ファイアーエムブレム~凍土の剣~   作:whiterain

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2人旅と言ったな・・・・あれは嘘だ!!



ごめんなさい・・・・



12章 前哨戦

『お前・・・・何言ってるんだ?』

 

何となくで繋がっていた話がいきなりわからなくなった。

ユーリは初めから話を振り返りどうにか繋げようと考え直してみる。

カアラは兄の行方を追っていた→兄は強者を求めて、その前に現れる→そこで、カアラは闘技場で名前を

売ると同時に強者を捜すことにした→見つけた強者?(ユーリ)→ユーリに付いていくカアラ

 

『うん・・・意味がわからん』

 

「?単純な話だ、ユーリといれば私は兄に会える気がする」

 

『まず、カアラの兄は俺の事を知らないと思うのだが?』

 

「大丈夫だ、兄上ならユーリのことを見れば強者だとわかって勝負を挑んでくるはず」

 

『たちの悪い通り魔じゃね・・・?』

 

いきなり、勝負を吹っかけられ、一歩間違えれば殺される。

挑まれる側としては溜まった者じゃないだろう。

 

ユーリとしてはカアラを連れて行くことにあまり賛成は出来ない。

何より、カレルというカアラの兄に絡まれるかも知れないリスクが何よりもマイナス要素となっている。

 

『待てよ・・・・・カアラ、俺が仮にこれから1人で賊に戦いを挑みに行くって行ったら

 どうするんだ?』

 

これで、付いてくるのをやめるなら、それはそれで元々の予定通り1人でタラビル山に入る。

付いてくるなら、剣姫として名高いカアラの実力を貸してもらおう。

仮に、これで賊討伐が終わるまで待つなんて答えが来たら、悪いが終わったら早々に逃げさせてもらおう。

 

これなら、どの道でもユーリにマイナスとなることは無い。

 

「ふむ、賊討伐か・・・・勿論私も付いていこう」

 

これで、ユーリはタラビル山賊団討伐に強力な手札を手に入れたことになる。

1人でどうにか出来る確証は無かったが、カアラもいるのならほぼほぼ討伐できる。

 

ユーリはそう確信していた。

 

『なら明日になったら、あの山に籠もることになるから』

 

ユーリはタラビル山を指し、これからの大雑把すぎる予定を告げる。

 

「わかった、私も野宿には慣れているからな」

 

『女の子が野宿に慣れているって・・・・どうよ?』

 

「? そういうものか?」

 

『いや、まぁ・・・良いのか?』

 

いや、良くは無いだろう。

そもそも、あまり野宿自体するものでは無いと思うが。

こんなご時世で女の子が野宿に慣れていることが良いとは言えないだろう。

カアラ自身が強いとは言え、危ないことには変わりない。

 

『とりあえず、今日のうちに明日からの準備するか』

 

「了解だ」

 

闘技場から、ここまですごい早さで展開されたなぁと思いながらユーリとカアラは商店のある方へ

足を向けた。

 

 

 

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明くる日の朝。

ユーリとカアラは山の入り口まで来ていた。

早く、見つかれば、すぐに山を下るし、出会えなければ、その分だけ時間がかかる。

2人しかいない以上、疲労も早く溜まるため、早めに終わらしたい。

 

『規模はあんまり大きくは無いと聞くけど・・・本当のことは良くわかっていない

 わかるのは・・・最悪に悪逆非道な連中ってことかな』

 

「なるほど・・・だが、数が何人いようと関係無いだろう?

 その数だけ斬れば良いのだからな」

 

『そんな楽に考えられたら良いんだけど・・・

 まぁ、戦い方を考えるのは俺も得意じゃないから・・・

 多分、そんな戦い方になるだろうな』

 

ユーリは、頭に悪どいこういうことを考えるのが仕事な友人を思い出し、苦笑いする。

 

「わかりやすくて良いだろう?」

 

それに対して、カアラも微笑みを返してくれた。

 

山に入って幾ばくか経っても、誰にも会うことは無かった。

この山はタラビル山賊団が巣くうことから、ほとんど人が入ることは無い山なため。

誰か人がいれば、高確率で山賊団関係者という事になるのだが・・・・

 

