ファイアーエムブレム~凍土の剣~   作:whiterain

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仕事の部署が変わって、忙しくなったことから疲れてPCを付けるのに決心がいる・・・

いや、頑張りますよ!!

それでは始まります


25章 多くの再会は近し

「状況はどうなっておる」

 

「・・・既に城内まで攻め込まれており、絶望的と言わざるおえません」

 

告げる兵士の顔は既に負けて死ぬ覚悟した顔であり、周りもどうにもならない状況に悔しさから手を強く握っていた。

 

『リン達はどうなりました?』

 

ハウゼンはリンに城を脱出するよう命令を出していた。

しかし、リンがそれを素直に実行するとはユーリに思えなかった。

 

「ハウゼン様のご命令通り、ケント、セイン、ウィル、フロリーナと共に城より脱出しました」

 

「そうか・・・」

 

ハウゼンも同じ事を思っていたのか、隠してはいるが安堵の表情をしていた。

 

「さて、我らはこれからどうするのだ?」

 

『・・・・・・』

 

これが、一番の問題で出来ることは殆ど無い。

既に陥落も間近で、この玉座の間に踏み込まれるのも時間の問題だ。

 

城の戦力で押し返すことも不可能だ。

しかも相手の戦力の詳細もわからないので、逆転の一手何かもあるはずも無い。

 

『玉座に脱出用の道は無いのですか?』

 

「無くはないが・・・そこを抑えられていないとは限らない」

 

「だが、このままでは死ぬのみだぞ?」

 

カアラの言うとおりだ。

キアランの兵士だって、このリキアで弱兵というわけでは無いだろう。

それなのに、ここまで早く攻め込まれたということは、そもそも人数差があるのだろう。

 

だが、こんなの全軍に近い数が来ないとあり得ないだろう。

 

『ハウゼン様、これは逃げることも考えては?』

 

「そうです、御身に何かあればキアランは・・・」

 

「わしが死のうともリンディスがおる」

 

「しかし「悩んでいる暇は無さそうだぞ?」えっ?」

 

『遅かったか・・・ハウゼン様、このお詫びはいずれ必ず』

 

「何を・・・っ!」

 

ユーリはハウゼンに一足に近づき、首に手刀を入れる。

ここで散る決意をされたハウゼンには悪いと思った。

 

『それでも、貴方を死なせるわけにはいかないんです』

 

「見つけたぞ、キアラン侯」

 

「少し遅かったみたいだぞユーリ」

 

もう少し早めに決断するべきだったか・・・

いや、どっちにしろやることは変わらないし、この後のことも変わらなかったか。

 

『カアラ達は先に行くんだ』

 

ユーリはハウゼンを家臣のものに任せて、先に行くように促す。

 

「やはり狭いな・・・」

 

『俺が死ぬ前には戻ってきてくれよ?』

 

こんなこと言っておいて、本当に死ぬわけにはいかない。

もしもがあれば、ちゃっちゃっと俺も逃げないと。

 

「貴様!そこをどかんか!」

 

『お前達が帰ってくれるんなら、俺も避けるさ

 少し中まで、ご案内!』

 

まぁ、脱出用の道を広く作ることは無いだろうとは思ってたけど

本当、狭くて良かったとユーリは思う。

 

多対1なら、ユーリが殺られる可能性は高くなる。

それでも、この狭い道ならただ1体1を繰り返すだけだ。

今回の目的は時間稼ぎだ。

 

『お前が手伝ってくれれば、こんなことする必要ないんだけどなぁ・・・』

 

自分の背に背負う剣に向けて言葉を発する。

この狭い道を凍らせて、カアラ達をすぐ追えた。

 

いや、そもそも使えてたらこんな奴らに負けない自信がある。

見た感じ、そんなに強そうな相手が居ないのが救いだな。

 

『さて、しばらくお付き合い願おうか』

 

これは、あくまでも逃げる時間を稼ぐため。

自分にそう言い聞かして、ユーリは剣を構えた。

 

 

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一方、逃げたカアラ達

 

 

「何を目的にキアランに来たのかは知らぬが、こうなればもうどうしようも無いな」

 

今更、聞いてもこのキアランを攻めた理由を知ったとて、詮無きことだろう。

こうなれば、どこかの誰かが救援に来るという奇跡が起きない限りは今のように逃げることしか出来ない。

 

「ここまで来ると逆に怖くなるな」

 

カアラは先頭を進むが、今のところ全く道を塞がれている気配は無い。

ユーリのことを考えれば早く、安全なところへ逃げて、ユーリのところへ戻り手助けをしたいのだが、

気絶させたハウゼンや文官も連れている以上、あんまり早く逃げることは出来ない。

 

「そろそろ出口のはずだ」

 

「このまま、誰もいないと良いのですが・・・」

 

「そんな簡単にもいかないようだぞ?」

 

カアラは剣を構えて、先に進む。

 

「キアラン侯を置いて行ってもらう」

 

「ふむ・・・断らせてもらおう」

 

「貴様ら、何者だ!」

 

一緒に逃げてきた1人が叫ぶ。

カアラも違和感を感じていた。

 

さっき、突入してきた奴らはいかにも正規兵といった感じの装いをしていた。

しかし、いまここにいるのはどう見ても暗殺者の装いそのものだ。

 

 

「名乗るはずは無いだろうな」

 

カアラはそもそも大人しく答えるとも思っていない。

それどころか、答えて貰う必要性も感じていなかった。

 

「それに、私はお前達に名乗って貰う必要無いからな」

 

別にカアラには、敵が誰であろうと関係は無い。

ただ、前に立ちふさがるのなら斬るのみなのだから。

 

 

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そして、その前に逃げ出したリン達は。

 

「ケント、戻りました!

