ファイアーエムブレム~凍土の剣~   作:whiterain

24 / 40
今回はユーリ達の話と現在リン達の話になります。


熱出てて辛い・・・・・



間章6 理由

山道を外し、草木が周りを辺りを覆う場所で朝まで身を潜めることにしたユーリ達。

この場で、身体を休め、明日にも山賊達を壊滅できれば良いなぁと考えていた。

 

「そういえば、ユーリ殿は何故このサカの地に?」

 

『あぁ・・・・・なんというか』

 

ユーリは顔を背けながら、曖昧に濁す。

別に、話していけないことではないが、リンを知ってるワレスからすれば、あまりいい顔はされないかもしれない。

だが、どうせここまで来たら退くに退けなくなるのだから、話しても変わらない。

 

『いや、なんというか・・・・その、まぁ目的はここの山賊討伐なんですが・・』

 

ユーリにしては歯切れが悪い。

ユーリを知る人ならそう思うだろう

本人でさえ、そう思っている。

だが、ユーリとしても勝手をしている自覚からの罪悪感がある。

 

「ほぅ、ユーリ殿にそんな殊勝な考えがあったとはな!?」

 

『わかってて言わないでください・・・』

 

ワレスもユーリが自らサカまで来て、ただ山賊を討伐するとは思わなかった。

 

「ユーリがそんなことを考えるとは思わない」

 

カアラからも、ユーリが頼まれるわけでもなく、自分から戦いを挑むわけがないと思われていた。

会ったばかりの人にすらそう思われるユーリもユーリだが・・・

そもそもユーリが無償で見ず知らずの人のために動くような人間ならカアラが付いてくると言っても

快く受けてくれただろう。

 

『・・・・・・復讐に囚われた彼女・・・・・リンにそんな道を歩んで欲しくなかっただけですよ

 簡単に言えばですけどね』

 

ユーリはそこで、区切り、一息ついてから再び話し始めた。

 

『ワレスさんは知ってる話になりますけど、リンの両親・・・そしてリンの部族ロルカ族も既に

 滅びていると言っても良いでしょう・・・実際に残っているのもリンだけらしいですし

 ここまで言えば何となくわかると思いますけど、今回潰しにきたタラビル山賊団

 それがリンの仇です』

 

「だが、リンディス様はそのような感じには見えなかったが・・・?」

 

ワレスが会ったときは、リンはハウゼン様のことで頭がいっぱいになっていたとき。

この話は国境を越える前に聞いた話だ。

ワレスが聞いたこと無いのも無理が無いだろう。

 

『ええ、ワレスさんも言っていましたが綺麗な瞳ですよ・・・思わず憧れるくらいに

 だけど、必ず仇を取るってリンが言ってた時、その瞳が濁ったような印象を受けたんですよ

 だから、俺は勝手とわかっていても、何と罵りを受けようともタラビル山賊団を潰すって決めたんですよ』

 

だいたいに理由はこれであっていた。

語らなかったのは、自分と重なって見えた彼女が自分と違って綺麗な瞳していたから

自分と同じ道を歩んで欲しくなかったという理由だけだ。

 

「ふむ・・・・なるほどな」

 

「リンという人物はわからないが、その人のためにユーリは戦うわけだな」

 

『まぁ、な』

 

「ふはは、良いではないかユーリ殿!!リンディス様のことを考えてそのような行動を

 取られたのだろう?主君の言葉に従うのも騎士の務めだが主君が間違えた方向に進もうとしたときは

 道を正してやるのも騎士の務めだ!ワシも復讐に取り憑かれたリンディス様は見たくない!

 俄然気が高ぶってきたではないか!」

 

『はぁ、よろしくお願いします』

 

ワレスの熱気に当てられ、途中からユーリも何を言ってるかわからなかったが

やる気を出してくれたなら良しとしよう。

 

『これ以上、長く起きては明日に堪えましょう

 交代で見張りをしながら休みましょう』

 

「なら、初めは私がしよう」

 

「では半端な次はワシがしよう」

 

『じゃあ、俺が最後か』

 

決まったところで、ワレスは一足先に木にもたれかかった。

あの、重鎧を着たままで休めるのかは甚だ疑問だが、慣れもあるだろうし、戦闘に備えるという意味では

間違ってないないとは思うが。

 

ユーリも腰に差した銀の剣を外して横になろうとする。

 

「ふむ・・・・ユーリ」

 

横になろうとしたとき、カアラに引っ張られる形で横になることとなる。

 

『これは・・・・どういうことだ?』

 

「こうすれば楽かと思ってな・・・ワレスは重そうだからユーリにしてやろうと思ってな」

 

『だからといって・・・・な』

 

ユーリの現在の体勢・・・・・

カアラの膝枕。

見知らぬ人が見たら恋人同士だと思えるような光景がそこにあった。

彼氏の方があまりにもよくわからない顔をしていなければだが・・・・

 

『というか、こういうのは会ったばかりの男というか人にするものじゃないだろう?』

 

