ファイアーエムブレム~凍土の剣~   作:whiterain

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半年以上経っての更新。

皆様、申し訳ございませんwhiterainです。
ファイアーエムブレム ヒーローズに触発されてまた書き出しました。

時間もかかるかもしれませんが、また更新していこうと思うのでよろしくお願いします。





23章 目覚め

ファリナが目を醒まさないまま、しばらくの時間が流れた。

 

「ユーリ、言い方は悪いがこんなに長い時間ここに滞在していて大丈夫なのか?」

 

『まぁ、余裕があるわけではないが・・・』

 

ロイドとライナスから聞いた話なら、急がなくてもしばらくは時間があるだろう。

それに、この状況でファリナを放っておけるほど外道になったつもりはない。

 

(いや、探しているとわかっている家族に対して、こんな風に隠れている奴がそんなこと言えないか)

 

そう、自分で苦笑していると

 

「おぉ、お二方ここにいましたか」

 

「村長殿・・・」

 

『お世話になってます・・・ところで、俺たちに何かご用で?』

 

「彼女が・・・ファリナ殿が意識を取り戻したのでお知らせに」

 

『本当ですか!?』

 

「ええ、つい先ほど」

 

ユーリは、その言葉を聞くと急ぎ足で部屋を出て行った。

 

カアラもその後を追い、ファリナのいる部屋へ向かう。

 

『気分はどうだい?』

 

ユーリは目覚めたばかりのファリナに問いかける。

 

「最悪ね」

 

『折角、助かった命なのにか?』

 

あの状況から、助かったのは運が良い。

というより、ユーリ達が村に来ていなかったら?

もし、興味を示さなかったら?

 

助けに行かなかったら?

 

ファリナの命は無かっただろう。

 

「助けてくれなんて頼んで無いから」

 

『まぁ、良いさ・・・俺はユーリだ

 こっちはカアラ』

 

カアラは会釈をし、再び目を閉じた。

 

「ファリナよ・・・」

 

「ふむ・・・・」

 

カアラは何か言いたそうにしていたが、ユーリの方をチラッと見るだけで口を閉じる。

 

「助けてくれなんて言ってないからね・・・報酬は渡さないわよ」

 

『報酬の件については別にいらないから構わない

 ただ、目に入ったから助けただけだ』

 

本当は自分が助けたくて仕方ないから、形振り構っていなかったとは言えない。

 

『俺たちが助けたと知っているということは・・・意識を失う前のことは覚えているのか?』

 

個人的には、都合が悪いから覚えていて欲しくはない。

 

「はっきりとは覚えてないわ

 ただ、村長から聞いたから知ってるのよ」

 

それを聞き、ユーリはほっと胸を撫で下ろす。

 

『何故、あんな無茶な真似をしたんだ?』

 

ユーリとしても、1人で何故あんな無茶をしたのか分からない。

それとも、自分がいなくなった後に何かがあったのか?

 

フロリーナはそんなこと何も言っていなかったが・・・

 

『(いや、家出した事情に何かがあるのか?)』

 

「・・・報酬金が良かったからよ」

 

「それで、死ねば意味はあるまい」

 

「・・・・・・」

 

ファリナとしても、それはわかっている。

 

『イリアの天馬騎士だ、信用が第一なのはわかるが死んではその報酬も意味ないだろ』

 

「・・・うるさいわね」

 

この感じからファリナも死んでは意味が無いことはわかっている。

それでも、やらなければならない理由があったのか?

それともただのプライドの問題なのかはわからないが。

 

ただ、これ以上は聞いても見ず知らずの俺たちには答えてくれないだろう。

カアラに目配せして、退出を促す。

 

「今はゆっくりと身体を癒やすことだ

 その身体ではまともに動かせないだろう?」

 

『俺たちはこれで失礼するが、何も知らない事情を知らない奴が言うのも憤りを感じるかもしれんが

 もう少し、生きることも考えるべきだと思うぞ?』

 

(これも命を賭けてでもやろうとしていることある俺が言えた義理じゃないな)

 

人に言っておいて、自分でわかりながらもその道を直すことなく進もうとしているユーリとしては

自己嫌悪になるところがある。

 

ユーリとカアラの2人にファリナが何かを言うことは無く、2人はそのまま部屋を後にする。

2人が部屋を出た後、ファリナは1人呟く。

 

「助けられたことは感謝してる・・・それでも無理しないと姉貴は私のせいで・・・

 それに強くなれば・・・兄貴の仇だって」

 

思い出すのは、私がお金に拘るようになったこと。

 

私が見習いだったころに部隊が全滅しそうになったことがある。

そのときは私ももう駄目だって思って、私も兄貴みたいに死んじゃうのかなって。

 

「でも、姉貴が助けてくれたんだよね・・・」

 