 報告します、城のまわりからこの森まで至る所にラウス兵が配置されています

 その数、およそ50!」

 

最初は城門で戦っていたリンたちだったが、数の多さから少しずつ、追い込まれ、今いる森まで撤退する

ことになってしまった。

リンとしても、このまま手をこまねいているつもりは無い。

 

それでも、この状況をひっくり返す手立てがある訳でも無い。

 

「リンディス様、本気ですか?

 城へまた戻るなんて・・・死にに行くようなものですよ?」

 

「・・・城にはまだおじいさまがいらっしゃるの

 このまま放っておくわけにはいかないわ!!」

 

「しかし、この人数ではとてもハウゼン様を助けるのは・・・」

 

ウィルの言うとおりで、ただ我武者羅に行っても助けられずに自らも朽ちるだけだろう。

 

「ラウス兵が話しているのを聞いたのですが、ラウスに攻め込んだのはエリウッド殿のようです」

 

「エリウッドが!?

 なぜ、ラウスに?」

 

エリウッドが自ら、どこかに攻め込むような人には見えなかったのだが。

 

「詳しい事情までは・・・ですがラウス侯は城だけで無く、実の息子であるエリック殿も捨て

 このキアランまで逃れてきたようです」

 

「酷いな・・・親が我が子を見捨てるなんて」

 

しかも、理由はともかく攻め込まれたあとに人の地を攻めてくるはた迷惑ぷりだ。

それでも、光明は見えた気がした。

 

「とにかく、エリウッドが隣のラウス領にいるということね

 だったら、助けを出してくれるかもしれない・・・

 なんとか、連絡をとらないと」

 

「やつらに見つからずに・・・となると森を抜けるしかないですね

 俺が行きましょうか?」

 

ラウス兵に見つかれば、エリウッドのもとにたどり着くことは恐らく出来ないだろう。

となると、平地を突っ切るわけにもいかない。

 

森を抜けるとなれば、馬では動きにくくて遅くなるし、いざというときに隠れるのも難しい。

そうなれば、ウィルのような身軽な人の方が適任だろう。

 

「そうね、時間はかかるかもしれないけど、ウィルなら身軽だし・・・」

 

しかし、そんなウィルより早くたどり着ける人物がいる。

そして、その人物はこんな状況で勇気を振り絞っていた。

 

「リンディス様!私がいきます

 ペガサスだったら森を越えられるから、一番早くラウスにたどり着けるはずです」

 

「フロリーナ!?

 貴女が1人で行動するなんて無茶よ!!」

 

リンとしてはフロリーナが1人で行くのは心配で行かせられなかった。

 

「ケントさんたちのおかげで私の男性恐怖症もマシになってきたし・・・

 エリウッド様にはお会いしたことあるから、1人でもきっと大丈夫です」

 

「すごく危険なのよ・・・わかってる!?」

 

「ええ・・・でも私、強くなるって決めました

 もう、以前の弱虫フロリーナじゃない・・・だから安心して任せてください・・・ね?」

 

フロリーナはリンから目を逸らすこと無く真っ直ぐと見つめていた。

その瞳は強い決心に満ちていた。

 

それを見て、リンは

 

「わかったわ・・・

 だったら貴女にお願いする・・・ただし、絶対に無理をしないこと!

 約束よ?」

 

「はい! では行ってきます」

 

フロリーナはペガサスに乗って、そのまま飛び上がりラウスの方へ向かう。

それを見送ったリンたちは少し嬉しそうにしていた。

 

「あの気弱なフロリーナちゃんが精一杯の強気な発言を!

 素敵だ!」

 

「もう一人前に天馬騎士ですね」

 

「そうね」

 

「彼女も強くなりましたよね」

 

彼らと出会ったときのフロリーナなら、1人でなんて無理だっただろう。

あの旅が、ここに来てからの生活がフロリーナを強くした。

 

「・・・草原にいた頃はずっと私が守っていたよね

 寂しいなんて言ったら罰が当たるわね・・・」

 

そんなことを思う一方、強くなろうと思ったのは本当にそれだけ叶えたい願いがあったのだろうと思う。

 

 

 




再会は近い

本当になんか行き当たりばったりで来てる気がするけど・・・

彼逃も頑張っているのでよろしくお願いします。


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