ファイアーエムブレム~凍土の剣~   作:whiterain

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社会人になると、いろいろ忙しいですね(遠い目)

はい、言い訳です・・・


5章 国境

翌朝になり、ドルカスを仲間に加えたユーリ達一行は山賊に見つからぬように注意を払い

リキアとベルンの国境に急いだ。

国境さえ抜ければ、目的地であるキアランは近い。

リンはまだ見ぬ祖父の顔を思い浮かべていた・・・

 

『やっと国境か・・・』

 

「ここを抜ければあの山賊ともお別れできるわね」

 

ここまでしつこく追って来た山賊達。

あのしつこさはストーカーと言っても過言ではないだろう。

 

「さすがに国境を超えてまでは追ってこないでしょう」

 

「やっとリキアに帰ってこれたな!!それに国境近くに宿の主人はリキア美人として有名だったな・・・

 そこでゆっくりと疲れを・・・これはたまらん!!」

 

「貴様がそのつもりなら我々は別の宿を取るぞ?」

 

「そんなぁ!!酷いじゃないか相棒!!」

 

ケインの一言に落胆を表すセイン。

そしてひっそりと落胆している人物がもう1人いた。

 

『ウィルお前も行きたかったのか?』

 

「ウィルも一人前の男だもんねぇ」

 

「なっ!!」

 

バレてないとでも思っていたのだろうか?ウィルは顔を赤くしてこちらを向く。

ユーリとマークからすればそこまで狼狽えるとは思わなかった。

さすがにセインまで明らかなアピールなら、ちょっとひくかもしれないが、

男であるなら美人に惹かれるのは普通だろう。

こんなに反応が良いと思わずいじり倒したくなってしまう。

 

『行きたいなら素直に言ってみたら良いんじゃないか?』

 

「自分も美人にお酌してもらいたいってね」

 

顔をにやつかせながらウィルに追い打ちをかけていく。

 

「べ、別に俺は・・・」

 

更に顔を赤くして反論しようとするウィル。

 

「ケント、私たちはその宿で良いわよ」

 

「・・・リンディス様が、そう言われるのでしたら」

 

「リンディス様!!あなたは女神様です!!」

 

「良いのよ、気にしないで」

 

みんなが大袈裟だなぁとセインを見る中、

ユーリとマークはウィルから目を離さなかった。

そして、身体は正直であり、小さくガッツポーズしたウィルを更にからかうのだった。

 

 

 

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『リン! 下がってろ』

 

いち早く異変に気づいたのはユーリだった。

遠くからこちらに一直線にやってくる集団。

しつこくもこんなところにまで追ってきたようだ。

 

「おうっ!!やっと見つけたぞ!!」

 

「本当にしつこいな!!」

 

「お前らをにがしたとなっちゃあ!ガヌロン山賊団の名折れなんだよ!!」

 

自分の後ろに下げたリンがユーリの横まで来て山賊に剣を向ける。

 

「・・・あなたの顔がつぶれようがこっちには関係ないわ!

 私たちは急がなきゃならないの!邪魔をするなら容赦しない!!」

 

「生意気な女だ!! 徹底的にやっちまえ!」

 

その声を合図にいたるところから山賊が出てくる。

 

『さて、戦闘開始だ!』

 

一行もユーリの声を合図に武器を構え臨戦態勢に入った。

 

「ユーリはおとなしくしてなさいよ!」

 

『昨日も傷口は開かなかったから大丈夫なのに・・・』

 

1人は相変わらず戦わしてもらえるかわからないが・・・

 

 

 

その頃、近くの森に2人の人影があった。

 

「うーん・・・迷っちゃったのかしら?」

 

「自信満々にこっちだと言ったのは君だよ・・・」

 

1人は、シスターの格好をした少女。もう1人はマントを身に纏う軽装の少年だった。

 

「なによ、文句あるのエルク!」

 

エルクと呼ばれた少年は疲れた様子を隠すこともなく、ため息をついた。

 

「・・・君の護衛なんて引き受けるんじゃなかった。

 ’かよわい’シスターがオスティアに戻るための護衛を捜してるって聞いたんだ」

 

「あら、その通りじゃない」

 

再びため息をついたエルクは、半目でもう一度彼女を見た。

見た目は確かにかよわい?シスターかもしれない。

しかし、彼女について知った今ではそんなことは言えなかった。

 

「君の性格を知ればどんなやつだって逃げ出すよ・・・

 お金は返すから1人で戻ってくれないかな?」

 

「いやよ!エルクはようやく見つけたむさくない護衛なんだから!

