英雄伝説~紫炎の軌跡~   作:kelvin

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本当に話が進まねえ!
思いついてしまうんだ!話が!なら、書くしかないじゃないか!!(アスラン風に自戒)


第5話 白隼との出会い

―ロレント郊外 アスベルの家―

 

朝食を済ませた二人はこの後の事について話すこととなった。

特にシルフィアは“守護騎士”という立場上、表立って行動するのは難しい部分がある。

それを言えば、この後の事を考えているアスベルにも似たようなことは言えるのだが。

 

「さて、シルフィアはどうするんだ?そっちの“都合”上、行動を強制することはできないし……」

「うーん……良ければ、一緒に行動してもいいかな?」

アスベルの質問に対して、シルフィアは少し考え込んだ後同行を申し出た。

そのお願いには、流石のアスベルでも意外と思わざるを得なかった。

 

「別にいいけれど、理由は?」

「いや、うちの姉というか総長から言われたことは……『結社』絡みのことなの」

「………流石に早い、とは言えないか。」

この時代に結社が動いていたという根拠はないが、後の事を鑑みると『ない』という保証が『ない』のだ。

少しでも気にかかる違和感があれば、それを見つけるのも彼女の仕事らしい。

 

「じゃあ、動くか。戦闘になったら頼む。」

「任せて。」

「あ、そうだ。これを渡しておく。」

思い出したように、アスベルは箱の中に入っていた武器類の中から一つを掴んでシルフィアに渡す。

 

「これは……法剣?」

「ああ。“聖剣アムフォルタス”……俺が知る範囲での技術を用いて作った。」

「作ったって……貴方が?」

まぁ、驚かれるよな。仕方ないでしょ、記憶に何故か武器加工の事が残っていたんだから。

昨日はあまり気にしていなかったが、どうしてなのかは俺にも解らないんだよな。

 

「ちなみに、食器とか調理器具はTマテとかゼムリアストーンで出来てるよ。」

「ものすっごいゼムリアストーンの無駄遣い!?」

使えるものは使う、使ってもなくならないのは本当にありがたい。

落としても割れない食器ってすごくね?その代り、足に落としたら物凄く痛かったけれど(実体験済)

 

そんなこんなのやり取りがあって、ようやく外に出ると、鳴き声が聞こえた。その鳴き声はどう考えても魔獣のものとは思えなかった。

 

「ピューイ!」

((この鳴き声って……))

鳴き声のする方向……上の方を見上げると、白い鳥が飛んでいた。

 

「あれは、隼?しかも白って……」

「どうやら、行き先が決まってしまったみたいだな……」

白い隼……リベール王国象徴の国鳥。そして、それを見た二人の懸念はある意味『的を射た』発言であった。

隼は二人に気付くと降下してきて、アスベルの右肩に乗った。

 

「ピューイ!ピュイピュイピューイ!!」

「ふむ……」

「え、解るの!?」

隼の鳴き声を聞いて、事情を察するアスベル、それとは対照的に何が何だか解らない表情をしているシルフィア。

何と言うか、感覚で察知できるのだが、俺の場合は何を言ってるかすんなり理解できるからな……

 

「この子は『ジーク』だって。で、俺たちに手紙を預かっているって」

「え?あ、本当だね。」

よく見ると、ジークの右脚に紙が括り付けられている。

それを取って開くと、綺麗な字で書かれていて、右下にリベール王国の紋章の印が押されていた。

 

『突然のお手紙、失礼いたします。カシウス殿より事情をお聞きし、貴方方に一目会いたいと思ってお誘いのお手紙を出しました。もし、お時間が取れるのでしたらロレント市の遊撃士協会までお越しください。』

丁寧な言葉遣い、そしてカシウスと繋がりのあるリベール王国の関係者……自ずと選択肢はかなり絞られる。

王国軍関係者か王家の関係者……下手すれば、王家の人間かもしれない。

 

「……どうする?」

「勿論、会いに行く。繋がりは作れるときに作っておかないとな。ジーク、この申し出をありがたく受け取るってことを君の友達に伝えてくれないか?」

「ピューイ!!」

シルフィアの問いにアスベルが受諾の方向だということを答えてジークにそのことを伝えると、ジークは頷いて飛び立ち、南西の方向――グランセル地方のある方角へと飛び立った。

 

「それじゃ、行こうか」

「そうだね」

二人は一通りの準備を済ませると、ロレントへと向かった。

 

―ロレント市 遊撃士協会―

 

遊撃士協会に入ると、受付の人――アイナ・ホールデンが二人に気付いて声をかけた。

 

