ファイアーエムブレム~凍土の剣~   作:whiterain

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皆様、季節の移り変わりにはご注意を。

身体がついて行かず、風邪をひいたりすることもございます・・・

これを書いている時の私ですが・・・・


13章 行方

夜が明け、日が昇ってすぐの頃に、ユーリ達は動き始めた。

起きるまで一悶着あったりもしたが、詳しくは語るまい。

 

簡潔に言うのならば、ユーリは思ったよりもよく寝られ、ワレスがそれを微笑ましく見ており、

ユーリを起こさず、ユーリの分の見張りもこなしてくれた。

そして、起きたユーリが羞恥に耐えきれず我を失ったと言っておこう。

細かくはいつかの間話に語られるかも知れない。

 

さて、話は戻すが敵の数が不明な以上、夜が明けたなら、時間を掛けられない。

もし、数が想定以上で苦戦する内に夜を迎えましたなんて事態になったら笑えない。

 

『こっちだな・・・』

 

「ユーリ殿もよく分かるな」

 

山賊の足跡をユーリの先導で追っていく。

 

『そうですか?カアラも出来ると思いますけど?

 獣を追うよりは楽な気もしますけど?』

 

「確かに、獣を追うよりは人間の方がだいぶ簡単だな」

 

獣はあまり、痕跡を残しても気づきにくい。

もともと、森にいくらでも痕跡が残っているため、目標を狙うのは難しい。

 

だが、人間はそうではない。

普通の道を通っているなら話は変わるが、彼らは逃げるように走っていった。

追われぬように、全く整備されていない道を・・・・

 

そんなところを通れば、草を踏んだ後は残るし、木を避けた際に細い枝が折れてたりする。

 

その痕跡を辿るくらいは容易なことだ。

 

『まぁ、金の無いときに生き残る術として身につけたものですけどね』

 

ユーリは狩猟民族出身では無いため、そんな技術は身につけていなかった。

だが、金銭面に危機を覚えたユーリはどうにか獣を狩ろうとした。

 

 

最初は全くわからず、逃げられてばかりだった。

そして、限界が訪れようとした時にユーリは覚醒した。

人間は命の危機を感じると、普段は想像出来ない成長を遂げるんだなと思った瞬間だった。

 

 

 

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山賊達の足跡を追い、ユーリ達はアジトにたどり着いた。

 

「山を掌握しているだけのことはあるか・・・・場所が場所だけに厄介だな」

 

カアラはアジトを見て呟く。

洞窟を利用して、作られたものだと思われる。

 

『あぁ、相手の人数がわからない・・・・どうするか・・・』

 

「突っ込むのではないか?」

 

『無策で突っ込むわけにもいきませんよ

 敵の数が予想以上に多ければこちらもやられる可能性が上がりますし』

 

この人数で討伐しようとしている時点で多大なリスクを背負っている。

その上で、相手の情報もわかっていないのに無策で突っ込むのは無駄にリスクを増やすことになる。

 

「洞窟なら、狭い道も多いだろう?

 その道なら、数の不利は覆せるのではないか?」

 

『その場合は死体に足場を取られる心配もある

 狭く長い道なら話は変わるかもしれないが・・・それも不明だ』

 

状況がどうどう巡りし、攻めるに攻めれない状況になっている。

 

出てきた山賊をかたっぱなしから倒していくか?

これも1歩間違えれば。悲鳴を聞いた山賊さん達がわんさか出てきて危機的な状況になる。

 

考えるのは苦手なんだよな・・・・とユーリは呟く。

 

「やはり突っ込むしかないのではないか?」

 

「あぁ、私たちはどうやら考えるのには向いていないようだからな」

 

『だが・・・・』

 

ユーリは未だ、踏み切るには至らない。

 

「私たちにはこれしかないだろう?

 いろいろ考えて、時間を浪費しても仕方ない」

 

カアラは剣をユーリに見せ、そう言いきった。

 

「ユーリ殿も我らと同じ武闘派ではないか?

 なら、下手な小細工は無用!!実力で山賊程度蹴散らそう!」

 

ユーリは考える。

考えていれば、良い案は浮かぶかも知れない。

だが、確かにこのまま時間を浪費するのは惜しい。

 

それにみんなもこういっているんだ、踏み切るべきだと考える自分もいる。

 

『わかった・・・・行こう!

