの剛神さんの登場とすずかさんとアリサさんにフラグを1年前に建てていたというお話でした・・・え、違う?

剛神さんは、この二次小説でおそらく最強に位置しています・・・が、戦わせる予定はありません

とりあえず、ナンバーズ全員を1度に相手して無傷で勝ちます


最後には二次恒例?の『必殺!シャマルクッキング』の序章が登場ですね


果たして誰が餌食になるのか・・・ま、わかりますよね~



では次回予告


任務の合間のしばしの休憩、そこで行われる簡単な交流会

そして・・・

「それでは、六課一同、着替えを用意して出発準備!」
「これより、市内のスーパー銭湯に向かいます!」

エリオの苦悩・・・そして

「せっかくだし、一緒に入ろうよ?」
「フェイトさん!!」

天然系の爆弾発言


次回、『出張任務Ⅲ・食事とお風呂と』


次回は男性陣必見の回です

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