ユーリは冷静に振る舞っているが、内心では少し焦っている。

彼も家族からされたことはあっても他の人からされたことはない。

 

ましてや、会ったばかりの人なら尚更だ。

 

「そういうものか? こんな固い地面で休むよりは良いと思うのだが・・・・」

 

『いや、まぁ・・・確かに・・・だけどさ』

 

「なら良いだろう?早く休んだ方が良いんじゃないか?」

 

『(休めるのか・・・・?)』

 

抵抗することをやめたユーリはどうにか休もうと瞑想することになる。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

時は遡って、ユーリが旅立って少ししたキアラン城。

 

リンはマークから預かった手紙を持ってフロリーナを探していた。

 

「マーク、1週間したらフロリーナに渡してって言ってたけど・・・

 何で1週間必要だったのかしら?」

 

もちろん、それはマークなりに気を使った結果である。

答えを書いたつもりは無いが、ヒントから答えを見つけられ、追いかけられる距離にいたのなら

間違いなく追いかけるだろうから。

 

「フロリーナ?」

 

「リン? あっ、じゃないリンディス様」

 

1週間くらいではフロリーナも慣れることはなく、不意に呼ばれると未だにリンと呼んでしまう。

 

「別にリンで良いっていつも言ってるのに・・・ 

 まぁ、良いわ・・・これマークからあなたへですって」

 

リンはマークから受け取っていた手紙をフロリーナへ渡す。

 

「マークさんから?」

 

フロリーナにはマークから手紙をもらうような心当たりは無い。

フロリーナは手紙を疑うことなく封を切り、便せんを手に取る。

 

 

さてさて、フロリーナ殿

これを読んでいる頃には1週間経っていると信じてこの話をさせてもらいましょう。

 

僕がこれから記すことによって、ある方からは恨みを貴女からは何故もっと早く言ってくれなかったのか?

と不満を抱かせることでしょう。

ですが、僕には僕の事情があったということで納得してもらうしかないのですが・・・

 

さて、では前置きはここまでにして本題です。

 

貴女の兄、エリンシアに関することです。

 

「・・・・・・・!」

 

フロリーナはここで表情を急変させた。

いままで、全く手に入らなかった情報を旅立った仲間から聞くことになるとは思わなかったからだ。

 

「フロリーナ?どうしたの?」

 

「ちょっと、待って・・全部読んだら話すから」

 

そこでフロリーナは再び手紙に視線を戻す。

 

 

貴女の兄、エリンシアに関することです。

全く、情報が手に入らないと言ってましたね。

それもそのはずです。

理由の1つとしては、彼は名前をエリンシアから変えています。

エリンシアという名前は恐らく長らく名乗っていないと思うのでその名前で探しても彼の影は

追えないでしょう。

 

2つ目としては、彼の容姿が変わっているということです。

具体的に何が変わっているかは言いませんが・・・・

 

本当に申し訳なくも思いますが、僕はあなたの兄の現在の名前も、容姿も知っています。

ですがそれを貴女にお教えすることは出来ません。

 

ですが、彼への裏切りになると知りつつもこの手紙を記すことにしています。

 

ですので、ヒントだけは残します。

 

彼は、一度だけ話してくれましたが、彼はある一部の人からはエリと呼ばれていたそうですよ。

 

ではこれで失礼します

 

マークより

 

「エリ・・・・・・」

 

「エリ?」

 

フロリーナはマークの残してくれたヒントを噛みしめるように呟く。

 

「リンディス様・・・・」

 

フロリーナはリンに手紙を手渡す。

リンは手紙を読み終わると、複雑な顔になる。

 

「マークを怒ってやりたいところだけど・・・・エリンシアさんもエリンシアさんよ!」

 

マークはエリンシアと知り合いである。

そして、彼はフロリーナにそのことを教えないようにしている。

家族に心配を掛けておいて、その行方を誰にも教えないように言っている。

それが、許せなかった。

自分が、家族を失ったからこそそう感じるのかも知れない。

 

マークは、エリンシアに負い目を感じつつもそのことを教えてくれた。

だから、強くは怒れない。

 

「私は絶対諦めないよ・・・必ず、エリンお兄ちゃんを見つける」

 

「フロリーナ・・・・」

 

フロリーナは決意を新たに、兄の影を追う。

 

彼らが再び会えるのはそうは遠くないのかも知れない。

それを兄と気付くかは別の話だが・・・・

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

旅を続けるマークは呟く

 

「今日で、1週間目・・・・手紙が渡された頃かな」

 

歩き続け、マークは更に口を開く。

 

「エリ・・・エを細かく分けてユーにしてユーリか・・・

 案外、簡単に分かる答えなんだよね」

 

それを彼女は、今まで接してきた彼こそが兄だとわかるのかな




突如、もたらされた兄の情報!

フロリーナはどんな道を選ぶのか?

兄の影を追う少女

始まります(嘘です)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。