『そんな、簡単にはいかないか・・・・・』

 

「そもそも、ユーリは何故山賊団を潰そうとしている?」

 

『そんなの、人として当然のことを「嘘だな」・・・まぁ、嘘だが』

 

自分で言って、そんなことのために戦うなんて、見ず知らずの人の為に無償で働くなんてことはしない。

ただ、それを出会ったばかりのカアラにまで言われるのはちょっと心外だ。

 

『そうだな、ただ単に自分が気に入った人に暗い道を歩んで欲しく無いだけさ』

 

「良くわからないな」

 

『それはお互い様だろ?

 俺だって、何でカアラが俺に付いてくれば兄に会えると思ったのかわからんさ』

 

「そういうものか?」

 

『そういうものなんだろ・・・・誰だ!』

 

この山で人に遭遇すればそれはほぼほぼ敵だと情報屋も言っていた。

なら、先に寸止め程度に攻撃を仕掛けた方が良い。

 

違ったら・・・・そのときはそのときで素直に謝ろう。

 

だが、その思惑は相手によって覆される。

 

ガキンッ!!

 

『な!?』

 

ユーリの振るった剣は相手の持つ槍によって防がれた。

寸止めする気とはいえ、間違いなく真剣に振るった剣だった。

 

「ぬ!?ワシに気付くとは賊の分際でやるではないか!!

 ぬはは、燃えてきたぞ」

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

聞こえたのは聞き覚えのある笑い声。

次に目に入ったのは、見覚えのあるでかい図体と輝く頭。

間違いなく、ワレスだった。

 

『ワレスさん・・・・』

 

「おぉ、ユーリ殿ではないか!!

 通りで、良い剣筋だと思ったぞ!」

 

『そのことに関しては謝罪を・・本当にすいません

 俺も、賊だと思ったので』

 

「ぬはは、気にすることはないぞ!」

 

『そう言っていただけると助かります

 ところで、ワレスさんは何でこんなところに?

 確か、血が騒いだって旅に出ましたよね?』

 

「そうだ! その中でワシはこの山に巣くう賊の話を聞いてな

 ワシが殲滅してやろうと思ったのだ」

 

「ふむ、目的はユーリと同じというわけじゃないか?」

 

ここまで、状況を観察していたカアラはそこで、初めて口を挟んだ。

 

「ぬ!?ユーリ殿もここの山賊を?」

 

『まぁ、ちょっと訳ありですよ』

 

リンの復讐相手を消すためにとは言いにくかった。

自分が勝手に約束を破って戦おうとしているのだから。

 

「なら、ワシも共に戦おうではないか!

 そこのお主も構わぬな?」

 

「私か? 私はユーリに付いていくだけだ

 ユーリが良いなら何も言わない」

 

『じゃあ、お願いしますワレスさん』

 

「うむ」

 

ユーリ達は更にワレスを加え、山賊を探しを続ける。

戦いの時は近づいているのだろう。

 

『見つからんな・・・・案外、今も下ってどっかを襲撃してるとか無いよな・・・』

 

「否定は出来ないな」

 

「見つかりさえすれば、ワシが粉砕してやるのだが」

 

そう、見つからない。

山が広いとは言え、ワレスの入ってきた道筋とユーリ達が入ってきた道筋は違う。

 

『結構な時間探してるんだけどな』

 

時間にすれば、半日以上は経過している。

そろそろ日も沈み出してきている。

 

「うん? ユーリあいつらは?」

 

カアラが指さす方に武装した集団がいる。

数は15と言ったところだろうか

 

『どう見ても・・・ビンゴっぽいよな』

 

「なら、殲滅しようではないか!」

 

数は少ないがユーリもあいつらがタラビル山賊団で間違いないとは思っている。

ただ、そうは思ってもユーリにもこちらから、斬りかかれない理由があった。

 

『証拠がない・・・怪しいからと言って斬りかかれば通り魔と変わりない

 あまり、したくないけど誰かがあいつらと接触して確認を取るしかあるまい』

 

