ファイアーエムブレム~凍土の剣~   作:whiterain

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あの敵役と天才魔導士の初登場です!


15章 旧友

ベルンの街に入り、ユーリは道行く人に話を聞いて廻っていた。

 

『やっぱり、噂事態は本当か・・・・』

 

ユーリがベルンを目指す目的になった噂。

それは、この地域で知らない人はいないだろう組織'黒い牙'の話だった。

 

黒い牙

ここ、ベルンで生まれたブレンダン・リーダスという男を首領とした組織であり、

腐敗し、領民に圧政を敷く領主を暗殺し、金品を領民に分け与えていた。

そのため、義賊集団として知られる組織だった。

 

だったというのは最近になり、活動が無差別になってきているらしい。

噂自身で確認出来た内容は、黒い牙が金さえもらえれば、誰でも殺す無差別な暗殺集団に

なってしまったという話。

これはほぼ間違いない話だそうだ。

 

そして、もう一つがいまいち確証は持たれていないが、首領であるブレンダン・リーダスが後妻を迎え入れてから

こんな風になったんじゃないかという話。

 

『ロイドかライナスに会えれば、もう少し詳しく分かると思うんだが・・・』

 

ユーリと黒い牙の関係は少なくとも、だいぶ昔に逆戻る。

 

いや、彼らとのユーリとしての付き合いは無いと言ってもいいだろう。

その頃はまだ、ユーリと名乗っていなかったのだから。

 

彼らと共に戦った事があるユーリだが、その中でも首領の息子であるロイドとライナスとは

その中でも仲が良かった。

 

「そんな簡単に見つからないと思うが?」

 

『まぁ、そうかも知れないが・・・・』

 

ユーリは彼らを捜して、街を歩き回っていた。

 

 

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一方、その頃

ユーリ達の街で、1人の少女が届け物に来ていた。

 

「今日も良い天気だなぁ!お兄ちゃん達もう来てるのかな?」

 

少女は街に入ると、待ち合わせの場所へ真っ直ぐに向かっていった。

気持ちが急いでいたのだろう、少女は裏路地へ入ったりと最短距離で走っていた。

 

「きゃっ」

 

「うわっ」

 

狭い道を急いで走っていたがために少女は前にいたマントを羽織った男性にぶつかってしまった。

 

「あっ、ごめんなさい!」

 

「大丈夫大丈夫・・・でも気を付けないと駄目だよ?

 あと、この辺は危ないから早く・・・遅かったかな?」

 

狭い裏路地に両側を、柄の悪い男達に塞がれてしまっていた。

 

「こんなところに居るのは危ないぜ?

 親切な俺らが、表まで案内してやるよ・・・有り金全部でな」

 

「こんな不運は僕のキャラではなかったと思ったんだけどな・・・

 ユーリのが移ったかな・・・・」

 

マントの男・・・・マークは現状を冷静に考えていた。

自分の背中にいる少女が戦えるとは思えない。

 

逃げるにしても、この狭い道で押し通るのは難しい。

 

「私、用があるんです!! そこを避けてください!!」

 

少女は、柄の悪いチンピラに真っ直ぐと啖呵を切った。

この年の少女が、これだけ真っ直ぐに言えるのは凄いとマークは思った。

だが、それと同時にどうにか助けが来るかもしれないまで時間稼ぐ、突破口を

開くなど現状を打破する力が無いいま、少女の行動は危険を伴っていた。

 

「あまり、刺激しないようにしないと・・・・」

 

マークは少女の耳元で囁くように言うが、少女からの反応は無い。

 

「強気な嬢ちゃんだが、この状況を見れてないみたいだ」

 

「僕らに要求してもあまり持っていませんよ?」

 

「なら、身ぐるみ剥ぐだけさ!」

 

マークも話が通じるとは思っていなかったが、いよいよ強行突破しかないかなと考えたとき。

 

「避けてください!!」

 

「えっ!?」

 

マークが声に反応して横にズレると横を火球が飛んでいった。

それはマークも何度も見てきた見慣れた理魔法ファイアーだった。

 

「このガキ魔導士か!!」

 

相手から手を出されればこの手の輩が激情しないわけが無い。

ただ、今ので突破口は開ける。

わざわざ、ファイアーに当たろうとすることはないだろう。

このあまり広くない裏路地なら、逃げるくらいは出来るかも知れない。

 

マークは少女に近づき、自分との協力を持ちかける。

 

 

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『なんか、騒がしくないかこの辺?』

 

ユーリとカアラの2人がまだ街の中を歩いていると、一カ所だけ騒動が起きているようだった。

 

「街のならず者が騒いでいるのではないか?