 これで、あいつらの息の音を止める!!

 死ぬ気で戦ってもらうことになるし、、臨機応変に戦っていこう』

 

本能で戦うことになりそうだが・・・・ユーリは自分で言ってそう思った。

 

『(マーク、やっぱ俺はお前みたいに頭は回らないみたいだ

  リン、悪いけど・・・お前の復讐はここで終わるんだ

  1人の約束を破る最低な男によって)』

 

ユーリ達は武器を手に取り、洞窟の入り口に向かっていった。

 

 

 

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『何故、ここまで誰もいない・・・?』

 

ユーリは中に入って、少し進んだところで疑問に思う。

ユーリ達は最初に戦った際に、敵を泳がすために逃がした。

 

そのため、敵はユーリ達が攻めてくる可能性があることを知っていてもおかしくはない。

 

なのに、中に入っても敵は全然見あたらない。

 

「奴ら、もしかして・・・・・」

 

『カアラ、何か思いあたることがあるのか?』

 

「うむ・・・・私たちのことをたまたま通った旅人か何かと勘違いしたのではないか?」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・』

 

確かに、相手に山賊かどうかは確認したが、こっちはタラビル山賊団を殲滅しに来たことを言っていない。

 

「つまり、我らを追って飛び出したと言うことか?」

 

『あり得なくは無い・・・確かにこの入り口に真新しい痕跡はあった

 山賊のアジトだから、おかしくは無いと思って流していたが・・・・』

 

「奥まで行ってみるとしよう、何かはわかるだろう」

 

カアラの言葉に従い、ユーリ達は奥に向かう。

最奥に着いても誰とも遭遇することは無かった。

 

『誰もいないな・・・・』

 

「これは、急いで戻った方が良いかもしれん・・・」

 

『どういうことですか?』

 

「逆上した盗賊は何をするか知っておるか?」

 

『いや・・・滅多に山賊を相手することはなかったからな・・・

 しつこく追われるのはわかるが・・・』

 

リン達との旅で、山賊がしつこいというのだけはわかった。

国境まで追ってきたのには驚いたが・・・

 

「腹いせに八つ当たりといったところか?」

 

「そのとおりじゃ・・・」

 

ワレスは語る。

 

攻撃された山賊は復讐のためにその攻撃した相手を追える限りしつこく付きまとう。

これはユーリ達も経験したガヌロン山賊団のことを考えれば分かるだろう。

 

そして、他にある傾向が・・・・

 

 

『近くの街や村を・・・・襲う・・・か?』

 

ワレスはユーリの答えに静かに頷いた。

 

「さすがに見過ごすわけにはいかないな」

 

『当たり前だ、俺らがやったことでそんなことを起こさせるわけにはいかない!!』

 

ユーリはそう言うと、2人を置いて入り口の方へ駆け出す。

 

 

『どっちだ! どっちに行った!?』

 

ユーリは焦りのあまり、冷静な判断が出来ていなかった。

洞窟の入り口で方向に悩み、急げ、急げという気持ちの先走りから先ほどのように上手く足跡を

辿れずにいた。

 

「ユーリ、落ち着いた方が良い」

 

『だが!俺のせいで、全く無関係な人が死ぬのは』

 

「急いて失敗しては本末転倒だろう?」

 

「ユーリ殿らしくありませんぞ?

 前の余裕はどうしました?」

 

『くっ・・・・・』

 

ユーリも自分で、このままでは逆に時間がかかるだけだとわかっていた。

だからこそ、余計に焦ってしまっていた。

 

それでも、無理に落ち着かせようと瞳を閉じ、深呼吸する。

それでも気持ちはそう簡単な物ではなかった。

 

『悪い・・・カアラ俺の代わりにどっちに行ったか見てくれないか?

 俺には無理そうだ・・・追い付くまでには平常心を取り戻すから・・・』

 

「わかった」

 

カアラは辺りを見渡し、いつも通りの速度で歩き出す。

ユーリもその後を続いた。




目覚めのユーリについては気が向いたら書きます

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