 それに私みたいな高貴な女性が供居ないなんておかしいでしょ」

 

まだ、リキアとベルンの国境で、このままリキアにあるオスティアまで彼女を送り届けるのは

エルクの精神が無理だと訴えていた。

 

「あら?向こうが騒がしいわね・・・行ってみましょ!」

 

1人駆けだしていく少女。

エルクは再三になるため息を吐き、厄介ごとにすぐ首を突っ込む雇い主を追いかけた。

 

 

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「ユーリ、向こうに誰かいるわ」

 

戦闘が始まって、リンの指さす方を向くと、明らかに敵の山賊では無いだろう2人組がいた。

むしろ逆に山賊に攻撃されていた。

 

『とりあえず、巻き込んだのは俺らだ。話しかけてみようぜ』

 

リンと2人襲われていた2人組に近づいた。

 

「あの、ちょっと良い?」

 

襲われていた中、急に話しかけられたからか、慌てて、こちらに振り向く2人。

2人組の片割れの少年は、もう一方の少女を庇うように立っている。

 

『俺たちは敵じゃない、どうして山賊と戦ってるのか聞きたいだけだ』

 

「・・・なりゆきです」

 

少年は警戒を緩めず、本当のことを語る気も無い。

そんな少年の思惑を無視して、少女は言い放つ。

 

「違うでしょ!私たち、あなたたちの仲間と間違われたのよ!!

 良い迷惑だわ!」

 

「君が野次馬のように首を突っ込まなければ巻き込まれなかっただろ?」

 

呆れた口調の少年。そして、すぐにこちらに視線を向け、

 

「僕らのことはおかまいなく」

 

「どうせ戦うなら、手を組まない?その方が手早く済むでしょ」

 

『おい、リン!?』

 

巻き込んだ手前、戦わせるのも悪いか?と自分でも甘いと思うことを考えていたユーリに、

リンから先に出された共闘の申し出。

 

「それもそうね!エルク、彼女たちと組むわよ」

 

「『え』」

 

そして、了承の回答。

 

「よかった、私の名前はリン。とりあえず、私たちに合わせて動いてもらっていいかしら?」

 

「ええ、まかせて。私はセーラ、彼は護衛のエルクよ」

 

『お前も厄介な雇い主を持ったな』

 

エルクの耳元でユーリはつぶやいた。

 

「本当ですよ・・・やるからには理魔法の力を見せてやりますけど」

 

『魔導士か、頼りにしてるぜ』

 

ユーリとリンは新たに、2人の仲間を加えて戦線に戻っていった。

 

 

 

それから、それほど時間も経たずにユーリ達は呆気なく山賊達を追い払うことに成功した

 

ここに来るまでにしつこく追ってきた山賊達は、その度に撃退して数を減らしてきている。

エルク達も加わったいま、負けることなど無かった。

 

「ユーリもお疲れ様」

 

『今回ほとんど言いつけ通り戦わなかった俺に言うことじゃないな』

 

マークからの皮肉とも言える発言に、それだけ余裕があったことに安堵した。

 

 

「ユーリさん・・・これからよろしくお願いします」

 

先ほどまでリンたちと話していたエルクがユーリに謎の挨拶を行った。

 

『・・・あぁ、また巻き込まれたか?』

 

なんとなく彼の疲れた表情を見て、ユーリは悟った。

 

またセーラに振り回され、この旅について行くことになったのだろうと

 

 




戦闘シーンにあまりに酷いカットがあったことをお詫びするしかないですねm(_ _)m


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