リアルで課題や宿題に追われ、時間を削られ、ほんの少しの隙間時間にコツコツ書いて、なんとか投稿することができました。
カラリ、と障子を開ける音が境内に響く。
開いた戸に隠れるようにして、少年がこちらをうかがっている。
「あら、御早う」
「目が覚めたのね」
気付いて先に声をかけたのは天子であった。
「おはよう・・・ございます」
おどおどとした様子で、挨拶を返す少年。
「案外早く目覚めたわね」
砂埃を払いながら言う霊夢。
「…あの、ここは?」
「博霊神社。」
そっけなく答える霊夢。
しかし語調とは裏腹に、少し安堵しているようである。
「はくれい・・・?」
「あら、知らないの?」
「ってことはこの土地の人間では無いのね」
「多分、違います」
障子の影から出てきて、裸足で地面に降りようとするが、よろけて障子に掴まる。
「あら、病み上がりで動いちゃだめよ」
彼女、天子にしては随分と優しい言葉だ。
おそらく何か裏があるのだろうが、少年は自分のことで精一杯、とても他人の言動に注意する余裕などないし、長い付き合いもないのでわかるはずがない。
「折角縫い合わせた傷が開いちゃうから動かないでくれない?」
「また私が縫う羽目になるかもしれないから」
「・・・はい」
「あの…」
「「?」」
「お二方、よろしければお名前をお教えくださいませんか?」
「僕は葵、天原葵と申します」
「私は博麗霊夢。ここ博霊神社の巫女をやってるわ。」
「比那名居天子。そうね、しがない天人とでも言っておこうかしら。よろしく、アオイ。」
「霊夢様に、天子様ですか」
「助けてくださり、ありがとうございます」
「気持ち悪いから様付けはやめてくれない?」
少し決まり悪そうに言う。
「わかりました、では、霊夢さんと呼ばせていただいてもよろしいでしょうか?」
「んー、まあ、それでいいわ。よろしくね、アオイ。」
「ですが、長居する訳にも参りませんので、もう出ていきます。」
「お助けいただいたのに、申し訳……ありま……せ」
突然、今にも泣きそうな表情で詫びの言葉を吐き出していた少年は、その場に崩れ落ちた。
ー霊夢sideー
突然倒れた、葵と名乗る怪我人の少年。
「あー……天人、運ぶの手伝ってくれない?」
「何故?私は貴女に世話を頼んだのだけれど」
「……私の手に負えなさそうだから、永遠亭まで運ぼうと考えたんだけど、ちょっとキツいのよ」
「貴女の霊力と陰陽玉があれば簡単に飛んで運べるでしょう?」
「それができればすぐにやってるわ」
「こいつの近くに居ると何故だか陰陽玉の力が弱まるのよ」
「博麗の秘宝が、こんな少年の近くに居るだけで使えなくなる?」
「妙なこともあったものね……」
首を傾げ考える素振りを見せる天子。
コイツ考えてることが段々自分の優先さたいことに傾いてくから面倒なのよねぇ……
そんなことを考えながら、私は少年を、少し乱暴だけど…と思いつつ担ぎ上げた。
ここに運ばれてきた時も思ったけど、やっぱり軽いわね、コイツ。
「あら?やっぱり私の手伝いは無用じゃない」
この天人、本当に苛つくわね・・・
「ここから永遠亭まで結構離れてるから、人一人担いで徒歩で向かうのは私じゃ無理よ」
溜め息をつきつつ、私は天子に少し理由を述べる。
「ふーん……なら私が運んだ方が早そうね、貸して、ソイツ」
「重症みたいだからあんまり乱暴に運ぶと傷口開いて死ぬわよ?」
自分一人では運べないのは十も承知だ。
だから私は彼を天子に任せることにした。死なせるよりは余程マシだ。
他人と言えど、助けられるのに死なれては後の御飯が不味くなる。
ー天子sideー
「はいはい、わかってるわ」
「仕方ないわね・・・衣玖、お願いできる?」
最初に引き摺って運んできたので警戒されているのだろうが、元よりそんなことするつもりは毛頭無いし、せっかく気紛れで助けたのだ、死なれては困る。だから最も確実な方法をとるに決まっている。
「はぁ……わかりました、総領娘様。」
空気を読んで離れた場所に居たらしい従者の衣玖を呼び、少年を任せる。
やはり天の羽衣は使えるようだ。
「総領娘様、この方を運び終えたら総領様の元へちゃんと戻ってくださいよ?」
「わかってるわ。元々長居はしないという条件で天界から降りてきたんですもの。」
全く。堅物ね、御父様も。
心中で溜め息をつきつつ、衣玖と共に飛翔し、迷いの竹林を目指す。
「ほら、行くわよ霊夢」
「えぇ」
霊夢も続いて飛翔した。
さて、最速で10分くらいかしら。
いかがでしたでしょうか?
次回もまた大いに遅れるやもしれませんが、どうか生暖かい目でお待ちくださいませ
次回予告
「あんた誰よ」
「よろしゅうなー」
「すみませんっ!」
「え、ええぇぇぇぇぇ〰〰ッ!?」