 正直、治安が良い街とは言えないからな」

 

ユーリは近くの人を捕まえて何が起きているのか聞くことにした。

 

『すまない、この騒動は何が起きているんだ?』

 

「あぁ、この街のチンピラがマントの男と緑髪の少女を追いかけ回して居るんだ

 あいつらもしつこいし、2人組に抵抗されたみたいでムキになってるんだ・・・」

 

「ふむ・・・ところで、何でこれだけ目立っていて助けに入る者がいないのだ?」

 

そう、この中に1人くらいは助けに入ってもおかしくは無い。

だが、現実2人組はいまだ追われている最中で、助けはまだ無い。

 

「無理を言わないでくれ、そんなことしたら今度は俺らが標的になるじゃないか」

 

『自分の身を守るので精一杯か・・・・

 まぁ、俺らが強制することじゃないだろ』

 

ユーリの場合、気づいたら巻き込まれている方が多いのかも知れない。

こう話している内にも厄介事はユーリのすぐ側まで来ていた。

 

「うわっ、話してたらこっちに来やがった

 俺は逃げるからな!お2人さんも逃げた方が良いぞ!」

 

「どうするんだユーリ?」

 

『さて・・・どうする・・・いや、助けなくて良いんじゃないか?』

 

ユーリの目にはこっちに走ってくる見覚えのある姿が目に映った。

 

「あ!!ユーリじゃないか!助けてよ!」

 

向こうからもユーリが目に入ったようで、更にスピードを上げて一直線に向かってきていた。

 

『はぁ・・・面倒事を・・・』

 

「ユーリの知り合いなら助けるしかないだろう?」

 

ユーリも呆れたように銀の剣を、カアラもユーリの知り合いなら手を貸そうと倭刀を手に、マークたちの方へ

向かっていった。

 

 

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分が悪いと悟ると柄の悪い男たちはあっさりと逃げていった。

そもそも、ただ金目の物が欲しかったから絡んだだけなのにそれで命まで賭けてはいられないということだろう。

 

「いや、助かったよユーリ」

 

『こちらからすれば良い迷惑だ』

 

「あの・・・助けてくれてありがとうごさいました」

 

マークと共に逃げていた緑髪の少女はユーリに向かって頭を下げた。

 

『あぁ、無事なら良かったよ』

 

「さっきまで関わるか悩んでたのにな」

 

カアラはユーリにしか聞こえないように呟いた。

 

『それは結果的に助けたから無しって事で・・・・・

 それより、何であんなのに襲われるんだよ?』

 

「いや、まぁ、成り行きというか気付くのが遅れちゃった的な?」

 

『なるほど・・・・目の前に小さな少女がいたから、目を奪われちゃったのか

 幼女趣味(ロリコン)め』

 

「誤解を招くようなことは言わないでくれない!?」

 

ユーリも本気でそうは思ってはいないとはいえ、マークは小さい娘を好きそうな印象は受けていた。

本当にロリコンだったらユーリにも冷たい目で見られることになるのだが・・・

 

『話を戻そう・・・君の名前は?』

 

「私は・・・・・」

 

少女が口をどもらせたところで、4人に近づいてくる人たちがいた。

いや、正確には少女の方へ

 

「ニノ!」

 

「大丈夫か!?」

 

ニノと呼ばれた緑髪の少女はそちらの方へ振り返り、呼んだ相手が誰かを確認すると笑顔で

少女を呼んだ相手の名前を呼んだ。

 

「ロイド兄ちゃん!ライナス兄ちゃん!」

 

『(ロイド・・・ライナス?)フフ・・・・』

 

ユーリはその名前を聞くと思わず笑ってしまった。

巻き込まれた時は、ただの面倒事だと思ったが、ここで運が向いてくるとは思わなかった。

 

しかし・・・・彼らに妹は居なかったはずだが・・・・?

 

「妹を助けてもらったみたいだな・・・感謝している」

 

「ありがとよ」

 

3人での会話もそこそこに2人はこちらに話しかけてくる。

ユーリは気付いても、2人はユーリのことをわからないだろう。

 

それこそ、ユーリを良く知っている人でさえ気付かないのだから

 

『いや、成り行きで助けただけだからな』

 

「そうだな」

 

『さて、俺らは用事があるからもう行かせてもらうよ』

 

ここで、話せるような話では無いだろうとユーリは一度立ち去ることにした。

 

『・・・・・・・・』

 

「お前!?」

 

「わかった」

 

ユーリはロイド・ライナスの横を通りすぎる際に2人にボソッと何かを話していた。

それに、ライナスは驚き、ロイドは冷静に頷いた。

 

そして、ユーリはカアラとマークと共に去っていった。

 

「あいつ随分変わってたな」

 

「あぁ、何が全然見た目違った」

 

「違う・・・・俺が言っているのは内面の話さ・・・」

 

2人の兄が話しているのをニノは?マークを浮かべながら聞いていた。

 

 




いい加減話を進めないと・・・・

さてさて、この2人との再会はユーリに道を示すのでしょうか?

次回、目覚めるロリコン軍師!襲われる未来の天才魔導士!

お楽しみに!!(嘘です!!)


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