「なら、私がやろう」

 

名乗り出たのはカアラだった。

 

『まぁ、俺やワレスさんが出て行くよりは油断するか

 あまり、女の人に危ない真似をして欲しくないんだけど・・・』

 

確かにカアラは強い。

あの山賊程度に、負けるとは思っていない。

だが、もしもということはあるし、ユーリ的には強くても女性という面で

あまり、無理はして欲しくないという考えもあった。

 

「私の剣の腕を知っているだろう?」

 

『あぁ・・・だから、止めたりはしないよ

 女性だから危険な真似はさせられませんというのは俺の勝手だから、強要は出来ない

 』

 

「では、行ってこよう、私が剣を抜いて上に掲げたら確定だ」

 

カアラは敢えて、ユーリ達がいる自分がさっきいまでいた場所と逆側に潜み移動してから、

山賊(仮)に声を掛けた。

 

「さすがに声までは聞こえぬな」

 

相手に気づかれぬ距離だとさすがに何を話しているかまでは聞きとれない。

 

『カアラを信じるしかないですよ・・・俺らは黒だったらすぐに斬りかかるだけですよ』

 

ユーリが剣に手を掛け、ワレスが槍を掴んで、成り行きを見守る。

 

そして、カアラの剣が上に掲げられた。

 

『後ろを向いている、今の内に先手を取らせてもらいましょう』

 

「任せておけ!」

 

ユーリとワレスは一気に飛び出した。

 

「ふんっ!!」

 

『別に恨み辛みは無いが、死んでくれ!』

 

ユーリとワレスがこちらに背を向けていた2人を斬り払う。

そのまま、こちらに振り向く前にユーリは手近なもう1人を斬り裂いた。

 

「貴様ら、俺たちを知っていて刃向かっているのか?」

 

『さっき、そこの女性に聞かれなかったか?』

 

「私も確認したぞ?」

 

「タラビル山賊団に逆らって只で! グハッ!!」

 

『一度敵と決めれば慈悲はかけない』

 

敵が冷静さを取り戻す前に決着を付けてしまいたい。

数が劣っている以上、油断は出来ない。

 

最善を尽くして、最短で戦いを終わらせることこそが一番。

敵の山賊団も、まだまだ数がいるだろう。

 

こんなところで時間も労力も掛けてはいられない。

 

「クソっ。お前らの顔は覚えたからな!

 必ず、この借りは返させてもらう!!」

 

山賊は立ち直すのは不可能と判断し、早々に逃げていった。

今、この戦闘で倒せたのは10人。

5人には逃げられたが、ある意味、逃げてくれたのは幸いだった。

ここで、決死の覚悟で戦われていては、他の一員がどこにいるのかわからずまた途方にくれる

ところだったのだから。

 

『何とかなったな・・・・』

 

「ふむ、あれくらいなら何とかなりそうじゃないか?」

 

「ぬははは! 他愛の無い奴らよ」

 

とりあえず、初戦に無傷で勝てたことを喜ぼう。

 

『だが・・・・同じ手は使えないからな』

 

今度は顔がバレてるだろうから同じ手は使えない。

 

『(さっきより、多いだろう相手に真っ向勝負か?)』

 

そんなことはしたくないなと思いながら、ユーリは次の戦いに思いを馳せる。

 

「それで、次はどうするんだ?

 奴らを追うのか?」

 

『しかないだろう?他に手がかりも無い』

 

「奴ら、慌てておったから通った道がわかりやすい」

 

『そう言うことですね・・・ただ、夜に数で攻められるのは避けたい

 明日になるまでは身を隠しましょう』

 

「だが、急いだ方が良いのではないか?

 奴らの痕跡が消えれば・・・」

 

ユーリは空を見上げ、雲1つ無い空を見た。

 

『これなら雨は降らない・・・無理する必要ないだろう」

 

ユーリ達3人は、姿を隠すため、その場を離れた。

 




頭の中にゲームの画面ならこんなんだろうなぁと考えると2人で戦うのは
無理があるなって思いました。

てなわけで、今回は三人編成になります

終われば、また二人に戻るかなと

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