「あら、かわいらしいお客さんね。迷子かしら?」

「そういうことではなく、待ち人とここで待ち合わせしてまして……」

ある意味『お約束』の問いかけに、あくまでも待ち人との待ち合わせであることを説明しようとしたところ、

 

「そういうことだ、アイナ」

待ち人……カシウス・ブライトが現れた。カシウスさんが案内人って物凄く豪華すぎやしないかと思うが、アスベル達の身分の観点……未だリベールの国民だと認識されていない『浮浪児』からすれば、ある意味『妥当』な人選なのは間違いない。

 

「あら、カシウスさん。確か今は休暇ですよね?また呼び出しですか?」

「ある意味似たようなものだな。流石に内容は話せないが。」

アイナの問いかけに、ため息混じりに呟くカシウス。

この様子を見て、『いつか埋め合わせしておこう』とアスベルは思った。

 

「解っていますよ。チケットについては手配済みですので、何時でも出発できます。」

「仕事が早くて助かる。二人とも、特になければすぐ出発するが?」

アイナの手際の良さに感謝しつつ、カシウスはアスベルとシルフィアに尋ねる。

 

「こちらは大丈夫です。」

「私も大丈夫です。」

特に問題はない。いざとなれば能力使ってどうにかするけど。

 

 

―王都グランセル グランセル城―

 

王都グランセル……リベール王国の首都で、人口は30万人。エレボニアの首都:帝都ヘイムダルの80万人、貿易都市クロスベルの50万人と比べると劣るものの、それでも人の多さには圧倒される。それを証明するかのように都市の区画は広く、その中央部を真っ直ぐ行くとグランセル城に到着する。グランセル城はこの国を治める女王:アリシア2世の居城であり、リベールの象徴である。

 

3人が城の前に来ると、衛兵がそれに気づいて声をかける。

 

「これはカシウス大佐、ご苦労様です。今日はどのようなご用件で?」

「今日は来客だ。俺はその案内人に過ぎない。」

「その二人が……どう見ても、子どもではないですか。」

衛兵は不思議と疑惑が入り混じった表情でこちらを見てくる。ある意味当然の反応ではあるのだが、納得しかねる部分もある。

こうしていると、バー○ーみたいなものだと思うと、妙に納得してしまうのは何故だろうか……

 

「子どもだと思って甘く見ていると痛い目を見るぞ?アスベル君、おそらくジークから手紙を貰っているはずだ。」

「これですね。」

カシウスの言葉にアスベルは手紙を取り出し、衛兵に見せる。

 

「これでも信用できないか?」

「し、失礼しました!開門!!」

ようやく信じてくれた衛兵が開門の号令をかけると、巨大な扉が音を立てて開いていく。

 

(さて、誰なんだろうな……)

(カシウスさんが案内って時点で、ねぇ……)

二人はその人物についてある程度の察しがついていた。

大佐という、軍の中でも重要職の一人であるカシウスを案内人としてお願いできるのは、それ以上の地位にいる人間でしかない。

その二人の仮定は、案内された場所と部屋で確定的となった。

 

 

―グランセル城 離宮―

 

「カシウス・ブライトです。話の中にあったお二人を連れてまいりました。」

『どうぞ、お入りください。』

「失礼します。」

カシウスが最初に入り、アスベルとシルフィアが入ると、そこにいたのは一人の妙齢の女性。

だが、歳を感じさせないほどの佇まい、王家としての気品がオーラのように見えそうな第一印象を強く受けた。

 

「カシウスさん、申し訳ありません。わざわざ休暇のところをお呼び立てして。」

「いえ、そのようなことは……当然の事かと思われますが。」

「そうですね。後で休暇延長をしてもらうよう計らいます。奥様と娘さんを悲しませてはなりませんよ?」

「ご配慮、感謝いたします。」

その女性の慈悲深き言葉と配慮に、カシウスは感謝の意を込めて礼を申し上げた。そのやり取りからするに、カシウスよりも位の高い人間…さらには、王家の人間が暮らす住まいに案内されたこと…もはや確定である。

 

そして、女性はアスベル達に向き直り、自己紹介をした。

 

「さて、貴方方がカシウス大佐の言っていたお二人ですね。はじめまして、アスベル・フォストレイトさんにシルフィア・セルナートさん。私がこの国の女王であるアリシア・フォン・アウスレーゼです。宜しくお願いしますね。」

 

――リベール王国の統治者、リベール女王アリシア2世との、初めての出会いだった。

 




グランセル城ということで、次に誰が来るということはお察しくださいw

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