姉貴は依頼の最中にも限らず、私を助けに来てくれた。

もの凄く嬉しかった。

でも、そのせいで姉貴は性悪なベルンの貴族に多額の違約金を未だに請求されている。

 

だから私は、自分でも出来ることはしようと報酬に拘るようになった。

 

そしてそんなころ姉貴と喧嘩して私は家を飛び出した。

いま思うと一番気にしていたのは姉貴だったのに言ってはいけないことを言ったと思う。

 

回想

 

「だから、姉貴は甘いんだって!!」

 

「それでも、契約した以上どんなことがあっても守らないといけないのよ」

 

始まりは姉貴の依頼の話しを聞いてるときのことだった。

 

「姉貴それじゃあ、いつまで経ったって・・・」

 

私には言えた義理じゃないけど、姉貴の違約金を払い終えることが出来ない。

 

「良いの、私はそれでも貴女を助けれたから」

 

大事な者は守れたと言わんばかりに満足気な表情。

それでも、家族にはその顔に影があることが分かってしまう。

 

私はそれがもの凄く嫌だった。

 

家族には弱みを見せて欲しい、辛いなら辛いと言って欲しい。

だから、そんな姉貴の力になれない私にもの凄く腹が立った。

 

そして私は、言ってはならないことを、姉貴の傷に触れてしまってのだと思う。

 

「なら、なんで兄貴は助けられなかったの!?」

 

「!!・・・・そ・・れは・・」

 

姉貴がずっと後悔してきたことは知っていた。

未だに立ち直れていないことも知っていた。

 

罪悪感に飲まれる姉を見て、私はその場に居る勇気が無くて、そのまま家を飛び出た。

そして、そのまま戻ること無く今に至っている。

 

「早く直して、またお金稼がないと!」

 

そして、姉貴に謝ろう。

そのときは姉貴の悩みを共有出来るように・・・

 

 

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「ひとまずは目が覚めて一安心といったところか・・・」

 

『本当にな・・・助けたのに目が覚めないんじゃさすがにな』

 

これで、とりあえずはホッとした。

いつまでも居るわけにもいかなかったのだから。

 

「本当にそれだけか?」

 

『・・・どういうことだ?』

 

「いや、彼女はユーリの知り合いのはずじゃなかったか?」

 

ユーリは普段の振る舞いを見れば冷静な人物なように見えるが、本当に焦ったときは感情で動いてしまう。

ファリナはユーリのことを知らないように感じた。

だが、ユーリは偽剣魔から助けるとき必死にファリナの名前を呼んでいた。

 

そんな相手のことを忘れているってのはあまり考えられない。

 

ユーリがストーカーだったという線ならあり得なくは無いのだけど。

 

『さて・・・忘れられちゃったんじゃないか?

 俺と同い年って訳じゃ無いだろうしな』

 

勿論、ユーリの方が年上だ。

 

「ほぅ・・・まぁ、そなたの事情だ

 私も深く問い詰める気は無いがな・・・」

 

ユーリの最大の幸運は一緒に居た人物が、バレたのがカアラのような人物であったことだ。

きっとこれがどこかの行き倒れ軍師なら、答えにたどり着くまで粘ってくるだろう。

 

『悪い・・・助かる』

 

ユーリの声をカアラは聞かなかったことにして、そのまま話しはこれからのことに移り変わることになった。

 

「では、もう旅立つのか?」

 

『あぁ、意識も戻ればもう大丈夫だろう』

 

「知り合いなのに薄情だな・・・おっと、深くは聞かない約束だったな・・・」

 

そう言って薄く笑うカアラに、弱みを握られたような感覚を覚えた。

というより、会った時はこんな冗談を言うような人物ではなかったと思うのだがな。

 

『・・・とりあえず、リキアに出よう』

 

「それで・・・キアランに寄るのだったか?」

 

『あぁ、ちょっと世話になった人がいるからな

 少し様子を見ていきたいんだ』

 

「私はそなたに着いていくと行ったのだ、別に構わない」

 

『じゃあ、とりあえずはキアランに目指して旅立つとするか!』

 

2人はキアランを目指して再び旅立つ。

もし、ここでキアランへ向かわなかったら?

そのまま魔の島へ向かっていたら?

 

ユーリのキアラン行きの決断により、2人はある貴族の一団と出会うことになる。

 

 




短い・・・

何か無理矢理決着させた気もしますね(汗)

そして、次回から本編に合流していきたいと思います。
本編のどこから合流になるのかは分かってしまうかな?

というわけで簡単な予告です。
キアラン城にたどり着いたユーリとカアラ。
リンたちにはドッキリをしようと先にハウゼン侯に謁見した。

それからまもなくしてキアラン城は襲撃を受けることになる。
リン達の行方もわからぬまま、ユーリ達は戦うことになる!

次回、キアラン城の戦い(仮)

よろしくお願いします。



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